今年もやってきました。月餅シーズン!今年こそはこの甘い誘惑をなんとか振り切りたいと、思っていた矢先、月餅特集だって!?
こんにちは、台北ナビです。もうすぐですよ、月餅節、あっじゃなくて中秋節。もう巷には月餅の嵐。あっちもゲッペイ、こっちもユエビン。なにがどこがおいしいんでしょうね?とのっけから噛みついてしまいますが、これを食べなきゃ中秋節を越せないでしょ?中華民族にとってもナビにとっても、これはもう年中重大行事の一つ。とはいえカロリーはかなり高め…特集なければ、今年こそは控えめに!なんて思ってたのに、有難いことに、幸せなことに、いろんな月餅を食すはめに陥ってしまいました~。
◆ 台湾の中秋節
台湾は旧暦によっても動いている国ですが、旧暦によると、7,8,9月の3ヵ月間は秋。8月15日はちょうどそのド真ん中ということで「中秋」と呼ばれるようになったそうな。台湾の中秋節は旧暦のお正月、端午節と並んで「三節」と呼ばれ、1年の大切な節目なんですね。景気がいい会社は、この時期にもボーナスやギフトを社員に出したりもするんです。そして、毎年この日は祭日、なので、会社も学校もお休み!のはずが…、今年2008年は新暦の9月14日、ちょうど日曜日に当たるとかで、台湾ではお休みにはなりません(>_<)。香港や中国がお休みなのにナゼ!と鼻息荒くなる台湾のナビです・・・が、気を取り直し、そんなわけで、前日の土曜日、金曜日に多くの人が戸外で焼肉パーティを行い(?台湾では中秋節にバーベキューが定番なんです)、街中に食欲をそそってくれる匂いが漂うことでしょう。
こんな感じで台湾の人は川辺や公園、家の前やマンションの屋上、お天気さえよければ戸外でジャージャ−焼き始めます。
◆ そもそも…月とモチの関係って
本来は「満月を愛でる」という行事である中秋節、古代中国の人たちにとって、秋は収穫の季節。収穫をもたらせてくれた神様へ感謝の気持ちをこめて、月を拝むようになったそうな。秋になると、空気も澄んで月が美しく見えますよね。中秋の名月と月餅の関係をさぐると、元朝後の明代からであるという説が一般的だそうです。元朝で圧政に苦しむ人たちが、中秋節に反乱を計画。それを知らせる手紙を、お饅頭(後の月餅)の中に入れて仲間に送り届けたというストーリー。月餅の上に、様々な図案を彫り込むようになったのも、この頃からだそうで、クルクル回ってるような図柄は月をモチーフにしているのだそう。そして、「月餅」という名前ですが、最初「胡餅」と呼ばれていたお菓子の名前を、楊貴妃が、私気に入らないわと言って「月餅」に改名した、というのが月餅の名前の由来ともいわれています。
中秋の「名月」を月餅セットの名前に当てはめています。これは、大手のお茶屋さん「天仁茗茶」の今年押しのセットで、「名」を自社名内の「茗」にも置き替えてるとこが心憎いですね。
◆ 台湾での月餅タイプは?
月餅の本場、中国大陸では蘇式と広東式が代表的だそうですね。蘇州が発祥地の蘇式は、月餅の皮が落ちやすいけど食べごたえあり。広州の広東式は皮には伝統的な図柄が型押しされ、中には餡がきーっしり埋まっています。餡は小豆、蓮の実、棗などがベースで、アヒルの鹹蛋の黄身が入っています。豚油であるラードがたっぷり入り、砂糖もたーっぷりなので、非常に高カロリー。
台湾では蘇式はみられず、広東式と台湾式が主流といったところでしょうか。この油と甘さを固めきった広東式は、食感もねっとり、ずっしりで、重量感も勝負の決め手。口の中に広がった甘さに、ハイ、これで今年の月餅は終わり、と言いたくなるほどの凝縮味です。通常は、1個を8切れくらいに分けて食べます。くれぐれも一人で一個食べきってむせないように。
台湾式はいわゆる元祖月餅の改良式なので、皮は「太陽餅」(中部の台中名物)のごとくパサパサ、ボロボロのこぼれ系が多く、中華パイ生地とでもいいましょうか、食べにくさでは広東式に勝っています。中は餡だけっていうのが一般的で(最近は餅が入ってきてるのがちょっと邪道)、甘さは控えめで軽め、なので一度に2個もOK?
