台湾を拠点に活躍する日本人の中でも異色!中国語のネタで笑いを取る芸人さんの素顔に迫ります!
こんにちは、台北ナビです。今日は台湾で活躍する1人の芸人さんをご紹介したいと思います。
台湾はご存じのとおり親日家が多く、日本文化も非常に浸透しているところなので、ここを拠点に活動する俳優さんやタレントさんも少なくありません。しかし今回ご紹介する「ねんど大介」さんはその中でもちょっと異色。台湾のバラエティ番組にレギュラー出演し、中国語でネタを披露。台湾人を相手に真正面から笑いを取る本格派の芸人さんなんです。
まだ台湾で活動して1年半だというのに、2014年8月23日には「お笑いンピック」というイベントを開催するねんどさん。出演者は台湾の有名お笑い芸人に加え、日本からはるな愛さん、WAHAHA本舗の梅ちゃんこと梅垣義明さんなど豪華メンバーが揃います。このキャスティングはすべてねんどさんの人脈によるものなのだとか。しかも実はこのイベント、昨年12月に続き2回目!これだけ短期間にレギュラー番組を持って、2回もイベントを開催するなんて、すごくパワフルだと思いませんか?
何を隠そう昨年の「第1回お笑いンピック」には、自らチケットを買って見に行ったお笑い好きのナビ。ステージでもバイタリティーあふれる芸人魂を見せてくれたねんどさんの情熱がいったいどこから来るのか、ずっと気になっていました。念願かなって今回ついにインタビューが実現。気になることを根ほり葉ほり聞いてみました。
台湾人を本気で笑わせるお笑い芸人、ねんど大介さんの素顔とは!?
――台湾に来る前はどのような芸能活動をしていたんですか?
「台北に来る前の拠点は中国大陸だったんです。さかのぼれば19歳の時…人生が変わったんですよね。福岡生まれで、高校時代は九州でロックンローラーを目指していたんですけど、上京して1年で、才能ないって諦めて帰ってきちゃった(笑)」
――ずいぶん諦めが早いですね(笑)。そこから中国へのつながりが、まだ全然見えませんが。「夢破れるのが早いですよねぇ(笑)。でも僕切り替えが早くて、バンド時代に知り合った音響会社の人に誘われて、長崎ハウステンボスで照明の仕事を始めたんです。当時のハウステンボスは資金が潤沢でね、ブロードウェーの俳優を呼んだり、一流オーケストラが出演したり、ものすごく豪華なステージだったんですよ。まだ19歳だった僕はカルチャーショックを受けちゃってね。特に当時出演していた一流マジシャンやジャグラーに夢中になっちゃって、彼らにくっついて芸を教えてもらったりしていました。彼らのステージはもちろんコミカルなんだけど、なんていうか人生の悲哀みたいなものがあって、1人で世界観を作ってしまう姿に憧れましたね。今もその影響は受けていると思います」
――中国へ向かった理由は?「ハウステンボスに中国雑技団も出演していたんです。そりゃもうすごい衝撃でした。同じくらいの歳の子たちが活躍している姿に燃えちゃって。そのうちの1人の女の子に淡い恋心をいただいたのも大きかった」
――中国雑技団とお近づきになるために、中国語を勉強し始めたんですか?
「彼らの楽屋に行くようになって、最初は笑什麼(何笑ってんだよ)?なんていう言葉から耳で覚えてね。そのあと中国まで追いかけて行って、結局好きだった子には振られちゃうんだけど(笑)」
――そこからずっと中国に滞在していたんですか?「いや、20歳くらいから行ったり来たり。僕自身は20歳の時に地元の結婚式でマジックやジャグリングのネタをやって、それが芸人としてのスタートだと思ってるんです。その後21歳で日本料理店の店長として上海へ。一年後22歳に日本に戻り留学の準備。23歳に留学で天津へ!中国語と雑技を勉強して、24歳、帰国してからは東京で芸人として再スタートしました」
――東京ではどのような活動をしていたんですか?「井の頭公園でストリートパフォーマンス。そのころWAHAHA本舗の方に声をかけてもらって、入団することになったんです。東京ではバラエティー番組やドラマにも出させてもらったりしていて、飯は食えていたんですが、達成感が得られなかったんです。そのころ中国出張に行って、居酒屋でネタをやったら受けたんですよね~。やっぱり中国人を笑わせるのが僕の使命なんじゃないかと、2006年に上海へ。ここから大陸で腰を据えて芸能活動を始めました」
――上海ではかなり有名になって、2010年の上海万博で日本館の司会を務めるまでになったとか。
「上海では『粘土大介』っていったらそこそこ有名なんですよ(笑)。上海のビートたけしって言われるほど有名な大物芸人【王汝剛】の弟子になったり。ステージも数えきれないくらいこなしたし、ひと月でレギュラー番組やイベントなどお仕事が24本もあったり!知名度は人気ドラマ『愛情公寓』に出て一気に上がりました。上海には劇場と飲み屋を兼ねた『上海笑劇場』っていうのを作って毎日ライブをやっていたけど、その劇場は結局つぶれちゃったんだよなぁ(笑)」
中国や台湾の人の名前をきちんと調べつつ教えてくれるねんどさん
