幻想的な風景に大感動♪世界で生きているうちに行かなくてはならないフェスティバルのひとつにも選ばれた特別なお祭りです
こんにちは、台北ナビです。旧正月には至る所で爆竹が鳴らされ、にぎやかに新しい一年を迎える台湾。旧暦1月15日は新しい一年で初めて迎える満月で、この日の夜を「元宵節」と言います。そして、この「元宵節」を以って過年が終わりを告げるんです。過年の締めくくりも盛大に行うのが台湾流!その中でも、特に世界各国から注目を集める「平渓ランタンフェスティバル」にナビも参加し、ランタンを飛ばしてきました。願い事を書いたランタンが空高く昇って行く姿は、何度見ても幻想的!
天燈(ランタン)って何?どんな歴史があるの??
天燈(ランタン)の由来はいくつかの説がありますが、一番有力な説として「諸葛亮(孔明)が軍の情勢を伝えるために作った」というものがあり、別名「孔明燈」とも言われます。天燈が平渓で飛ばされるようになった由来の一説では、早期の平渓・十分一帯は辺鄙な山間部のため、交通が不便で開発も遅れていました。海を渡り台湾へやってきた盗賊がこの地を襲うようになり、村人たちはしばしば避難せざるを得なくなりましたが、村の青年が村に残り、盗賊を追い払った後、避難した村人たちに「村はもう安全で無事だから、安心して戻って来ても大丈夫」だということを伝えるために、天燈を飛ばしていたそうです。その後、盗賊が出現しなくなってからは、天燈を飛ばす風習は「幸福祈願」の象徴へと変化し、平渓・十分一帯の民俗、儀式として残りました。
この土地で天燈を飛ばし出してから200年以上の歴史があると言われていますが、1993年、この土地の有志20数人が集まり、天燈の風習を伝え残す目的で「台北県天燈民俗文化発展協会」を設立し、元宵節に天燈を一斉に飛ばしました。その様子がメディアに紹介され、徐々に人気に。
1999年
台北県(現在の新北市)主催の「天燈節(ランタンフェスティバル)」を開催開始
2000年
18.98mもの大型ランタンを製作し、ギネスの記録を塗り替える
2008年
ディスカバリーの旅行チャンネルで、世界の2大フェスティバルのひとつに選ばれる
2013年
CNNが「世界の参加価値のあるイベント」52の内第8位に選出
世界最大の旅行ウェブサイトFodors.comが「死ぬまでに一度は参加したい世界14のカーニバル」のひとつに選ばれる
という風に、このフェスティバルがどんどん国際的にも注目されだしています。ナビが訪れた2014年2月8日の会場にも日本の方はもちろん、欧米の方など様々な国の方がいらっしゃいました。
一斉にランタンを飛ばすには一苦労!
会場にある「服務臺(サービスカウンター)」で番号札を配っています
毎年行われる「元宵節」前後に3日間行われる平渓ランタンでは、1日に10回一斉にランタンを飛ばします。これに参加するには会場で配られる番号札をもらう必要があるのですが、この番号札をもらうのが大変なんです。ナビは15:00に会場に到着したのですが、この日用意されていた1950個分の番号札配布はすでに終了。どうやら当日、11:00に配り始めた番号札は13:30には配り終わってしまったそうですよ。一番早い人は朝の7:30には並び始めていたそうなので、番号札を取るにはかなりの覚悟が必要になります。当日はシャトルバスが9:00からピストン方式で運行しているので、番号札を取りたい方は早めのバスに乗車し、会場に向かうことをオススメします。
運よく番号札を獲れた方はこのプログラム表を見て何回目に飛ばすかを決めてください
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集合時間は基本45分前!集合には遅れないようにご注意を♪
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站位(立ち席)/座位(座る席あり)の表示。バスに立ってでも、早く帰りたいという方は「站位」の矢印の方へ並んで下さい。「站位」の方が早くバスに乗れるみたいですよ!
