台湾南部の嘉義市、行ってみると溶け込みやすくて、ホッとできる街でした
こんにちは、台北ナビです。
台湾南部の嘉義。阿里山がある嘉義県は有名だけど、嘉義市っていうと、何があるんだろう?と、思いますよね。
台湾に長いナビもそうでした。嘉義って何があるの??でも、嘉義を愛する生粋の嘉義人たちと、実際市内を歩いてみると、嘉義ってこんなに面白いんだ、と新しいものをたくさん発見しました♪
嘉義市とは?
嘉南平原に位置する都市で、清代に開墾が始まり古城が築かれました。城郭は桃のような形だったため、またの名を「桃城」と言い、台湾で一番最初に建設された城址でもあります。肥沃な嘉南平原は、農林業が発達し、早期から「米都」と呼ばれていました。
日本統治時代になって、阿里山ヒノキの開墾が始まり、運送の拠点として嘉義市起点の阿里山森林鉄道は、ヒノキと木材の集散地かつ出港口となりました。林業が盛んだった時代、城址の経済は栄華を極め、今でも当時林業関係や鉄道、住居などで遺留されたものは、現代の観光資源の重要な基となっています。
嘉義市ロータリーにある樹木
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嘉義市出身で、かつて嘉義市教育局局長も務めた嘉義の文化や歴史にとても詳し頼萬鎮さん
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「陳澄波」さんは、嘉義市の樹木を背景に描いた街並みで賞を受賞しました
日本統治時代の裕福な環境下で、嘉義市民は、芸術文化に多くの人材を輩出しました。嘉義市は当時の「畫都」(絵の都)として誉れ高く、林玉山、陳澄波ら嘉義人の作品は国際的にも認められました。
他にも嘉義は、台湾独自の芸術品「交趾陶」の故郷としても有名で、昔の日本人は、直接「嘉義焼」と呼びました。
「石猴」(サルの石象)も近年嘉義の芸術を代表する芸術品で、八掌溪の貝類化石から作りだされた作品は、国内外の観光客から高い評価を得ています。今回は、芸術文化と絡めた嘉義市を中心にご紹介します。
嘉義市を紹介する人・盧銘世さん
もちろん嘉義人・盧銘世さん
芸術創作に携わる盧銘世さんは、嘉義市荒野協会の委員長で、嘉義地区「緑手指」プロジェクトの発起人でもあります。長期にわたり樹木運動を推進している盧さんは、自然と生活の結合を目指しています。住民たちと協力して、「角落美感」や「村上村樹」という社区再造の美化プロジェクトを推し進め、生活美学の概念をアピールすることで、嘉義人への環境重視も呼びかけているのです。
盧さんの作品は、美術室を飛び出して、社区に入りこみ、大衆生活の一部分にもなっています。彼の理想のホームは、家が自然の中に溶け込み、森林と自由に呼吸をしているような環境なのです。
文化里社區彩繪
嘉義市の化里(文化社區)の改造プロジェクトは、住民の協力により、文建會が主催する「藝術介入空間」企画の中で成功している例だと言えます。
狭い路地の壁には、嘉義高中美術班の学生たちが描いた色鮮やかな絵が一面にあり、路地に入ると楽しい世界に迷い込んだようなワクワク気分になります。
嘉義文化中心
「帥哥」と蔡永武さん
「石猴」(サルの石象)が展示されてところもご紹介しましょう。文化中心(文化センター前で「帥哥」(イケメン)というサルの紹介をしてくださるのは、製作者の蔡永武さんです。2005年この作品は、文化局によって永久典蔵とされ、蔡さんはその後アート工房を設立し、嘉義の文化運動に貢献しています。さてこのイケメンという名のサル君ですが、名付けた後に実はメスだということに気付いたそうな。決め手は両頬のヒゲ。オスの場合は、こんなに髭が長くないそうです…。でもどう見てもかっこいいので、名はそのままにしているとのこと。
