黄金温泉の異名をもつ鉄泉の瑞穂温泉、子宝の湯とも言われ、夫婦で訪れる人も多いそうです。
こんにちは、台北ナビです。今日は台湾の東部花蓮県の瑞穂郷へやってきました。台湾に温泉は数あれど、日本の有馬温泉と同じ鉄を含む泉質をもつ温泉は、台湾ではここ瑞穂だけ。源泉を発見したのは台湾原住民のタイヤル族でしたが、他の温泉地帯と同じで、繁栄の発端を作ったのは日本統治時代の日本人。一番古い場所は、「瑞穂温泉山荘」という地名そのままの名前を持つ温泉宿。初期の名は「適翠閣」、1912年には警察の招待所兼保養地、総督旅館でした。民国45年(1956年)になり、私有のものとなりましたが、温泉宿の形は今も受け継がれ、客室には和室もあります。
瑞穂とは?
瑞穂は昔「水尾」と呼ばれていました。紅葉渓と富源渓に秀姑巒渓が交わり、水流のしっぽが太平洋に通じていることからこの名になったという説とアミ族の広い海原という意味を表す言葉からきたという説があるそうです。いずれにしても日本統治時代に、日本人が古事記の「豊葦原の瑞穂の国」にちなんで豊作を願い、水尾を瑞穂に改名したのです。農業が盛んな地域でもあり、スイカは1年に2回収穫されます。
瑞穂温泉の効能
瑞穂は自転車、ラフティング、登山、トレッキングなどのスポーツが思う存分楽しめるところ。汗を流した後に入る温泉というのは、格別なものがありますよね。瑞穂温泉の泉質は、先ほども書いたように鉄を含む炭酸泉と言われていますが、厳密にはナトリウム炭酸水素塩泉と鉄を含む炭酸塩泉の2種類があります。
日本統治時代、瑞穂より山の方へ入った紅葉温泉エリアは内温泉、瑞穂温泉エリアは外温泉と言われていました。紅葉温泉は透明、瑞穂温泉は鉄分を含んでいるため黄濁色です。鉄泉は、地下では透明ですが、地上で空気に触れると酸化し、また温泉の水温によって黄色になるため、「黄金温泉」の名がつけられました。黄金温泉は、豊富な礦物質を含むため、水面にその凝結物が表われます。これを「湯の花」といい、これがあるかないかで、いい湯か否かの判断基準にすることもあります。この「湯の花」があると、お湯に浸かっているだけで、血液循環をよくし、新陳代謝を促し、疲労回復も助けます。豊富な鉄分を含むというのは、造血作用も持つため、貧血や婦人病、更年期障害、不妊に効き、筋肉痛、関節痛、皮膚病にもよい効果があると言われています。さらに、瑞穂温泉は子宝(特に男の子)に恵まれるとも言われていて、若い夫婦の姿もちらほら見かけます。
太巴塱部落
台北から飛行機で花蓮へ。35分のフライトで到着。最初にナビたちが向かったのが、花蓮県光復鄉にある一番大きなアミ族の部落「太巴塱部落」。花蓮は台湾国土の8分の1を占め、人口は55万人。うち台湾人、外省人、客家人、原住民が4分の1ずつという、他の地方にはない民族体系を形成しています。原住民は台湾原住民の約40%、約15万人という最大数を誇るアミ族が中心。さて、アミの言葉で「INA」というのは、「母」のことを指すのですが、これは「太陽」の意味もあります。太巴塱は「INAの故鄉」と呼ばれ、太巴塱文化園區には、アミ族の人たちの希望が各所に見られます。「創意区」では、原住民が天性にもつ芸術的才能を目の当たりにすることができます。「懷舊区」には、古い農耕、漁業、狩猟の道具が置いてありました。
村を歩いてみました
瑪武拉外工作室
光復郷の中に工作室をもつ元気なおばちゃん宅を訪れました。彼女は主にビンロウの実を使い、かわいい置物を作っています。小さな工作室ながら、ここで手作りされた作品は、東部の様々なおみやげ屋さんで目にすることができます。ビーズ以外の素材は、すべて大地の恵みである豆や木を利用しているのです。 アミ族は母系社会で、家族の仕事は女が主体、女に主導権があり、女が責任を持つのです。家業・財産も長女が受け継ぎ、以下の優先順位は女性側。男は、ゆくゆくはどこかの家に婿に入る存在なので、姓も母方の姓が引き継がれます。婿として嫁いだ男は何をするかというと、もちろん外に出て働き、収入を家に入れます!が、気に入られなくなると、ある日帰宅したときに自分の荷物が入口に置かれているとか。これは、もう家へ帰らなくていいですよという女からの三行半!そこで、ドアを蹴破って中に入るアミの男!というのは、は未だかつていないそうですよ…。
食事をするなら「紅瓦屋」!
