自然、歴史豊かな温泉街の散策も楽しもう♪
こんにちは、台北ナビです。
今日は、台湾四大温泉のひとつ「關子嶺溫泉」をご紹介したいと思います。ナビも何度か訪れたことのある「關子嶺」。もちろん目的は泉質抜群の泥温泉に浸かって、日頃の疲れを癒すためだったわけですが、連証琳さんのガイドで「關子嶺」を巡ってみて、わかりました!「關子嶺」の魅力って温泉だけにあらずということを……。
というわけで、「關子嶺溫泉」で見るべき観光スポットをまとめてご紹介します!アクセスは台湾好行「關子嶺故宮南院線」や嘉義客運「7214」、台南バス黃ライン「12」「12-2」「13」に乗車すれば到着!山奥にある温泉郷のイメージですが、案外交通至便といえますよ。
嶺頂公園
バス停「關子嶺」にて下車するとすぐある「嶺頂公園」。1932年日本人がその当時、台湾で初めて9ホールのミニゴルフ場を作った場所と言われています。レジャー施設もあったそうですよ。公園内の比較的大きな石は昔から全く動かしておらず、その当時の面影を残しています。
ギターを抱えている吳さんの像
作曲家の吳晉淮さんは柳營出身。彼の代表曲のひとつともいえる「關仔嶺之戀」を作曲した縁で、彼の銅像と記念碑がここにあります。そして、吳さんも日本ととても深い縁のある方です。
彼は幼い頃から音楽大好きで、12歳の時(1928年)に友人と300元を握り締め、日本行きの船へ乗りこみ日本へ渡りました。遠縁の親戚の助けで、中学、高校で学び、なんと慶応大学医学部に入学したほどでした。しかし、音楽への愛を捨てきれず、中退し、日本歌謠學院へ進学し音楽を学んだといいます。学校では古賀正男氏にギターを学んだそうですよ。卒業後は日本で歌手として舞台に立っていましたが、太平洋戦争に巻き込まれ、一時歌手活動は中断。戦後、歌手活動を再開しました。
お母様のお葬式に参加できなかったことをきっかけに、台湾への帰国を決意。翌年の41歳に24年ぶりに台湾の土を踏みました。その後、友人と訪れたのがここ「關子嶺」。そして「關仔嶺之戀」を作曲し、「關子嶺」の名を広く知らしめました。所謂ご当地ソングですが、その時代にはとても珍しかったそうです。 そしてこの歌が有名になった後、その頃の若者はデートで關子嶺へ来たことがない人はダサい!とまで言われていたのだとか。
關仔嶺之戀と書かれたタイルには、關仔嶺にたくさんいる蝶が見えますね~!これは歌詞にも出てきますよ~。そしてギターも描かれています
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歌詞とメロディが刻まれています。ナビもいつか歌えるようになりたいな
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2017年新しく作られたパブリックアート「街燈下的祝福」。これは「關仔嶺之戀」の楽譜の上にリングを載せているのですが、光を当てると、ハートマークが浮かび上がるというもの。話を聞いているだけでは、ちゃんとした❤が見えるわけないなぁと思っていましたが、かなりしっかりとした❤!是非かわいい写真を撮影してみてくださいね。
「桂花巷」は桂花(金木犀)の樹がたくさん植えられている小道。この時は花が咲いていなかったので、香りはあまりしませんでしたが、秋になり開花すると、それはそれはいい香りがあたりを漂うのだそう。
また、このすぐ隣には西拉雅國家風景區が管轄するインフォメーションセンターの「嶺頂旅遊資訊站」があります。実はここ、1941年の日本統治時代に天照大神をまつっていた「關子嶺神社」があったんです。現在の建物は光復後(日本の台湾統治終了)に孔子祠の「大成殿」に建て替えられたもの。しかし、階段はその当時の雰囲気が残されていますよ。
絶景にも歴史あり!
「嶺頂公園」から坂を下り、急なカーブのあるところで立ち止まってみてください。ここから見ると、V字の谷になっていることがわかりますが、ここにも關子嶺の歴史あり。
時は、清朝。漳州人が渡ってきたとき、平野部は泉州人によって占拠されていました。そのため、山の上の關子嶺(今の紅葉公園あたり)を住処としました。1895年日本の台湾統治が始まり、台湾各地で武力行使が行われましたが、このV字型の谷は日本側にとって攻撃しにくい場所だったため、武力ではなく、条件交換という形を取り投降を勝ち取りました。 關子嶺の住民にとっては、V字型の谷があったからこそ、争いを極力回避することができ、死亡者を最低限に抑えられたのです。
今ここからはV字谷の先に白河の街並みが遠くに望めて、いい景色。歴史も感じながら絶景を楽しんでくださいね。
温泉の香りがほんのりぷぅ~ん!
