台中で活動する「台日会」は誰でも参加できる会。台湾をもっと知りたくなったらぜひのぞいてみましょう!
こんにちは、台北ナビです。今回は「台湾に縁のある日本人と台湾人の草の根による交流サークル」として、台中を拠点に活動している台日交流聯誼会(略称台日会)におじゃましました。共通語は日本語。日本語世代の台湾のお年寄り、日本語を勉強中の学生さん、仕事や結婚で台中に住むようになった日本の人など、老若男女を問わず参加されているそうです。皆さんそれぞれどんな交流をされているんでしょうか。
月に1度集まって
台日交流サークルの取材ということで約束の場所についたナビ、会場の中に入ってちょっとびっくり。台湾の結婚式みたいな雰囲気で、皆さんカラオケやおしゃべりしながら楽しくお食事中です。実は今月は「春酒」(新年会)ということで、宴会ホールでのお食事会。いつもは北区の崇徳路にある「阿Q茶舎」という茶藝館で集会をしています。
台日会の月一回の集会には20~30名が定期的に参加、会員は台北や高雄、日本にもいるそうです。ナビがまず最初にお話をうかがったのは現会長の荘如紅さん。話し方もひかえめで、とってもやさしい感じの女性です。でも三代目の会長ということで、抱負は「チャンスを作って、日本に同じような会があれば、ぜひ姉妹会として交流したい。」と意欲的でした。
初の女性会長さんなんですって
|
|
新年会らしく活動風景の写真展示も
|
個性的な会員の皆さん
次にお話をしてくれたのは周進升さん。実は周さんは、台湾のラジオ界で知らない人はないという大ベテランのDJ。 昔、日本語が放送禁止だった時代にも、何とか台湾のリスナーに日本の歌を届けようと、台湾語の歌詞を作って数多く発表したんですって。台湾のなつメロがよく聴いたことのある曲なのはそういうわけだったんですね。自由に日本語で放送できる今は、「さくらクラブ」という番組で日本の歌を紹介してるそうです。「台日会のいいところは何ですか?」というナビの質問に、「同じ年代の人と仲良くつきあって、仕事のこと、人生のこと、旅の経験など、様々なことを分かち合えるのが一番の楽しみです。」との答えでした。
周さんは現役DJ
|
|
台日会での旅行の写真もありました
|
民生路にある台中教育大学の本校舎
|
|
施さんは中学校の元校長先生
|
施耿邨さんは台日会の初代会長さん。西区にある光明国中の元校長先生で、在職中には台中の日本人学校と教育分野での交流を促進したそうです。施さんはまた旧台中師範学校(現在の台中教育大学)の出身。台中教育大学といえば、日本時代の洋風建築の校舎がまだ残っています。風にそよぐ椰子の樹々と時代を経てもまだ現役の校舎の美しさは、初めて見ても懐かしさを感じちゃうんですよね。ナビの好きな台中の古跡の一つです。
林さんは茶博士とよばれるお茶の専門家
|
|
なんと台日会の歌も作詞
|
二代目会長の林啓三さんには、会長時代に苦労したことをうかがいました。「会にはいろいろな人がいますが、興味本位の学生さんなどはなかなか長続きしないし、日本の人は駐在などで流動的でした。それで、それぞれ自分が興味のあることで会員をグループに分けたんです。そして好きなテーマを決めて、順番で集会の時に成果を発表するようにしました。日本語の新しい知識でもいいし、童謡でもいいし、押し花とか何でもいいんです。そうしたら皆の楽しみがずいぶん増えて。それから日帰り旅行などを計画すると出席率がいいんですよ。幹部が下見に行くのも親睦が深まるきっかけになりますね。」と、おだやかな笑顔で話してくれました。
台日会の歴史
きっかけは1995年、当時日本語の先生をしていた喜早天海さん(現在は台日会世話役)と、そこで日本語を勉強していたメンバーが、もっと日本人との親交を深めたいということで結成した「日本語聯誼会(サークル)」が始まりだそうです。次第に会員数も増え、1999年の921地震のあと、名称を台湾中部地区日本語聯誼會と改称。その後中部以外のメンバーも増えたこともあって、6年前から現在の「台日交流聯誼会」の名称になりました。そのつながりは台湾の中だけではなく、インターネットを通じて日本にも広がっているそうで、現在会員は50名以上。集会ではグループや個人が研究発表したり、ゲストの講演会があったり、小旅行やお誕生会もあるそうです。
おじいちゃんたちもお元気です
|
|
この方、かっこいいですねー。
|
ここで、ナビはぜひ若い人のお話も聞いてみたいと突撃インタビュー。陳玉鈴さんはピアノの先生で、台日会についてはインターネットで知ったそうです。お友達が日本人なので、もっと日本語が上手になりたくて会に入ったそう。
会に入ってみた感想は?
