台湾野球史がおもしろい!

昔も今も日本と縁が深い台湾の野球、こんなに多くの日本人が活躍しているんです!

こんにちは、台北ナビです。台湾の野球は、何かと日本と縁が深く、グラウンドでも日本で使われるような言葉が今でもそのまま使われています。
バント  エンドラン  ファースト  ホームラン…
グラウンドに耳をすませてみると、聞き覚えのあるかけ声が聞こえてきます。そんな日本からの影響を強く受けている台湾の野球の歴史について簡単に紹介したいと思います。

1931年、甲子園に出場!


台湾で最初に野球の試合が行われたのは、1897~8年頃で、当時の日本銀行の駐在員達が空き時間に行った事からだ、と言われています。その後、台湾でも野球チームが続々と結成され、1917年の早稲田大学をはじめ多くの大学チームが台湾を訪れ、そのチームと親善試合を行うようになっていきました。
台湾の野球が日本本土でも注目されるようになったのは、1931年に夏の甲子園大会に出場した嘉義農林(現在の嘉義大学)が準優勝した出来事から。この時の嘉義農林は、日本人、台湾人、先住民族の混合チームでしたが、ファンの関心を集めたのは台湾人や先住民族達。身体能力の高さに猛練習で鍛えあげた技術で、日本の野球ファンに鮮烈な印象を与えました。この頃から、台湾での野球普及の主体が日本人から台湾人へと変わりはじめていきます。
2008年の大学野球選手権「梅花旗」の決勝終了後の様子で、青春を感じさせるもの。最後の大会になる4年生の送り出しの儀式で、本塁付近に水をまき、ぬかるんだ状態にして、そこへ飛び込んできた選手に水やらドロやらをかけていじり回す、という実に他愛のないものです。でも、こういう他愛のない儀式は日本だけではないんですね。

2008年の大学野球選手権「梅花旗」の決勝終了後の様子で、青春を感じさせるもの。最後の大会になる4年生の送り出しの儀式で、本塁付近に水をまき、ぬかるんだ状態にして、そこへ飛び込んできた選手に水やらドロやらをかけていじり回す、という実に他愛のないものです。でも、こういう他愛のない儀式は日本だけではないんですね。

戦後野球の変遷


第二次世界大戦後、日本の植民地支配の終了という体制の大きな変化が、野球の普及にも影響を及ぼしました。まず、「野球」という表現が日本の植民地時代を思い起こさせるものとして、「棒球」という表現に変えられ、中国大陸で人気が高いバスケットボールの普及に押されるようになっていきました。今でこそ、野球もバスケットボールも台湾では高い人気を誇るスポーツになり、多くの人々が気軽に行うようになりましたが、少し前までは「野球は内省人がするもの」、「バスケットボールは外省人がするもの」という感じの分けられ方がありました。戦後、リトルリーグの国際大会で、優勝7回、準優勝22回の実績をあげ、その中でも70年代の大会で活躍した選手達が成長し、80年代の国際大会及び日本のプロ野球での活躍につながっていきました。
2008年の大学野球選手権の「梅花旗」の決勝戦から、試合終了直後の様子。日本と違い、選手が缶ビールを手に持って、それをかけて喜んでいる様子。こちらも、日本との違いを楽しんでもらえたら。

2008年の大学野球選手権の「梅花旗」の決勝戦から、試合終了直後の様子。日本と違い、選手が缶ビールを手に持って、それをかけて喜んでいる様子。こちらも、日本との違いを楽しんでもらえたら。

日本で活躍し始める選手


80年代は、ロサンゼルス五輪で銅メダル獲得に大きく貢献した郭泰源(元西武)、莊勝雄(元千葉ロッテ)の2大エースをはじめ、郭源治(元中日)のように日本のプロ野球でも活躍する選手が目立ってきました。この流れを受け、一人でも多く優秀な人材を台湾に留められるよう、1989年にプロ野球リーグの中華職棒聯盟が設立され、翌1990年3月に開幕戦を迎えました。その後、バルセロナ五輪での銀メダル獲得等の明るい話題にも恵まれ、リーグは着実に成長。球団数も着実に増え、一時は7球団にまでなりました。

台湾プロ野球連盟の発足


そして、1997年には台湾大聯盟(TML)が設立された事で、更に4球団増え、11球団になりました。しかし、球団の増加に合わせて、技量の足りない選手もこぞってプロになったため、プレーの質が低下していきました。時を同じくして、この頃に最初の八百長事件が発覚。ユニホーム組から多くの逮捕者を出した事が、その後の観客動員に大きな影響を及ぼし、3球団が解散を余儀なくされました。これにより、各リーグ4球団になったものの、リーグ設立前後にあった様々な利害関係の対立から、今の日本やアメリカで当たり前のように行われている交流戦と各リーグのチャンピオンチーム同士の対決が全く無かったため、ファンには更に魅力がないものとなってしまいました。
そのため、この2リーグ制は長く続かず、2003年には中華職棒聯盟が台湾大聯盟を吸収合併するような形で、今の中華職業棒球大聯盟(CPBL)が設立され、1リーグ6球団の編成になりました。それによって、観客動員も一時回復したものの、その後も八百長事件が影を落します。

2008年からの動向


2008年は、米迪亞球団の組織がかりの八百長事件が発覚して除名処分を受け、事実上の解散となりました。そのしばらく後には、こちらも2007年に発生した八百長事件で選手5名が逮捕された影響等もあり、中信ホエールズが経営不振で解散を発表し、再度4球団になり、現在に至っています。
そんな台湾野球界で起き続ける不祥事をよそに、21世紀に入ってからはアメリカへ渡る選手が年々増え、MLBの舞台で活躍する選手も出てくるようになりました。中でも、2006、2007年と2年連続で19勝した王建民(ヤンキース)は特別な存在。多くの台湾人を魅了した彼の勇姿は、アメリカに渡った選手達だけでなく、野球少年達にも大きな夢と感動を与えています。

今後の行方は?


