台湾プロ野球最新レポート

WBC効果で人気復活!新チーム義大ライノズ上半季優勝!MRTでアクセス可能な新荘棒球場のゲームに行ってきました!

こんにちは、台北ナビです。
日頃から台湾を愛するみなさんは、今年(2013年)3月に行われたワールドベースボールクラシックにくぎ付けだったはず!日台戦では両国の絆がさらに深まったと感じて、嬉しくなりましたよね?ほかならぬナビもその一人。
切っても切れない日本と台湾の野球。来年2014年には、日本統治時代に甲子園で準優勝した台湾の高校を題材にした映画「KANO」の公開も控えています。「海角七号」を撮った魏徳聖監督の日台三部作完結編ともいわれる注目作です。
というわけで、“野球”というスポーツが日台を結ぶ大きなキーワードだと考えるナビは、台湾プロ野球の現状をお伝えしたく、今日は新荘の野球場へとやってきました!

簡単に現状をおさらいしましょう!

ここ10数年、台湾プロ野球は非常に寂しい状況でした。相次ぐ八百長疑惑や連盟の合併などゴタゴタが続き、2009年からは参加チームも4球団に縮小、観客動員数は減る一方でした。そんな状況に危機感を感じたのか、2010年には馬英九総統自ら始球式に登場。北京オリンピック予選を開催するなど国際大会の招致も積極的に行うように。しかしそうした国を挙げての人気回復策もむなしく、国民の心を取り戻すことができずにいたのです。
状況が一変したのは2013年。WBC予選を勝ち抜き世界8強入りしたことで、台湾の人たちの野球を見る目がガラリと変わりました。歴史的瞬間に誰もが酔いしれ、台湾ナインは一躍国民的ヒーローに。さらに3月8日の日本戦で延長10回を戦い抜き、3連覇を目指す日本と接戦を繰り広げたことで熱狂はピークに達しました。この熱はリーグ戦まで保たれ、野球人気が見事に復活!野球の汚名はやはり野球で晴らすしかなかったんですね。
これが2012年のオープニングゲーム前の様子

これが2012年のオープニングゲーム前の様子

こちらが2013年。人数も熱気もアップしてますよね!?

こちらが2013年。人数も熱気もアップしてますよね!?

日本人選手も多く所属した興農ブルズが新チーム「義大ライノズ」に

ライノズ(犀牛)とはサイのこと。すでにマスコットも人気者です

ライノズ(犀牛)とはサイのこと。すでにマスコットも人気者です

2013年のシーズンは3月23日にスタート。統一ライオンズ、兄弟エレファンツ、ラミーゴモンキースに加え、新たに発足した義大ライノズの4チームでの戦いが始まりました。新球団ライノズの前身は興農ブルズ。リーグ発足直後の1993年に俊国ベアーズとして始動し、1996年後半に興農ブルズとなってから上半季優勝経験もある老舗チームです。過去には高津臣吾さん(元ヤクルトスワローズ)や、正田樹選手(ヤクルト)なども所属し日本とも縁の深いチーム。そのライノズは開幕前、メジャーリーグでトップクラスの実績を持つスラッガー、マニー・ラミレスを補強し、大きな話題となりました。

野球ファンが球場に戻ってきた!!

上半季の試合は大盛況!売り切れで入れなかったことも

上半季の試合は大盛況!売り切れで入れなかったことも

ナビは開幕翌日の3月24日に統一ライオンズ対兄弟エレファンツの試合を見に行ったのですが、その時も立ち見が出るほどの満員御礼!さらに6月9日の兄弟エレファンツ対義大ライノズの試合は、当日券もすべて売り切れで球場に入ることができなかったんです!数年前は、週末に行っても、首位争いのカードに行っても、いつでも当日券で入れたのに…!
親子で仲良く観戦

親子で仲良く観戦

今回取材に行ったのは、平日の18時半プレイボールの義大ライノズ対ラミーゴモンキーズの試合。下半季シーズンに入ったばかりでした。台湾プロ野球は上半季と下半季に分けて戦い、秋に上半季と下半季の優勝チームが「台湾シリーズ」で台湾一を決めます。上半季はライノズがブルズ時代から数えて3年ぶりの優勝。しかし立役者であるラミレスが上半季終了後、家庭の事情を理由にアメリカに戻ってしまったところでした。
試合開始2時間前だというのに球場前には熱心なライノズファンがたくさん集まっています。内野席の入口で先頭をキープしていたファミリーを直撃すると、お母さんが答えてくれました。「私はベアーズのころからのファン。この子が小さい時はよく球場に連れて来ていたの。リーグの問題がいろいろあって最近は野球から遠ざかっていたんだけど、この子がWBCを見て野球ファンになってね。それで今シーズンは家族みんなでよく球場に来ているの」。この話を聞いて、野球ファンは本当に戻ってきたんだ!と確信したナビでした。

