台湾の第2高峰(3886m)『雪山』に自力登山を計画!11月は台風もなく台湾登山の好適季節。期待を裏切らないすばらしいお天気に恵まれました♪
雪山東峰より雪山主峰をのぞむ
こんにちは、台北ナビです。
台湾は、日本の九州ほどの面積ながら3000m級の山が268座もある山岳大国。最高峰は日本統治時代に新高山と呼ばれた玉山(3,952m)。その次に高い山は、日本統治時代名「次高山」または「シルビア山」の雪山(3,886m)です。両方とも富士山より高い山だって知っていましたか?!
台湾の都市でグルメやお寺探訪も楽しいですが、山もすごい!今回は自力登山に挑戦です!
台湾自力登山
雪山登山口管制哨
当初は現地ツアーを使う予定でしたが、人数が足りないとのことで予定日にはツアーは催行できないと連絡が。そこで自力登山を実行することにしました。
台湾の山に登るためには、國家公園に属する山の場合、事前に「入園許可証」と「入山許可証」を入手する必要があります。「入園許可証」は国家公園用、「入山許可証」は警察用です。両方必要ですのでご注意ください。
申請その他詳しいことは、下記記事をご覧ください。
台北から宜蘭、そして武陵農場まで
武陵農場 バス停留所付近
雪山は、台湾の北部に位置する雪霸国家公園の中にあります。
ナビ一行は、台北から宜蘭までバスで行き宜蘭で1泊。翌日、路線バスで登山口にもっとも近い武陵農場で下車、登山口まで向かいました。
さらっと路線バスと言いましたが、この路線、宜蘭-梨山間を1日往復2便だけ走るすごい山岳バスです。武陵農場まで3時間弱、蘭陽渓に沿って右に左にくねくねと遡っていきます。ときには対向車が通れないほどの狭い箇所もあって大変な道。それなのに運賃は片道303元。台湾のバスは本当に安い!
途中、南山という集落で1回トイレ休憩があります。コンビニや野菜などを売るお店が数店集まっていて、おいしい肉まん、粽、お茶や薬草で煮込んだ卵などおいしい食べ物を買いました。粽は今晩の夕食にしましょう。
入場料金支払所
朝、バスに乗り込んだときは、曇で、途中霧に覆われている時間もあって先が思いやられましたが、武陵農場近くになるとすっきりとした晴れに。一安心!
武陵農場
武陵農場の入口少し手前に入園料を支払う建物があり、バスも停車。武陵に入る人はバスを降りて、皆並んで料金を払います。もちろんナビも!
バスはさらに5分くらい進み武陵農場の停留所に到着。この周辺にはホテル、ビジターセンター、売店などが並んでいます。
武陵農場入場料金表
|
|
農場内地図 左側の農場中心部から右側の山の方向に歩きます
|
10:40身支度を整えて出発!
ツアーの場合は、武陵農場から登山口まで車で行けますが、今回は自力登山。普段からタクシーのお姿は見えないので、ここから登山口まで歩かなくてはなりません。登山口までは約2~3時間かかります!ザックの中は寝袋、食料、水など、お、重い……。頑張ろうね~と友人に語りかけながら、自分を励ますナビ。
武陵農場は一大リゾート地です。日本でいえば上高地でしょうか。
|
|
歩きはじめます
|
説明板 その後ろには…おお!雪山主峰が見えるよ
観光客の皆さまも写真を撮っています
歩き始めて10分くらいの場所に橋がかかり、雪山を遠望できるスポットがありました。雪山はここです、という説明板があります。しかし、やはり登山口は遠い……。
歩き始めて40分くらいの地点で、突然、一台の車が私たちの隣に止まってくれました。
台湾の内田裕也さん
「どこに行くの?」「雪山登山口まで」「乗って行きなよ」と思いもかけないお誘い。乗せてくれたのは、長い白髪に登山帽の内田裕也さんそっくりの台湾紳士と奥様。これから登りがきつくなる道だったので本当にありがたかった。
登山口まで約20分乗せていただき、本当に感謝。「ありがとうございます」と言うと、「よろしくロックンロール!」(とは言わなかったけど笑)カッコいいお二人でした。
雪山登山口管制哨
駐車場横から見た雪山登山口管制哨
11:45雪山登山口管制哨(2,300m)に到着。
ここで入園許可証と入山許可証のコピーを2部提出します。問題なければ入園許可のスタンプを押してもらい、本当の山歩きが始まります。1部は返却され、下山時に雪山登山口管制哨に提出します。
観光客の皆さまも建物前にデッキで周囲の山々を堪能していました。真正面に見えるのは南湖大山(3,742m)。日本ではあまり知られていませんが、台湾ではとても人気の素晴らしい山だそうです。いつか行ってみたいな~。
建物入口
|
|
デッキからの眺め はるか向こうには南湖大山
|
今回の行程を見てみましょう!