「集会に参加したのは初めてですが、皆親切でいい感じです。」 そうですねー。ナビも同感です。
台日会は横のつながりもあり、楊應吟さんは今回の新年会に台北から参加。「友愛会」という台北にある台日親睦グループのメンバーだそうです。台北ナビのことをご存知だったので聞いてみると、なんとナビサイトでも紹介した「弘明堂鍼灸院」の院長先生でした。
若手No1?の陳さん
|
|
楊さんは漢方の先生、背筋もピンと
|
日本人の会員さんは
さて、台湾と日本の草の根交流・・・となると、日本の方にインタビューしないわけにはいきません。岡本眞治さんは台湾生活14年目というベテラン。入会のきっかけは、北区にある寶覚寺で行われている日本人慰霊祭の時に、世話役の喜早さんに声をかけられたことだそうです。
台湾生活のいいところは?
「私はグァムやタイにも行きましたが、台湾が一番住みやすいですね。気候がいいし、人情もあたたかいし。」 ふむふむ(ナビ)。
何か困ったことなどは?
「実はこんなに長く暮らしているのに、台湾の食べ物にはどうしても馴染めなくて。日本食ばかりなんですよ。帰るたびに日本から持ってきたりしてます。」 それは大変ですねー。(なんでも食べられるナビは自分のラッキーさを実感。)
台湾でリタイア生活を楽しむ岡本さん
|
|
大竹さんは自転車とカメラが趣味
|
台湾3年目という大竹清隆さんは、台中市と台中県の境にある中部科学園区でお仕事をされています。趣味は自転車で日本時代の歴史建築などについて調べてまわることで、すでに台湾全土を一通り踏破したそうです。すごーい!(ナビ) 本屋で「宝島台湾」という、台中会発行の本を見たのをきっかけに入会した大竹さん、自分が調べた成果を集会の時に発表しています。今日の新年会でも、台中県の新社郷にある「新社白冷圳」という、日本統治時代にできたサイフォン式灌漑システムについて解説。身近にこんなおもしろいところがあったなんて、ナビにも新しい発見でした。
「日本が台湾でどういうことをやったのか、いいことも悪いことも含めて、日本にいては分からないことがいっぱいあります。それを自分なりに調べて写真に撮っておくんです。せっかく台湾に住んで台湾にお世話になっているんだから、ただ会社と家の往復だけではなく、何かしたいと思ったんです。会のメンバーもお年寄りで出歩けない方も多いので、こうして自分の撮った写真で紹介できればいいなと思って。」
自転車を通して知ったことは何ですか?
「もちろん台湾のすべての人が親日的というわけではありませんが、びっくりするくらい親切な人との出会いとかがよくあって。今の日本にないもの、日本の昔のいいところがまだ残ってると感じますね。」 ほんとに草の根交流ですね。
とっても面倒見がいいんですって
|
|
本もいろいろ出版されてます
|
最後に、世話役として長年この会を見守ってきた喜早天海さんにうかがいました。「日本の人は台湾のことを知らないし、また台湾の若い人も戦前のことを知らない。阿里山鉄道が日本時代にできたというとびっくりする若者もいます。この会を通じて一人でも多くの人に、台湾と日本のつながりについてもっと知ってもらえたらと思っています。」
草の根交流の輪は広がっていますか?
「はい、日本の大学の先生から台湾(台中)に関することを教えて欲しいというメールがきたり、台湾にロングスティにきた日本の人と交流したり、インターネットや本の出版を通して着実に広がっています。」
気取らない会「台日会」は、ビジターでも長年住んでいる人でも温かく迎えてくれる会でした。人と人のつながりの始まりって、ちょっと声をかけるだけでいいんですね。台湾と日本の草の根交流はいつでも今が開始どき。台湾に来られる日本の皆さん、ぜひ身近な台湾の人に声をかけてみてくださいね。以上、台北ナビでした。
詳細情報
正式名称:台日交流聯誼会
集会:毎月第2土曜日 11:30~15:00
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2010-04-12