特色ある街並みと擂茶も堪能!
こんにちは、台北ナビです。
台湾リピーターになると、台北ではないどこかへ足を伸ばしてみたいですよね。そんな時にオススメしたいのが「北埔」。高鉄(台湾新幹線)とバスに乗れば、台北から日帰り旅行ができちゃいます。
ここは客家の伝統的な街。決して大きな街ではありませんが、台湾で最も古蹟と歴史的建築の密度が高いことで知られています。今日は、北埔のことならこの人に聞け!と言われる「古武南」さんの案内で北埔を巡ってみました。
ユーモア溢れる説明が魅力的な古さん
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ちょっとした小道が絵になる北埔老街
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「ここは全台湾で最も貴重な古蹟です」と断言した古さん。というのも、台湾にはこの「公館」しかもう残っていないからなんだとか。そういえば、公館という地名は残っていますが、建物は残ってませんもんね。
名前の「金」は吉利、「廣」は客家人、「福」は河洛人(閩南人・福建人)の意味で、客家人と福建人が一緒に土地開発したことが由来になっています。
清朝の支持のもと、客家人と福建人が武装開拓組織を結成し、ここに公館を作ったのです。ここは、元々住んでいた原住民のサイシャット族がここに侵入してこないようにするため、治安を守るためという目的以外にも、銀行や行政事務も行われたのだとか。
国家古蹟に認定されていますが、ほかの古蹟に比べると比較的歴史の浅い1834年に建てられました。特殊な歴史的意義があることが評価されて、国家第一古蹟に認定されたということです。しかし、細かな箇所は現代の気候などに合わせて少しずつ改良されており、元の様子は留められていない点は残念なんだとか。
例えばこの石!もう採掘できないことから、こんな風にまねて作っているんです
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詳しいことはQRコードを読み取ってアクセスできるようになっています
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客家人、福建人などによって、建築様式の呼び方は異なりますが、客家風に言うと「夥房屋」。つまり四合院なのです。また、黒、灰色、赤色の瓦、白い壁、赤煉瓦など、簡素な建材から作られているというのも、客家らしいですね。
北埔を語る時に、真っ先に名前の挙がる「姜一族」。歴史的建築のほとんどがこの一族が開墾したことに起因しており、北埔にとって最も重要な一族だと言われています。「金廣福公館」の客家人というのは、「姜秀鑾」氏のことを指し、この一族の繁栄を作ったともいえます。そんな彼の邸宅だったのがここ「天水堂」なのです。
天水とは現在の甘肅省通渭縣。姜一族はここから台湾へやってきました。現在も姜一族の後代たちが「天水堂」の管理、整理を担っているというから、その経済的余裕が伺えます。そのため、国家の予算や入場料に頼る必要がなく、一般公開もされていません。
天水堂がいつ頃建てられたかは確かではありませんが、金廣福公館を建てたあとではないかと言われています。その規模と美しさに驚きを隠しえない天水堂は、一堂六橫の三合院という造り。特に燕尾のように跳ね上がっていて、入口前の石段の面積が大きい門樓(門屋)は、台湾で最も上品で美しい門樓のひとつだとも称されます。
また、老街にある歴史的建築はほとんどが西を向いています。もちろん「天水堂」もそう。そのため、写真撮影にこだわるなら午後から夜に来たほうがいいのだとか。ちなみに老街で住民達を撮影するなら朝がオススメらしいですよ。
「姜阿新洋樓」
以前撮影した「姜阿新洋樓」。リノベ後はどんな姿になるのでしょうか?
