6月25日(土)に、台湾文化センターで「台湾・日本 劇場連携フォーラム」が開催されました。
1992年に「台中オペラハウス」建設計画が提唱され、2005年の国際デザインコンペで日本人建築家・伊東豊雄氏が選ばれました。
それから10年以上もの歳月をかけ、ようやく今年、台中国家歌劇院がオープンすることになったのです。
会場に詰めかけたのは、普段、この台湾文化センターのイベントにやってくる台湾好きの人とはちょっと雰囲気の違った、
建設業界や舞台・劇場関係者たち。
それもそのはず、伊東豊雄氏はこれまで、「仙台メディアテーク」「多摩美術大学図書館」「台湾大学社会学部棟」など、
数々の有名な建築作品を手がけてこられたんです。
その設計手法を学べるとあって、建築を学ぶ学生さんなども参加していました。
これが、その台中国家歌劇院の外観です。
無機質な高層ビルが建ち並ぶ中、緑に囲まれた優しい曲線の建物が異彩を放っています。
伊東先生が壇上に上がると、会場からは大きな拍手が。
「この台中国家歌劇院はどうしてこんな不思議な形をしているのか。それは、私が影響を受けたチベット仏教と関わりがあります」
そう話し始めた伊東氏は、森や土地を無神経に切り崩すのではなく、自然のルールを大事にしながら
建築をしていくチベットの人々の考え方を、写真や図を使ってわかりやすく解説していきます。
「人間は幾何学でしか建築物を造ることができない。
でも、無機質な四角形を積み重ねていく東京の高層ビルのような建て方では、
自然のダイナミックな、混沌としたエネルギーは失われてしまい、そこに住む人も均一化していってしまう」
そこで伊東氏は、直線にひねりを加え、ずらして曲線や空間を生み出し、
このメッシュ模型で表されるようなダイナミックな建物を造っていったのです。
その鮮やかな手法は、建築ド素人のナビでも思わず引き込まれてしまうほど。
これは実際の歌劇院の内部CGです。
四角い壁やドアで仕切る、つまり壁に穴をあける発想ではなく、部屋から部屋へと水が流れるように、自然に入っていけるイメージなんだそう。
「この歌劇院には大・中・小3つのホールがありますが、それ以外のどの場所でも音や光や空気の流れを感じられます。
建物全体が劇場なんです」
建物の外観はすでに出来上がっており、夜になると壁面に美しいプロジェクションマッピングが浮かび上がります。
これだけでも見に行く価値がありそうですよね。
台中国家歌劇院芸術総監の王文儀さんも来日。
この歌劇院で今後、どのようなパフォーマンスが繰り広げられるのか、その未来展望を熱く語ってくれました。
また、伊東氏、王さん、日本芸術文化振興会顧問の織田紘二氏による質疑応答の時間もあり、さまざまな質問が飛び交いました。
講演のあとは、台湾料理を囲んでの懇談会。
魯肉飯、擔仔麺、台湾香腸、蘿蔔糕、愛玉、そして台湾ビールまで、本格的な小吃がたくさん並んでいます。
次から次へと人に囲まれ、食事をする暇もなさそうな伊東氏。でも、建築の話をしているときの彼は本当に楽しそうです。
「日本のコンペでは、こんなデザインが通ることはないと思う。施工会社がなかなか決まらなかったり、
工期が遅れたり、本当に大変だった。あれ(歌劇院)が実現したことは奇跡だ」
伊東氏をしてそう言わしめる台中国家歌劇院。ナビも今度台中に行ったら、ぜひ立ち寄ってみたいと思います。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2016-07-06
臺中國家歌劇院で観劇したら「好樣Food Play餐廳」でお食事をしよう!
臺中國家歌劇院はもうすぐ1歳のお誕生日を迎えます☆