彭于晏(エディ・ポン)独占インタビュー

『ハチミツとクローバー~蜂蜜幸運草~』『あすなろ白書』など、華流ドラマで主演をつとめたエディに密着!

こんにちは、饒波貴子です。『ハチミツとクローバー~蜂蜜幸運草~』『あすなろ白書』など、日本でもおなじみの華流ドラマで主演をつとめた彭于晏(エディ・ポン)。くるくる動くお茶目な表情と、親しみやすい元気なキャラクターが魅力のエディは、業界関係者からも人気で、ドラマ・映画に引っ張りだこ。来日経験も多いので、日本ファンも多いはずですが……最近日本での活動は、とんとご無沙汰。そこで、みなさまの熱いリクエストに応えて、台北で直撃インタビュー! 最新のエディのナマ声をお届けします。
Q:台北ナビ初登場です!みなさんに自己アピールをお願いします。

2002年に台湾版のドラマ『あすなろ白書(原題:愛情白皮書)』で、デビューしました。もう8年も前のことになりますね。その頃僕はカナダに住んでいたんだけど、おばあちゃんのお葬式で台湾に里帰りしている時に、監督にスカウトされて芸能界入り。俳優として頑張っていたら、あっという間に8年が過ぎました(笑)。
Q:エディの最新作と言えば、映画『聽説』。2009年8月に台湾で公開されて、大ヒットしましたね。

僕自身、とても気に入っている大好きな作品です。僕は食堂の息子・天闊を演じていて、お弁当を売ったり配達するのが仕事。性格は明るくて、とても元気! 耳の聞こえない秧秧という女の子に出会って、手話でコミュニケーションをとっている内に2人は恋に落ちる。彼女のために手話を勉強したり、お弁当を作ったり、プレゼントをするためにお金を貯める天闊は、一途でがんばり屋です。秧秧の姉・小朋も耳が聞こえなくて、この映画は耳の不自由な方が直面する様々な現実を描いている作品。例えば道を歩いて信号を渡るとか、レストランで注文をするとか、僕らが何気なくやっていることも、彼らにとっては本当に大変なこと。この映画を通して、彼らのことを少しでも理解してもらえればと思うし、ロマンティックなテイストにあふれた感動作です。
Q:映画に出てくるお弁当が、とてもおいしそうでした。

でしょ~。でも……今だから言えるけど、本当はおいしくなかった(笑)。撮影シーンになるまで、作った後何時間も置きっぱなしだったから。でも僕はプロの俳優だから、おいしそうに食べました(笑)! 

Q:7つのお弁当を食べていましたが、実際にはいくつ食べましたか?

3~4つ。いろんなテイクを撮って、7つに見せました。例えばマンガのように急ぎながら口にかきこんだり、鶏排(チキンカツ)を大口で食べたりとか、明るい男の子だから楽しい気持ちで演じました。
Q:両親との掛け合いシーンが面白かったです!

そう言ってもらえると嬉しい! 実は、アドリブで演じているシーンが多かったんです。ママ役の林美秀さんは舞台出身の台湾の有名女優で、パパ役の羅北安さんも台湾芸能界の重鎮。共演させていただいて多くのことを学んだし、撮影中はまるで息子になったような感覚でした。
 Q:耳が聞けない女の子を両親に紹介するということは、演技とはいえ難しくなかったですか?

本当に難しかったです。全体的に明るいストーリーで進んでいきますが、やっぱりそのシーンは苦労しました。天闊の両親は彼女を受け入れてくれますが、現実になると家族を説得するのは大変だと思います。監督やスタッフと話し合って、「この作品はポジティブ色を全面に出そう!」と決めて、恋を知ったフレッシュな感覚を大切に描こうという結果になりました。 
Q:手話をマスターするのは、大変だったのではないですか?