2018年3月末頃まで修復工事が行われている「姜阿新洋樓」。
姜秀鑾の後代である姜阿新氏は茶葉と木材販売で一時代を築きました。海外へも販路を広げ、来賓も迎えられる住居「姜阿新洋樓」を1946年に建築。しかし、1965年に破産し、合作金庫に没収されていました。1990年頃、新光集団の呉東昇董事長が出資し、「姜阿新洋樓」をリノベーション。彼が土地への恩返しをしようと、北埔の客家文化と古跡を守るという目的のために設立した「金廣福文教基金会」が使用していました。
その後、2012年に合作金庫がこの「姜阿新洋樓」をオークションに出しました。その際購入する資格があったのは、1.管理者である新竹縣文化局、2.その当時使用していた呉東昇さん、3.「姜阿新洋樓」の持ち主だった姜阿新さんの子孫のみでした。
新竹縣は資金の余裕がなかったため、呉さんは「元の持ち主に戻ることが一番いい」との考えからオークション参加の権利を放棄し、子孫へ権利をゆずったのです。子孫たちはいつか北埔に戻ってくる!との思いを秘め、台北へ居を移し、日々奮闘。その甲斐あって、買い戻せるチャンスを得たのです。
現在は水漏れとシロアリの問題があるため、再度リノベーションを行っています。リノベ後は記念館にするのではないかと言われていますよ。いつか中を見てみたいですよね。
残念!工事中でした……
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北埔の古跡の数々はこの方によって修築されています
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2016年に修繕工事が完了した「忠恕堂」。ここは北埔が誇る秀才「曾學熙」氏の邸宅です。曾氏は裕福な家庭で育ったわけではありませんでしたが、1875年に彭裕謙と一緒に台南府へ官僚登用試験を受けに行き、無事合格。北埔で初めて誕生した官僚となりました。その時代、官僚になれることはとても誉れが高いこと。その時代はもちろん、今でも北埔の学校では曾學熙の勤勉さ、秀才さを例に挙げているのだとか。
客家の集落は教育に力を入れると聞きますが、それは移住を繰り返し、生活がそれほど裕福でなかった客家人たちが、少しでも生活を豊かにするための手段のひとつでもあるのかな?と思いました。
「忠恕」とは、孔子の弟子ある「曾參(曾子)」が言ったとされる「夫子之道忠恕而已(孔子の道は真心をもって人を思いやるのみ)」という言葉に由来しています。曾一家はこの言葉を家訓とし、後世へ伝え続け、堂名にしたのです。
さて、この「忠恕堂」は「姜阿新洋樓」の権利を放棄した呉氏が購入し修築を施した後、「金廣福文教基金会」をここへ移しました。「姜阿新洋樓」で使用していた家具等もここへ運んできて、展示しています。古蹟を買えるというのも驚きですが、古蹟から古蹟へ引越しできるというのも何だかすごい話ですよね。
このミニチュア版を見れば、どんな風になっているかわかりやすいです!
「忠恕堂」が北埔の中で独特なのは、建物が南向きであるという点です。
家が完成し住み始めた後、長らく子どもを授かれなかったため、風水師に見てもらいました。そうすると、姜氏家廟の燕尾脊(廟の屋根の上にある跳ね上がった部分)が門の方角に向いてあるので、災いをもたらしているというのです。
そのため、門方角を南西に移し、門樓の屋根の軸線を秀巒山の山頂の方へ、そして、洋式の壁を作り、災いをもたらすものから家を守りました。だから、門から入るとまず壁出てくるという、特殊な造りができたのですね。
建物は伝統的な「三合院(雙堂屋)」。
室内の色はかなりおとなしい色ですが、ビクトリア調のタイルがあり、色鮮やかなのも珍しいです。
縁起のいいものが多く描かれていて、それを探すのもワクワクします♪
「佛手」→多福
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「金瓜」→多金
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縁起のいいものを見つけると、自分の運まで良くなりそうで、何だか嬉しくなりますね~♪ |
ここでナビが最も気になったのは壁の上にあったもの。欄間でこんな柄を見たような……。よ~く見ると、「花瓦」というオレンジの薄い瓦を組み合わせて作られていました。余った瓦を使っていて経済的なのに、クリエイティブですよね~。
