「台湾LGBTプライド・パレード」を突撃取材しました!!
こんにちは、台北ナビです。さわやかな青空が広がった10月29日の土曜日、アジア最大の同性愛イベント「台灣同志遊行/台湾LGBTプライド・パレード」に行ってきました。今年「第9回」を迎えたこのパレードへの参加は、去年に続いて2回目のナビ。「LGBT」というのは女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexuality)、そしてトランスジェンダー(Transgender)を表したもので、総統府前のスタート地点には性別・国籍・年齢を超えた参加者が集まり、見渡す限りの人・人・人……前進するのにかなり苦労しましたが、公式発表によると、参加者数はなんと5万人! 年々増えているそうです! (ちなみに第1回は700人だったとか)今年はパレードの列が二手に分かれることも決まっていて、本当にものすごい参加者数。みなさんが放っている熱気を目の当たりにして、驚くばかりでした。
集合場所は台大醫院!
パレード開始前からそのムードに圧倒されたナビでしたが、去年取材を経験した“先輩ナビ2人&ナビ友”の後を歩きながらキョロキョロ。まず目に入ったのは、キュートなナース姿の「サクラちゃん」。初参加ということで「何となく思いつきでナース服を選びました」と話していましたが、よく似合っていてかわいかったです。多くの人に声をかけられ、記念写真に応じる人気ぶりでした。
続けて気になったのは、高校生のグループ。「ボーイフレンド募集」というプラカードを持っちゃったりして、ピュアモードが溢れていました。
そして、甚平姿のグループを発見! “日本人かも……?”と思い近づいていくと、ビンゴという感じで日本語で話せるからか、いろいろ語ってくれました。この日のために初の台湾旅行を計画したそうで、「日本から来たとアピールするために、甚平を用意しました。東京のパレードに参加した経験はありますが、初めて台湾で参加するのですごく期待しています!」と笑顔を見せてくれました。エントリーはせずに会場へ直行したそうですが、これから10人近くが合流予定と言っていて、絆の深さを感じさせました。
駅構内も待ち合わせの人でいっぱい!
|
|
去年も会いましたねっ!
|
スタート地点には人・人・人
バルーンを背負って、ガンガン目立っていたのはゲイ雑誌「m1」のモデル&スタッフ集団。「グループとして初回から参加しているので、今日は9回目。僕自身は3回目です。ヨーロッパなど海外のパレードにも行っていますよ。普段はジムに行ったり水泳などで体をきたえています!」とメンバーの1人がさわやかに答えてくれました。
14:00には「彩虹征戦・歧視滾蛋!」(LGBTよ、戦っていこう! 差別を取り払おう!)というスローガンをみんなで叫び、パレードスタート。真っ白な羽根をつけたエンジェルが先頭に立ち、本活動のシンボルである“虹”が旗になって登場。50メートル近くあるのではないかと思えるロングフラッグで、7色が鮮やかに輝き、世界各国・性別・年齢などLGBTのさまざまな要素を色で表現しているかのようでした。
ナビも大好き!水男孩(WATAR BOYS)
信義路や羅斯福路などを廻る【東路線】のトップを歩いたのは、人気集団「水男孩(WATAR BOY)」。彼らがそばに来ると大拍手が巻き起こって歓声が沸き、その人気度が伝わってきました。実際に水泳をやっている男性がメンバーなので、焼けて引き締まった体と男らしさが魅力。腕を組んで楽しそうに歩いたり、白い歯がまぶしかったり、メンバーの笑顔がピカピカ輝いていました。彼らに続いたのは香港やマレーシアから来た外国組や、平等を訴える団体、宗教団体など。ナビがビックリしたのは、学校名を書いたプラカードを持った大学生の数の多さ! 前知識として頭に入れていたにも関わらず、“性に対しての偏見がゆるく、オープンな台湾って素晴らしい!”と実感し、感激してしまいました。同性愛を支持するサークルは、各大学にあると言ってもいい程なのだそうです。他にも性別を超えた本活動を支持しようと、子供達や動物達がたくさん歩いていました。
パッと目に入ったのは、美女3人組。手をしっかりとつないでいた中央の娘と左の娘がカップルで、「参加するのは当たり前」という感覚で毎年来ているのだそうです。
続いてハッピ姿の日本人を発見! 「みんなと写真を撮ったりしながらおしゃべりして、出会いが楽しい」と初台湾を満喫していました。ハッピを着ていると、たくさんの人が声をかけてくるのだそうです。
そして感動の再会もありました。去年会ってお話を聞いた大学生カップルを見つけたのです。日本語を勉強中の2人は大学4年生になっていて、交際は順調。去年はサングラスをかけていましたが今年は外して、堂々と参加。幸せムードをかもし出している、かわいい仲良しカップルでした。
思い思いに参加!