登山口に設置されていた地図(黄色はナビ加筆)
登山口管制哨建物の前には地図が設置されています。この地図を使って今回の行程を説明します。
【1日目】登山口から約2㎞1時間半かけて歩き、七カ山荘で宿泊
【2日目】早朝七カ山荘発―雪山東峰―三六九山荘―黒森林―雪山主峰登頂後、来た道を七カ山荘まで戻る。往復約17㎞。12~14時間の行程です。
【3日目】朝、七カ山荘発―雪山登山口―武陵農場 バスで宜蘭に戻る
絵になる登山口管制哨建物横の貯水場
歩き始めます
登山口管制哨のチェックを終え、昼食をすませて12:45いよいよ登山口から歩き始めました。今日は登山口から2㎞にある七卡(シチカ)山荘(2,463m)まで1時間半の登山。高低差163mです。
七卡(シチカ)山荘
七卡(シチカ)山荘 正面
14:25七卡(シチカ)山荘に到着
雪山主要登山道には2つの山小屋があります。
標高2463mにあるシチカ山荘と標高3100mにある三六九山荘です。いずれも日本の山小屋と違い、食事や寝具は提供していません。避難小屋のようでもありますが、水場とトイレは設置されていますし、寝床はクッションが貼ってあるので寝苦しいこともありません。国家公園なので料金は無料。
今回はシチカ山荘に2泊します。登山行程として楽な方法は、1泊目がシチカ山荘、2泊目が三六九山荘に宿泊し、高度を上げて主峰までの距離を稼いだほうが良いのですが、寝袋食料等の荷物を運ぶのがつらいので、三六九山荘泊はあきらめました。
お茶のひと時 パイナップルケーキ、山中だとよけいおいしい
寝るまでに時間があったので、山荘前のテーブルでお茶しました。持参のパイナップルケーキや中華菓子がおいしい~!
夕食は途中で買った粽や缶詰など。山では食事はカロリー補給と割り切っています。
18:00過ぎには早々就寝体制に。お休みなさ~い……Zzzz。
第2日目
炊事場で朝食用意する他の登山者
今日はハードな日程です。登山口から2㎞のシチカ山荘を出発し、三六九山荘を経て雪山主峰に登り、シチカ山荘まで戻る約17㎞の行程です。
朝
3:00起床。
4:15出発
暗い中、ヘッドランプをつけて登ります。最初からすぐに急なつづら折りの道が続きます。空を見上げると満点の星。流れ星も見えました。4人だけのグループなので、星座の話などしながら休み休み登りました。今日は良いお天気になる予感……♪
しばらく登り、6:05哭坡(泣坂)と呼ばれる坂の下にある展望台まで着きました。かなり明るくなってきて、雲海の向こうに中央尖山が見えました。たくさんの人が展望台でご来光を待っています。雪山でよく見かけるきれいな鳥・金翼白眉も登山者をお出迎え。
ナビ一行は、哭坡坂を上る途中でご来光を激写!!
のぼりの最中にパチリ!
