こどもも大人も真剣に着々と準備を進めていました。
こんにちは、台北ナビです。昨年、金門の「迎城隍」に出かけた編集長。帰って来るや否や、このお祭りとってもおもしろいわよ!と大興奮。そんな姿を見てしまったらナビも行かないわけにはいきません。というわけで、今回ナビは趣向をちょっと変えて、「迎城隍」の準備風景を見学してきました。
今年の最高潮は5月2日!
ナビが金門を訪れたのは4月14日(旧暦3月24日)。この頃から着々と準備が進められているんです。もちろん、最高潮の旧暦4月12日のお祭りを見るのが一番活気もあり楽しいのですが、旅のスケジュールの関係でその日に都合がつけられなくて断念した方も多いのでは?何を隠そうナビもそのひとり(涙)。しか~し、金門の「迎城隍」は1カ月近くお祭り状態が続いているので、その間に金門旅行へ旅立つと「迎城隍」を体験できるというわけです。
「迎城隍」祭りは、後埔での「城隍爺」の誕生日(旧暦の4月12日)。後埔とは金城の昔の呼び名で、今でも金門の方は金城を後埔と呼びます。その昔、金門鎮にあった総兵署ですが、1680年に時代の変遷に伴い、当時栄え出していた後埔へ移駐しました。この際、「城隍爺」も後埔へやってきて、後埔にも「城隍廟」ができました。この日が旧暦の4月12日。つまり後埔における「城隍爺」のお誕生日となるわけです。この日に一年に一度、「城隍爺」の金門島民へのご加護への感謝、そして健康平安、無病息災を祈ります。金門の方は信心深く、今ある金門の繁栄は「城隍爺」がもたらしてくれたものだと強く信じているのですね。
ムカデ陣のちびっこたちは本番前からドキドキ!
16時頃、今回の出発点となる北鎮廟にやってきたナビ。そこにはちびっこ達の笑い声と親御さんの真剣なまなざしがありました。ここに集まっていたのはこの日ムカデ陣に乗るちびっこたち。18時半の出発を前に2時間半も前から準備に取り掛かっていましたよ。慣れないお化粧にずっと目をつむったままのちびっこや記念写真撮影に忙しい家族も!家族総出でこの日に臨みます。子供が無事にすくすく育っていくようにと願いを込めてお化粧をしているようでした。
始まりました~!
この日の行列は18時半から、北鎮廟⇒中興路⇒中興路南段⇒城隍廟⇒光前路⇒外武廟⇒民權路⇒六桂堂⇒内武廟⇒莒光路⇒貞節牌坊⇒模範街⇒金城車站⇒北鎮廟というコースで練り歩きます。
まずは腹ごしらえを!と莒光路のレストランでご飯を食べていたら、気付けば19時!慌てて外に出ようとした時に、ドンドンドンシャラ~ンという太鼓とシンバルの音が聞こえてきました。龍の頭とつながったムカデ陣が先頭を切って登場です。緊張気味で顔が強張っている子を担ぐ大人たち。夜なので、ムカデ陣がライトアップされているのも台湾らしい!続いて電音三太子の登場です。ダンスミュージックを大音量で流し、踊りまくります。簡単なダンスなので、ナビもいつの間にかノリノリになってダンスしちゃいましたよ~。そして十二婆姐陣がゆっくりと歩を進めます。白い仮面をつけた謎のおばちゃん集団。この謎はあとでご紹介!そして三太子が行列の最後を務めました。
コース内にはいくつか廟があるのですが、その前を通る際には拝拝や特別なパフォーマンスを行います。これも見どころのひとつ!やはり神様への感謝、これを一番大切にされているんですね。
廟の前では整列してダンスと拝拝!
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三太子の廟前パフォーマンスは素早過ぎてナビには撮影できず…><
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ここにちびっこ達は座っています
台湾や閩南の廟では重要な祭を盛り上げるために、様々な藝陣が街を練り歩きます。ムカデ陣とはそのひとつで金門では中国語で蜈蚣座と呼ばれます。台湾では他に台湾南西部の街で見られ、ムカデの形をしているとともに、龍の頭と鳳凰の尾をつけています。子供達は歴史上や神話上の神様に扮して椅子の上に座ります。これを人力で支え歩くのだから下の大人は大変です。子供が無事に成長しますように祈るのはもちろん、ムカデ陣に乗ることができるということは一族にとっても光栄なことなんですね。
練り歩き終了後にみんなで記念写真。西遊記の登場人物や神様がいますね~
女性の味方!十二婆姐陣
婆姐とは伝説によると子供の厄落としをする人達のこと。行天宮で青い服を着ているおばあちゃんたちと同じことをしてくれます。民間では「婆姐母」として崇められ、いつしか赤ちゃんの平安無事を守る神様として扱われるようになりました。えっ?ということは白い仮面をつけた謎のおばちゃん集団は神様の集団だったということ!!し、失礼しました…。赤ちゃんの衣食住すべてに対して守ってくれるだけでなく夜泣きまでも止めてくれるというすごいパワーの持ち主。婦人科の病気や安産、厄除けなど女性に優しい神様だったんです。
十二婆姐陣は赤い鳳仙襟の上着とスカートを合わせた「鳳仙装」を着て、白い手袋をはめ、左手には傘を、右手には扇子(うちわ)を持ち、婆姐のお面をかぶり練り歩きます。太鼓に身を委ね、赤ちゃんと女性の幸せを守ってくれているんです。
三太子って?
三太子は旗を5本後に刺しています
台湾旅行中に廟の近くに行き、三太子に出会ったことがある方も多いのでは?実はこの方達は哪吒太子と呼ばれ、道教で崇められている少年神なのです。廟で何か集会がある際などに大きなかぶり物をかぶって行進する、伝統的なものなのですが、最近ではディスクミュージックに乗せ踊りまくる電音三太子が登場。初めは風習を壊す!と眉をひそめる人もいたのですが、そこは自由の国台湾、みんなが盛り上がるならOKと徐々に市民権を得ています。神様に電飾をつけちゃうあたり、日本では絶対にできませんよね?
練り歩き終了後もお祭りは続きます
スタート地点の北鎮廟に到着し、練り歩きは終了。その興奮がさめやらぬうちに特設舞台では様々な出し物が披露されていました。地元の小学生たちによる太鼓演奏や金門縣長さんなどによる挨拶と続きます。その後なぜだか道の真ん中の椅子を片付け、端に寄って!と威勢のいい若者たちが怖い顔をして叫びます。ナビも端に寄りながらカメラを構えていたら、なんと!馬が走ってきたんです!!この馬が縣長さんに届けたのは今年の干支と金門迎城隍の文字が書かれた垂れ幕。この演出に縣長さんや民衆は大興奮。その後舞台では十二婆姐のダンスが披露されたり、日頃のダンス練習の成果を見せる方達など宴は続けられました。
このようなお祭りが約1ヵ月続き、「迎城隍」の最高潮を迎える旧暦の4月12日まで続きます。台湾のお祭りって面白い!他のお祭りもどんどん紹介していきますよ~!
以上台北ナビでした。