台湾で最初にオーガニック茶を始めた農園&知る人ぞ知るハイキングコースを巡りました
こんにちは、台北ナビです。今回は友人に誘われて訪れた「坪林」の「漁光」についてスペシャルレポートをしたいと思います。
台北から1時間ちょっとで到着する「坪林」。みなさんはどんなイメージをお持ちですか?包種茶の産地、最近台湾の方に人気の「千島湖」の以外に、全く認識がなかったナビ。台北からこんな近くに自然豊かな場所があったとは…驚きでした。1日という短い時間でしたが、坪林の「漁光」をご紹介します。
漁光民の心のよりどころ「南山寺」
台北から車で1時間と書きましたが、最寄りのMRT「新店」駅からは30分ほどで到着したのは「南山寺」。茶畑に囲まれた中に廟が突如現れます。
でも、おかしいんです!南山寺と聞いていたのに廟には「仙公廟」と掲げられているのです。
福建省からやってきた「林揚」氏はこの地をいたく気に入り、日本統治時代の1902年、私塾を始めました。彼は風水や地理に造詣が深く、その頃、村民たちの諍いが絶えない原因は私塾の下方の川が2つぶつかり合い、山がまるで剣であるからだと考え、木柵指南宮より呂洞賓の分霊を祀り、南山寺としました。その後諍いはピタっとなくなったそうですよ!
この日は曇っていてよく見えませんが、2本の川と山が見えますか?
もうひとつ言い伝えがあり、大きな蛇と鷲が攻撃し合っているから、ケンカが絶えないともいわれています
廟の中には「南山寺」と「仙公廟」二つの名前が!
台湾で呂洞賓をたまっている廟は「仙公廟」と名付けられることが多いのですが、日本統治時代の宗教政策で、取り壊されないように、「寺」という文字をつけ「南山寺」と名付けられたそうです。
こんな山奥にも日本の影響があるなんて、ちょっと驚きです。
擲筊に使用する筊杯もあります!
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お茶とお水はご自由にどうぞ!って包種茶が振舞われているのが、何とも坪林っぽい
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週末はお昼ご飯が食べられる場所もありました
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茶葉農家のマップ!坪林らしい♪
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南山寺
新北市坪林區漁光里樟空仔路5號
(02)2665-6700
台湾で最初に有機茶づくりを行った農園へ
(左)紅茶、(右)包種茶
坪林に来たのだから、やっぱり包種茶は飲んでおきたい!そう思っていたナビに、とっておきの農園を教えていただきました。それは「王有里」氏が茶葉を栽培している農園。2003年には神農獎(政府が優れた農民に与える賞)を受賞。その他、様々な賞を受賞しています。茶葉の品質は政府のお墨付きというわけなんです。
お茶には疎いナビですが、包種茶は口に含んだ途端甘くうるおいのある味わいを感じられました。それでいてさっぱりしているので、飲みやすい。とっても気に入りました!紅茶もここ数年作っているそうで、濃厚な味が特徴的。日本で飲む紅茶よりもガツンとしたインパクトのある味!個人的に、朝から昼には包種茶、夕方から紅茶を楽しみたいなぁと思いました。
こんなにすごい農家さんなのだから、裕福な暮らしをしているだろうと思いましたが、王さんの着ている服やご自宅をみるととても質素な暮らしぶりがうかがえます。
「その年に採れた茶葉を自分の家族が食べるのに困らない料金で提供できればいい。お金がたくさんあったって、こんな山奥じゃ使えないよ!」と笑いながら語る王さん。どこか達観している感もあります。
悲しい事故から有機茶づくりを決意!
ご先祖がこの地を開墾する際に立てた土地公
福建省から渡ってきた王さんの先祖。坪林の自然豊かな環境でお茶づくりに携わり、王さんも茶葉作りの仕事を受け継ぎました。ある日、農薬を使用したことで家族の一人が命を落とし、それから一切農薬使用を止めました。
「自分が農薬について理解が浅く、つらい思いをした。それ以来、もう農薬を使おうとは思わない。」と悲しく語ってくださいました。
農薬を使用しないため、畑の周りの植物は虫に食われています
農薬を使用しない分、労力に頼らざるを得ない生産。そのため、おのずと単価は上がります。品質や安全よりも安さを求めるその時代には、有機茶の良さはあまり理解されず、経済的にも苦しい日々を過ごしたそうです。
今でこそ、有機茶や有機野菜が注目されている台湾ですが、王さんが有機茶を作り始めた頃には、「有機」という言葉もほとんど知られていなかったそうです。
自分で食べたいものは自分で栽培しちゃう王さん
王さん自らお茶畑を案内してくださいました。このお茶畑の特徴を聞くと…「茶樹よりも雑草が高い」と断言!そのお言葉通り、ナビの想像するお茶畑とは全く違う姿がナビの目の前に現れました。 王さんいわく、とにかく雑草を抜くのが仕事!だそうで、目にもとまらぬ速さで雑草を引っこ抜いていきます。
その間にも、虫などを見つけると、ナビにも色々見せてくださいました。「蟻一匹でも殺さない。それは僕の家族だから。一緒に茶葉を作ってくれているんだ。」と愛おしそうに家族の一員達を紹介してくださいました。
その中でも珍しいのが「翡翠樹蛙」。翡翠水庫の近くで発見されたため、この名前が付けられた、台湾にしかいないカエルです。そんな貴重なカエルくんのため、お茶畑には水の容器をおいているんだそうです。こんな保有動物をはじめ、様々な動物や植物が茶畑の土壌を作っているんですね。
自然が作り出す、茶葉がおいしいのは当たり前だなと納得しちゃいました。
目の横に線が入っているのが見えますか?それが特徴のひとつなんだそうです
水の容器をよぉ~くみてください
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泡が見えますか?この泡の中に多くの卵があるんです
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知る人ぞ知る人気ハイキングコース
坪林ならではの風景!
親子でブラブラ歩くのもオススメ!
坪雙公路から漁光國小(小学校)をとおり、少ししたところにある「大舌湖健行步道」。入り口から粗石斛吊橋までを茶畑に囲まれた北勢溪流沿いに30分ほど歩きました。
高低さも少なく、歩きやすいコースですが、見たこともない植物や動物に出会えます。今回ナビを案内してくださった黄さんのガイドで出会えたモノ達を写真でご紹介します!
歩きやすい歩道
歩道の横には茶畑が広がっているところも!
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自分の領土を主張するため積み上げられた石
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コスメに、ハーブティに、防虫剤としても使われる万能植物の「月桃」
見た目はこんなにかわいいのに毒があるそう!
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透き通った水溜りにはおたまじゃくしがうじゃうじゃ
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粗石斛吊橋に到着すると対岸ではバーベキューや川遊びを楽しむ親子、釣りにいそしむおじちゃま方など思い思いに時を過ごしていました。
ちなみに夜は満点の星が見られるそうですよ♪
短い時間で巡った坪林の漁光。台湾の豊かな自然とそこで生きる実直な人々に出会い、まだまだ知らない台湾の姿に出会えました。観光スポットを巡るだけでは見えない台湾を見つけに、漁光に出かけてみませんか?
以上、台北ナビがお届けしました。