また、帰りが遅くなればなるほど、バス待ちの行列は長くなります。動物園行きのバスは、フェスティバルが始まってちょっとしたら行列が始まるそうです。ナビが参加した2/8は18:15から約30分毎に200個のランタンが10回飛ばされたわけなのですが、2~4人で1つのランタンを飛ばすので、1回につき単純計算で600人ほど。合計で6000人にも及びます。自分の前に飛ばした人達がまだバスの列に並んでいる上、30分後にはまた600人ほどがバスの列へ…。これに、一斉には飛ばせなかった方(推定参加人数14万人!!)も加わり…。これでは、大行列になるはずです!電車に乗る方もいらっしゃいますが、こちらも人でギューギュー。
あの幻想的な様子を見るためには、体力と気力が必要ということなんですね。でも、バスの列に並んでいる間は会場から、ライブの様子などが聴こえます。道には屋台も出ているので、これでちょっとだけ気分転換になるかもしれません。とにかく、気合と根性です!!
次々にバスはやってくるのですが、Uターン待ち。普段ひっそりとした小さな町なので仕方ないかな…
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バスの列。先は見えません…涙
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準備現場を突撃~!
この日のメインランタン(許願天燈)
フェスティバル前、会場の横の体育館ではボランティアの方々が準備の真っ最中だと聞いて、突撃訪問してきました。今回はメディアパスがあったので中に入れましたが、一般の方は中に入ることは出来ませんので、突撃訪問はご遠慮ください。体育館に入ると、各国の言葉で願い事が書かれたメインランタン(許願天燈)が膨らまされていました。このランタンは26フィート(780㎝)もの高さがあり、体育館の天井に届こうかという大きさ。毎年このメインランタンを担当する胡民樹さんが今年も製作されたそうです。当日はあいにくの雨だったので、こんな大きいランタンが飛ぶのか?とナビはちょっと心配だったのですが、胡民樹さんは胸を張って「大雨が降ってもランタンは無事飛ばせるよ。多少の風が吹こうが問題なし。コツが必要だけれど、僕がいるなら大丈夫なんだ!」と言い切っていました。
各回に飛ばされるビッグランタンを作成中!
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準備完了♪
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もうひとつ巨大ランタンを作成しちゃいました
丁寧にランタンへ金紙の取り付けるコツを伝授中
その胡民樹さん、体育館の舞台からマイクでボランティアの方々に指示を出しています。胡民樹さんはメインランタンをはじめ、ボランティアをまとめるという仕事もされているそうです。ナビがおじゃました時には、ボランティアのみんなで天燈に灯油とピーナッツオイルを混ぜたものを染み込ませた「金紙(あの世のお金)」を12枚取り付けているところでした。これは1年(12カ月)を意味し、ランタンをあげてから1年間、無事に暮らせますようにという思いが込められているんだそう。また、一般のお店では金紙を取りつける際には12枚を少しずつずらして設置するのですが、今回は12枚を2つに折って、ランタンに取りつけていました。なんとこれは胡民樹さんが特許を持つ取り付け方法なんですって。
フェスティバル当日は、数多くのランタンを重ねる必要があるため、特別に金紙をひとつずつビニールで包み、ランタンに取りつけているんですよ。「ランタンを飛ばす」ためには、様々な方の知恵と力が必要なんですね。ボランティアの皆さんが一生懸命に金紙を取りつけている姿を見ていると、ランタンひとつひとつに温かい思いが伝わっているようにナビは感じました。
初めは手取り足とり!
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まずビニールをランタンに取り付け…
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ビニールの上で金紙を二つ折りにして…
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くるめばできあがり~!
