今年で13年目を迎えた台東・池上で行われる「2021池上秋收稻穗藝術節」!注目のシンガー9m88と、台湾が誇る世界的なコンテンポラリー・ダンス・カンパニー「雲門舞集」が華麗なるパフォーマンスを披露しました
こんにちは、台北ナビです。
夏の期間が長い台湾も肌寒い日が少しずつ増えてきて、秋の気配になってきました。台湾の秋の風物詩の1つと言えば、台東・池上で行われる「池上秋收稻穗藝術節」!新型コロナウイルスの影響で、開催が心配され続けられていましたが、10月30日、31日の日程で無事開催することができました。黄金色に輝く稲田、そして台東の壮大な山々の絶景の中で見る台湾のトップアーティストたちのパフォーマンスに心が揺さぶられました!
池上に響き渡る9m88の歌声
|
|
黄金色の稲田の中でのパフォーマンス
|
芸術の力で町おこし!地元、池上の人も楽しみにしている注目のイベント
今年で13年目の開催となる「池上秋收稻穗藝術節」は、台東・池上の町おこしの一環として行われ、台湾の米どころ 池上の美しい稲田と芸術を組み合わせ、池上の魅力を世界中へ発信していくという目的で行われています。
主催団体の臺東縣池上鄉文化藝術協會、台灣好基金會、さらに行政院農業委員會水土保持局、池上鄉公所、池上鄉農會、そして200名以上の住民ボランティアという地元の全面バックアップのもと、長榮航空(エバー航空)や立榮航空(ユニー航空)、池上のリゾートホテル日暉國際渡假村(パパゴインターナショナルリゾート)など多くの協賛を得て開催されています。
昨年は蔡英文総統、今年は賴清德副総統が会場に駆けつけ、パフォーマンスを鑑賞。台湾でも大きな注目を集めるイベントということがうかがえますね。(いや、世界中からも注目されるイベントです!)
イベントの応援にかけつけた賴清德副総統
|
|
副総統が鑑賞されることは来場者には知らされておらず、サプライズ登場!入場時に荷物検査が厳しかった理由にも納得!
|
雨ニモマケズ風ニモマケズ、コロナ ニモマケズ!!
今年は、10月30日、31日の2日間の日程で行われた「池上秋收稻穗藝術節」、29日には地元のみなさんへの特別公演、30日と31日はチケットを購入した一般の人たちが入場できます。13年続けてきた地元にとっても大切なイベントですが、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、開催が非常に危ぶまれていました。
開催時には新型コロナウイルスの国内新規感染者が0という日もめずらしくないまでに落ち着いてきていましたが、チケットを発売した当時は政府の定める防疫規定の中で、イベント開催時には「梅花座」(隣の人と1席ずつ開けて座る)が必要と決められていたために、満席で約2400席を設けられる会場ですが、今年は半分の約1200席分のチケットしか販売することができず…。(現在はイベント開催時にも梅花座ではなくてもよくなりました。 ※2021年11月現在 )
元々大人気のイベントで、毎年チケットは争奪戦必至!今年も1200席分のチケットもあっという間にソールドアウトしてしまいました。
誰もが「ただいま!」を言いたくなる!それが池上のあたたかさ
31日のパフォーマンスに先立って行われた記者会見では、臺東縣池上鄉文化藝術協會の梁正賢理事長や、台灣好基金會の柯文昌董事長、さらに今年のパフォーマンスを任された歌手の9m88、雲門舞集の鄭宗龍藝術總監などが挨拶をしました。
イベントの主催団体である台灣好基金會の柯文昌董事長は、挨拶の中で池上に初めて訪れた友人たちも、「ただいま!」と言わずにはいられなくなる、それほど池上の美しい自然は心を動かし、池上の人たちのあたたかさにふれ、まるで自分の故郷のように思えてくるのが池上の魅力なんだと話していました。