***スタンダードな月餅である広東式には中国茶がピッタリですが、台湾式は洋風的な要素も加わってるため、MoonCakeよ♪ときどって言っちゃえば、紅茶やコーヒーも合いそうです。
広東式はラードでテカテカ、餡に黄身や胡桃や松の実が入ってたりするのも特徴(六福皇宮)
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(台湾式月餅)緑豆がなんともひかえめでおいしかった~これなら胸ヤケしません(福容大飯店)
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(台湾式月餅)肉デンブ入りというのも台湾月餅の特徴かも
(台北華國大飯店)
◆ もし食べるなら
月餅は、中秋節に欠かせない代表的進物でもあるので、基本的に予約注文制です。ホテルのセールススタッフたちは、月餅の売上が昇進にもかかわるとか?で、夏場から会社やお得意様にセールスコールをかけまくります。有名店や有名ホテルの月餅は夏場早々と注文が入り、8月末で予約完了、完売となるのもしばしば。「老舗」や「有名」という言葉に惑わされることなく、ちょっと食べてみたいという方には、デパ地下などがオススメです。アイス月餅や変わった食材で作られたユニークな月餅ももりだくさんあって、見て歩くだけでも楽しいし、ちょっと試食というのもありです。
今年ナビが一番気に入った「蜂蜜銀耳」!(老爺大酒店)
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蓮蓉入りは定番で、女性は大体好きかなと思います(圓山大飯店)
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マレーシアの月餅だそう、どんな味なんだろ?
(頂好スーパー)
◆ 今年の包装にも目をやると?
今年は、台湾は景気がよくないとか皆は巷で言っていまして、政権が変わったせいか公務員は中秋節に贈り物を受け取ってはいけないとか(500元以内はいいらしい)、そんなわけで、去年まではあった木箱入りやらきれいな中国布の箱入りなんていう月餅セットは今年は見かけません。そういえば小麦粉や紙類も値上がりして、月餅セットには大打撃を与えていますね。元々台湾は日本ほどラッピングに凝るお国柄ではないってのもあるでしょうが(日本が過剰?)、全体的に節約傾向、簡素になった感じです。紙袋の中はすぐ月餅の箱、開けるとパック入りの月餅が並んでる、こんな感じです。
◆ ナビが今年食べてみた月餅独断感想
香菇魯肉: 肉やシイタケが入っていて、どうかな?と思ったけど、食べてみるとおいしい~、なぜか洋風味がしました。
■福容大飯店 「白木屋」3個入り3パック 980元(台湾式)
蛋黄酥: 黄身が控えめな味で、全体的にあっさり、軽い風味
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緑豆: ほのかに甘いのがいいですね、上品な仕上がりだと思います
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■老爺大酒店
「彩蝶月餅礼盒」6個入り 980元(廣東式)
棗泥蛋黄: ナツメの重厚な味がしっとり、もちろん黄身も十分主張
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紅豆黒糖麻米署: 中華のこしあんが濃い味を出し、個人的にはいいと思いました、中の黒糖モチとの組み合わせもよし
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黒芝麻麻米署: 中に入ってる柚入りモチが、ゴマの濃厚さをいいところで抑えています
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鳳梨蛋黄: パイナップルがさわやかで、ちょっとすっぱ甘くて、卵の塩味とピッタリ合ってます、冬瓜も混じっているそう
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白蓮蓉蛋黄: 周りの蓮の実風味はおいしいけど、黄身がちょっとパサパサでした
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蜂蜜銀耳: 白キクラゲがベース、ナタデココを噛んでいるようなアジアンチックな香りで、味、食感ともに、今まで食べたことのない月餅味、オススです