MRT新荘線の開通で、球場へのアクセスは超便利に


MRT新荘駅出口1が最寄です MRT新荘駅出口1が最寄です

MRT新荘駅出口1が最寄です

試合が行われた新荘棒球場は、台北地区では天母棒球場と並ぶ大きさと設備を誇る野球場。当時の台北県(新北市)が2階席を増設し、芝生だった外野席も整備したことから、プロ野球使用にも耐えうる球場へと生まれ変わりました。2012年にMRTの新荘線が開通してからは、MRTでアクセスできる便利な球場になっています。
MRT新荘駅からも徒歩圏内。球場周辺一帯は体育館やスポーツセンターなども併設された公園になっており、駅から一番近い体育館までは歩いて10分ほど。そこからは公園の敷地内を歩くので全部で15分強かかりますが、途中で池があったり、のんびりした空気が漂います。緑も多く気持ちがいい場所なので、早めに来て散策するのもおすすめ。
慣れない土地でキョロキョロしながら歩いているうちに野球場に到着。ヤシの木が生い茂るまさしく南国!な入口が台湾らしくてテンションが上がります。会場内外で日差しの強い場所が多いので、真夏は暑さ対策をお忘れなく!
体育館まで徒歩10分弱

体育館まで徒歩10分弱

スポーツセンターなどいろいろな施設がある運動公園内にあります

スポーツセンターなどいろいろな施設がある運動公園内にあります

公園の中には湖もあって気持ちいい!

公園の中には湖もあって気持ちいい!

公園の周りには屋台も出ています

公園の周りには屋台も出ています

新荘球場の入り口。ヤシの木が南国っぽい!!

新荘球場の入り口。ヤシの木が南国っぽい!!

時々噴き出すミストや給水機!台湾ならではの屋台も魅力

案内板もいたってシンプル

案内板もいたってシンプル

数分に1回ミストが噴き出します

数分に1回ミストが噴き出します

電光掲示板や外野席など、プロ仕様になっている新荘球場ですが、日本の球場に通いなれているナビの目にはとてもローカルな場所に映ります。天母棒球場は高級住宅地という土地柄もあって若干洗練された印象ですが、新荘球場はいい意味で古き良き野球場の雰囲気が存分に楽しめる球場です。商業化されすぎていない案内板や、時々天井から噴き出す暑さ除けのミスト、低めのフェンスなどもノスタルジック。そして台湾では日が沈んだ後もほとんど気温が下がらないので、文字通り熱気むんむんの中盛り上がることができます。
内野の端でもグラウンドが近いな~と思って見ていたら…

内野の端でもグラウンドが近いな~と思って見ていたら…

練習中の選手がこんなサービス!

練習中の選手がこんなサービス!

台湾の球場には必ずある給水機。ここで水筒にお水を入れている人をよく見かけます

台湾の球場には必ずある給水機。ここで水筒にお水を入れている人をよく見かけます

暑さ、湿気、野球と来たらナビが思い浮かべるのはただ一つ、よく冷えたビールなのですが、台湾ではいくら探してもビール販売の売り子が見つかりません。球場内にはもちろん飲食店の屋台が出ていますが、売っているのはソフトドリンクや水だけ。この点だけは実に残念なのですが、残念がっているのはナビだけらしく、観客のみなさんはノンアルコールで真夏の野球を満喫しているようです。台湾の野球場には必ず給水機が置いてあるのですが、ここで自前の水筒に水を入れて飲んでいる人もいました。
ビールの売り子さん?と思って近づいたら、雞排(フライドチキン)の販売!!

ビールの売り子さん?と思って近づいたら、雞排(フライドチキン)の販売!!

