みんな「どこが痛いのかわからない」と表現するくらい、体の疲れもピークを通り過ぎている状態です。
8日目のスケジュール
環島8日目 瑞穂(花蓮)→礁渓(宜蘭) 70キロ
花蓮県の瑞穂から花蓮市まで行きます
こんにちは、一青妙です。
毎朝6時のモーニングコールから始まり、朝食、準備体操をして自転車を漕いできた6日間。みんな「どこが痛いのかわからない」と表現するくらい、体の疲れもピークを通り過ぎている状態です。だけれども、今日は環島中最も走行距離が短い一日なので、全体的に少し余裕がある様子でした。平坦な道が続くなか、私たちのグループは一路、花蓮の中心・花蓮駅を目指し花蓮•瑞穂の虎爺温泉から出発しました。
今年で9年目を迎えた環島ツアー「FORMOSA 900 騎遇福爾摩沙」
かっこよくて茶目っ気たっぷりな羅祥安(トニー)CEO
今回私が参加しているのは「FORMOSA 900 騎遇福爾摩沙」という台湾環島ツアーです。毎年11月に開かれる台湾サイクリングフェスティバル期間中に、台湾の交通部観光局の支援のもと、TBA(Taiwan Bicycle Association)や自転車新文化基金會などの団体が協力し、GIANT ADVENTURE(ジャイアント旅行社)が開催する台湾一周=環島ツアーです。
2007年、当時73歳のGIANTの社長•劉金標が、台湾を一周したことから始まり、最初はGIANTに勤める人たちが参加していたイベントでしたが、2009年に環島ブームの必要性から、台湾環島のためにできるだけ誰でも気軽に参加できるようなサービスを提供するGIANT ADVENTUREができました。
9年目を迎え、年々参加者は増え続け、今年は25チーム•総勢700人以上が参加する大きな大会へと成長しました。
笑顔がとってもチャーミングな呉春蘭(Mimisan)さん
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とっても仲のよい羅祥安(トニー)CEOと奥様の呉春蘭(Mimisan)さん
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私が一緒に走ることになった「領航騎士(Leader Team)」チームは、GIANTの羅祥安(トニー)CEOがチームリーダー。奥様の呉春蘭(Mimisan)さんも一緒で、他には中国大陸や日本、アメリカからの参加者も混ざり、総勢45人という大所帯です。羅祥安(トニー)CEOは、そこにいるだけで安心という大きな存在感でみんなを包み込んでくれ、呉春蘭(Mimisan)さんは持ち前の明るさでチーム全体を盛り上げてくれる太陽のような存在です。
基本的にはGIANTと関係のある企業や関係者、マスコミ関係者が中心ですが、それだけではなくて、インターネットでの応募を見て、個人で参加申し込みをした人も十数人いました。そんな私の仲間たちを紹介します。
英語しか話せないアメリカのGIANTで勤務するアンさん。元プロのサイクリストということだけあって、ものすごいスピードで走り抜けていました。
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TAIPEI CYCLE から参加した仲良し4人組。上司から仕事上必要だと、無理矢理参加することになった李聖潔さん(左2)。
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2人とも環島初挑戦の日本人参加者。台中在住の羅祥安(トニー)CEOの日本語の先生の升水美沙子さん(右)と東京在住のジャーナリストの野島剛さん。
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GIANTと取引がある関係の会社「3M」から参加した人たち。
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いつも最後尾だけれども、絶対にあきらめない強い精神力を持つ中国からの参加者•溥さん。
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環島にチャレンジすることを決めた爽やかな王夫妻。
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痛風が発症しても環島を続けている葛望平さん(右)。
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いつも悪ふざけをしている5人組
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最初の数日はいままで会ったこともない人たちだったので、ぎこちなかったのですが、だんだんみんなと仲良くなり始めました。意外だったのは若い人よりも中年以降が多かったこと。中国大陸から参加した26歳の男性が最も若く、残りのほとんどは40代後半以上。中には60歳を超えた人もいて、平均年齢は高め。さらに驚いたのは、普段自転車に乗らない人が半分近くいたことです。