ふと気付くと、ナビのそばには「総統! 私達は結婚したい!」とうプラカードを持ったゲイカップルがいたり、歩道で見学していた男性から缶ビールを差し入れされて乾杯をしている元気なイケメンがいたりと、とにかくにぎやか。「毎年パレードで会いましょう!」と叫び続けるグループの声が響く中で、参加者の一員になっている自分を実感しちゃいました。
列に加わって歩きながらふと周りを見渡してみると、選挙に出馬する議員が車上でスピーチをしていたり、コンドームで作った服を着ている男性がいたり、コスプレ風にナース服とシスター服を着た女の子たちがいたりと、さまざま。みんなそれぞれが思い思いの姿で、自分自身のことや気持ちをアピールしているのです。「I’m GAY, AND YOU? (私はゲイです。あなたは?)」という問いかけは、特に心に残りました。
そんな中歩道でパレードを見ていた、フランスから来た18歳の美少年・Alexisくんに遭遇! 語学留学のために台湾に来てホームステイ中とのことでしたが、目を輝かせながら「パレードを見るのは初めてだけど、本当に楽しい!」と笑顔。一生懸命中国語を話してくれた上、「あいさつ程度なら日本語もOK!」としゃべってくれてとにかくキュートでした。1人で来ていたAlexisくんですが、男性にも女性にも声をかけられ次々と記念写真に収まっていたので、たくさんの友達ができたのではないでしょうか。
他にも印象的だったのが、パンストで作ったハート型のマスク&白衣を着用して歩いていた、男女のグループ。「愛と情熱」をキーワードに、エイズの危険性を医師や大衆に訴えたくて参加したそうです。それから沖縄の伝統芸能・エイサーの衣装に身を包んだ3人組もいました。実際に沖縄でエイサーをやっているそうで、「初めてパレードに参加しましたが、スケールの大きさにびっくり!」と話していました。「東日本大震災に多額な義援金を送ってくれた、台湾のみなさんに感謝したくて来ました!」と威勢のよい言葉を投げてくれたのは、東京から参加の祭スタイルのグループ。台湾の友達にもお礼を伝えたそうです。
パレード終了!
約3時間に渡って行われたパレードは、スタート地点の総統府前に戻る形で終了です。ナビは【東路線】を歩く一行についていきましたが、中華路や忠孝西路を歩いた【西路線】一行も、同じ頃に戻ってきました。各グループが到着すると、大きな歓声と温かい拍手で迎えられます。「お帰りなさい!」とみんなに声をかけている白人女性のカップルがいたので、話を聞いてみるとカナダ人とのこと。「台湾が大好きで今は住んでいます。今日は本当に楽しかった!」と感想を語ってくれました。そして手をつなぎながらすご~く幸せそうにしている、皮ジャン姿のおしゃれな男性カップルは「今日参加できて本当にうれしい。感動しました!」と目をウルウル。1人は3回目の参加でしたが、1人は初参加だったそうで、はにかみ顔がかわいい初々しい2人でした。
この日ナビは取材とは言えパレードに加わり、本当にたくさんの人に出会いました。育った環境や生活スタイル、背負っている事情や思い……それは1人1人違っていて、それぞれいろいろな物を抱えながら、毎日を過ごしているわけです。LGBTの人たちの心が開放され、多くの支持者の愛を感じることができる、「台湾LGBTプライド・パレード」は本当に意義深いイベント! そして5万人を集結させる、台湾ってすごい! と感じました。台湾の温かさ、ふところの深さを象徴するイベントなのかもしれない……取材中、秋晴れの空を見ながらそんなことを考えていました。ナビは時間の関係でパレードの取材後に会場を離れましたが、ステージイベントが続き代表者のスピーチやパフォーマンス、人気シンガーソングライター・張懸(Deserts Chang)のライブなど盛りだくさんで夜7時過ぎに終了となりました。毎年開催される秋の恒例イベントになっていますので、この時期台北を訪ねる時はぜひ見学してエールを送ってください。台湾の新しい一面が見られること、間違いなしのイベントですよ!