そのまま少し歩くと、温泉の香りがほのかに香ってきます。そう、ここは「關子嶺溫泉」の源泉のひとつがある場所。源泉は少し場所が動きましたが、まだまだ現役です。
温泉が湧き出ているということは、少なからず山崩れの心配もあること、そして、お湯がつきることなく湧き出るようにと、「火王爺廟」を作り不動明王の石碑を置いて、温泉郷の平安を祈りました。
源泉の路線を変更後は見えないものの、枯れてはいません
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外は台湾のカラフルな様式ですが、中には不動明王の石碑
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右手にある階段を下りていくと、「關子嶺」の絵がありました。これはポストカードなのですが、日本で見つかったのです。よく見ると、ガス火口、ホテルなどと日本語が書かれていますよ。驚くことに、このポストカードは台湾では手に入りません。日本へ行った協会の理事がたまたま見つけ、版権を買い、ここに拡大して設置しました。
さらに下りた先には「關子嶺大旅社」が出てきました。そのすぐ前にある駐車場として使っているスペースがあるのですが、ここは昔「聽水庵」があった場所。ここから静楽館までが「關子嶺老街」と呼ばれ栄えていました。老街でとりわけ有名だったのが「聽水庵」「關子嶺大旅社(龍田屋)」「静楽館(吉田屋)」の3軒。
「聽水庵」は佐久間左馬太前台湾総督のために、1915年落成。当時は高級貴賓館として利用されていました。1926年4月より民間が経営権を買い取り、一般民にも開放。しかし1964年に発生した白河大地震により、損壊。修理も叶わず廃業となりました。今でも、その当時を懐かしむおじいちゃん・おばあちゃんはここへ戻ってきて、「聽水庵」があるかどうかを探しにくるそうです。
昔はこんなに美しい場所だったのですね
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公共浴場として使われていた頃の「聽水庵」
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「關子嶺大旅社」はこの「關子嶺老街」上に元々の入口はありましたが、ここを通る人が少なくなったので、目立つようにと今の場所にも入口を作りました。ここはその昔は「龍田屋」と呼ばれていたそうです。
今の入口
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昔の入口には、貴重なものがたくさん残っています。英語で書かれた営業許可書など……じっくり見てみてくださいね
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かなり年季入っています
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關子嶺大旅社 |
そのお隣には、元々「公共浴池」のあった場所。いまは売りに出されているようです。ここでお湯に浸かり、「聽水庵」の前でゆっくり休憩する人が多かったそうですよ。
昔は食堂のようでしたが、次は何が出来るのでしょうか?
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ワンワン
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そのまま進むと「静楽館」が出てきます。元々は吉田屋という名前だったことからわかるように、吉田さんが開いたお宿で、關子嶺最古の温泉宿です。看板に「百年老店」と書くのも納得できますよね。現在はかなりこぢんまりとした建物ですが、その当時はかなり大きい範囲だったのだとか。そのまま残っていないのが、残念!
「關子嶺老街」「静楽館」は台北ナビの記事「関子嶺温泉(台南市)」で宿の中の様子も紹介しています。是非ご覧ください。
「關子嶺老街」はノスタルジックといえば、かなり聞こえはいいですが、老朽化はかなり進んでいるかな?といった感じ。こういう古さが好きな人は好きだろうし、苦手な人は苦手だろうなぁと思ったり。ここが昔の雰囲気を残しつつ、気持ちいい空間に復活を遂げればいいなと願っています。
1905年からそのまま残されている石垣
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これも日本統治時代から取り壊されることなくここにあります
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もうひとつの源泉
「静楽館」の階段を下りていくと、もうひとつの源泉のある「寶泉橋溫泉公園」にたどりつきます。なのですが、2016年2月に発生した大地震の影響で、源泉の位置が変わってしまいました。そのため現在は源泉からパイプを通し、ここまでお湯を流しているそうです。
また、夜になるとライトアップされ、昭和の香り漂う音楽も流されます。夕食を食べた後にお散歩がてら来てみるのも良さそうですね。
ナビはバス停「關子嶺」からぶらぶらと歩いてきましたが、バス停「寶泉橋」から橋を渡るとここにすぐつきます。
蝶パラダイス「紅葉公園」
台湾は「蝶王国」と言われるって知っていますか?ナビは高雄の茂林でよく見られるということしか知らなかったのですが、実はここ「關子嶺」の「紅葉公園」は、努力の甲斐あってここ数年、台湾でよく「紫斑蝶」が見られる場所として知られるようになりました。
「紅葉公園」の名前の由来がこれ!關子嶺で初めて植えられた楓の樹です
その努力のひとつが、紫斑蝶の蜜源となる「高士佛澤蘭」を公園内にどんどん植えていくこと。「高士佛澤蘭」は原住民の方々は芳香剤としても使う、とっても香りがいい植物。南部で冬を過ごした紫斑蝶が、北上して行く時に必ずここを通過するのですが、高士佛澤蘭の香りに誘われ、ここで休憩していくのでしょう。特にオスに好まれるのだとか。
現在、紅葉公園では紫斑蝶のほかにも110種類強もの蝶が見られます。大きな音を出さなければ、かなり近くまで近づいて見ることもできます。オレンジ色の蝶はニモみたいでかわいい♪蝶の季節になると、蝶の解説員と一緒に公園を巡るツアーなども開催されています。蝶好きの方は参加してみてくださいね。
この階段を下りていくと蝶パラダイス♪
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かなり近づけます!
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夕陽を望むならバスに乗って「碧雲寺」へ
火と水が同時に出ている「水火同源」。この近くに「碧雲寺」はあります。關子嶺の夕陽スポットといえば、ここなんです。ナビが訪れた日は残念ながら霞がかかっていて、あまりきれいではないと言われましたが、充分美しいかったですよ!
ちなみにこの日は時間がなく、お寺自体は見学できませんでしたが、お寺の建物も立派なので、時間がある方は参観してみてくださいね。
でも、ちょっとアクセスは不便です。温泉街からは車で約10分。公共交通なら、休日のみ運行している黄12-2に乗車し、バス停「火山碧雲寺」で下車してください。
今までは、泥温泉に浸かってそのまま帰るだけでしたが、観光スポットとしてもこんなに見所がいっぱいあるだなんて……。しかも、それらの多くが日本と関係のあるスポットでした。これからは、關子嶺の滞在時間に余裕を持たせて、じっくりと楽しんで欲しいなと思います。
以上、台北ナビがお届けしました。