台南に住む人たちとの距離が近いから、台南の街への認識をもっと深められます
こんにちは、台北ナビです。
レトロな街並みと美食、洗練された独自の文化……台湾の都市の中でひときわ存在感を放つ魅惑の都市・台南。台南をテーマにした本やガイドブックも多数出版されていて、台南を訪れたことのある方もきっと多いのではないでしょうか?
でも、さらに深く台南のことを知ってみたいなら、市街地の中にある民宿に宿泊することをオススメします。実際に台南を愛する民宿オーナーらとの触れ合いを通じて、台南の生活を体験すれば、旅行者の目線では気付かなかった新たな発見に出合えるはずです。
今回は、前編に引き続き、特に個性的な複数の民宿が手を組んで結成された団体「
Khunsinia(クンシニア)」に加盟している民宿のオーナーが特別に教えてくれたお勧めスポットととっておき体験をご紹介していきます!
右がAndyさん
「想起民宿」は水仙宮市場に程近い、年期の入った建物が軒を連ねる細い路地にある古民家を改築したもの。路地ではありますが、すぐ隣を並行して走る幹線道路の裏道としてスクーターがひっきりなしに行きかい、活気があります。レトロでありながらモダンな雰囲気は、昭和の時代にタイムスリップしたかのよう。
因みに1階ロビーは台北ナビのサテライトラウンジ「ナビプラザ台南休憩所」となっていて、情報収集が可能なほか、民宿に寄贈されたさまざまなレトログッズが並べられ、さながら博物館の様相。かつての生活を垣間見られます。
建物の構造は、玄関部分の建物があって、中庭があり、さらに奥に建物があるという奥に細長い台湾でよく見られる伝統的な作り。実際にはさらに奥があって反対側の道路まで続いていたのですが、現在は分断されて、別の所有者が居を構えています。
お部屋は広々としていて日本っぽさを感じさせる落ち着きさえあり、至極快適。
台南市宮後街1、2号
0968-527-567
https://www.facebook.com/old.houselive/
オーナーのAndyさんがオススメするスポットは、やはり食品を扱うお店がずらりと軒を連ねる水仙宮市場。日本統治時代からある市場で、隣接する永楽市場と一緒に大きな商業エリアを形成しています。
暗かったり精肉店では豚や鶏の解体の真っ最中だったりと、刺激に対する免疫のない方は、足を踏み入れるのを躊躇してしまいそうなディープな環境ですが、ここが台南人の胃袋を支えていると思うと、やはり勇気を出して見学する価値があります。
市場に充満する食材のにおいや高めの湿度、威勢のいいお店の人の声、これはガイドブックや写真を通しては分からない魅力。百聞は一見にしかずです。
ベジタリアン向けのからすみ。どうやらトウモロコシを原料にしているよう
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青草茶と呼ばれる薬草茶。中国医学では大敵とされる体の火照りを取ってくれます
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台南特産のサバヒーもどっさり
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じっくり煮込まれた豚足は見ているだけでもよだれが出てきそう
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忘れてはいけないのが朝食タイム。市場が休みになる月曜日以外は、水仙宮市場で仕入れた食材を使ってサバヒーのおかゆを提供してくれます。ニンニク、エシャロット、ハマグリ、エビが入ったおかゆは、シンプルだけれどしっかり味でボリューム満点。新鮮なサバヒーは甘くてぷりぷり。朝から元気になれるおいしさです。
また、民宿の外では、愛玉を売る屋台が午前限定でオープン。ナビも知らなかったのですが、スイーツとして知られる愛玉は、台南では朝食としても食べられるのだとか。確かに厳しい暑さの続く夏に愛玉をササッといただくのは食欲のない日にいいかも。ナビが訪れた日にもひっきりなしにお客さんが来ていました。
台南で話題の街ブラスポット新美街に泊まれる「来了」
ここ数年で人気の「街ブラ」スポットになった新美街(通称:米街)。大天后宮、祀典武廟、開基武廟原正殿などのお寺や廟などに近く、参拝者が多かったことから、食べ物や生活用品、お土産を売るお店が建ち並んでいたのですが、最近はノスタルジックな街並みが多くの人をひきつけ、お洒落なお店が増えてきました。