歌手の9m88は、昨年もプライベートで台東旅行をして、池上も訪れたそう!池上は元々大好きな場所だったそうで、今まで友達のアーティストたちが池上秋收稻穗藝術節に出演していたのをすごくうらやましく思っていたので、今年自分が出演できることがとてもうれしいと笑顔で話してくれました。
雲門舞集・鄭宗龍藝術總監は、美しい池上の自然に囲まれパフォーマンスができることは、アーティストとして大変光栄なことだと語っていました。
左から池上鄉農會 李業榮理事長、日暉國際渡假村 鄭越才董事長、行政院農委會水保局台東分局柯燦堂局長、雲門舞集 鄭宗龍藝術總監、臺東縣池上鄉文化藝術協會 梁正賢理事長、台灣好基金會 柯文昌董事長、源活娛樂監製 陳鎮川さん、歌手の9m88さん、台東縣政府 王志輝副縣長、台東縣池上鄉公所 張堯城鄉長
会場エリアに到着すると、地元、池上中学校の生徒たちがボランティアスタッフとして一生懸命に働いているのが目に留まりました。新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、実名登録制や検温、手の消毒などをして会場に入りますが、「チケットをお持ちの方はこちらです~!」、「チケットの裏には氏名、電話番号の記入をお願いします~!」と中学生スタッフさんたちの懸命な案内で、入り口は混乱することなくスムーズに進んでいきます。
記者会見の際にも地元のみなさんへの感謝の言葉が何度も述べられていたのも印象的でした。舞台の設置前には、舞台の下になる田の稲刈りをしたり、駐車場からの案内、交通規制、簡易トイレの管理・清掃、会場スタッフなど、地元の人たちの協力なしにはこのイベントはできないとみなさん口をそろえて話していました。
イベントが終わり、ナビたちが台北に戻った後も地元の方や中学生たちは、舞台の撤去、掃除と、祭りの後でも仕事はまだまだあります。本当にお疲れ様です!ありがとう~!!!!!(涙)
コロナ禍の防疫のため現地のみなさんの仕事もさらに増えて……
|
|
イベント後も歌を歌いながら見送ってくれています
|
司会の曾寶儀
期待高まるイベントの幕開けは、10年連続で池上秋收稻穗藝術節の司会を務める曾寶儀のMCでスタート!もうすっかりおなじみとなった曾寶儀の登場に地元の人たちのあたたかい歓声が飛び交います。
キュートな笑顔と思わず体を揺らしたくなる音楽に魅了されました!
そして、ついにシンガーの9m88(ジョウエムバーバー)が登場すると会場のボルテージがさらに上昇!舞台に上がった9m88は、「私のことを知らない人も多いかもしれませんが……」と控えめな挨拶をしていましたが、ファッション専攻からシンガーに転向した異色の経歴を持つジャズ・ソウルシンガーとして大人気の9m88。日本のミュージックフェスにも出演経験もあり、今ひっぱりだこの売れっ子アーティスト!池上秋收稻穗藝術節の舞台に招かれるというのは、幅広い世代から人気があるというお墨付きでもありますよね。
今回披露したのは「Hello Bye Bye」、「Aim High」、「Tell Me」、「平庸之上」の4曲。ゆったりとしたテンポの曲や、ソウルフルな9m88の力強い歌声を生かした曲は、池上の大自然にも響き渡ります。
アンコールステージの前に司会の曾寶儀が「せっかくだから9m88も池上のこの美しい自然を見ながら、目に映った景色を歌で表現してみて」とリクエストすると、ステージ後ろに広がる黄金色の稲田、山脈を眺めながらアカペラで曲を披露してくれました。その美しい歌声とリンクする池上の絶景に、観客たちもすっかり引き込まれてしまいました。
池上の自然を見ながらアカペラで歌う9m88
|
|
イキイキと歌う姿に引き込まれます~!
