魯凱(ルカイ)族の住む地、秘境・霧台を訪問。静かな自然、豊かな原住民文化に触れてきました。
こんにちは、台湾の自然大好き‐木村明惠です。
台湾には16民族もの原住民(政府認定数)がいて、それぞれ独自の文化を持っています。ほとんど単一民族である日本人からみると、何か神秘的な不思議な気持ちでその多様性に惹かれます。今回、台湾南部の高雄をベースに屏東県の山奥の霧台に行ってきました。
霧台は、少し前まで入山許可が無いと入れない秘境でしたが、現在は、申請書に記入すれば入山できるようになりました。秘境!この言葉だけでもワクワクしませんか?
7名の仲間と秘境にGo!
高雄に宿を取り、日帰りで霧台に行きました。出発は台鉄「高雄」駅から。その後台鉄「屏東」駅へ行き、そこから出る屏東客運バスの霧台行きは片道1日に3便しかありません。7:45発のバスに乗るため、早起きして出発です。
高雄―屏東間は自強号(特急)で21分。 台鉄「屏東」駅北口から通りに出て、向かいの左側に屏東客運バスターミナルがあります。セブンイレブンの隣です。
バスに乗り、三地門経由で霧台へ
ほぼ時間とおりにバスは来ました。中型のバスです。高雄の地下鉄で使うプリペイドカード・iPASSが使えるので便利(悠遊カードも可)。乗る時と降りる時にカードをタッチします。
しばらくは街中を走ります。50分ほどで三地門エリアの水門に到着。大きなバスターミナルです。ここで5分ほどトイレ休憩がありました。
三地門の水門バスターミナル
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トイレ休憩でいったん下車
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広い河川敷です
水門を過ぎ、大きな橋を渡ると急に山道に入ります。少し上った所が三地郷公所。道の途中に公園やレストランなどが見えました。バスはどんどん山道を登っていきます。
霧台に行きたい人は、あらかじめ運転手さんに霧台に行く旨を伝えておいたほうがいいでしょう。バスの中で名簿用紙が回されました。ここに住所、氏名、パスポート番号などを記入し、入山許可申請をします。バスは山を登りはじめてからしばらくして三徳檢査所に着きました(入山ゲート)。運転手さんが名簿を提出するため、バスはいったん停車しましたが乗客は降りずにバスの中で待ちます。10分くらいで、まもなく出発しました。
山はますます深くなってきました。道のはるか下に大きな川が流れる河川敷が見えます。途中、「谷川」という集落が橋の下に見えました。
しかし、こんな深い山中、どこまで登っていくのでしょうか。
深山幽谷の雰囲気です
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川からかなり高い場所を走りました
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終点「霧台」停留所に到着しました!
屏東から約1時間半、終点「霧台」に到着しました。
ほぼ山頂に近いのではないでしょうか。バス停留所の近くには、壁面を大きく飾るダンスの絵!とてもきれいです。
周囲にはお土産物屋さんやレストランが数件あります。この辺りが人家、霧台國小、教会などが集まっている集落です。しばらく散策することにします。
魯凱(ルカイ)文化廣場・魯凱(ルカイ)文物館・霧台國小に行きました
この階段を上ります
ダンスの絵が描かれている壁の横に階段があり、そこから登ると広場に出ます。ここが魯凱(ルカイ)文化廣場。山が良く見えます。
奥には魯凱(ルカイ)文物館と霧台國小があります。いずれも建物に美しい壁画や装飾が施されています。
ルカイ文化廣場にある集会場(閉まっていました)
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ルカイ文物館を側面から見ています
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魯凱文物館は、内部の展示品もさることながら、建物そのものがルカイの人々の美意識を表現していて、ほかでは見たことがない雰囲気の建物です。