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会場付近の散策もお忘れなく♪
一斉に飛ばすのもいいけど、線路の上からローカル列車をバックにランタンを飛ばすのも雰囲気があります
カメラの場所取りはバッチリ!あとは…、せっかく平渓に来たのだから、付近を散策しましょう。「人が集まるところには屋台が出現する」という台湾の法則があるように、やっぱりフェスティバル当日もそこら中に臨時屋台が出ていました。ナビが見たところ、人気ナンバーワンは臭豆腐!ナビは挑戦する勇気がなく、近くの「沙威瑪(ドネルケバブサンド)」で小腹を満たしました。その後、少し歩くと平渓老街に到着!ここは人・人・人。ナビは歩くのもやっとの状態でしたが、地元民はみんな小吃に並ぶ元気あり♪ここでも台湾の方々の食への思いを感じさせられました。
そんな中、ナビが気になったのが「新建益商店」というお店に売っていた花布ランプシェード。ここのランプシェードは小さな穴をあけているため、ランプの光にかざした時に柄が綺麗に浮かび上がるんです。ナビも思わず黒色をお買い上げ~♪そうこうしている内にナビも平渓駅に到着。ローカル電車も見られて、ちょっとした旅気分。もっと時間があれば、平渓線に乗って、他の駅にも遊びに行けたのに…そこだけが残念でした。
新建益商店
新北市平渓区中華街36号
(02)2495-1085
歩行者天国状態の道路には赤い提灯があって雰囲気◎
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いたるところからランタンが飛ばされています
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ランタンが並ぶ道!こんな光景はこの時だけ♪
ランタンの飛ばされる様子を気合十分で撮影されている方も♪
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愛犬家の方でしょうか?愛犬の似顔絵ランタン!
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2014年の元宵節は2/14でバレンタインだからか、❤型のランタンまでありました!
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アヒルちゃんやパンダランタンも!流行りをちゃんと押さえていますね~
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マンホールの蓋にはランタンが描かれています♪
この線路は絵になる~
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ポストカードを買って書くのもいい時間つぶしになるかも…
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お待たせしました!いざ、ランタンが飛んで行く~
校庭のグラウンド内
日も暮れてきた18:00、フェスティバルが始まりました!平溪中学校の太鼓舞台の演奏を聴きながら、ランタン飛ばしの準備が進められます。番号札をゲットされた方は何列目の何番目かを番号札で確認し、プレートを持っているスタッフの所に行けばOK♪その後、ランタンが配られ、スタッフがランタンの中に空気を入れてくれるので、ペンで願い事を書きましょう。この時、紙が薄く破れやすいので軽く書いてねと言われますので、ご注意を。墨と筆を自分で持ってきていたツワモノもいらっしゃいましたよ。
先ほどの散策で気付いたのですが、台湾の方はお願い事をランタンにびっしり書き込みます。それを見て、たくさん書くぞ~と意気込んでみましたが、ナビが書けたのはひと言二言のみ…。いざ、お願い事を書くとなると、頭が空っぽになってしまうので、予め何を書くか考えておくといいと思います。お願いしたいことはあれもこれもあるので、いっぱい書かなくっちゃ!!また、時間はたっぷりあるので、焦り過ぎないのもポイントです♪
何列目かをチェックし
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番号もチェックしてくださいね!
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ボランティアの学生たちがみんな純粋でかわいくて仕方ない♪ |
笑顔のステキなガスバーナー隊の皆さま
準備が整ったところで、ガスバーナー隊のみなさんが手分けして各ランタンに火を灯します。ランタンの中に温かい空気が溜まるまで、ランタンを足で踏みつけて、固定しておいてくださいね。会場の照明も落とすと…ここからガラっと雰囲気が変わります。ランタンから湯気が出てきて、今か今かと思っていると…カウントダウンが始まり…「3、2、1~」放ちます~!うぁ~~~♪なんて幻想的。と思っているのも束の間。ランタンの上がっていく速度が早く、スタッフさんに「写真!!」と促される始末…。気付けばランタンの集団は米粒になってしまいますので、ご注意を。
メインランタンに火が灯されるまでは電気がついているので、
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この時がランタンと一緒に写真を撮るチャ~ンス!
