今日のテーマはずばり「上り坂」。環島ルートの最大の難関が待ち受けている日です!!
6日目のスケジュール
こんにちは、一青妙です。
さて、今日のルートを見て、なにかに気がつきませんか!?大きな山と小さな波のような起伏の線が描かれている事に。
今日のテーマはずばり「上り坂」。環島ルートの最大の難関が待ち受けている日です!
11/9(水) 環島6日目:車城(屏東)→知本(台東) 110キロ
Stravaのライド記録もチェック
起伏の激しい図を見るだけで、恐怖感が煽られます
約450メートルの坂道を上り続け、「壽峠」という峠を超えなければ、屏東県から台東県に入れないのです。
結構首が疲れるのでストレッチは重要
|
|
足もきちんとストレッチ
|
「これまでの5日間は、全て今日のための予行練習だと思ってください」
かけ声とともに、スタッフも、いつもより入念な出発前の体操を始めました。今日のゴールは台湾の東海岸にある台東県•知本。東海岸は日が沈むのが早い上に街灯も少なく、危険になるということで、スタッフにも心なしか、緊張感が漂っていました。でも私にとっては、知本はいい温泉地というイメージが強く、とにかく今日を乗り切れば、夜、温泉にゆっくり浸かることができるということを思い浮かべていました。
彩り鮮やかな女性の像が印象的な部落の入口
|
|
可愛らしい男の子が描かれた牡丹小学校の正門
|
一路山道をひたすら登り初めていくと、緑深い山奥に、ぽつりぽつりと先住民の部落の入り口が見えてきます。道を歩いている人の顔つきも少し違ってきました。
現在、台湾政府に認定されている先住民は全部で16部族。わずか台湾の全人口の2%だけれども、彼らこそ、もともと台湾に住んでいた者であり、独特の固有の文化を今でも守り続けながら、生活をしています。
鳥の鳴き声と、葉っぱが重なり合う音だけが聞こえるひっそりとした場所で、どのような暮らしをしているのだろうか……。台湾が多民族国家であることに、改めて気づかされるルートだと思いながら、ひたすら重くなって行くペダルを漕ぎ続けました。
レインボーカラーの階段が印象的な牡丹小学校
さすがに、450メートルの登りは一気に登れず、途中の牡丹小学校で一休み。この時点ですでに両足はパンパンです。みんななだれ込むように横になり、気がつけばたくさんの人がグラウンドに寝転がっていました。
上り坂はひたすら自分との闘い。前を見れば、果てしなく上へ、上へと伸びていく道に心が折れそうになるので、なるべく真下の地面を見つめながら、「1、2、3、4、5……」とペダルを踏み込む数を数えながら、歯を食いしばり続ける。
それでもダメ、と思うと仲間が現れ、「加油!(頑張れ!)」とかけ声が聞こえてくるので、みんなでなんとか最大の難関を乗り越えました。
皆で壽峠を乗り越えた人を迎え入れるときの様子
無事450メートルを登りきりました!
教えてもらったのは、あくまでも軽い感じでペダルを踏み続けるのがロードバイクの乗り方だそうです。いつも踏んだ感じがしないと不安になる私は、かなり重いギアで漕ぐのが癖になっていると注意されました。これでは長時間や上り坂を登りきれないということで、もっとシフトチェンジをうまく使えるように、スタッフからアドバイスをもらいました。
屏東と台東の県境でもある道路起点を示す標識
ちなみに、日本統治時代の1939年、屏東と台東を繋ぐ道「楓港台東道(現•南廻公路)」が完成したとき、最も高い峠が「壽峠」と名付けられ、その名前がいまも残っているのだとか。
峠は超えたけれども、まだまだ上り坂が続く午後。
太ももが一回り太くなったと感じるほど、ペダルをくるくると回し続けましたが、大きなチャレンジを終え、自転車に乗る技術が少し進歩した気がした一日でした。
どこまでも続く坂道
台湾一海岸線が美しいと言われている台東の太麻里にて
11/10(木) 環島7日目 知本(台東)→瑞穂(花蓮) 125キロ
7日目のスケジュール、作成中
この日のストラバは途中記録が止まっていたため、実際の走行距離よりも短い100キロになっています。
毎日のルートを書いてくれているは、スタッフリーダーの阿哲さん。参加者よりずっと疲れているのに、いつも爽やかな笑顔で対応してくれて、人気者です。休憩ではいつも過去の恋愛の失敗談をいろいろ披露してくれて、疲れきった皆を和ませてくれます。
環島も後半戦に突入し、最も大変な昨日を乗り越えた我々を迎えてくれたのは、台東から花蓮まで続く花東縦谷の美しい風景。
池上!伯朗大道!