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■圓山大飯店
「頂級月餅」4個入り(1個の重さが150gもあるのが売りだって)880元
桂圓紅棗: 濃厚なお味にクラクラ、これぞ月餅という風格です
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核桃棗泥: ナツメが好きな人には、口の中いっぱいにナツメが充満してくれます
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伍仁蛋黄: 粒々した食感で、甘みというより塩味系でした。好き嫌いが分かれるでしょう
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蓮蓉蛋黄: ナビは蓮の実は好きなので、ラードたっぷりでも受け入れられました
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■華泰王子大飯店
「緑豆椪禮盒」6個入り 300元(台湾式)
こし緑豆がきっしり詰まってる月餅。大きさもあるので、甘すぎる?と思いきや、それほどでもなく、ナビスタッフ一同「おいしい!」と絶賛の月餅でした。お値段もお買い得です。
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富貴 綿緻肉絨: 豚肉デンブ入りで、緑豆とモチも入っています。日本人にはサンドイッチだけじゃなくここにもか!と衝撃的な一品
■台北華國大飯店
「郷思映月」3粒3パック入り 880元 (台湾式)
吉祥 鹹香肉角: 飲茶の叉焼が好きな人には受け入れられるでしょう。が、これも緑豆とモチ入り、いっそ叉焼包にしてよって
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如意 香濃起司: 緑豆にちょっとチーズ味?モチもやっぱり健在。中、洋、和のコラボに好奇心をそそられ、チャレンジしてしまいます
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◆ 中秋節って、他に何が?
台湾では月餅に限らず、中秋節にはいろんな進物用品を携えて、親族や友人宅を訪問するのが礼儀。お菓子、お酒、果物、高級食材…デパートやスーパーにも「中秋礼」と書かれたコーナーが出現するんです。
■亜都珈琲というカフェ
■ヤマザキパン
■天仁茗茶(喫茶趣)
大手のお茶さんだけあって、お茶を飲みながら食べるとおいしいと感じる味の月餅がいっぱい。特にフルーツ味は食べやすいです。
「茗月」2個入り2パック+台湾茶 380元
「聚月」3個入り4パック580元: 上記に烏龍香柚と紅茶紅棗楓糖の味が加わります
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店内はいつもはお茶ばかり
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■スターバックス
「月光花園」 680元
■セブンイレブン
台北ナビが入ってるビルの隣にはセブンイレブンがあります。ここでは月餅ではなく、中秋節の進物用品が一部陳列され、店内冊子にはざっと50品オーダーできるように紹介されていました。子供のお菓子やらチョコ、パイナップルケーキなどのスイーツのほか、ナビの目を引いたのは「飲むコラーゲンセット」!ツバメの巣やチキンエキス、霊芝など美容や健康、活力つきそうなものもいっぱい。お酒もウイスキーにブランデー、ワインとすごいですね。
■Wellcome(頂好)スーパー
中秋節にかかせないのは「文旦」。台湾では台南の麻豆というところの文旦が一番おいしいと有名。8月下旬にもなると、スーパーではもう売っていましたよ。ビタミンを豊富に含んでいますが、食べすぎると便秘するとか。ジューシーな文旦は、甘みもあっておいしいですよね。
スーパーの進物コーナー、高級干しシイタケとかがあります。
◆ 今年の中秋節
この時期、台湾へ観光に来る人、台湾に住んでいる人は、必ずや月餅を食べる機会に恵まれます。運よくばバーベキューへのお誘いもあることでしょう。台湾の人たちとの親交も深めることができますね。食べたり飲んだりですが、くれぐれも暴飲暴食にはお気をつけて~。台北ナビがおとどけしました。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2008-09-05