アミ族の原住民料理を食べに来ました。ここは、ナビが一度来てみたかったところです。メイン料理は、生の魚切り身が入ったスープに焼けた石を入れ、その石の熱でスープを沸騰させ、魚を煮込み、野菜を入れたスープ。石は花蓮地方のもので、3回使用すると効果がなくなるので捨てるそうです。他にもイノシシの肉や地鶏、焼き魚、山菜、紫米飯…すべてがおいしかったです。原住民料理と聞くと、イノシシ肉と竹筒飯が頭に思い浮かんでいたナビ。こんなにおいしい原住民料理は、初めてでした。
お待ちかねの食事です
スープはコクがあっておいしいのです
住所:花蓮光復郷大全村大全街62巷16号
電話:(03)870-4601
花蓮瑞穗を代表する牧場
瑞穗牧場は民国90年から始まった乳牛牧場。コンビニやスーパーでも瑞穂牧場と書かれた牛乳は目にするので、あ~とわかる人も多いはず。もちろん現地で飲む牛乳は絶品ですが、ここでは、新鮮な牛乳以外にパンナコッタやアイス、ミルクヌガーやミルクマントウ、そして忘れちゃならないのがチーズケーキ。この大自然の中でいただく乳製品は最高でした。ここでは約2000頭の乳牛がいて、狼尾草という牛が好む草を与えたり、乳搾り体験もできます。またこの敷地の広さですから、自転車に乗ったり、心行くまで思いっきり大自然の空気を吸いこみながらの散歩も楽しめます。牛乳1杯35元、アイス40元、パンナコッタ40元、マントウ(2個)25元、ッチーズケーキ30元。お持ち帰り用のセットも各種あります。
住所:花蓮瑞穂郷舞鶴村6鄰舞鶴157号
電話:(03)887-6611
蜜香紅茶の里~舞鶴
瑞穂温泉から南に車で20分の舞鶴地方は昔からお茶とコーヒーの産地。特にコーヒーは台湾最大の生産を誇り、かつては日本の天皇御用達でもありました。お茶は民国68年に、あまりのおいしさから「天鶴茶」の名で呼ばれました。民国86年になって、茶業改良場が蜜香緑茶を開発、その後茶葉農家が蜜香紅茶を生産し、この2つが舞鶴を代表するお茶となったのです。
ナビたちは舞鶴のお茶屋さん「吉林茶園」におじゃましました。彭さん親子がにこやかに迎えてくれ、ナビたち一行約30人は皆席を探して座ります。ナビの前で息子さんがまずは、と最初に入れてくれたのが「柚花茶」。瑞穂温泉から北東に位置する鶴岡というところは、有名な柚子の産地で、柚子の季節になると、鶴岡の柚子を食べない台湾人はいないと言われるほど。舞鶴も鶴岡には近い関係で、茶畑、コーヒー畑に次ぎ、柚子畑が広がっているのです。柚子の花は、甘い芳香を放つので、花の咲く時期は、舞鶴村一帯が花畑のいるようないい香りに包まれます。以前は咲いた花はそのまま、成った実は鶴岡ほどの出荷量もないので、熟しすぎて地面に落ちたのは放置、そのため花畑が最後には腐臭畑に変わるというなんともかわいそうな状況でした。そのためいい香りを、ジャスミンと同じ方法で茶葉に練りこめないかと研究試作した結果、やっと開発できたのが柚子花茶。一煎目から、花の香りがプ~ン。きついジャスミンは鼻について嫌味がありますが、柚子花はジャスミンより優しく、味もまろやかさがあり、かつ金萱茶樹からの茶葉だけあって、茶の部分も主張されています。舞鶴のみで生産され、しかも紅茶より量が少ないので、市場ではあまり見かけない希少なお茶だといえます。
さて、柚子のいい香りを楽しんだ後は、本場「蜜香紅茶」の試飲タイム。お店に特等奨や金牌奨の楯がかかっていますが、このほとんどが「天鶴茶」(舞鶴地方の烏龍茶)と「蜜香紅茶」で勝ち取ったもの。蜜香紅茶の茶樹は、大葉烏龍。東方美人のようなものかと思っていたら、発酵度はもう少し高く、茶葉は條状で単色。ウンカがついばんだ茶葉ということで東方美人との接点を見出そうとしていたナビですが、入れ終わった後の茶葉はまさしくウーロン茶葉でした。味の方は、東方美人のような甘みを持つ紅茶とでも。心惹かれるいい味です。台湾東部の鹿野というところでも大葉烏龍で紅茶を生産していますが、地方のブランド色を出すため、鹿野産は「紅烏龍」、舞鶴産は「蜜香紅茶」と呼ばれています。いいお茶に巡り会えると、台湾は本当にいいお茶の産地なんだなあ、台湾にいてよかったなあとしみじみ思うナビです。
う~ん、いい香り
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茶色もきれいです
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蜜香紅茶の葉、大きいんです!