「この間初めて80キロ乗ったら、日焼けして皮がむけちゃって大変だった」
にわか練習で痛い目にあったことを話してくれた人は、私と同じく、このツアーに参加するために、約2ヶ月前に練習をし始めた初心者。聞いて見れば、完走なんて全く自信のない人たちが大勢いたので、安心できました。
もちろん、何年も自転車に乗り続けている本格的な人や、何度か環島をすでに経験済みの人もいました。
年齢も自転車経験も仕事もバラバラな人たちが集まり、環島を目標にひたすらペダルを踏み続ける毎日が続けば、自然と仲間意識が強くなり、いつの間にかチームの気持ちは一つにまとまっていました。
遅れたり、苦しそうなそぶりをみせれば、経験のある者が的確なアドバイスをくれたり、必ず誰かがかけ声を掛けてくれたりと、自然発生的な人と人の触れ合いが随所で起きていました。きれいな風景の前では、お互いに写真を撮り、はしゃぎ合い、まるで学生時代に私がやっていたソフトボール部の合宿のようでした。
仲良くなった仲間たちと
「環島して生まれ変わった気持ちになった。10歳は若返った」
2007年に初めて環島を完走したときの劉金標社長の言葉が思い出されます。その通りだなあ、と。完走を目前にした私も実感しています。
さまざまな顔ぶれの大所帯をまとめてくれるのが、GIANT ADVENTUREのスタッフたち。今回のチームスタッフは6名。驚くほどきめ細かい心遣いと高い技術力を持った縁の下の力持ちが、最初から最後までサポートをしてくれています。
スタッフリーダーの阿哲はみんなの士気を盛り上げつつ、全体をまとめ、場を仕切るスキルが天下一品。後半過労で少し体調を崩してしまっていましたが、最後まで、頑張り通してくれました。
全行程の先陣を切り、安定した走りでみんなを引率し続けた其龍哥は元プロサイクリストということだけあって、ものすごい脚力。結局最後まであまり話せなかった寡黙でシャイな世明は、常に自転車を気にしながら、みんなの大切な荷物を乗せた車の運転をし続けてくれました。
先行隊から外れた人たちをまとめながら、前後を常に行き来していた阿瑋も、気遣いができる素敵な人でした。阿哲さんのようなチームリーダーになることを目指して、危険な場所での写真撮影や道路規制を一生懸命してくれていたのは昱仁。そしてどんなに遅くても、最後の一人といっしょにペダルを踏み続け、全員のゴールを見届けた元体操選手の繼光香香雞。
荷物の運び込み、パンク修理、自転車のメインテナンス、補給食品の買い出し、写真撮影、怪我の応急処置……。走るだけの参加者と違い、スタッフはもっと色々な雑務をこなさなければなりません。ほぼ不眠不休で仕事をしていた6人の姿に、誰もが感動していました。
唯一、ほっと一息つける食事の時間
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イケメンばかりのスタッフ陣
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台北からの出発以外のチームは、それぞれ台中や高雄など他の都市から出発して、再び出発点に戻るという形で、一斉に環島が始まりました。
大規模な環島は毎年の11月に行われる一回ですが、GIANT ADVENTURE ではほぼ毎月一回のスケジュールで、環島ツアーの募集が出されます。一定人数集まれば開催されるものなので、いつか環島してみたい、と思っている方は、このようなツアーに参加するのも良いと思います。(中国語が話せなくても、英語がある程度わかれば大丈夫です)
普段だったら絶対に知り合いにはならない人たちと交流ができるのも、環島ツアーの魅力の一つです。
仲間の一人がやろうと言い出して撮ったいま流行のストップモーション動画。なかなかうまく撮れていると思いませんか?!
私たちは無事花蓮駅から列車に乗り込み、宜蘭の礁渓温泉に到着しました。
ここで列車を使う理由は、断崖絶壁が続く花蓮から宜蘭の蘇澳にかけての一区間は、道路が狭いうえにトラックなどの通行量も多く、自転車で通るにはリスクが大きすぎるからです。ここだけ自転車を鈍行列車に載せます。ところが、ちょうど休日に当たったため、自転車を載せられない快速の自強号に人間だけ乗って、自転車は車に積載しての移動ということなりました。
列車でほっと一息
環島で、様々な物語が生まれ、毎日を楽しく過ごしています。明日はいよいよ最終日。気を抜かないよう、完走できるように頑張りたいと思います。
~☆☆明日、最終日へと続く☆☆~
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2016-11-14