台湾のコシヒカリと呼ばれる池上米のふるさと池上の旅。初めての「辧卓」も体験!
こんにちは、台北ナビです。台湾にはおいしいものがいっぱいあること、それはみなさんも重々承知のことと思いますが…それでもナビが「コレはやっぱり日本の方がおいしい!」と、いちばん違いを感じているもの、それがお米。台湾のお米の方が乾燥しているといいましょうか…モチモチ感が足りない。そんな感想を持っていたナビは、早くにこの池上米に出会っておくべきでした…
「米郷」池上
台湾でいちばん有名な「米郷=米どころ」といえば池上。池上米は台湾のコシヒカリとも言われています。池上は台東の最北端にある郷で、大きな池の西北に位置していることから池上という名になりました。池上は台東の重要な農業地であり、豊かな自然環境の中で育った良質な池上米は、台湾中にその名を馳せています。日本統治時代には天皇も食していたそうです。お米がおいしいことから、そのお米で作られた「池上弁当」も有名。これは台湾だけでなく世界中に知れ渡るほどの、池上の名産とも言えます。
飛行機で台東空港まで。そこから車で約1時間で池上です。
今回は、「台湾好基金会」が主催する池上を紹介するメディアツアーに参加してきました。取材は10月初旬だったのですが、この時期は緑の稲がいちばん美しくなる時だということで楽しみに出かけてきました!
まず訪れたのは「池上飯包博物館」に併設されたレストラン。お昼時ということもあり、早速こちらで池上弁当をいただきます!…と、その前に。店の前には、以前実際に使用されていたという台鉄の列車が置いてあり、かなりいい雰囲気。列車の中にはテーブルが設けられており、こちらでお弁当を食べることもできるんです!これは旅先での駅弁気分も味わえてGOOD。店内もレトロな感じで統一され、駄菓子やおみやげも売られていて、なんだかタイムスリップしたみたいです…
さて、弁当が運ばれてきました!紙の包みが輪ゴムでとめられ、本当に“これぞ、昔ながらのお弁当”!ではでは、蓋を開けま~す。(緊張の一瞬…)中からは何種類ものおかずが顔を出しました。ぎっしり詰まってるといった感じ。ざっと数えただけでも、9~10種類はあります。紙の包みの裏側には、「弁当は外来語、飯包(ファンパオー)こそ正真正銘の土地の言葉だ」といちばん上に書かれ、その下には「おいしさの秘訣」などの説明書きが。たしかに弁当は日本語から来た外来語ですよね。そして、食べ方にも決まりがあるようです。1・2・3と箇条書きに書いてありました。
1:まずショウガの酢漬けを一口かじる。そうすることによって、口の中がさっぱりとし、より弁当のうまさを感じることができる。
2:続いて、モチモチとし香り高い米を味わう。お米こそ、弁当の主役であり、魂(!!)である。
3:次にお好みで、肉や衣揚げ肉、きゅうりの漬物、煮玉子、高菜などを食べる。最も伝統的な方法で調理されたこれらのおかずにより、昔ながらのこだわりを感じ、あなたの旅のおいしい思い出となるだろう。
などと書かれ、真面目に作られたこだわり(熱い想い)いっぱいの弁当であることがうかがえました。実際のお味の感想ですが、台湾の一般的な弁当に比べて油っぽいと感じることもなく、おかずを一口食べると、続けてご飯を一口食べたくなる、といった具合についつい食が進んでしまう、そんなおいしさでした。そして何より…米が違います!ご飯が光っていて、水気を含んでいるんです!
