泡茶師検定考試とは?(受験生の練習風景)

台湾では中国茶の師範になるための試験があります。受験する日本人も年々増加傾向!試験前の練習風景を密着取材しました!

こんにちは!台北ナビレポーターまふぃん子です。
早いもので、もう12月も半ば。2010年がもうすぐそこまで来ています。西暦で動く日本人は普通そう思うでしょう。さて、今年のクリスマスのご予定は?と、そんな悠長なこと、言っていられない人たちがここにいます。今回の陸羽茶藝中心の資格試験、「泡茶師検定考試」は、12月26日と27日に行われます。暮も押迫ったこの試験日設定に驚愕しながらも、台北在住の複数の日本人生徒さんが、その日に向けて受験準備に励んでいます。

陸羽茶藝中心は、台北で30数年もの間、中国茶教室を主宰してきた老舗の中国茶道教室です。当時から画期的な教学法で、中国茶を知らない人でも、授業に参加し練習することによって、誰でも美味しくお茶を淹れられるようになるよう指導を続けるとともに、歴史、茶文学、茶器、芸術なども講義にとりいれ、幅広い茶文化の提唱・推進を行っています。また、使いやすく水切れのいいオリジナル茶器や、中国茶関係の書籍、DVDなども多数販売しています。独自の検定試験により、TPOに合わせて色々な茶法で、何時でもどこでも美味しいお茶が淹れられる技術を身に付けた「泡茶師」が、毎年ここ陸羽茶藝中心から排出されています。

陸羽泡茶師検定試験とは

1983年に、陸羽茶藝中心が始めた中国茶の総合能力検定試験。試験は、中国茶史、中国文学、茶器、製茶、泡茶、茶の産地地理環境などをトータルに問う筆記試験と、数多くの中国茶のなかからランダムに選択された3種類の茶を、3種類の異なった茶法で淹れる泡茶実技試験との2部に分かれており、2日間に渡って行われる。毎回30人余りの受験者がこの試験に挑戦する。大半が台湾人だが、過去日本人も受験し合格者も出ている。尚、試験は公示もアナウンスも全て中国語で行われる。

実技試験の課題となる中国茶は、中国と台湾産の緑茶、烏龍茶、紅茶、プーアール茶、薫花茶などといった中国茶全般にわたり、課題となる茶器も形、容量、材質も実に様々です。かなり緻密な準備が必要となり、外国人である日本人にとってだけでなく、地元の台湾人受験者にとっても難易度の高い試験といえます。練習して泡茶のカンを身に付けるべく、「日々是練習」!

味決めの基準は「標準濃度」。殆どの人が「丁度いい」と感じるくらいの濃さとお味に淹れあげます。濃度だけでなく、香りもよく発つように、渋味や苦味が必要以上にでないように淹れなくてはなりません。そのためには、各お茶に対しての使用温度、茶葉量、蒸らし時間を把握する必要があります。受験者にとっては、30数種類のお茶と、40数種類の形や容量の異なった茶器の組み合わせによる出題は、まるで無限にあるように感じます。合格への近道はありません。ひたすら練習して、感覚を身につけます。
課題となる茶葉がずらりと並びます。緑茶、烏龍茶、紅茶、プーアール茶など様々な種類があり、泡茶に必要な水温や時間、使用茶葉量は実に様々。

課題となる茶葉がずらりと並びます。緑茶、烏龍茶、紅茶、プーアール茶など様々な種類があり、泡茶に必要な水温や時間、使用茶葉量は実に様々。

課題となる茶器も40種類以上。これは中の本の一部です。まさに、受験者泣かせの組み合わせの多さです。

課題となる茶器も40種類以上。これは中の本の一部です。まさに、受験者泣かせの組み合わせの多さです。

でも、緻密に計画を立てて、練習を重ねてゆくしかありません。教室で、道具と湯は提供してくれるので、生徒さんは売り場で茶葉を購入して練習に望みます。

でも、緻密に計画を立てて、練習を重ねてゆくしかありません。教室で、道具と湯は提供してくれるので、生徒さんは売り場で茶葉を購入して練習に望みます。

濃すぎず薄すぎず、あらゆるお茶を丁度いいお味に淹れる練習を重ねてゆきます。

濃すぎず薄すぎず、あらゆるお茶を丁度いいお味に淹れる練習を重ねてゆきます。

一度に4~5リットルもの大量の茶を淹れる大桶茶法。これも課題のうちです。

一度に4~5リットルもの大量の茶を淹れる大桶茶法。これも課題のうちです。

様々な小壺(急須)での練習が必要です。これも出るかな。美味しくはいれ!

様々な小壺(急須)での練習が必要です。これも出るかな。美味しくはいれ!