21世紀に入り、台湾では野球の主要国際大会が行われるようになっていきました。
 主要なものでは、
 2001年と2007年はIBAFワールドカップ
 2006年はインターコンチネンタルカップ
2007年と2008年は北京五輪の予選
アマチュアでは、2004年のAAA世界選手権(ダルビッシュ有や涌井秀章らが出場)をはじめ、今年は8月15~23日にAA世界野球選手権が台中の2球場で開催されます。台湾では、今後もこのような国際大会を積極的に開催していく方向にあります。今年3月のWBCアジアラウンドでの大きな挫折からの脱却を目指す、台湾の野球に関心を持って頂きたいと思います。

CPBL4球団の監督・コーチ(日本に縁のある方のみ)紹介


統一7−ELEVENライオンズ
監督:呂文生…昨年まで2連覇、今季も前期優勝を達成し、就任3季目にして名将の地位を着実に築きつつある。最近は宅急便のCMにも出演。
コーチ:一色優…コンディショニングコーチ
選手:
投手:#18 潘威倫…チームと球団を代表するエース。北京五輪代表
   #17 林岳平…チームではクローザー。3月のWBC代表では先発を務めた。
野手:#55 潘武雄…顔もパフォーマンスも高橋由伸(巨人)似。北京五輪、3月のWBC代表。

La newベアーズ
監督:洪一中…現役時代から代表経験が豊富で、北京五輪では代表監督を務めた。2004年後期から、La newの監督に就任し、現在に至る。
コーチ:呂明賜打撃コーチ(元巨人)
金崎泰英コンディショニングコーチ
選手:
投手:#81 許文雄…北京五輪の日本戦で先発して好投。西武の渡辺久信監督の台湾時代の教え子の1人。
野手:#52 陳金鋒…元ドジャースで、代表ではここ10年4番を務めた主砲。
   #31 林智勝…代表の経験も豊富な主砲。妻は、本拠地の澄清湖棒球場で炭焼きサンドの製造と販売している
兄弟エレファンツ
監督:中込伸…現役時代は、阪神でプレーした後、兄弟入団後はエースとして活躍。昨季から投手コーチとして復帰し、2009年5月6日の試合から監督に就任。
コーチ:選手兼任の陳瑞昌ブルペンコーチ(背番号15)と陳瑞振守備コーチ(背番号17)の兄弟が面白い存在
選手
投手:#22 小林亮寛…元千葉ロッテ。昨年はゴールデングラブ賞を受賞する等、ローテーション投手として活躍。3月には台北ナビのインタビューにも登場。
   #47 廖于誠…昨年からエースで定着したイケメン投手。3月のWBC代表。
   #71 曹錦輝…ロッキーズでは一時クローザーを務めた。兄弟に入団後は、毎週土曜日の先発で観客動員アップに大きく貢献。
野手:#23 彭政閔…北京五輪と3月のWBCでは、4番を務めた実力と、人気を兼ね備えた看板スター選手。
  
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小林選手インタビュー記事

兄弟エレファンツの彭政閔。日本のファンにはまだ馴染みが薄いのですが、彼は今の台湾球界で大変貴重な存在となっています。

兄弟エレファンツの彭政閔。日本のファンにはまだ馴染みが薄いのですが、彼は今の台湾球界で大変貴重な存在となっています。

興農ブルズ
監督:徐生明…アテネ五輪の代表監督。修士の学位を持ち、過去には大学の教壇に立った事もある。
コーチ:寺岡孝ヘッドコーチ(元広島他コーチ)
    武藤潤一郎2軍投手コーチ(元千葉ロッテ)
選手
投手: #75 正田樹…昨年まで阪神に在籍。日本ハム時代に新人王を受賞した事もある実績通りの活躍を見せ、7月30日現在10勝とエース級の働き。
   #97 林克謙…7月30日現在7勝で、前出の正田と共に先発ローテーションを担う。3月のWBC代表。
野手:#9 林益全…今季からチームに加入し、7月30日現在70打点で打点王争いトップ、打率も0.392と期待以上の活躍。3月のWBC代表。
   #49 張泰山…今季は不調ながらも、代表での実績と経験豊富な人気選手の1人。北京五輪では、不運なドーピング違反で出場できず。

2009年5月に行われた大学、社会人を含めたアマチュア大会の試合中の様子(台中棒球場にて)。台湾各地では、様々な野球の試合が行われています。

以上、台北ナビでした。
関連タグ:野球プロ野球リーグ中込伸

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-08-05

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