今回ナビは併設の博物館内は見学しなかったのですが、ここでは池上のお米文化の歴史や池上弁当の創始者はだれ?といったことを知ることができます。また、館内は7つのエリアに分けられ、昔使われていた農機具や写真なども展示されているそうです。
池上飯包博物館
住所:台東県池上郷忠孝路259号
電話:(089)862-326
お腹がいっぱいになったので食後のお散歩に出かけました。池上にはボランティアの観光ガイドさんが数名いらっしゃいます。ガイドさんの後について歩いていきましょう。台北とは対照的で道には人もまばらな、のどかな雰囲気…池上は花蓮・台東地区でも特に土地の低い地区であること、物価も都市に比べると非常に安いこと、市場は今は活気がなくなってしまっていること、などをうかがいました。すると店先にたくさんの刃物が並んだお店を発見!路地の奥には「福原打鉄工坊」と日本風の名前がついた鍛冶屋がありました。初めて鉄を打つ様を見学!汗をかき真っ黒になりながらも鉄を打つこの男性、鄭さんは三代目だそうです。少なくても7年の修行の後にやっと鉄を打てるようになるそう。男らしい職人の姿にしばし見惚れてしまいました…
多力米故事館
もうひとつの米博物館「多力米故事館」にやってきました。こちらのオーナー梁正賢さんの家は三代に渡り池上で米工場を経営しており、多くの方に池上米を深く知ってもらう目的で、2008年に故事館を設立しました。館内には日本統治時代から使われていたという、水力で動く木製のかなり大きな脱穀機が置かれていました!今は電力に変わりましたが、今でも動くというから驚き!大きな音をたてて動く様子は圧巻です。そのほか、こちらで有名なのが「お米アイス」!これはナビも以前台東で食べたことがあったのですが、自然なお米の甘みでおいしいんです~♪いろんな味があるので機会があれば試してみてくださいね。
多力米故事館
住所:台東県池上郷中山路193号
電話:(089)861-806
今度はバスに乗って「客家文化園区」に到着。台東は原住民が多いとばかり思っていたのですが、客家民族もいるそう。通常ここでは客家民族独特の服飾や楽器、生活用品などの展示を行っているそうですが、この時は特別展示で黄景楨という芸術家の凧の作品展示が行われていました。(12月19日まで開催中)
蘭嶼(ランユー)という台東の離島での漁に使われるタタラ舟とトビウオまでも凧として吊り下げられていました。彩が鮮やかでとってもキレイ!
台東県客家文化園区
住所:台東県池上郷新興村新光路1号
電話:(089)865-038
公式ホームページ(中国語)
ところで、今晩の「辧卓」の会場は文化園区前の広場です。「辧卓」とは中国語で「パンチュオー」と読み、屋外にテーブルを並べみんなでにぎやかに飲食する、いわば田舎の宴会です。台湾では南部の方で結婚のお祝いなどの際によく見られるのですが、ナビは実は今回が初めての辧卓!うれしい限りです…
舞台裏では準備中…
今回の料理は、ランディスホテルグループのオーナー厳長寿氏の協力により、ホテルのシェフの監修の元作られた特別メニュー!それを現地の主婦の方たちが手作りしたものなんですって!これは期待しちゃいますよねっ。
この日会場に設けられたテーブル数は全部で30!ちなみに、ナビも外国人ですが…ほかにも在台の中・南アメリカの大使が招待され、パナマ・ドミニカなどのお客様がいらっしゃり…すごい活気!ライブ演奏も始まり空も暗くなると一層盛り上がります。そこに料理が次々と出てきました。今日出てきたのは合計、なんと13品!最後にはお腹を抱えるほど満腹になっちゃいました。客家の豚肉の塩漬けや池上のマコモダケなどをはじめとした土地のものをたっぷり味わいました。池上米を使った米ケーキ(米糕)なんかは絶対食べなきゃと思い箸を伸ばしましたよ。なによりこのにぎやかな中食べるっていうのが、何倍もおいしく感じさせてくれるんですよね~。そして食後は…お酒は入っていないのですが、かなりハイになってきた大使の方々が音楽に合わせて踊りだし…ほろ酔いになったような心地よい気分のまま、お開きになったのでした…
今晩の宿は民宿の「福吉園」。中国式の建物がとっても素敵な民宿です。室内も清潔で気持ちよく過ごすことができました。朝食はベジタリアン食の中華スタイル。庭には放し飼いにされたニワトリがいて、ご主人が名前を呼ぶと寄っていき、カワイイんです。民宿の“看板鶏”と言えますね。
福吉園民宿
住所:台東県池上郷福吉二街111号
電話:(089)863-012
大坡池で竹舟に乗船!
