2008年の元宵節も地方各地で派手に「お祭り」がおこなわれました。内容を後追いリポートいたします。興味のある人は、来年の下調べとしてどうぞ!
こんにちは、台北ナビです。さて日本人にはあまりなじみのない「元宵節」ですが、ここ台湾、特に中華圏では、とってもとっても大事な節句の一つなんです。この元宵節の一日は、台湾全土、また台湾に限らず、中国・各地のチャイナタウンで、大規模なお祭りが朝から催されています。特に、台湾に限っては、この元宵節のお祭りは非常に地域色が濃く、日本人には考えられないような発想で派手にお祝いがおこなわれています。ただ、それぞれの地域に密着したお祭りのため、台湾に住んでいない日本人、はたまた中国語が読めない日本人にとっては、情報収集が非常に困難。話には聞いていても、「行きたくても行けない!」とヤキモキしている人が沢山いらっしゃるのでは。今年2008年の元宵節はもう終わってしまいましたが、来年以降の為に、そして行きたくても行けなかった方々のために、NAVIがレポート!
元宵節とは…
そもそも元宵節とはなんぞや?これは別名「小過年」と呼ばれていて、旧暦の1/15に当たります。旧暦の1/1は旧正月で、昔の農耕時代は旧暦の1/1-1/15の間は、仕事はしない!ことになっていました。ということで1/15は仕事始めの前日、旧正月の一番最後の日なんですね。お祭りのほかにも、現在でも民間に根付いている風習の一つに、「元宵(湯圓)」と呼ばれる丸い白玉みたいなものを食べる習慣もあります。
台湾の見どころ「元宵節」のお祭りは?
台湾の有名な元宵節の伝統祭りは、計3つ。そして最近では、政府が主催している「ランタンフェスティバル」も加わり、計4つといったところでしょうか。 さて、その伝統行事の三つとは…
1 台北県 平渓のランタン飛ばし
2 台南県塩水の蜂炮
3 台東の炮炸寒単爺そして政府が主催するランタンフェスティバルですが、これはここ数年継続して行われているイベントです。毎年各地域の県・市政府主催でランタンフェスティバルが行われていますが、国家主催の大規模なものが毎年違った地域で行われます。2008年は台南県のサイエンスパークで行われ、規模は今までの最大で250ヘクタール以上という大規模さでした。
さて、今年、NAVIの知り合いが、この四つすべてを3日間かけてまわるという偉業を成し遂げ、そして写真の提供までしてくださいました!せっかくこんなに写真をいただいたので、会場へのアクセスも含め、皆様に各お祭りの大胆さを写真で伝えることにいたします。来年はぜひ、あなたが、このダイナミックさを体感しに来台する番です!
1 台北県 平渓のランタン飛ばし
九イ分に行く時に降りる電車の駅「瑞芳」駅から出ている、ローカル線「平渓線」これが、このランタン飛ばしを支える公共交通機関。別にランタンを飛ばさなくても、この古―い単線の感じは、南国の異国情緒をあふれさせています。さて、ランタン飛ばしの会場は十分駅からほどない所にある「十分広場」。当日は、ものすごい人だかりで、駅にも電車にも人がギュウギュウ。広場に行けないっと迷うことは、まずないでしょう。
ここで行われる行事は、「ランタン飛ばし」ですが、これはNAVIが今までで見てきたどの伝統行事よりも「ロマンチック」感あふれるお祭りです。一般的に「ランタン」と聞くと、大体30センチ角ぐらいのものを思い浮かべるのが通常ですが、ここで使われるランタンは、日本人の想像を超える代物です。なんと、このランタン、規模は四方1メートルぐらい、そして素材は紙。これをどうやって飛ばすかというと、気球と同じ原理で、ランタンの中に燃料を入れて、空に飛ばしあげるのです。
このランタン、実は平和の象徴なんです。その昔は、諸葛孔明が戦争中の連絡手段として発明し、別名“孔明燈”なんてよばれてもいます。その後、この平渓の地に漢民族が移民してきたときに、盗賊が村を過ぎ去った時に、ほかの村へ安全を知らせる徴としてこのランタンを飛ばし始めたのが由来と言われています。そのため、このランタンは今でも「平和の象徴」としての意味が強く、別名「平安燈」とも呼ばれています。現在は、ランタンの紙の部分に参加者みんなで各自の「お願い事」を書き、そして、空に飛ばし神様に願いと平安を届けるんです。あっという間に飛んでいくこのお願い事、神様が聞き入れてくれますように!
ランタンは、当日会場付近のどこにでも売っています。
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掛け声と同時にあげるその姿は、言葉では表現できないほどロマンチックで、温かい雰囲気です。みんなで平和の願いを空に届けよう!