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ランタンから湯気が!
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ナビはこのとっても大きなランタンと一緒に飛ばしました
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上がった~!
大感動
すぐにランタンは小さくなってしまいます
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こんなに小さくなっちゃいました。ナビの願い、神様は聞いてくれるかな?
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プロポーズしている方も!答はOKだったそうですよ
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ランタン達人もご満悦♪
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Flickrの撮影達人が教える「平渓ランタンの写真をうまく撮影するコツ」とは・・・
●絞り値を小さくする(絞りを開く)
●ISOを上げて高感度にする
●広角レンズを使用する
この3点だそうです。これに三脚をプラスすれば最強!
ナビはついついランタンが上がると同時に上方向を撮影してしまいましたが、飛ばしている人も合わせて撮影すると臨場感溢れて、まさに今上がっていますという風な写真が撮れるそうです。
来年はもっと美しい写真を撮影するぞ~!
ナビの注目は26フィートのメインランタン
ランタンを火から守ります
会場のスタッフ達は、1回目のランタン飛ばしが成功しても、胸をなでおろす暇はありません。2回目にはあの26フィートのメインランタンを飛ばすのです。一般のランタンはガスバーナーで火を灯しますが、メインランタンはまず、ガスコンロ2台で温かい空気をランタン内へ送り込みます!そして、大人2人がランタンの中に入り、コンロの火がランタンに燃え移らないように、体を張ってランタンを守ります。ランタンの外では、ランタンが倒れそうになると、その前に立って床にランタンがつかないように障害となります。10人近くの大人が真剣にひとつのランタンに取り組む姿は必見!ナビはこの様子にハラハラドキドキしてしまい、馬総統の話もそっちのけ…。(失礼!)ありがた~い話が終わったところで、ランタンも立ってきました。ここで、馬総統、朱新北市長、各国の大使館代表や日本交流協会、台北市日本工商会の方がランタンにメッセージを書き、馬英九総統と朱立倫市長自ら金紙に火を灯し、いざ!あんな大きなランタンがスルスルと上がっていくではないですか!!!これには大感動です。
そうこうしている内に立ちました!!パチパチ~♪
ガスバーナーで金紙に火をつけます
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火が灯ると温かい光に包まれます
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うわぁ~!飛んだ~~
他のランタン同様、一瞬で飛んで行きました!
台湾アーティストのパフォーマンスもお見逃しなく!
今人気急上昇中の「李唯楓」。覚えていて損はないかも?
平渓中学校の太鼓のパフォーマンスで始まったランタンフェスティバル。その後も新北市のストリートダンスの大会で優勝した「Adbkill」や台湾のドラマに挿入歌が使われたことで最近若者に人気の「李唯楓」、2013年貢寮國際海洋音樂祭の海洋音樂大賞を獲得した「Trash樂團」、海外でもパフォーマンス経験のある「Replay樂團」、今クラブで大人気の「八三夭樂團」が登場!これにはボランティアスタッフの女の子たちも大興奮でした。
この日、新北市の統計では「14万人」の来場があったそうで、年々その人気は増すばかり。それに伴い、ランタンフェスティバルの際には燃え残ったランタンや竹で作られた軸の部分などが平渓あたりに散乱するそうです。このため、新北市では環境局が総出でランタン回収にあたるそうですよ。また、飛んでいったランタンに鳥などの動物が被害に遭うなど、人気になってきたからこその問題も発生しているそうで、今後これらのことにも対処していきたい!と新北市の方はおっしゃっていました。ナビも期待しています。
そして、環境も動物も人間も笑顔になれる心にポっと光が灯るような温かなお祭りがずっとずっと続いて欲しいなと願っています。
以上、毎年でもこの景色を見るために人混みにもまれたいと思っているナビがお届けしました。