魯凱文物館に入ってみました。主な展示品は2階にあります。
ルカイの人々の衣装や道具などが展示されています。
部屋の外には、ルカイ族伝統の石造りの住居が展示され、中に入ることもできます。
霧台國小をちょっと見学
校舎の壁にもルカイ族のシンボルの百合の絵が描かれていました
魯凱(ルカイ)文物館を出て隣の霧台國小も少し見学させていただきました。日本と同じ学校の鐘の音が聞こえました。校舎の壁面はルカイのシンボル・百合の絵が描かれています。広々とした校舎です。
霧台集落周辺
ジグザグとした山道に沿って建物が建てられており、その間に民家の細い路地が広がっています。個人の家もとても個性的です。
神山集落に向かいます。楽しい下り道です。
霧台を見学し終え、次は来た道の手前にある神山集落に戻ります。下り坂で歩いて20~30分くらいで行けます。お天気も曇りから晴れに回復し、清々しい山の空気を吸いながら歩きます。
地元の人が道端の斜面を降りて農作業をしていました。
何を栽培しているのかと、道路近くにある放置されて木をよく見るとコーヒーの実がなっています。霧台近くにある徳文という地域が台湾ではじめてコーヒーを栽培した場所だそうです。写真ではうまくコーヒー豆を写せなかったのですが、皆で豆がなっていることを確認しました。次の機会には是非コーヒーを飲んでみたいですね。
クリスマスの時期でした。
歩いている道すがら、少し家が固まっている集落のあちこちにクリスマスの飾りが置かれています。私たちが行った日は12月23日のクリスマス直前。普段は見られない景色を見ることができました。原住民の方々はキリスト教徒が多いそうです。
民家のオブジェ
とある家の屋根の上には人のオブジェ。往きのバスからも見えていましたが、意表をつくものです。山を背にして表情豊かに屋根の上に座っています。
霧台郷公所で少し休憩
神山集落の手前にある警察や行政施設がある霧台郷公所まで来ました。広い敷地に、矢を射る人、民族衣装の人などの像が建っています。
耶蘇聖心堂
霧台郷公所から少し下ったところにステキな教会がありました。耶蘇聖心堂です。入口にクリスマスツリーが飾られ、裏にはイエスの誕生の日を再現した飾りが置かれ、地域の人々が集う準備ができていました。
隣には大きな鐘のあるオープンな集会場もあり、独特な雰囲気です。
この辺りの道に沿って延々と蛇の模様が描かれた壺が並んでいました。百合・蛇・壺が重要なモチーフとして使われていることがわかります。
神山集落に着きました
まもなく商店などがある、にぎやかな場所に着きます
耶蘇聖心堂から程なくして神山集落に着きました。ここで、帰りのバスに乗ります。周辺は霧台集落と同じく、学校、商店、宿などが道路に沿って並んでいます。
ここでも、個性的な家の壁の装飾や木のオブジェの装飾が見られました。
神山愛玉
帰りのバスの時間は11:40頃。まだ時間があるのでバス停近くにある「神山愛玉」で休憩しました。今回参加した人々はほとんど愛玉を食べたことがありません。山の産物なのに、寒天ゼリーのような食感です。甘いシロップとつるりとした愛玉。たいへん好評でした。
愛玉は1階で作って販売しており、1階のテーブル席でも食べられますが、できれば、是非2階の半オープンテラスで食べてみてくださいね。目の前に広がる霧台の風景を見ながら食べる愛玉はおいしいですよ~。疲れも吹き飛びます。
バス停向かいにパン屋さんを発見。ハーブの入ったパンを作っていました。店の前には摘んできたハーブが。バスの時間が気になって買うことをためらったのですが、買っておけばよかったと後で後悔。
さようなら、霧台
まもなく、バスがやってきます。地元の老夫人が、上手な日本語で「またいらっしゃい。」と言ってくれました。静かな深い山里。自らの文化を保ちつつ生きる人々。時にはこうした場所に足を運び、普段の台湾とは違う台湾を味わってはいかがでしょうか。
以上、ライター木村明惠と7人の仲間の霧台旅でした。
(取材日:2016年12月23日)
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2017-02-02