2日目、朝はじめに訪れたのは大坡池です。台湾ではめずらしい天然の湿地で、生態環境が整っており、多くの動植物が生息し水鳥もいるんですって。また、エビがよく捕れるのだとか…
ここでは、毎年夏の時期に竹舟に乗船することができます。一人一本、櫂(かい)を手に手こぎで舟を進めていきます。美しい景色を眺めながら観光ガイドに耳を傾けましょう。
この池は池上断層の活動によってできた断層池。池の水は北側の低地から流れ出ており、川の源になっています。この日も池には枯れた蓮の花がたくさんありましたが、今では数がかなり少なくなっていて、昔の日本統治時代には池一面に美しい蓮の花が咲き誇っていたとか…その美しさは台東十景のひとつに数えられていたそうです。
大きな池で竹舟に乗る…貴重な体験ができました!
最高の景色!
池の周りも整備され歩道とサイクリング道があります。ナビたちもサイクリングを楽しみました。10月初めでしたが、強い日差しなので日焼け対策は必須です…この辺りはバードウォッチングにも適しているそう。少しすると目にも眩しい緑に輝く田んぼが広がりました。遠くには山があり…心が洗われるような風景です。疲れたら休んで…ガイドさんの話を聞きながらゆっくり自転車を走らせます。
ちょっと寄り道で、農家のお宅で焼き芋体験をさせていただきました。芋と卵をアルミで包み、土でできた窯の中で焼きます。こちらのお宅からものどかな景色が見渡せましたよ。
お昼に再び別のお店の池上弁当をいただくことに。入っているおかずはだいたい同じなのですが、味付けがちょっと違う…でも、変わらないのが、ご飯がおいしい!ということ。
そして、ナビは別のスケジュールのため、ひとりで池上駅から列車に乗るつもりなのですが…ここでもまた池上弁当に出会っちゃいました!ホームにふたり弁当売りの女性が。その女性の制服の背に日本語のメッセージがあったので、ナビ、話しかけてみました。
ナビ:「背中に日本語のメッセージがありますね?」
女性:「そうなのよぉ。うちのお店、日本のNHKの取材を受けたことがあるのよ!その時のサインだったと思うわー。」
ナビ:「えっ、そうなんですかぁ!ずいぶん有名なお弁当屋さんなんですね!?」
女性:「そうよ!うちだけが駅構内で販売することを許されてるのよ。」
ナビ:「でも、今はお昼時を過ぎていますが…」
女性:「毎日、朝から夜までずっと売ってるのよ。ひとつのホームにふたりで。やっぱり池上で弁当を買うのを楽しみにしている人がたくさんいるからね。」
おしゃべりをしていると列車がホームに滑り込んできました。すると女性は大きな通る声で「べんとう~」と発しながら、すべての乗車口に忙しく視線を送っています。そして、出てきたお客さんに目まぐるしいスピードでお弁当を売っていきます。ナビもひとついただき列車に乗り込みます。車窓から女性に「バイバイー」と手を振り、池上を離れました。
小腹が空いてから食べてみると…これもまた違った味わいがありました。しかも、時間が経っているのにウマイ!
同じ池上弁当といっても、店により特徴があり、どれを食べても同じ味ではないんですね。池上を訪れたなら、何種類かの弁当を食べ比べないと損!そう思いました。みなさんも台湾のコシヒカリ、池上米のルーツを探る旅、してみませんか?
以上、台北ナビでした。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2010-11-16