嘉義の彫刻を代表する「石猴」の歴史は約60年。創作者は、八掌溪の貝類化石を材料に、阿里山のサルをテーマに作成しています。創作者の技法も手伝って、地方風土をうまく表現した嘉義ならではの芸術品となっています。もう一つの特色は、創作者の多くは、彫刻の技術を学んだことのない「素人芸術家」であること。彼らの長年の努力の甲斐あって、「石猴」は嘉義市が胸を張って紹介する芸術となりました。嘉義市立博物館内にも石猴特展エリアがあり、長年製作に関わってきた創作者の紹介や作品の展示があります。
桃城陶埕藝術工作室
嘉義の3大アートの1つとして挙げられる石猴。現在その石彫刻の第一人者として名を挙げるのが上げるのが蔡永武さん。こちらは、その蔡さんの工房で、DIY教室も行っています。文化廣場や文化公園、世賢路と北港路の交差点など、嘉義市内のあちこちに、蔡永武さんの作品を見ることができます。
住所:嘉義市鹿寮里紅毛埤163-1号
電話:(05)271-1855
森林之歌
さて、今度は戸外アートをご紹介しましょう。
こちらも創作者直々で、王文志さんが先頭に立って説明してくださいました。嘉義市で阿里山林業のプロジェクトが持ち上がった時、アーティスト王文志さんは「森林之歌」を提案し、嘉義市内の新しいランドマークにしようと決めました。「森林之歌」の高さは14m。縦貫鉄路と阿里山森林鉄道の間に位置しています。台鉄と阿里山鉄道は嘉義市に欠かせないものなので、「蛋塔」(卵の塔)の異名を取るこの芸術品は多くの人の注目を浴びています。素材として阿里山の藤蔓や鉄道の枕木を利用し、鉄材で固定しています。卵の内部に入って、阿里山の神木をたたくと、エコー効果があって森林の中に入るように感じ、まさに「森林の歌」が聞こえるという感覚が味わえるのです。
住所:嘉義市文化路、縦貫鉄路と阿里山森林鉄道の間
王文志さん
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日本の小豆島でも展示されたので、日本語の解説もありました
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隣は台鉄の線路
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列車が走って行くのがよく見えます
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月影潭心
嘉義人王文志さんのアート作品は、ここだけにとどまりません。
もう一つの代表作「月影潭心」は、嘉義市の蘭潭風景エリアにありました。「月影」は月の美しい情景を表し、「潭心」は湖心の波紋を表現しています。「潭心」と同じ発音の「談心」は、月光の下で談笑するということで、「月、水、遊潭」の景色からくるイメージなのです。「月影潭心」は、アルミを編んで桃の形の鳥の巣みたいに見せています。これは嘉義市がかつて「桃城」と言われたことに由来し、両端は七面鳥のシッポの様。これは、嘉義を代表する小吃「火雞肉飯」を表し、地方文化に溶け込んでいます。早朝、昼、黄昏時、夜…それぞれの表情で見る者を楽しませてくれます。
住所:嘉義市鹿寮里紅毛埤187号之4
中ものぞいてみてくださいね
順益木業
オーナーもアーティスト
阿里山の豊富な木材資源は、かつて嘉義市を林業の都として、栄えさせました。順益木業工場は、今なお残る数少ない木材工場の1つです。現在台湾の木造技術と家具製作は、創作の域にまで広がっていて、観光工場としての変身を遂げようとしています。順益木業工場が行う「樂活學堂」では、観光客がヒノキの木片に烙印を押すというDIY教室を開いています。好きなデザインで、自分だけの記念品作りに挑戦してみましょう。
住所:嘉義市文化路911号 電話:(05)232-2441.
