観光スポットの中に泊まるという特別な旅を楽しんでみませんか?
こんにちは、台北ナビです。
懐かしい街並みが残り、おいしいご当地グルメに舌鼓が打てる古都・台南。コンパクトな市街地には、歴史ある建物や老舗ショップが軒を連ね、街歩きの楽しみがギュッと詰まっています。優しく温かい台南人の性格も合わさって、日本人のリピーターも増加中。かくいう在台15年のナビも台南ファンの一人だったりします。
そんな台南でオススメしたいのが、市街地の中にある民宿に宿泊すること。台南をこよなく愛するオーナーらが経営する民宿は、地元の生活に密着していて、あなたに特別な体験を提供してくれます。今回は、特に個性的な複数の民宿らが手を組んで結成された団体「
Khunsinia(クンシニア)」に加盟している民宿のオーナーが特別に教えてくれたお勧めスポットととっておき体験をご紹介していきます!
本に囲まれた「艸祭 book inn」で古きよき伝統を覗こう
かつて「草祭二手書店」と呼ばれた台湾では比較的珍しい古本屋があった建物を、ユースホステルとして改装した「艸祭 book inn」。あたかも本棚の中に泊まるような感覚が味わえ、読書好きにはたまらない空間です。
建物自体はとても古いものなのですが、中はしっかりとリフォームされていて、明るく清潔。特に日本人をはじめとする海外からの宿泊客にも満足してもらえるようにと、共有部のトイレとシャワールームもしっかりと清掃が行き届いていて、気持ちよく使用できるほか、女性用トイレ・シャワールームはカードキーがないと入れない仕組みになっていて女性だけの利用も安心です。
台南市中西區南門路71號
(06)222-2909
http://www.caoji.com.tw/caiji/
周榮棠さん
「艸祭 book inn」を経営するオーナーは台南市民宿協会理事長を務める阿勇こと周榮棠さん。優しく、情熱的で、熱く語る時は台湾語が炸裂するパワフルな人です。
そんな阿勇さんがオススメする、とっておきのスポットは自身が経営する台湾料理店「筑馨居」。なんと日本統治時代よりも前の清朝時代に建てられた築140年の建物をリノベーションしたレストランで、お店の奥と2階、そして離れには、レトログッズが並んだ展示スペースもあり、食事の前からワクワクできる空間になっています。
清朝の時代に建てられた古民家を改築
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お店の向かい側には津田式のポンプが
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メニューはなく、金額は一律500元。人数に合わせて旬の食材を使った料理が提供されます。なので、どんな料理が食べられるかは、来てみないと分かりません。でも、基本に忠実でどこか懐かしい台湾料理が食べられます。海の幸と山の幸をふんだんに使い、台南らしくちょっと甘い味付けになっている点はまさに日本人好み。台湾伝統の料理をしっかりと味わってくださいね。
台南市中西區信義街69號
(06)221-8890
11:30~14:00 17:30~21:00
https://www.facebook.com/筑馨居-408529669303867/
続いてやってきたのは筑馨居に程近い臨安路一段。こちらには木彫の作業場「劉進文木雕工作室」があり、玄関前の通路で職人さんが木彫に精を出していました。
この木彫、見るからに細かくとっても精巧なものなのですが、それもそのはず、台湾各地に点在する廟の装飾や家具を作っている場所なのです。オーナーの劉進文さんは、これまでに数々の賞を獲得したことのある職人さん。職人と聞くと、勝手に頑固で寡黙……なんてイメージを抱いていましたが、王さんはとってもはにかみ笑顔が素敵で気さくなお方。設計の仕方からデザインの特徴まで、親切に教えてくださいました。
木材のいい香りが漂う作業場。神々しいばかりの木彫を眺めていると、心が洗われる気がします。
全てが手作業なのかなとも思ったのですが、実際にはパソコンで図面を作成したり、時代の変化に合わせてクリエイティブ商品を産み出していてちょっとびっくり。現在まで受け継がれる伝統を間近に見られて、とても勉強になりました。
レトロな西市場にある民宿「謝宅」で流行文化に触れよう
お次にやってきたのは「西市場」。日本統治時代から発展し、食料品、雑貨、衣料品などありとあらゆる商品が集まる台南指折りの繁華街です。増築、改築が繰り返された市場は現在改修工事の真っ最中なのですが、そんな市場の一角にある「謝宅」は、台南人の生活が体験できる民宿です。
1階部分は店舗で、民宿部分は狭く急な階段を登った2階から5階部分。オーナーである謝小五さんが幼い頃から住んでいた自宅を改装したもので、まさに台南人の生活を疑似体験できる民宿です。広々としたダイニングキッチンもあるので、市場で食材を買って簡単に調理するなんてこともできちゃいます。また、寝室は畳に布団を敷いて寝るタイプ。初めて来る人でも懐かしさが感じられます。
