鉄道の廃線跡を利用したレールバイクやSNS映えスポットなど、おもしろさ盛りだくさん
こんにちは、台北ナビです。
台湾の北東部といったら何を思い浮かべますか?実は台湾を訪れたことがある方なら一度は行ったことがあるであろう「九份」や「金瓜石」は台湾の北東部にあるんですが、それ以外の場所に行かれたことのある方はあまりいらっしゃらないはず。何を隠そう、台湾に10年以上滞在しているナビも、北東部は九份や金瓜石などを除いてノータッチだったのです。
ただ、最近になって基隆と九份のちょうど中間地点にある港町、深澳が密かな人気スポットになっていると聞きつけ、早速行って参りましたよ!爽やかな潮風が吹き付ける海沿いで、新しい台湾の風景を見つける旅に出発しましょう!
まずやってきたのは台鉄「八斗子」駅。台北駅からなら各駅停車型の区間車に乗って1時間ちょっと。九份への玄関口、瑞芳駅から乗り換える深澳支線の終点駅です。
東シナ海に面するこの駅、風光明媚な場所にあるため、以前からそこそこ知名度があったのですが、2018年末に鉄道の廃線跡を利用したレールバイクが開通し、最新のレジャースポットに変貌しました。
この鉄道は元々、日本統治時代に周辺地域で採掘された石炭の運搬を目的に建設された軽便鉄道にルーツを持ち、戦後は深澳にあった火力発電所に石炭を運んだ歴史ある路線でした。そんな線路の上を、フグの形をした可愛い自転車に乗ってサイクリングが出来ちゃうんですよ。
フグのような形をした自転車は2人乗り
レールバイクは2019年1月現在完全予約制です
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自転車がずらっと並ぶ姿は圧巻
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2019年1月の時点では完全予約制。乗車受付開始前には駅前に行列が出来ていましたが、乗車が始まればいたってスムーズ。廃線跡の冒険に出発しましょう。
座席は硬いプラスチックで座り心地はお世辞にもいいとはいえないのですが、それ以上にナビを苦しめたのが、座席の位置を前後に調節できないこと。ナビは高くもなく低くもない身長168センチ。ただ、座席に深く座ると、まさかのペダルに足が届かないというなんとも恥ずかしい事態に。。。
確かに台湾人は基本的に足が長い人たちが多いのですが、こんなところで短足を実感させられるとは……。かなり浅く座ってやっとペダルがこげる状態になりました。なので、小さいお子様は座席に座れてもこげないので注意が必要ですね。
出発です!
ペダルは最初こそ重さを感じますが、一度動き出すと加速はスムーズ。アスファルトの上を普通の自転車で走るよりも抵抗を感じません。2人乗りのレールバイクですが、1人で乗ってこいでも全く問題はなく、鉄道のメリットを十分に生かしている様に感じられます。
駅を出ると、すぐに古い民家が立ち並ぶ集落の中を走ります。洗濯物が干してあったり、水道が流れる音や、何かのモーターが動く音が聞こえたりと、生活感の漂う風景。お世辞にも美しいとはいえないのですが、いつもは表通りに面した部分しか見られないのと違って、台湾人の生活の裏側がのぞけるというのは、ちょっと興味深いです。
誰もいない海。2人の愛が確かめられるかもしれません
集落を抜けると、左に東シナ海を望む海岸線が広がっていました。まばゆい太陽の光と波の音、潮風がとっても気持ちいいです。スピードを落として記念撮影のベストスポットです。
ちなみに、前後のグループとは約30秒間隔で出発するので、ゆっくりしすぎてしまうのは禁物。追い越しができないので、後続に迷惑がかかってしまいます。とは言うものの、前に近づき過ぎてしまっても、視野が狭まって雄大な風景が楽しめないので、微妙なさじ加減が必要です。
また、前の車両への追突にはくれぐれもご注意を!ブレーキが付いていますが、レールの上を走る特性上、停止するまでに時間がかかります。思わぬケガを防ぐためにも、スピードの出しすぎや、過度な接近は厳禁ですよ。
そして次に見えてきたのは、古めかしいトンネル。恐る恐る中に入っていくと……
光の世界が広がっていました!
とっても幻想的でカップルにはピッタリですし、お子様連れは大喜びしちゃうかも!