かなり大変でした。秧秧役のアイビー・チェン(陳意涵)と小朋役のミシェル・チェン(陳妍希)と一緒に、2か月かけて勉強しました。カメラが回っている時はスムーズに手話ができなければいけないので、そのことを意識して頑張りました。手話は自分がいる場所や環境によって、手の動かし方が変わります。僕は頭で記憶するというより体で覚えていたので、右手を動かすところが左手になったりとか、よく逆になってました(笑)。そして声が出せない分、表情を豊かにして気持ちを伝える努力もした。勉強を始めた頃は、食事の時も寝る時も練習していました。“普段の生活でも手話が自然に使えるように”というのを目標に! 手話を勉強したことで、彼らが何を伝えたいのか、どんなことを考えているのか多少理解できるようになったので、新しい世界に触れた感覚になりました…と偉そうに言っていますが、それほど手話ができるわけではありません(笑)。もっと勉強しなきゃダメですね。実はこの映画に出たことで、耳が聞こえない人が身近にいるってことに初めて気づきました。正直言って今までは、関心がなかったのかもしれません。接する機会もなかったし、自分で気づくこともなかった。本当は近くにいたんですよね。
 Q:耳が聞こえないヒロイン・秧秧の秘密が、最後にわかりますね。

この映画は、監督がニュースで見た事実を元にストーリーが作られました。耳が聞こえない方がたくさん見てくださいましたが、“僕らが見て楽しめる映画”とみなさん喜んでくれました。映画を見ていたカップルは、1人は耳が不自由で1人は健常者というのが多かったんですよ。スクリーンの僕の手話を見て彼らが笑ってくれたり泣いたりすると、手話が上手くできたと思い本当に嬉しい気持ちになりました。

 Q:アイビーとミシェルの演技は素晴らしかったですね。

2人ともすごく真面目で素晴らしい女優! 役になりきって演じていました。2人が手話だけで会話する長いシーンがあるのですが、声がないのにパワーを感じる不思議なシーン。細かい表情や視線で気持ちが伝わってくる、名シーンです。2人はもちろんのこと、出演者もスタッフも全員が作品を尊重して一生懸命だったので、完成度の高い作品になったと思います。もちろん僕も真面目に頑張りました(笑)!
 Q:アイビーが大道芸人を演じるシーンも、見事でしたね。

台湾の人形劇(布袋戯)風のメイクと、高度なパフォーマンス……アイビーはとても苦労していました。ミシェルは泳ぎが得意ではないのに、水泳選手の役で大変。僕はしゃべることができる役だったので、楽だったかもしれません(笑)。

 Q:日本では「大阪アジアン映画祭」で上映されましたが、好評だったと思いますよ。

それはなにより嬉しいです! 僕の手話の先生が、日本と台湾の手話は似ていると言っていました。手話は国によって違うので、今は世界共通の国際手話というのを作り始めているそうです。例えば“MSN”という手話は、世界で通じる(……と、エディは手話を教えてくれました)。

 Q:『聽説』の後は、どんな作品に出演しましたか?

2月の旧正月前まで、映画『近在咫呎』を撮影していました。共演相手は明道(ミンダオ)で、僕達はボクサーの役。毎日2時間ボクシングの練習をして、4時間位ジムで運動。体も精神もボクサーらしくなれるよう、3か月間努力しました。胸筋をつけるためにプロテインを摂ったり、食べ物をコントロールしたりしていたら、自然に5キロ痩せたんです。結構シャープな体つきになったでしょう(笑)。ハードなトレーニングを1人で続けたので、ボクシングは孤独なスポーツだと痛感しました。トレーニングの成果があって、クランクイン後はすぐに役に入り込めたので、自分ながら満足。映画館に足を運んでくださる方が、僕をボクサーだと思ってくれなければ俳優失格なので、みなさんの意見も気になります。(……と、その場でシャドーボクシングを披露したエディは、たくましい腕が機敏に動いてステキでした!) 
 Q:普段から運動の習慣はありますか?

あります! バスケットボールが好きで、よくやっています。昔は水泳もやっていたし、カンフーが好きで子供の頃は空手も習っていました。「葉問」という武術家にあこがれて詠春拳をマスターしたかったけれど、先生が教えてくれたのは八掛拳(笑)。拳法を使う時の精神統一やするどい視線は崇高で、アジア人ならではの技だと思う。僕はカナダで育ちましたが、拳法で学んだ精神や力強い視線は、アジア人にしかできないと感じていました。

Q:映画にもドラマにも出ているエディですが、演じる時の意識の違いはありますか?