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台北では買えません
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住所:花蓮瑞穂郷舞鶴村7鄰迦納納二路169号
電話:(03)887-1463
お茶の花
広大な茶畑を翌朝見ました!!
すがすがし~~~い!思いっきり深呼吸!
鉄温泉に入ります
今日の宿泊先、吉祥温泉花園度假村に着きました。夕食を済ますと、即温泉!さて、黄金温泉の異名をもつ瑞穂。今回泊まった「吉祥温泉花園度假村」は、台鉄の「瑞穂」駅から約3㎞のところに10数軒の温泉ホテルや宿が点在している瑞穂温泉街の一角で、鉄を含む炭酸塩泉です。鉄泉初体験のナビ、雨がふって外のSPAが不便なので、室内のヒノキ桶に湯をはりました。水温はそれほど高くありません。湯が増すにつれ、おお~黄金湯だ~というのが見てわかるほど黄色くなってきました。湯につかってみるとスベスベした感触、効能を感じるには長時間じっくりあたたまる必要あり。翌朝早起きしてもう一度入ってみたナビ。昼ごろ何気に手の甲をこすると、あら?スベスベ。体も普段より軽く感じました。ビックリ!
こちらの民宿では、温泉の他に、バーベキューや釣りも楽しめます。
気持よさそうでしょ?
野性味あふれる?湯屋
戸外SPA
瑞穂温泉には、「虎爺温泉会館」や「黄家温泉山荘」などのサウナやジャクジー等の新設備を完備する新しい温泉ホテルもあり、特に同行の記者の一人は、瑞穂では「黄家」が一番おすすめ!と教えてくれました。各温泉は日帰り温泉も歓迎で入浴料は約100元から、新設備の温泉は300元が目安。ナビたち宿泊の吉祥温泉花園度假村も日帰り入浴が可能でした。
住所:花蓮瑞穂郷温泉路三段35-10号
電話:(03)887-6866
北回帰線
北回帰線は、北緯23.5度に位置する夏至に太陽の真下となる地点を連ねた北半球の線で、南側は熱帯、北側は亜熱帯に分かれます。夏至、冬至の日にこの線上に立つと、正午太陽が真上に来た時に自分の影が消えてしまうという体験ができるのです。北回帰線は台湾の中ほどよりやや南を貫いて位置し、嘉義県水上郷と花蓮県瑞穗郷、そして花蓮県豊濱郷靜浦村の3カ所に標塔が設けられています。瑞穗郷にある北回帰線標塔は1933年に設立。世界で2番目に古い回帰線標で、もとは瑞穂駅の近くにあったのですが、1981年に東部幹線工事のため、お茶畑が連なる舞鶴台地の上に引っ越しさせられました。広々とした公園に、日時計のような形をした塔が立ち、両側には中国の方角の守り神である青龍、白虎、朱雀、玄武が描かれています。ナビたちが訪れたときには、花蓮県光復小学校の子どもたちが戸外学習で来ていました。
茶畑の中にそびえています
瑞穂温泉に入りに来たら、ぜひこちらの北回帰線まで来て、周辺で「蜜香紅茶」と「柚子茶」を飲むことを忘れずに~。
台北ナビでした。