そして、今日の楽しみは、エバー航空のCMで一躍有名になった台東の池上に行き「金城武の樹」のある伯朗大道を自転車で駆け抜けることです。金城武の樹は2014年の台風の影響で、一度根からなぎ倒され、日本からわざわざ樹木医を招聘して、復活するよう治療を受けていました。その後は手当の甲斐があってか、すくすくと復活したところ、今年台東を襲った2回の大きな台風でまたダメになるかと思われていたそうです。
列を成しての走行はなかなかの迫力
間もなくの収穫を待つたわわな稲穂
皆が注目する金城武の樹の前を、日本から持ち込んだ自分の自転車で走って確認したところ、問題なくとても元気で一安心しました。
金城武の樹のある一帯は、交通規制がかけられ、農家の車以外は車輛通行禁止となっています。そのため、周囲で自転車やバイクをレンタルして、のんびりと景色を楽しんでいる人がパラパラといたくらい。以前来たときは、夏休みの時期ということもあってか、ものすごい観光客でごった返していた記憶があります。一方で、政権が変わり、中国人観光客が大分減っている結果を如実に受けているのかもしれません。
台湾の東海岸は本当に美しい。わざわざハワイにいかなくても、ハワイよりもきれいな景色を見ながら、美味しいものが食べられるのだから、これからは、日本の方ももっとディープな台湾を体感できる東海岸に来てもらいたいと思いました。
北回帰線をまたいだけど、温度差はあるのかしら!?
北回帰線が通る春日派出所
金城武の樹の次に特別だったのは、花蓮県警察局玉里分局の「春日派出所」。
ここの派出所の真ん中を北回帰線が通っているため、それに合わせて線が引かれています。北側は結構寒い日もある亜熱帯、南側は常夏の熱帯となります。屋根にはアミ族のシンボルである太陽のマークが飾られていて、台湾の地理感覚を味わえる人気の派出所です。
なぜ派出所に寄るのか。
環島をする人にとって、東部は細長く、一つ一つの都市の距離があるので、休憩場所を見つけることが困難になってきます。そこで、警察や学校などがタイヤに空気を補充したり、トイレを借りたりする「鐵馬驛站(サイクルステーション)」と呼ばれる休憩場所になっているのです。
ここ玉里分局は台湾の警察関係としての初の「鐵馬驛站」。お茶を出してくれたり、近隣の観光地案内までしてくれたりするという力の入れようで、普段の怖い警察のイメージとは全然違います。
こういった鐵馬驛站はもちろんのこと、今回、各地を回って来ながら、環島1号用に設けられた公衆トイレや、コンビニエンスストアのイートインスペースの椅子の数、ガソリンスタンドのトイレなど、GIANTが行うようなツアーではなく、個人で環島する人にも、周囲のサポート体制がいろいろと整っている台湾のシステムを垣間みることができました。
こうやって各地で全員の集合写真を撮ります
花蓮までたどり着きました。夜は瑞穂の温泉で体を優しく温めました。さあ、いよいよあと残す所2日。明日は宜蘭目指し頑張ります。宜蘭にも温泉があります。東海岸は行く先々に温泉があっていいですね。台湾一周が難しいという方は、東海岸だけをライドする自転車の旅もおすすめします。
体は疲れているけれども、なんだかんだで楽しい環島!
~☆☆明日8日目と続く☆☆~
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2016-11-09