デビュー当時は、どの役を演じていても自分自身の姿に重なっていました。でも最近は、役の中に自分を発見することがあります。演じることが自分探しにつながっている、という感覚。僕は『聽説』の天闊のような明るい男の子ではないかもしれないけれど、かと言って根暗でもない。映画やドラマというジャンルには関係なく、俳優になった8年間の経験や年齢を重ねたことで、演じ方が変わってきたと思います。僕なりに成長したと思っていますが、『あすなろ白書』を今撮り直しても、あの頃のフレッシュさはもう出せない(笑)。演技を始め自分の性格や個性というものは、時間の経過と共に変化していくので、その点を大切にしながら、俳優としての役作りに活かしていきたいと考えています。
『ハチミツとクローバー~蜂蜜幸運草~』より

『ハチミツとクローバー~蜂蜜幸運草~』より

Q:台北ナビは台北を始め台湾の魅力や情報を紹介するサイトで、たくさんのエディのファンの方が見てくれています。みなさんに、お薦めスポットを紹介してください。

お薦めスポットは、なんと言っても墾丁(ケンティン)! 2007年に『我在墾丁*天氣晴』というドラマの撮影で、4か月近く滞在しました。自然が美しくてリラックスできる、最高のリゾート地。台湾らしい素朴さや人々の温かい真心も感じられる、素敵な場所です。都会を離れてのんびりしたい時は、ぜひ行ってほしい。ドラマで僕はサーファーを演じましたが、ビーチでは日本のプロサーファーによく会いましたよ。彼らはインターネットで波をチェックして、「いい状態なら週末に台湾に飛ぶ」と話していました。日本のビーチは人があふれていて、サーファーは波の奪い合い。波乗りを楽しむことなんてできないから、わざわざ台湾まで来るそうです。僕は「墾丁15X6」という本も出していて、墾丁にいる時によく行った場所や友達と作った秘密基地などを載せています。楽しい本なので、興味があればぜひその本を買ってくださいね(笑)。それから、花蓮(ファリェン)の海洋公園もお薦め! 水族館やイルカのショーが楽しめるアミューズメント・パークです。『イルカが猫に恋をした(原題:海豚愛上猫)』というドラマ撮影の時に、行った場所です。僕がプライベートで外出するのはスポーツする時くらいなので、あまり遊び場所は知らないんです。だからお薦めは撮影で行った所(笑)。墾丁や花蓮は仕事で行ったとは言え、素晴らしい場所で大好きになりました。みなさんが応援してくださるおかげでいろんな所に行ける僕は、本当に幸せ者ですね! 

Q:では、お薦めの食べ物はありますか

「林東芳牛肉麺」(台北市八徳路二段274号)の牛肉麺が大好きで、よく行きます。朝までやっているので、夜お腹がすいた時に行くことが多い。友達のおばあちゃんがやっている店なんです。屋台料理は、定番ですが「士林夜市の大きな鶏排(チキンカツ)」や、「饒河夜市の胡椒餅」が好き。有名だからやっぱりおいしい! そして台湾料理が好きな方には、「天母の士東市場」もお薦め。歴史のある店が多いので、味は確か。家から割りと近いので時々行きます。

Q:最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

休みをとっている時に、いろんなことを考えました。自分にとって仕事とはなにか、将来はどういう姿になりたいのか……など。そして自分に責任を持とう、と強く思いました。与えられたチャンスや、目の前にあることすべてを大切にしたい。みなさんに認められる俳優になれるように、今まで以上に自分磨きに努めます。たくさんの映画やドラマに出たいので、日本から応援してくださいね! これからもよろしくお願いします。 
目をキラキラさせながらメッセージを語ってくれたエディは、以前のドラマで見せていた少年っぽさは無く、男性オーラに包まれていて頼もしさを感じました。出来立てほやほやの映画『近在咫呎』は、4月中旬台湾で上映予定で、中国でも公開が決まっています。愛情と友情に揺れる青春映画で、ボクサーを演じるエディのワイルドな一面が見られそう! 「これからも、いろんな役にチャレンジしていきたい」と話していたエディは、ますます魅了的な俳優へと成長していくことでしょう。

今後も注目したい、華流スターです! 
(画像提供:avex Taiwan INC(愛貝克思股份有限公司)

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2010-03-18

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