1835年に建立された廟「慈天宮」。台灣三級古蹟に認定され、文化資産となっています。幾度も修築され今に至りますが、1874年に廊下を2つ、そして前殿を増築し、「兩殿兩廊橫屋」という造りへと大建築した様式を現在もとっています。
客家人がまつる代表的な神様は「三山國王」だと言われています。しかし、ここは客家人だけでなく、福建人なども住んでいたため、「媽祖」などもおり、「觀音菩薩」が主神としてまつられています。ありとあらゆる神様がいると言われているそうですよ。
ナビ一行がこの廟へ到達した時には、ガイドの予定時間はとっくに過ぎていたため、とっても簡単な説明で終わってしまったんです。涙
しかし、地元のベテラン記者曰く、「ここは柱など、廟建築がすばらしいので、注意深く見るべき!時間が足りなかったのは本当に残念!」とのことだったので、ナビ、廟の中へ入り、パチパチ写真を撮ってみました。
詳しい説明はできませんが、写真から、廟の精巧さなどを感じ取ってもらえればと思います。
ナビにとって台湾の廟は色鮮やかなイメージでしたが、ここは石造りの重厚な雰囲気が広がっていて、厳かな気持ちになりました。
また、廟の中はお香の煙で黒くなっていて、北埔の方々の信心深さを感じられます。
天井が真っ黒になっています!
シンプルな色使いの廟に真っ赤な鐵窗花の柵がキュート!
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磨石子の床
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門に描かれる絵も必見!
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作者やいつ描かれたかは絵のどこかに書かれていることが多いですよ!
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水井茶堂
この道を進みます
天水堂の脇道を進んだところに位置する「水井茶堂」。ここで擂茶体験ができるのです。北埔には擂茶体験のできるお店はほかにもありますが、ここまで雰囲気溢れる場所はそうありません!
お店の詳細はナビの紹介ページを見ていただくとして、ナビも早速擂茶体験してみました~♪
※写真撮影のみの参観はできません。必ず店内での消費が必要です。擂茶以外のメニューもありますよ!(ミニマムチャージ100元/人)
★擂茶体験は予約なしでも出来ますが、特に休日は予約した方が無難です。
擂茶を注文すると、すり鉢に白胡麻、黒胡麻、かぼちゃの種、ピーナッツ、茶葉が入れられてきます。それらをすり棒で油が出てくるまでひたすら擂ります。なるほど!「擂茶」たる所以ですね。
しかし、言うは易く行うは難し。すれども擂れども一向に油が出ません……。用意されたすり棒が長く太すぎるのが、こんなにも苦戦する理由かな?と思ったナビですが、そういえば、ほかのお店で擂茶体験した時のすり棒もこんなだったなぁ……。
と、あることに気づきました。擂るのが上手な人はすり棒の上を押さえ、もう片方の手はすり棒の下の方を持ってくるくると回していました。きっとこれが擂るコツ!ナビも真似してやってみると、「さすが日本人。日頃料理しているから、すり棒の使い方も上手ね!」と褒められちゃいました~♪上手なひとを真似しただけなのに、何だか申し訳なかったな。
ナビの活躍(?)もあって、どのテーブルよりも先にペースト状になったナビのテーブル。ここへお湯を入れてもらいポン菓子と緑豆を浮かべたら完成!手がぶるぶるになるほど頑張って作ったお茶は、格別においしい♪そして、1杯飲むだけでお腹がい~っぱい!
擂茶の完成♪
オリジナルの茶器がかわいい!
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健康に良さそうだけれど、カロリーが気になるのはナビだけ?
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今回は、メディアツアーの一環で訪れた北埔。時間が限られた中だったので、古蹟をすべて回れなかったのが残念でした。
北埔では不定期にガイドツアーが開催されていますので、次回はそれに参加してもっとじっくりと北埔の町を感じてみたいなと思いました。
以上、北埔の街並みを見ていたら、なぜか客家のピーナッツ餅を食べたくなってきたナビがお届けしました。