トンネルを抜けると、沿線は先ほどと打って変わって山あいの風景に代わります。亜熱帯の植物が間近に見られ、気分はジャングルクルーズ。
そして最後に見えたのは、石炭搬出施設の廃墟。線路を跨ぐように掛けられた橋が未だに残っていて、かつてこの場所が台湾の産業を支えるために賑わっていた形跡が忍ばれます。ちょっとだけ歴史を知られるのが楽しいですね。
そして終点に到着。ここから折り返して八斗子駅に戻ってもいいのですが、ナビは歩いて約10分ほどの場所にある深澳漁港に向かうことにします。
深澳漁港で台湾の港町を散策
深澳漁港は、周辺海域に岩場が多く、磯釣りで古くから栄えた漁港です。漁業資源が豊富な東シナ海に面していて、イカ釣り漁船の基地にもなっています。多くの漁船にたくさんの電球がぶら下がっているのは、夜間に明かりに近づいてくるイカの性質を利用して漁をするためです。
集落を歩いていると、こんな海に近い場所でもかつて石炭採掘が行われていた形跡が見られます。山の斜面に残る炭鉱の入口や、海側に向かって伸びる海底炭鉱のコンクリートの入口など、意識しないと気付かない遺構が残っています。
海のすぐ近くまで断崖が迫る深澳。インディアンの横顔に似ているといわれる崖がありました
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こちらはゴリラの横顔にそっくり。肉眼で見た時はあまり感じなかったのですが、写真だとはっきり見えます
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イカの一夜干し作りに挑戦~
さて、深澳にある媽祖廟では、地元名物のイカの一夜干し作り体験が出来ます。地元の人たちがボランティアで指導に当たってくれます。
とはいっても、作業はとても単純。「はさみで身を切り開いて内臓を取り出し、干すだけ」です。
ただ、実際にイカをさばいたことのある人はあまり多くないはず。慣れない作業に参加者一堂、恐る恐るはさみを入れます。時々悲鳴が上がりながらも一通りの手順を終えると、なんともいえない達成感があります。
実は中国語で「イカ」はたくさんの名前があります
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トビウオの卵入りソーセージやイカ墨ソーセージも売っていました
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新鮮な海の幸に舌鼓
深澳漁港は小さい港町ですが、新鮮な海の幸が味わえるレストランがあります。新鮮さの証拠は、柔らかい口当たりと、自然な甘さ。一口食べた瞬間に「う~ん♪」と思わず唸ってしまう美味しさでした。
実を言うと、大都会台北ではなかなか美味しい海鮮類に出合える機会は決して多くありません。ならば少しだけ足を伸ばして漁港にやってくれば、美味しい食材にありつけるということを体感できました。
人気のSNS映えスポットで大自然の力強さを再確認!
お腹がいっぱいになったところで、今度は漁港の奥の岬へと足を進めましょう。実は、この岬に近年突然人気になったスポットがあるんです。
肌色の岩場が続く海岸を進んでいきます
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波打ち際には緑色のコケがびっしりと付いていてちょっと綺麗ですが、滑りやすいので気をつけて
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海岸を慎重にゆっくり進むこと約15分。たどり着いたのは「象鼻岩」と呼ばれる穴の開いた岩場。波と風の浸蝕によるもので、原理としては野柳の女王の頭と同じです。
かつてこの場所は軍事的要因から一般人の立ち入りが制限されていたこと、地元の人はあまり近づかず、地形のおもしろさに注目されていなかったことから、最近まで知られていなかったのですが、インターネットやSNSの普及で爆発的人気となり、平日、休日問わず多くの人が観賞に訪れるスポットとなっています。
漁港には倉庫の屋上部分を利用した遊歩道があり、漁港や周辺の風景を眺めながら散策できるスペースがあります。
対岸に見えるのは海に迫った山とその右側の斜面に広がる集落。実はこれ、有名観光地の九份と鶏籠山です。山の下から九份を眺めるということはあまりないことだと思いますが、改めて地理が確認できます。手前は深澳港で、台湾中油のタンカーが停泊しています。
昔の映画館で豆腐作り!
さて、最後にやってきたのは金瓜石や十三層遺跡に近い集落にある「山城美館」。かつては映画館だった建物を利用したショップ兼カフェです。ナビはここで、豆腐の手作り体験に挑戦してきました。
道具はこちら。シンプルです
この日は時間の関係で、豆乳ににがりをいれて固め、型に入れて豆腐を作ると言う一番簡単な作業に挑戦しました。時間に余裕があれば、大豆を蒸して豆乳を作るところから作業が出来ます。
木綿豆腐よりもさらに歯ごたえのある中華豆腐
実は金瓜石周辺は、湧き水が美味しく、古くから豆腐の製造が盛んでした。この日作った豆腐は日本の絹豆腐のような食感で、そのまま食べても大豆のいい香りが口の中いっぱいに広がったほか、台湾風にしょうがシロップや、甘い醤油ペースををかけたりしても美味しくいただけました。
液体が徐々に固まっていく様子が見られる豆腐作りは、親子旅行に最適かもしれません。
また、豆腐が固まるのを待つ空き時間を利用して、木製風鈴作りも出来ました。ガラスで出来た風鈴のような甲高い音ではなく、カラカラという落ち着きがありそれでいてぬくもりを感じる音がして、思わぬお土産が手に入りました。
華やかな九份や基隆の陰に隠れて、まだまだ知られていない深澳。そこには素朴ながらも、人々の暮らしに寄り添いながら培われてきた文化や風景がたくさんありました。新北市にありながらも自然の魅力を思う存分に味わえる場所です。ぜひ皆さんも訪れてみてはいかがですか?
以上台北ナビがお伝えしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2019-03-15