半日では見えてこない、ディープな一面まで掘り下げて、九份各所をくまなくご紹介します!
30年前までは過疎化の進む廃坑だった街が、今では台北随一の日帰りスポットとしての地位の確立、さらには都会を離れた気分を味わえる民宿などが多数オープンするなど、常に変化を続けている九份。今回台北ナビでは、半日通り過ぎるだけでは見えてこない、ディープな一面まで分かるように、いろんな場所で取材をしてみました。
九份の昔と今
九份は台湾北部の瑞芳鎮に属する山あいの町。1880年、清の時代に金鉱が発見され、一獲千金を狙う人たちであふれ、日本統治時代で最盛期を迎え、隆盛を極めた鉱山の街でした。が、主要鉱物であった金と石炭の生産量はその後減り続け、1971年に閉山、街は衰退の道をたどります。
が、1989年に台湾ではタブーだった228事件を取り上げ、ベネチア映画祭でも金獅子賞を獲得した「悲情城市」(侯孝賢監督)のロケ地となったことで九份は再び脚光を浴び、90年代はノスタルジックな風景に魅せられた若者が多く訪れ、商店街はにぎわい、レトロ調の茶芸館やカフェなども増えていったのです。
金瓜石にかつての繁栄を偲ぶ
その鉱山の歴史を色濃く残しているのが金瓜石。九份から車で15分ほど離れた集落ですが、こちらは、九份ほど観光化が進まなかったために、家屋などは昔のままで、一部は「黄金博物園区」として、自治体が整備した散歩ルートがあります。階段が多い街中を歩いて行くと、日本家屋風の宿舎がたくさん残っているのに気付きます。日本統治時代の建物を復元したものもあったりして、情緒たっぷり。
さらに、当時皇太子だった昭和天皇が1923年に金瓜石を訪れた際、迎賓館として建造された建物も残されています。神社へ向かうような気にさせる石段を上がっていくと、トロッコを走らせたという線路跡に到着。金瓜石鉱山で採掘が行われた現場です。ここが現在は「黄金博物館」になっています。鉄筋がむき出しになったモダンな建物の中に、金瓜石の歴史が整然と説明されていて、当時の用具や工具も展示されています。本山五坑の坑道体験や砂金採り体験もでき、坑道内はかつての採掘の様子が再現されています。
「黄金神社」は見晴らしよし
この「黄金博物館」の脇にはハイキングルートがあり、登っていくと「黄金神社」に到達します。下の方から鳥居が見えた時、あっあそこが神社♪と思いこんだら大間違い。歩き続けること20分。最後の階段を上ると、ローマ神殿のような石の柱だけが残る景色が目の前に広がります。
入口の石碑を読むと、明治30年にこの場所を設け、少しずつ石を積み上げていったのだそう。それにしてもすごいところに神社を作ったもの。が、高いだけあって、ここから望む街と山と海はまさに絶景なのです。
九份までのアクセス
鉄道&バス
在来線の最寄り駅は「瑞芳」。台北駅からは、花蓮や台東行きの自強号などに乗り「瑞芳」で下車、45分で到着。瑞芳駅前から九份経由金瓜石行きのバスがたくさん出ているので、乗り換えはスムーズ。バスの乗車時間は15-20分。
直行バスMRT南港線「忠孝復興」駅の1番出口前(SOGO復興館の向かい)に、基隆客運の「九份・金瓜石」行きのバスが出ている。30分間隔、所要時間は60-80分。
九份の散歩道は「舊道口」がスタート地点。セブンイレブンから広がるプロムナードは基山街と呼ばれています。狭い入口に人が群がっているのが見えて、自然と吸い寄せられます。縁日を楽しむ感覚で入っていくと、左に右にクネクネと曲がっていて迷路のようで、かなり楽しいです。
「Part1」は、「舊道口」から階段までのクネクネ道をご紹介します!
九份名物って、何なんだろう?
「舊道口」から階段の道まで、ただ歩くだけなら10分。が、寄り道しながらゆっくり歩くと1時間でも2時間でもかかってしまうのが基山街の不思議な魅力。ここでは、その中でどんなものが売られているかをチェックしてみました!
基山街73号・75号 (02)2406-1366
営業時間:8:30~21:00 年中無休 カード可 日本語少し
基山街の入口近くにある筆などの中国文具を扱う「敦品」老舗です。
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ナチュラルソープのお店「阿原肥皀」の店もありました。
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九份名物といえば「芋圓」(お芋のダンゴ)「魚丸」(魚のつみれ)「草仔粿」(草餅)。「舊道口」の入口から、その看板が目立つと思いますが、いくつか有名店、特色のあるお店を紹介していきましょう!