0922-852-280
https://www.facebook.com/TainanOldHouseInn/
「ザ・台湾」の雰囲気を醸し出しているリビング
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謝小五オーナー
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そんな「謝宅」の謝小五さんのオススメは、やはり西市場の老舗めぐり。正直言うと、くたびれた外壁や看板、無造作に張り巡らされた電線が垂れ下がる西市場は、アーケードがあるせいもあって日中でも暗く、土地勘がないナビは、足を踏み入れるのを少しためらってしまうほど。ですが、謝宅に宿泊して、謝さんと一緒に歩けば安心です。
最初に訪れたのは最近修復が終わったエリアにあるオーダーメイドのスーツ屋さん「安正西服」。働く男性の戦闘服とも言われるスーツですが、だからこそ、自分にぴったり合ったものを身につけたいですよね。店構えこそレトロですが、高品質の商品で国際的に有名なファッション誌で度々紹介されていて、日本や香港からわざわざ購入するお客さんもいるんだとか。
短期間の旅行でも採寸と仮縫いの状態での試着さえできれば完成後に郵送してくれるそうなので、台南へ旅行に来た際に仕立てることだって可能です。
引き続き西市場を見学しましょう。
初めはなんとなく「ちょっと怖い」と思っていましたが、実際には地元のおじちゃん、おばちゃんたちが普通に買い物をしていたり、店員さんと他愛もない話をしていて日常生活を垣間見られる空間。顔なじみの場所に買い物をしにくるという行動は、私たち日本人の生活となんら変わりがありません。ですが、台南の西市場という空間に足を踏み込めば、その買い物行為が特別なものに見えてくるから不思議です。
漁光島の「毛屋」で海と風の音を感じながら台湾海峡に沈む夕日を眺めよう!
続いてやってきたのは、台南の西側、台湾海峡に面する漁光島と呼ばれる地域。古くから漁港として栄えてきました。安平古堡や金億載城から至近距離であるにも関わらず、素朴な生活を送る人々が暮らしていて、ゆっくりと時間が流れているのが感じられるはずです。
この場所で生まれ育った毛さん三姉妹が運営している民宿が「毛屋」。明るく朗らかな人柄で、初めて来ても、親戚の家に遊びに来たようなアットホームさがあります。
コンクリート打ちっぱなしの近代的なデザインが目を引く建物ですが、中もとってもお洒落。明るく清潔で、多目的用途に使えるフリースペースもある広々空間、インテリア、アメニティ、どれをとってもホテル以上の快適さがり、長期滞在にもピッタリです。
台南市安平區漁光路119巷1號
(06)391-2113
http://www.maowu.tw/
三姉妹のお姉さん、毛韋柔さんがオススメしてくれたとっておきスポットは、台湾海峡に面した海岸の月亮湾。民宿から自転車にまたがって連れて行ってくれました。実は台南には台湾本島の最西端があり、この月亮湾の海岸も比較的最後まで夕日が見られるスポットとして、カップルや家族連れに人気の場所なんです。
約15分のサイクリングを終えてやってきた月亮湾。天気がよい日には防波堤に登って、台湾海峡を行き来する船を眺めながら、ぼーっとするのもいいリラックスになるはず。絶えず風が吹き付けているので、夏でも暑さは感じられませんでした。
レジャーシートを敷いてピクニック気分
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更衣室やシャワールームはないのですが、簡単な水遊びができます
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そして、「毛屋」に戻ってきたら、この場所特産の牡蠣を使った焼き牡蠣が用意されていました。レモンをかけてパクリ。
新鮮な牡蠣は肉厚で程よい弾力があって、磯の香りとレモンの酸味が口の中で絶妙なハーモニーを奏でる間違いないおいしさ。白ワインと一緒にいただくと、まさに幸せ。
そして、さらに特別にカラスミでもおもてなししてくれました。毛さんによると、台南のどの家庭でも冷凍庫のどこかにカラスミを常備していて、お祝い事やお客さんが来た時にすぐに振舞うように準備ができているんだとか。
こういった台南独自の風習や習慣に触れられるのも、台南の民宿に泊まるからこその体験ですよね。お腹も心もいっぱいになれる宿泊体験ができました。
歴史情緒あふれる台南は、初めて来ても懐かしさや安心感を得られる場所。台南を愛する人たちと触れ合えば、台南への認識がさらに深まるでしょう。台南の特色ある個性派民宿はまだまだあります。後編でもさらに魅力的な民宿があるので、ぜひ引き続きご覧ください。
以上、台北ナビがお伝えしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-09-25