そんな新美街にある民宿が「來了。就住一晚」です。オーナーは古い建物の修復を得意とする空間デザイナーの潘俊元さん。こちらも古民家を改築したもので、建物の基本的な構造は「想起民宿」と同様、玄関部分の建物があって、中庭があり、さらに奥に建物が続いています。「想起民宿」の内装がアジアンテイストだったのに比べ、こちらは洋風。庶民の家というよりも、少しだけお金持ちの家に泊まりに来たような雰囲気があります。
台南市新美街149号
(06)222-9293
https://www.facebook.com/ShinMeeiJ/
潘さんのオススメはもちろん新美街。畳屋さんやお茶屋さん、金物屋さんなど、見るからに老舗のお店が軒を連ねます。旅行だと畳や金物なんて買うことはなかなかありませんが、これこそが台南の生活に密着したお店といえます。もし台南に移住したら、この界隈で生活雑貨を揃えたいな……なんて想像が膨らみますね。
温故知新の街を歩ける「有方公寓」
次に訪れたのは海安路近くの路地にあるマンションを改装した民宿「有方公寓」です。オーナーの楊川宏さんはプロカメラマン。仕事やプライベートで世界各地を渡り歩いてきましたが、やはり最後は生まれ育った台南がいいと、地元で民宿をオープンしたそう。
元々この建物は台湾人女性建築家によって建てられたデザイナーズマンションの先駆け的存在で、吹き抜けのある広々とした空間は、建物の古さを全く感じさせず、むしろ今から見ても前衛的に見えます。
現在の内装はインダストリアル風。そもそも戦後に建てられた建物なので、これまで見てきたレトロモダンを感じさせる民宿とは雰囲気が違いますが、随所に光るセンスのよさはやはり台南らしさを感じさせます。
台南市海安路二段269巷9号
(06)223-1208
https://www.trip235.com/
楊さんがオススメするスポットは有方公寓から徒歩3分の場所にある神農街と、それに交わる康楽街を中心としたエリア。台南の歴史を十分に感じられる場所です。
まず訪れたのは、樟脳やヒノキの香りが充満した永川大轎工藝。神農街にある神輿工房で、作業の様子を間近に見学させてもらいました。台南は歩けばすぐに廟やお寺にたどり着く神様との距離が近いのですが、ここは脈々と受け継がれるその宗教文化を支えている場所。
ナビを日本語で迎えてくれたオーナーの王永川さんを筆頭に、黙々と作業が続けられている現場は、クーラーがなく、完全なる蒸し風呂状態。厳しい労働環境ですが、最近では職人志望の若者も加わり、伝統文化が次世代にも引き継がれているのだとか。
ライトアップされた夜も綺麗ですが、人の少ない昼間も素敵
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木材のいい香りがぷわ~んと漂っています
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神農街を離れて康楽街を歩きましょう。楊さんいわく、この康楽街にもたくさんの廟が集まっていて、かつては参道として多くの人で賑わっていたのだとか。ここで暮らしている人たちは昔から住み続けている生粋の台南っ子で、それゆえ古い建物が残っているんだそう。
観光客が普段歩かない住宅街の道ですが、ゆっくりと歩きながら、日本のどの町とも異なる風景を眺め、ここに暮らす人たちは普段どんな生活をしているのだろうと想像するのも楽しいものです。
独自の歴史と文化で多くの人々をひきつける台南。今回紹介した民宿が加盟する「Khunsinia」では、それぞれの民宿を島に例え、それぞれの民宿のオーナーが島の主人に扮して宿泊客をおもてなししています。「Khunsinia」に加盟する民宿をはしごして宿泊すれば、台南への認識がもっと深まるはず。移動には同じく「Khunsinia」のメンバーで、日本語ドライバーを手配してくれる「台一大車隊」のタクシーチャーターが便利です。
台一大車隊
(06)300-9999
http://fucitytainan.com/?lang=jp
実際に民宿のオーナーと街を歩けば、ガイドブックを頼りに旅するよりも、もっとディープで生活に密着した体験ができるはず。ぜひ、台湾に溶け込み、暮らす様な旅を実践してみてください。
以上、台北ナビがお伝えしました!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-09-26