「芋圓」(お芋のダンゴ)
九份で芋圓といえばココ、という圧倒的人気を誇っているのが、「頼阿婆芋圓」。階段通りの近くにある店で、必ず周囲に人だかりがしているので、すぐ分かります。店先でおばちゃんが芋団子を黙々と作っているが見れるのも楽しいですね。テイクアウトもOK、隣のイートインスペースでも食べられます。
住所:基山街143号 電話:(02)2497-5245
営業時間:7:00~21:00 年中無休 カード不可 日本語少し
芋圓入りのかぎ氷もボリュームたっぷり!
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「老友號芋圓」は「舊道口」からすぐ右側にあるお店なのでわかりやすいロケーション。ここも奥が見晴らし台になっているので、ひと息いれるにはもってこいのお店です。
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「魚丸」(魚のつみれ)
「舊道口」を入ると、左前方に「魚丸伯仔」「九份傳統魚丸店」など老舗店が並んでいます。店の前の大きな鍋でグツグツ団子を煮る湯けむりが上がっているのですぐわかります。看板メニューは傳統魚丸湯(魚の団子スープ)。食べてみると、さっぱりと食べやすい。ほかにも春雨炒めや麺、魯肉飯…とメニューはわりとあるので、しっかり食事できます。
「草仔粿」(草餅)
手作りで懐かしい味のする「草仔粿」は、ほんのり甘い草餅に、アンコや切干大根が入っていたりします。タロイモをまぶした「芋粿」なども、ひとつだけでもたっぷりお腹にたまります。基山街の商店街の中ほどにいくつかお店がありますが、最も有名なのが「阿蘭」さん。オレンジ色の看板が目印です。
気軽にCafé Time !!
九份の茶芸館、というのもずいぶん紹介されつくしたので、ここでナビ風カフェ案内といきましょう。
About Café
「舊道口」のバス停のすぐ近く。李儀餅店の並びをもう少し上っていくと、白い壁面の南欧風の建物が。パラソルもたて、奥にはオープン席が多いカフェでした。コーヒーの種類も多い(100元から)ほか、パスタのセットなどもあるので、軽食も可。とにかく、景色は最高です。
住所:汽車路32号
電話:(02)2406-1000
営業時間 12:00~20:00(週末は24:00ごろまで)
Café Bus
こちらは「九份小町」の高野さんが知合いと時折ビールを飲みに行く、という店。「バスを改造した店」といわれたので、それを目印に「舊道口」を上ること約5分。道路脇のわずかな平地を利用して席が15ほどのスペースですが、ここも場所がいい!しかも、カフェラテが65元と割安でした。
住所:汽車路1号向かい
電話:0932383627
営業時間:14:00~24:00
ほか、階段と基山路の交差点近辺にある展望台の角に「九份一番珈琲達人」、便利な場所にありますよね。値段も70元前後と、たいへんリーズナブルです。そして民宿「九重町」フロントにあるカフェは商店街を見下ろしながらまったりできます。民宿「愛的物語」でも、素晴らしい景色を見下ろし、本格的なコーヒーがいただけますよ。
「軽便路」を散歩しよう
九份に来たら、ほとんどの人がセブンイレブンのある「舊道口」から入り、基山街をクネクネ進み、階段を下に降りていく…そして観光終了というルートのようです。が、週末は人も多くて、揉まれ揉まれて店をゆっくり見ないまま、いつのまにか階段を降りてしまっていたということがありませんか?そんな時!穴場の店が増えてる「軽便路」も歩いてみましょう!
小徑照顔色 ちょっとおもしろくて入りたくなる店
Tシャツに帽子、雑貨など、九份っぽいものを探してる方にもオススメの店。手造りTシャツが多く、気軽に入れて、お手軽値段なのがうれしいですね。
住所:軽便路218号
電話:0911313615(本店:基山路30-1号 (02)2496-7820)
営業時間:10:00~18:00くらい 年中無休 カード不可 日本語不可
「福山宮」まで行ってみよう
清道光28年に建設され、200年以上の歴史をもつ基山の旧市街にある金鉱労働者たちの土地の神を祀る廟。かつて金鉱堀りが盛んだった頃、祈願に訪れる鉱夫たちが年々増え続けたので、廟の拡大をすることに。しかし、元来のものを取り壊すことを恐れた地元民が、その回りに廟を増築したため、「廟中廟」(廟の中に廟がある)という珍しい廟になっています。廟の梁や柱の彫刻は男体、神、妖怪などが多いのですが、「福山宮」では女体の彫刻が施されているのが特徴的。
交通:バスなら「欽賢國中」で下車。車の場合、九份から102県道の「隔頂」を通過し金瓜石の方向へ。
~Part2(階段周辺)へ続く~
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2010-05-27