小さくて古くて、そして今でも人々の生活と混在する下町風情を、夜のライトアップの中で楽しもう。ノスタルジーにタイムスリップ。
こんにちは台北ナビです。ナビ、日本にいる時から、町歩きが大好きで、暇があれば、近所の細い道を探検し、オリジナルの発見に喜ぶちょっと変わったタイプなんです。以前台南に住んでいた時も同じで、細い道が雲の巣のように張っているこの台南は、ナビの探検心を大いにくすぐってくれました。
現在は台北に住んでいるナビですが、考え事があるとき、辛いことがあったりした時なんかは、時折台南に帰って、一人の時間を作り、一人であてもなくぶらぶらと歩いているんです。小巷で出会う人々はとても人情が厚く、笑顔がナチュラル。そしてパワーがあって、次第にその温度がナビの心にも流れこんできます。辛いことやかなしいことがあったとき、彼らは知らないうちに私に元気をくれるんですね。それがナビの「迷子&田舎好き」の理由。
今日やってきたのは、台南の最新ストリート、海安路。ここは最近芸術ストリートとして人気を得、夜になると、付近のカフェのネオンがキラキラと輝き、若者の絶好のおしゃべり場所となります。実はこの海安路の地下には大きな地下街があるんです。
台南政府が地下街を作ったものはいいものの、税金の無駄だ!とかの理由で、工事は途中で中断。現在半分穴だけが掘られ、地下道は封鎖されています。そして、その地下道の上は、現在駐車場となり、若者がいつ来てもバイクが停められるというとっても便利な場所になりました。
さて、そんな海安路に「古い上海のような街があって、夜になるとキレイなんだ」なんて話しをチラッと聞いたナビ。台南を離れて一年ちょっと、そんな粋なストリートがあるとは露知らず、友人のバイクに乗せられ、昼間見学に行くことになりました。「とってもロマンチックだけど、昼に行くとまた雰囲気が違うし、写真が撮りやすいでしょ。たらたら歩いてぼーっと思いをはせるにはちょうどいい場所なんだよ」なんて私に話してくれた友人、まるでナビの心境を察知したかのような。
ここだよ、といって到着した道の前には、「北勢街」と書かれた碑が斜めに差されていました。最近つくられたものだと思うけれど、この斜めの差し加減が「古さ」を演出しています。このストリート、現在は「神農街」と呼ばれていて、「北勢街」というのは日本時代の名前なんです。神農街は廟につながる参道で、この参道の奥には、3階建ての大きな「神農廟」がそそり立っています。
300Mぐらいの短い通りなのですが、この地域の人が家の前に燈籠を置くようになってからというもの、夜のライトアップの時間になると、カップルや旅行者などが写真を撮りに来るようになり、地元の人の間ではちょっとした有名通りに変貌を遂げました。確かに台南には300年以上の歴史を持つ通りが数多く存在し、その巷には、もう古びたボロボロの建物が風情よく立ち並んでいます。ちゃんとお金をかけて保存しなければ、どんどん風化して行ってしまう建物達、なんとかしてこの風情を残していってほしいものです。
表札には神農街と書かれています
|
|
がはがれてレンガがむき出しに。下地はレンガなんですねー
|
更に細い道がつながっています。歩いてみよー。
どこに続くの?
壊れかけの長屋。昔1階部分はレンガで、2階部分は木造っていうのが多かったんですって。
この日は梅雨だったのにかかわらず、カンカンの真夏日。昨日までは雨が降っていたという台南も、ナビの散歩日和のためか、今日はお天道様をのぞかせてくれそうです。
なんだか「ドンドン」と騒がしい声がします。ワーワーと叫び声もします。どうやら、なんか廟のお祭りというか儀式をしていたのでしょうか。高校生の男の子たちが、なんだか陽気におしゃべりしています。この
金華府、歩けば廟にぶち当たるという台南の中でも、かなりの歴史を持つ廟。なんと1830年に建てられています(清道光帝)。台南の多くの廟は何度も修繕を繰り返され、ほとんどが原型をとどめていませんが、この廟は原型をかろうじて保っているんですよ。
夜に行ったら門が閉まっていた
|
|
えっお姉ちゃん日本から来たの?ビンロウ食べないぃ~
|
この参道の終わりには神農廟がそびえたっています。この神様は薬の神様で、ありとあらゆる植物を自らが実験台となって口にしたといわれている神様です。この神様が祭られているせいなのか、廟前には薬屋さんやお茶屋さんがありました。どちらも乾物なので一緒に売られていることが多いのですよ。
ガオー
|
|
廟の入口前には、地面に丸くて大きな模様が描かれています。何か意味があるかな?
|
夕方になってきました。太陽が傾いて、ストリートは全体が日陰になっています。でも空は青空。この暑い台南で、いつでも日陰が保証されるのはうれしいことですね。廟についたら、またUターンしてきた道を戻ります。若い人が来ては、自分で写真を撮っています。
小さなアートギャラリーなんかも、最近このストリートにチラホラと顔を出すようになりましたが、もっぱら住んでいるのは一般市民。やっぱりバイクの音が始終聞こえるし、子どもが走りまわる姿も。とっても古い街並みだけど、なんだかそれが新しくて、そしてとっても生活感がある…旧と新が現在進行形で動き続ける通りです。
この壁画ダイナミックです。通行人にとってはお爺さんの顔ばかりがしきりに目に入るのですが、遠目で見ると、なんだか上の方に作業をしている人の絵が書いてあるのが目に入ります。実はこの壁の建物「王永川」という職人の作業場なんです。この「王永川」は専門的に神輿を作る業者で、その完成度の高さで、業界ではとっても有名なんですって。もちろん神輿の他にも、ほかにも様々な廟にかかわる工芸品を手作業で作り続けています。
二日後の夜、友人が近くでお店を開いているので、飲みに行くついでに、ちょっと立ち寄ってみました。昼と夜は全然違うよと聞いてはいましたが、広がる幻想的な世界に、うっとりと。それぞれの家の軒先には、オレンジ色の燈籠がずっと廟まで伸び、まるで夏休みの縁日気分。この道、浴衣やチャイナドレスで歩くのもよさそうですね。
骨董品屋さんを見つけました。台湾の古―い曲が!日本の歌の歌詞のみを変更したりした曲もあります。LPレコードの音!懐かしいですね。
最近イヤなことが続いて、何もかもどうでもよくなりかけていたんですが、一人でこういう古い古い道をぼーっと歩いていると、自分が悩んでいることも、小さく思えてくるものです。まだまだ、観光客も少なく、お店や屋台が出ているわけではないので、本当に歩くだけですが、「歩いて」風情を楽しみたいという人にはそれこそお勧めの場所です。
台北ナビでした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
その他情報
■住所:台南市海安路二段と神農街交差点(海安路二段と民権路三段の交差点付近)
その他情報
住所:台南市海安路二段と神農街交差点(海安路二段と民権路三段の交差点付近)
関連タグ:
台南
,
海安路
,
台湾料理
,
屋台
,
夜市
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2008-07-24