――台湾へ拠点を移したのは、尖閣諸島問題で日本と中国の関係が悪化したからですよね?「本当にまさかですよね。あっという間に街で日本語が喋れないくらい状況が緊迫しちゃって。中国政府の意向で日本人をテレビに出せないと、ひと月24本もあった仕事が尖閣問題で一気に2本に減ったんです。
台湾に来るにあたっては、『一心一意愛上你』というドラマで共演した楊大為さんに相談したりしました。このドラマはね、中国在住の台湾人が撮った作品で、主役2人が台湾人だったんです。1人はドラマ「籃球火(ホットショット)」にも出てる張雁明という子ですよ。残念ながらドラマはヒットしなかったんだけど(笑)、台湾の人たちと仲良くなれたのは僕にとって大きかった」
――台湾では自力で事務所を探したとか。「そうです。ほそーいツテを辿って連絡先を教えてもらい、自分で売り込みました。事務所が決まったとたん、会社が製作するバラエティ番組『瘋神無雙』にレギュラー出演が決まって、今に至ります。東日本大震災の時の感謝をこめて、事務所とは2013年3月11日に契約しました」
第1回お笑ンピックの出演者たち
――そこから1年足らずでイベントを開催したんですね。「そうです。自分でスポンサーを集めて、日本側の出演者だった嘉門(達夫)さんや(長州)小力さんにも自分で声をかけて。台湾からは『瘋神無雙』のレギュラー陣が出てくれたので、番組ファンの学生さんがずいぶん見に来てくれました。前回の反響のおかげで、1年と経たずにまた第2回を開催することになりました。今回も番組の2枚看板が出演してくれる予定なので、盛り上がるんじゃないかなぁ」
台湾は日本の地方都市みたいで暮らしやすい
ナビプラザにてマッサージおばあちゃん、臭豆腐おじいちゃんと
――台湾での暮らしはいかがですか。
「生活面では、本当に住みやすいですねぇ、これまで中国大陸にいたんですから(笑)。日本の地方都市みたいで、のんびりできます。オフはマッサージ屋さんとか、日帰り温泉によく行きます。おすすめのマッサージ屋さんは、MRT「行天宮」駅近くにある『活泉足體養身世界』。温泉は近いので紗帽山の「湯城」に良く行きます。時間ができたらフラッと行って、温泉につかりながらビール飲んだりしています。食べ物はお弁当が多いかなぁ。ボリュームがあって安いんですよね」
<温泉情報>
湯城郷村美食餐廳
住所:台北市行義路402巷12号
電話:02-2875-3925
お話は尽きず、インタビューを続けながらランチに繰り出しました
――台湾と中国ではお笑いも街の雰囲気も違いますか。
「全然違いますね。笑いのツボも違うし。中国だとあんまり頭で考えないストレートなネタの方がよく受ける。台湾の若い子なんかは、もうちょっと高尚なネタを好みますね。大陸では中国語にもいろんな方言があるので、方言は鉄板ネタ。台湾に来たら単語もけっこう違うし、最初は苦労しましたね。
街の雰囲気はまったく違いますよ。まず日本人とも馴染みが深いでしょう。中国に行ったら、日本人を一度も見たことがない、なんていう中国人もいる。そういう人を日本人の僕が笑わせる醍醐味というのもあるんですが。台湾では日本人の女の子がガイドブック片手にウロウロしているけど、中国ではまず見ない光景。とてものどかでいいなぁと思いますよ」
――これまで中華圏で活動してきて、いろいろ苦労もあったと思うのですが。
「自分が阻害されたり、逆境に立つのはたいしたことじゃないです。最終的には絶対笑わせてやるぞって思ってますから。僕には笑いを取るネタが結構ありますから(笑)。本当につらいのは、純粋に笑いを届けたいという思いでやっている活動が、大人の事情や政治的なことで頓挫したりとか、そういう時ですね」
――逆に嬉しかったことは?「具体的な出来事というより、中国での日々は充実していましたね。2006年に中国に渡って、2008年の北京五輪、2009年の建国60周年、2010年の上海万博とすべてこの目で見てきました。中国がすごい勢いで上昇するのを目の当たりにして、自分も携わって、この時代を生きている!って実感できる毎日でした」
「KANO」のポスターを見つけて球児に変身。即興コントがスタート!
――今後は台湾と中国と、どのようなバランスで活動していくのでしょうか?
「先日1年7カ月ぶりに中国のチャンネルからオファーがありまして、その時は純粋に嬉しかったです。最終的には台湾で地盤を作って、大陸でも仕事をしていけるようになれればいいなと考えています。台湾では番組のおかげで知名度も上がってきたと思うけど、何しろ親日なので日本から有名人がたくさん来るし、正直言って僕にしかできないことが見つかっていないような気もしてるんです。台湾でも『ねんど大介が求められている!』っていう手ごたえが感じられるまで、がんがん攻め続けて頑張りたいですね」
いかがでしたか?思い立ったら即行動!の「ねんどさん」、身体を張ったステージも見たくなったでしょう?舞台ではさらにパワフルに飛び回り、演芸の真髄を見せてくれます!
8月23日のイベントにはタイミングが合わないという方も、レギュラー番組『瘋神無雙』は衛視中文台にて毎週土日の21時から放送中なので、ぜひチェックしてみてください。はるな愛さんが登場する回も収録予定だそうですよ!
以上、台北ナビがお届けしました。