イタリア人パフォーマー&雲林故事館の語り部たちと一緒に、タイヤル族の秘境「司馬庫斯」を訪れました
こんにちは、台北ナビです。
今回イタリア人指人形師のマルコ、フランチェスカ、トマズの3人。そして、台湾中部の雲林故事館の語り部とスタッフたち6人、そして、七星生態保育基金会と花旗基金会を代表する1人、そして、台湾メディア2人とナビの総勢13人で、「神の集落」の異名をとるタイヤル族の集落「司馬庫斯」を訪れました。
ナビたち3人のメディアは、主に観光地「司馬庫斯」の取材だったのですが、マルコたちと雲林故事館の語り部たちは、「司馬庫斯」でパフォーマンスを行なうという目的。「司馬庫斯」の後は、お向かいの山にある同じくタイヤル族の集落、新光(「斯馬庫斯」)へも行きました。
ナビは世界中を旅しながら演じているイタリア独自の指人形と日本の紙芝居を継いだ雲林故事館の語りの素晴らしさ、タイヤルの子供たちの素直な反応に痛く感激。
とてもステキな時間を共有させてもらったので、今回は「司馬庫斯」の紹介のほか、現地での彼らの様子をここにレポートします。
標高1500mにあるタイヤル族の集落は、まさに山奥の秘境
一番近い都会の新竹までも3時間かかり、それゆえ彼らは独自の伝統文化を大切に保ちつつ生活しています。が、この最果ての地が災いし、急な大病に罹った時は間に合わなくて命を落としてしまうこともあるそうで、集落の平均寿命は67歳くらいだと聞きました。
子供たちは、小学校時は集落内ですが、中学校では親元を離れなければなりません。ちょっと親子とも寂しくなるですが、ここへ来て彼らの生活を垣間見ると、巣立つ前の家族との絆の深さは、一般家庭のそれよりかなり濃厚なものがあります。人口が178人で、小学生は17人。大人たちは皆、17人を自分の子供と同じように構っています。多くの大人たちの愛情にはぐくまれ育っている子供たちの天真爛漫な様子は、台北の子供たちとは全く違うものでした。彼らの清らかさに接して、ナビも忘れていたものを思い起こされたような、心が純化されたような気持ちになりました。
教会での指人形劇
左からトマズ、フランチェスカ、マルコ
待っている子供たち
イタリア人指人形師のマルコとフランチェスカはご夫婦で、トマズは息子で照明担当。
3人は6ヶ月で14カ国を廻っています。今回は台湾の後、イタリアへ戻り、それからブラジルへ行くんだとか。旅が好きなんだよ、とマルコ。日本にはまだ行ったことないけど、人形の島があるって聞いたことあるんだ、と話してくれました。
指人形と聞くと、指1本1本に顔がある人形を想像しますが、彼らの人形は、中指が頭部、人差し指と薬指が手、親指と小指が足で、男と女が主人公。片手の動きを駆使し、水を飛ばしたり火を噴いたり。はたまた火の輪を回したりなどの多彩な動きに、途中から人形が人間の指であることを忘れてしまいます。
音楽はハーモニカやドラムで演奏されたイタリア風メロディ。作詞作曲演奏も彼ら自らが行いました。ちょっと哀愁を帯びたような音色からか、人形たちの動きもコミカルでブラックユーモアもあってとても楽しいのですが、ちょっと悲しくもあり。何だかイタリア映画を見ているようでした。
この日は、タイヤルの子供たちの踊りも披露され、その後、大人たちの歌で終わりました。
次は小学生たち
|
|
元気いっぱいに踊ります
|
頭目や牧師さんたちの歌もありました
|
|
最後は皆で記念撮影
|
雲林故事館
唐館長
2日目の午後は紙芝居の時間です。
唐麗芬館長と、スタッフ3人が自分たちの紙芝居を語ってくれました。
唐館長は、台湾には故事館と名乗るところがいくつかあるけど、本当にストーリーを語っているのは「雲林故事館」だけと言います。ナビはまだ「雲林故事館」へ行ったことがなにのですが、建物は日本統治時代の官舎をリニューアルしたそうで、畳の部屋もあり。
マルコたちはこちらでもパフォーマンスしたそうで、その様子は以下のFBからも見られますよ。
https://zh-tw.facebook.com/ylstoryhouse
真剣~
|
|
スタッフは、自分のお祖母ちゃんの話を紙芝居にしました
|
紙芝居のイラストを担当している彼からのお話し
|
|
外に出たら、マルコがハーモニカを披露
|
新光國小
以前、司馬庫斯に小学校がなかったころ、子供たちは、お向かいの山の新光國小(小学校)に月曜日の朝行って金曜日の午後帰るという生活を送っていました。司馬庫斯の小学部は現在17人、幼稚園は7人。新光(斯馬庫斯とも言います)は32人と8人の子供たちがいます。司馬庫斯の戸数は現在28戸(近く30戸に増えるんだとか)ですが、新光は若干多く40戸強。彼らはタイヤル族の同じ祖先からきています。
タイヤル族の絵が描かれています
校庭の向こうにそびえる森林に…あ、森林学校?!
始まりました
3日目の午前中は、先に紙芝居、そして、人形劇が行われました。
今回の紙芝居は、昔の日本にならい、拍子木を打って、「買飴呀~」という掛け声とともに始まります。1930年代、日本で誕生した紙芝居、当時は紙芝居のおじさんと子供に呼ばれる人がいました。自転車に紙芝居と水飴などの駄菓子を積んで、拍子木を打ちながら街頭を回り、子供を集めては駄菓子を売って、人数が集まれば紙芝居を始めました。現在日本ではこのスタイルはなくなりましたが、雲林故事館の唐館長は、私たちが今その日本の昔のスタイルを受け継いでいるのよと話してくれました。
紙芝居をみる子供たちの表情を見ると、日本にはもうない残念さを覚えつつ、でも台湾でこうやってリバイバルしていることをうれしく思いました。
語りはもちろん中国語ですが、内容は日本時代のことや日本の童話の話も混じっていたりなのでとても興味深いです。いつか雲林故事館に行って、もう一度観賞してみたいものです。
学校の周辺ものどかでした。
いつものナビは、写真を撮ったりの観光地取材ですが、パフォーマーたちと興行旅のような気分も得られ、とても楽しかったです。
以上、台北ナビでした。
取材協力:花旗基金会、七星生態保育基金会
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2014-12-01