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★台北からのアクセス ★
・MRT動物園駅から臨時シャトルバスで約1時間20分(50元。帰りは無料)
・台鉄台北駅から東部幹線の列車で瑞芳駅へ。瑞芳駅で平渓線に乗り換え十分駅下車(約1時間20分)
※ただし日によって開催場所がかわります
さて、次にやってきたのは台湾南部の台南県塩水。台南県で一番大きな都市は台南市ですが、この塩水は台南市からも、また少し離れている、要するに田舎の地。でもこの元宵節の一日だけは、台湾中のありとあらゆるメディアが死に物狂いでこの地に訪れ、一躍有名になります。それもすべてこの元宵節に行われる「蜂炮」の派手さが原因。
とにかく、まわりが煙で見えなくなり、耳の鼓膜が破壊されるのではないかと思うほど爆竹を鳴らしまくるのがこの「塩水蜂炮」の特徴。昔疫病がこの塩水の町に流行っていたころ、疫病払いの意味で、町の守り神である「関帝廟」の神様に、三日間廟の周りで爆竹を放ったお祭りを行ったところ、その疫病がおさまったため、その後も続けられている、というのが由来とされています。(ほかにも諸説ありますが)
昨今、この派手なお祭りがテレビで放映されてからというもの、台湾全土でとても有名になり、また火薬技術の発達とともに、爆竹の威力も増し、お祭りの華やかさとは裏腹に、非常に危険度の高いお祭りとなってしまいました。毎年必ず3~4人のけが人が出るのは当たり前。このお祭りを見に行く人々は、安全心がけて参加しなければなりません。
お祭りなので、いろいろな廟の神様も出陣します。でも…
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もちろん神様はプラスチックのケースに保護されています。さもなくば…
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音だってすごいんです!耳栓があっても痛いぐらい!まるで空襲警報が発令されたかのような!でも向かう先は爆竹が爆発する中心部へ!
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行かれる人は、この看板が意図するように、厳重防備でお願いします!自分の身は自分で守ろう!
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★台鉄台北駅からのアクセス★
台湾鉄道西部幹線新営駅下車後、新営客運バス乗り換え。バスで約20分(22元)。
さて、こちらも同じく「爆竹」系のお祭りです。舞台は台湾の東部台東県。竹の椅子を四人の青年が担ぎ、その椅子に、「寒単爺」扮する一人の若者が、赤いパンツを一枚だけ身に付け、荒れ狂う爆竹の中を神輿の椅子に乗って練り歩くというお祭りです。想像するだけでも寒気がする、恐ろしいお祭りですが、爆竹が派手であればある程、財運が付くと言われていて、地元の人々は、喜んで爆竹をこの寒単爺に投げつけます。
寒単爺がただ一つ持っている防具!?は、一本の果樹丸の扇子。もちろんこれだけで、空中から無数に向かってくる爆竹をよけることができるわけはありません。当然のことながら全身に爆竹を浴びるわけです。
この寒単爺のいわれは諸説あります。寒単爺は、寒がりな財神“趙公明”が乗り移ったもので、爆竹を使ってその寒がりな神様を温める意味があるとか、神様が乗り移っている(不死)ということを証明するために、わざと爆竹を投げつけ、動揺しないかを確かめる、とか、寒単爺は春の神様で、冬を追い払うための儀式だとか…
昔は台湾各地にあった寒単爺ですが、現在完全な形で残っているのは台東。また、新竹南部(桃園)あたりでも行われることがあるとも聞きます。
★台鉄台北駅からのアクセス★
台鉄(在来線)自強号で台東駅へ。最速4時間30分~5時間30分程度ですが、時間帯や列車によって所要時間がちがいます。
また乗り換えが多いですが、台北から高鉄(新幹線)で新左営へ。そこから台鉄(在来線)の普通列車で高雄駅まで自強号に乗り換えてのアクセスも可能(4時間30分程度)
ほとんどの会場は、旧市内→旧台東駅周辺で行われますのでバス(鼎東客運)もしくはタクシーで行く必要があります。
さて、もう恒例になったランタンフェスティバル。台湾の大きな都市ではどこでも行政主催で行われるのですが、台湾で一か所だけ、国家が主催で行われる最大規模のランタンフェスティバルがあります。今年の国際ランタンフェスティバルは、今までで最も規模が大きく、国際色を高めたいという政府の意向から、日本の何組ものダンスグループを、お祝いのイベントに招待したほどとっても派手なお祭りでした。でも招待された海外からのダンスチームは、日本だけ。台湾の親日ぶりがよーくわかったプログラムでした。
今年はねずみ年だったこともあり、会場のメインステージには、巨大なネズミが光り輝いていました。
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これは高雄からの出店。高雄の蓮池潭にある有名な龍虎塔バージョン。この中に人が入って、最後に虎の口から出てくる仕組みになっています。
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企業だけではなく、地元の学校やコミュニティで作っている大型ランタンも見もの!
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平渓のランタン飛ばしとまではいきませんが、みんなでランタンに願い事を書いて吊るすということもしています。ランタンを買ったお金は、寄付金として様々な社会団体に寄付されます。
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この台湾政府主催のランタンフェスティバルは毎年場所が違っています。(大体南部が多いですが)来年はどこでしょうか。また今年のランタンフェスティバルは、三月で任期が終了する大統領“陳水扁”の故郷「台南」で行われるということで、その意味でも注目されたのでした。来年はどこで行われるのでしょうかぁ…
以上、台北NAVIがお伝えしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2008-03-04