ソフトドリンクしかありません

ソフトドリンクしかありません

ホットドッグ100元

ホットドッグ100元

食べ物は花子丸(イカ団子揚げ)の屋台など台湾ならではのものもありますが、この日はチキンとポテト、ホットドッグなどアメリカンスタイルのファーストフードが目立ちました。ナビも球場らしいホットドッグ(100元)を試食。粗引きソーセージは食べ応えがあっておいしかったです。こちらの屋台は普段、饒河街夜市に出店しているそうですよ。
ホットドッグの屋台は目立つのですぐ見つかります

ホットドッグの屋台は目立つのですぐ見つかります

ポップコーンも1箱100元

ポップコーンも1箱100元

かわいいワゴンカーでチュロスやドリンクを販売

かわいいワゴンカーでチュロスやドリンクを販売

台湾らしいイカ団子の屋台もあります

台湾らしいイカ団子の屋台もあります

アイルランド風ポテトの店も

アイルランド風ポテトの店も

グッズ売り場も盛況!

ラミーゴのメガホンは1セット80元

ラミーゴのメガホンは1セット80元

このように名鑑号を販売しているのは開幕戦だけなんです

このように名鑑号を販売しているのは開幕戦だけなんです

各会場では応援グッズも販売中。台湾ではプロ野球グッズを常時販売しているお店がなかなか見つからないので、球場の売り場は大盛況です。ただし、選手名鑑やプロ野球カードなど、球界全体を見渡せるグッズが少ないのが玉にキズ。選手名鑑は「中華職業棒球」の春号がそれを兼ねているので、開幕前後の一時期を過ぎると球場で買うこともできず、非常に入手困難なんです。
ナビは開幕戦で入手済みですが、いかんせん雑誌サイズなので持ち運びに不便。日本のようにコンパクトな文庫サイズの名鑑があれば、もっと気軽に楽しめるのにな~と思います。
新球団ライノズのグッズもいろいろありました 新球団ライノズのグッズもいろいろありました 新球団ライノズのグッズもいろいろありました

新球団ライノズのグッズもいろいろありました

試合も見応え十分です!

外国人選手の登録名も興味深いです。「希克」はSisco(シスコ)

外国人選手の登録名も興味深いです。「希克」はSisco(シスコ)

試合はウィンブルドンの女子ダブルスで優勝したばかりのテニスプレーヤー・謝淑薇さんがテニスラケットを使って始球式を行うというセレモニーの後、ほぼ定刻通りにスタート。ピッチャーは両チームともに外国人投手でした。試合は中盤まで投手戦で、なかなか見応えが。5回まで両チーム手堅い1点のみでしたが、6回表、モンキース林泓育の2ランを皮きりに両チームヒットを重ね、7回には3-3の同点に。ここでライノズが相手のミスにも助けられ1点を追加すると、目下三冠王の林益全がこの日もきっちり仕事をし、センター前ヒットで2点追加。そのままライノズがリードを守り、6-3で勝利しました。熱投あり、ホームランあり、逆転劇ありの盛りだくさんな内容で、試合終了は10時近くなりましたが、途中で帰るお客さんもほとんどいない好ゲームとなりました。
三冠王の林益全がこの日もタイムリーを放ちました

三冠王の林益全がこの日もタイムリーを放ちました

ライノズの逆転勝利で終了

ライノズの逆転勝利で終了

2試合観戦ですぐに通!レトロで新しい台湾野球を見に行こう!

WBC効果ですっかり活気を取り戻した台湾プロ野球。観客増員で選手たちもモチベーションUP!新たなファンを喜ばせる好ゲームも多く繰り広げられている2013年シーズンです。長らく冬の時代を過ごした台湾野球が、これを機に第2の発展期を迎える可能性も大。台湾の人口は少ないけれど、東部や南部出身の特に原住民系の選手には、体格と先天的能力に恵まれた原石も多いので、第2の陽岱鋼(北海道日本ハムファイターズ)が潜んでいるかも。
たった2試合で全チームをチェックできて、しっかり台湾野球通になれちゃいます。台北での試合は決して多くありませんが、天母球場、新荘球場いずれもMRTでアクセス可能。普段はあまり行かないエリアでちょっと変わった台湾グルメも楽しめるので、食重視の人も満足できるはず。
先日も元ヤクルトの鎌田祐哉選手が、統一ライオンズで野球人生を終え、引退セレモニーを開いたばかり。日本球界とのつながりも深いので、意外な選手が活躍していたり、日本人監督が台湾人に愛されていることがわかったりといった喜びも。何より球場にあるノスタルジックな空気が、昔からの野球ファンにはたまらない魅力となるはずです!
スポーツ観戦はその国の文化を知るにはもってこいのレジャー!野球好きもそうでない人も、新しい台湾の魅力に触れられること間違いなしです。

以上、ついつい野球熱がヒートアップしてしまう台北ナビがお届けしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2013-08-06

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