|
台湾が誇るコンテンポラリー・ダンス・カンパニー「雲門舞集」
続いて登場したのは「雲門舞集」。「雲門舞集」はコンテンポラリー・ダンス・カンパニーです。アジアのコンテンポラリー・ダンス・カンパニーではトップクラスの知名度とパフォーマンス力を持つと評価され、2019年にはイギリスの世界的なダンスのコンテスト「ナショナル・ダンス・アワード(National Dance Awards)」にて受賞経験もある台湾が世界に誇るアーティスト集団。1973年に林懐民氏によって創設され、世界各地でパフォーマンスを行い、ダンスを通じて台湾の文化や歴史を伝える活動をしてきました。
今回の演目の「十三聲」は、台北の艋舺(萬華エリア)の伝説的な人物「十三聲」からインスピレーションを得て生まれたもの。黒い衣装を身にまとい舞台がスタートしたのちに、カラフルな衣装へと変化していくなど、コンテンポラリーダンス初心者のナビでも見入ってしまうほど、情熱的な舞台でした!
ステージの最後に囲みインタビューで色々と語ってくれた鄭宗龍氏(写真左)
なんと途中で9m88も登場!多忙な9m88と雲門舞集、一緒に行える練習の機会はそんなに多くなかったとのことですが、すっかりダンサーたちに溶け込んで演目をこなしているのは、9m88が学生時代にストリートダンスをしていたことや、歌の世界でも全身を使って表現をしているという部分もあるんじゃないかな?と、アートディレクターの鄭宗龍氏の談。
雲門のダンサーも9m88との共演を心から楽しんでいるのが伝わってきましたよ~!
神の恵みか?!雲門舞集のパフォーマンスの途中で雨が降ってきてしまい、演者さんたちの安全のため、舞台は一時中断に。裸足でパフォーマンスを行うため、ステージが濡れた状態だと滑ってしまう可能性があり、大変危険だったんです。スタッフたちが舞台をモップで掃除し、演者さんたちも靴を穿いてステージ再開。
普段は照明なども使い、舞台全体でストーリーを表現する雲門舞集のパフォーマンスですが、今回は野外ステージとあり、いつもの「十三聲」の演目とは、また違った味わいがあるとアートディレクターの鄭宗龍氏も話していました。今回の野外ステージで雨が降った時のために、滑りにくい靴を探して、様々なブランドの靴を穿き比べもしたんだとか!その甲斐あって、雨が降ったのに、中断後すぐに再開できたのですね!
今までの13年の歴史の中でも雨でパフォーマンスがストップしたのは2回目のことだそう。雨でも舞台が続けられるということを天は知っていたのかな?会場は黄色いレインコート一色に。
|
|
雨で滑るステージでも靴を穿いて全力でパフォーマンスを続ける演者さんたち。雨の影響で舞台上に衣装が反射して、図らずもいつも以上に美しい舞台になりました!
|
ラストは9m88と雲門舞集、そして中学生たちとフィーバー!
最後のアンコールステージでは9m88が自身の人気曲「九頭身日奈」を歌い、雲門舞集のダンサーたちとコラボレーション!そして台東出身の国民的歌手・阿妹(張惠妹) の「一想到你呀」を中学生ボランティアのみんなとパフォーマンスして、会場の熱気は最高潮に!ダンサーさんたちも舞台を飛び出し、観客席の前まで来てダンス披露!間近で見るキレッキレダンスをナビも食い入るように見つめてしまいました~。
中学生ボランティアのみんなも舞台へ!
|
|
観客席までダンサーさんが来てくれました!
|
感動の渦の中、幕を閉じた今年の池上秋收稻穗藝術節。初めて池上秋收稻穗藝術節を訪れたナビもいまだに感動の余韻が続いています。さらなる感動を呼んだのは、主催団体さんがシェアしてくれた中学生ボランティアの子のお手紙。ボランティアとして参加するにあたって会場の準備はもちろん、数か月前からミーティングも何度もあって大変だったけれど、仲間たちとイベントの運営に携わったことや、9m88や雲門舞集たちと舞台に立てたことは最高の思い出ですって!
他県から訪れる観客にパフォーマンスで感動を与えてくれるのはもちろん、地元の人たちにとっても大切なイベントであることを改めて感じました。これからもずっと池上秋收稻穗藝術節が続いていきますように!
以上、台北ナビがお届けしました~!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2021-12-02