龍鳳祥交趾陶藝術工作室
嘉義を代表する芸術品の中で、交趾陶(こうちやき)は欠かせません。アーティストの1人である呂皇呈さんにお話を伺いました。
交趾陶の歴史は、嘉義第一代宗師の葉麟趾(葉王)と林添木の2名の大師の時代にまでさかのぼります。嘉義市は積極的に伝統的な色彩の釉を推進してきたこともあって、交趾陶の芸術は途切れることなく収蔵に値する作品も多く残されています。
継承者も途切れることがなかったため、現在は嘉義市の伝統文化の一端を担っています。交趾陶は、20㎝~30㎝の作品で、完成まで約3週間もかかるそうな。國家薪傳獎を獲得した国寶級大師の呂勝南は、台南の廟大工である紀淵貴から、彫像や彫刻の技法、寺廟の色彩創作技術を学びました。24歲の時に林添木師匠から指導を受け、交趾陶創作を生涯の生業とすることにしました。彼の作品の造型は繊細で、色彩は艶があり俗気がないので、骨董収集家の好む芸術品と成っています。作品は何回も賞を受け、近年は交趾陶を単なる宗教建築裝飾の一部として留めておくことはせず、室內インテリアの壁飾など家庭生活品や大型の公共芸術も作成しています。
住所:嘉義市林森東路319巷6号 電話:(05)276-1958
「嘉義市國際管樂節」
「嘉義市國際管樂節」はお祭りの日
嘉義市では、毎年12月末に「嘉義市國際管樂節」(管弦楽フェスティバル)を行います。第21回目を迎えたこの管弦楽フェスは、2012年12月21日~2013年1月1日の間に開催されました。
アジア10か国と国内の優秀な管弦楽団を招待し、この年は80グループもの団体が参加しました。12月29日(土)の午後に開幕行進があり、これには、国内外から34グループが参加。中山路から体育館まで、南部で最大の戸外の行進を見ようと多くの人他誌が集まりました。
この年の注目は、初来台の圖瓦共和國(Republic of Tuva)の「奔馬國家管樂團」。馬に乗って管楽を演奏する姿は、観客を草原民族の世界へ誘いこみました。その後に学生や社会人たちが続き、例年以上の賑やかな演出となったのです。
嘉義の美食
留園
留園はメニューのないセットメニューレストランです。旬の新鮮な食材で調理するシェフの斬新な料理が特徴。数々の賞を受けている李清洋シェフ。この日は嘉義の新鮮なシーフードがメインでした。
住所:嘉義市興達路321号 電話:(05)232-2985
営業時間:11:00~14:00、17:00~21:00 カード不可
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慶昇小館
1990年、新榮路の慶昇戲院(映画館)の一角から、看板もなく、名もなく始まった屋台は、一皿の簡単な「蛋炒飯」(卵チャーハン)で、庶民の心を捕らえました。看板料理の「蛋炒飯」の決め手は、米、卵、火。米の一粒一粒が生きているチャーハンは、2代目オーナーがこだわる厳選された米に熟練された技術から生まれます。小さな食堂ですが、農委會主催の「第一屆台灣百大米餐廳大賽」で第3位を獲得しました。
黄金炒販(チャーハン)は、40元から!
住所:嘉義市新榮路 315 号 電話:(05) 227-0587 営業時間:10:00~20:30 カード不可
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皇爵飯店西餐廳
嘉義市内で25年尾歴史を誇る「皇爵大飯店」。1Fのレストランは豪華絢爛。ヨーロッパ輸入の装飾品やスワロフスキーの水晶など、優雅な雰囲気の中、ゆったりと食事をすることができます。ホテルの会長は、医師であり大の美食家。食材は会長自らが選んだものというから驚き。1人330元のセットメニューで、メインは30品の中から選ぶことができます。サブメニューのスープやデザートも単品で食べたいほどのおいしさでした。
嘉義ならではのお土産は?
老楊方塊酥 TK FOOD
老楊方塊酥は、1979年嘉義市民国路にて創業。創業者の名字は、戴さんで楊さんではありません。戴社長が、楊シェフの技術を高く買って、店名も「老楊」と名付けたそうな。創業時には、周辺に大きな軍人村があったこともあって、中国北方の朝ごはんやさんや河北の翻毛月餅や燒餅などがあり、通称麺食街とも言われていました。それらの特徴は、手に取ってすぐ食べられこと、そのため「方塊酥」のようなつまめるお菓子を編み出したのです。創業者の戴大可さんは、10歳の時軍人村の楊シェフから、燒餅の技術や方塊酥の作り方を学びました。初期は素朴なものでしたが、戴社長自らが改良に改良を重ね、現在の香りと香ばしさを造り出したのです。「老楊」と名売ったこのお菓子は、やがて、方塊酥と呼ばれ、嘉義特産のお菓子となりました。
住所:嘉義市中山路45号 電話:(05)274-4585 営業時間:8:30~21:30
聖保羅烘焙 Saint Paul
パンケーキ屋さんとして有名な聖保羅烘焙は、1991年、嘉義市興業東路で創業しました。いち早く減糖減油を唱え、甘さは残したまま旨味を出す作り方は、地元民だけでなく、台湾人皆を魅了し続けています。初期は中華菓子、パンでしたが、その後ケーキも作り始め、国内の選手権では、何度も優勝。現在はアイスクリ-ムも有名で、文化路151号にある噴水店は、2Fがカフェになっています。お土産なら、招牌Q餅と 鳳梨酥はおすすめ。2013年現在、国内に11店舗展開しています。
住所:嘉義市文化路151号 電話:(05)216-1688 営業時間:9:30~22:00
南部台湾の町を歩いていたら、廟の祭りに遇いました!
以上、台北ナビでした。