400cc以上の大壺(大型急須)での課題もあります。

400cc以上の大壺(大型急須)での課題もあります。

筆記試験の準備も怠るわけにはいきません。試験範囲は蔡栄章氏著の「茶学概論」を始め、林瑞萱氏著の「陸羽茶経」など、多岐に渡ります。もちろん全て中国語で書かれています。
課題に順じて淹れられたお茶。こんなに沢山のお茶を、45分以内に片付けも含めて淹れ終える難関の課題。しかも、全て審判がOKを出すよいお味でないといいけません。ひゃー。

課題に順じて淹れられたお茶。こんなに沢山のお茶を、45分以内に片付けも含めて淹れ終える難関の課題。しかも、全て審判がOKを出すよいお味でないといいけません。ひゃー。

今回は、陸羽の初級クラスから一年以上一緒に中国茶の勉強をしてきた、日本人クラスメートの皆さんが意気投合し、一緒に受験されることになりました。合格は、練習の向こうにのみ存在します。みんなで協力し、この難関を乗り切ろう!
お互いに味見をし合って濃度や香りの発ち方などを確認したり、上手に入って老師からお味OKのお墨付きをもらえたら、そのお茶を仲間にも試飲してもらい、皆がその味を目指してお茶を淹れる、という練習光景は、同じ日本人としてまふぃん子も心和みます。台湾で中国茶を通じて知り合った日本人同士、仲良く助け合って同じ目標に向かう姿は、とてもすがすがしく、応援したい気持ちが沸いてきます。あとひと月、目標に向かってがんばるみんなを応援したいです!!

日本人受験者の皆さんに、インタビューしてみました


Q:泡茶師資格試験受験のきっかけは?

受験者 Aさん
駐在5年が過ぎましたが、子供が幼稚園に入ったのをきっかけに、以前から興味があった中国茶を習うことにしました。初級班から始めて、5つ目のクラスを履修したところで、泡茶師資格試験に挑戦する決意をしました。試験準備の段階で、中国茶に関する色々な知識がついてゆくので、厳しいながら楽しく練習に通っています。

Q: 受験準備で大変なところは? 

受験者 Bさん
30数種類の異なった茶葉を、色々な形・容量・素材の茶壺で淹れて行く課題に向けての練習に通うのに、なかなか体力が要ります。こんな風に中国茶に関わるのは、後にも先にもない事かと思います。とにかく毎日沢山お茶を淹れています。

受験者 Cさん
お茶を淹れる練習も然ることながら、中国語で出題される筆記試験の準備がとても大変です。本を見たり、過去問を解いてみたりしながら本番に備えています。他の受験者仲間と情報を交換し合ったりできるので、日本人受験者の多い今年はラッキーです。

Q: 合格した後、何か目標はありますか?

受験者 Dさん
今は受験準備に忙しくて、そこまで考えられませんが、合格したら…先ずは合格することだけ考えてまい進します!!

皆さん、試験当日に向けて、知識や技術を着々と身につけている様子ですが、謙虚に答えてくださいました。受験者の多くは台湾人で、茶行(お茶屋さん)関係者や飲食業を志す人、華道家、会社員、公務員、家庭の主婦など、実に様々ですが、共通点はお茶好きであること。皆さん、「趣味が高じて」受験を決意するそうです。そして、皆同様にお茶を淹れる練習を繰り返し、参考書を読んで筆記と実技試験に臨みます。

陸羽茶藝中心が20数年にわたって主催してきた泡茶師資格試験。地元の受験者たちも四苦八苦する難関に挑戦する日本人受験者たちを、心から応援したいです!
まふぃん子も、実は5年ほど前にこの泡茶師試験を受験し、泡茶師の資格を頂き、その後、台北で中国茶関係の仕事をしております。今回受験する皆さんと同じで、以前は陸羽茶芸中心の生徒として中国茶を学び、興味がわいて、そのときのクラスメイトと一緒に試験に挑戦したのでした。受験することによって泡茶技術が骨身に染み付き(すごい練習量でしたから・・・)、筆記試験対策をしたおかげで茶文化に対する理解も深まりました。成人してから今まで(既にウン十年)全てをかけて何かの試験に臨んだことなどなかった私が、仲間と助け合って合格を目指した日々は、とてもいい思い出であり、今の仕事に対する自信につながっております。こういうとカッコ良さげですが、後にも先にもあんなに毎日大量に、多種類の中国茶を淹れまくったのはあの時だけで、かなり大変な思いをしましたが、やってよかったと思っております。

日本人受験者の皆さんに、心から応援のエールをお送りします!
関連タグ:お茶試験検定陸羽茶芸師範

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-12-17

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