20分かけて急な哭坡を登り切ると、かなり視界が開けてきます。尾根に近づいているのがわかります。標高3,100mくらいの場所でやっと高い木の数が減ってきました。
登山口から雪山頂上まで10.9㎞ですが、100mおきに登山口からの距離をしめす標識があって励まされます。
黄色い実をたくさんつけた木がたくさん生えていました。すでに3,000m超えているのに!
雪山東峰のぼったど~~!
7:17雪山東峰(3,201m)登頂!
360度視界が開けています。南に遠く玉山も見えます もちろん、これから登る雪山主峰も!
南側 玉山も遠くに見えます
雪山東峰から三六九山荘~ナビここでリタイア!
笹原のむこうに三六九山荘が見えてきました
雪山東峰からはやや下り坂の多い道です。
3000mを超える高さというのに笹や木など緑が多い、日本とは異なる風景を楽しんでいましたが……空気が薄いせいか、ダルイな、いつもより苦しいな……と思いつつ、
8:25三六九山荘にやっと到着。
三六九山荘前
実は、前日は興奮してよく眠れなかったナビ。以前に1回、雪山に登頂したのですが、今回はもう先には進むのは無理かと……。トホホ(涙)
三六九山荘の管理人さんも「あなたの顔ではもうこの先は行かないほうが良いですね」と……。しばらく三六九山荘で休ませてもらい、来た道5㎞をゆっくり帰りました。無念……。
帰路 雪山東峰を少し過ぎたあたりで振り返って見た尾根
グループのほかのメンバーは登頂を果たす
ここからはナビ以外の3人のメンバー行程です。
9:00三六九山荘発
しばらく低い笹竹の斜面をジグザクに登ります。その後、うっそうとした黒森林に入りました。冷杉の群生している場所です。黒森林を抜けるのには2時間半ほどかかりました。
三六九山荘を後にして黒森林に向かいます
|
|
冷杉が生い茂る黒森林
|
カールに出ました
黒森林をやっと抜けると、広大な圏谷(カール)の展望が開けます。左上方向に雪山主峰があります。登山口から10.4㎞ポイントが標高3,755m。ここで岩間から武陵農場が遠望できました。圏谷外周は岩壁です。
13:30雪山主峰(3,886m)登頂!
薄い空気のせいか、ゆっくりしか登れず時間はかかりましたが、登頂しました!お天気は最高!気分も最高!360度の展望を満喫しました。
やった~。登頂したよ!
帰途シチカ山荘までも時間がかかったが、夜ハイクも楽しかった
ともかく酸素が薄いせいか、下り道も辛い。ゆっくり休みながら帰路につきました。
辺りはどんどん暗くなります。早朝出発するときに装着したヘッドランプを再装着し、道を進みます。道は整備され、危険な場所はないので暗くても心配なく歩けます。「もう時間は気にするのはよそう、夜ハイクも楽しいよ」と皆で励まし合いながら歩きました。100mおきの道標も励みになりました。標識にこんなに感謝したのは初めてかも……。
20:08シチカ山荘到着。お疲れ~……。
雪山自力登山のオススメ
要所要所に標識が設置されています
旅行社の力を借りず、すべて自分たちで設定し登頂できたことは本当に良い経験でした。日本とは異なるルールはありますが、事前申請さえクリアできれば、天候や体のコンディションの問題だけになります。
特に玉山や雪山は道や標識がきちんと整備されているので、夜間ハイクも問題なくできます。雪山には危険な岩場はありません。日本の北アルプスなどを登っている方なら十分歩ける山です。
雪山東峰全員集合
問題は高度。青々とした草が茂っていても3000mを超えているので、今回のナビのように高山病的症状がでることは頭に入れておいたほうがよいでしょう。体調管理には十分注意してくださいね。
仲間だけの台湾高山登山。皆でワイワイ話しながら、日本とは違う山の雰囲気を堪能しました。
以上、台北ナビ(木村明惠)でした。
(取材日:2019年11月29日~12月1日)
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2020-01-21