かつては流刑の地だった…、海底温泉もある台湾で4番目に大きな島!
こんにちは、台北ナビです。
今日は、台湾東部の台東から、船で50分のところにある緑島にやって来ました。7月という季節柄もあって、船内は多くの若者たちで占められています。ナビたちも空いている席を探し、ひとまず落ち着きました。船の地下は冷房が効いていますが揺れも感じやすいので、お天気がいい日は甲板席で海を見ながら過ごしましょう。特に雨や海が荒れている日は、船酔い止めが必須となるほど。そうでなくとも弱い人は乗る30分前には、飲んでおきましょう。「明通治痛單」というのが最高に効くと緑島島民が教えてくれたんですが、販売している薬局は限られているそうで、ナビも一般の船酔い止めを購入して往復飲みました。
緑島の北西にある緑島空港は、小型機しか着陸できないとても小さな空港。2012年現在台東空港から1日3便就航していますが、定員が20人くらいなので、オンシーズンに予約を取るのはかなり困難(台東→緑1028元、緑島→台東980元)。飛行機は早いですが、夏場やお天気なら50分で緑島に到着する船(台東→緑島約460元、往復を買うと安くなります)はいかがでしょうか?台東の港は富岡港と言い、「台湾好行」バスの東部海岸線の停留所にもなっています。
緑島とは?
緑島は台湾の東南方の海上にあり、台東市から33.34㎞離れています。かつて日本統治時代には火燒島とよばれ、1949年に現在の綠島と改称されました。火山の噴火によってできた島であるため、周辺はサンゴ礁、海岸線は断崖絶壁の地形を成しています。現在の緑島は台東県の一部で、南寮、中寮、公館の3つの村があり、澎湖の馬公、蘭嶼、澎湖の漁翁についで、台湾では4番目に大きな島です。島内住民として登記している人は3000人ほどいますが、実際住んでいる人は、2000人未満。観光が主な産業ですが、盛況なのは4月~9月の約半年で、それ以外は島へ渡るにも大変な時期に入ります。台風などを考慮すると、観光収入は1年間の3~4ヶ月間だけ。澎湖もそうですが、島内住民は季節によって仕事の場を本土と島で往復するのです。夏のこの時期は、宿泊するしないに関わらず、1日5000人ほどの観光客が訪れることもあるそうで、2012年(現在)は、台東→(100元)蘭嶼→(860元)緑島→(460元)台東という2泊3日の船の旅チケットも2320元で販売しています。
MAP:台東県政府緑島観光パンフより
島到着!
島の港ではホテルのシャトルバスやらタクシーなどが待機していました。
ホテルや民宿が港や空港から遠い場合は、送迎は基本的に無料なので、事前に宿泊先に送迎を依頼してください。ナビたちは今回「台湾好行」の緑島コースに参加したので、島内の各所をバスで回ります。
2日間の東部海岸線コースに船の往復チケット交換券、自転車レンタル無料券、朝日温泉入場10%割引券、緑島1周バスチケット半額券、サンゴ船乗船割引券などがついた「台湾好行」チケット
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3日間の縱谷鹿野線・東部海岸線コースに船の往復チケット交換券、自転車レンタル無料券、朝日温泉入場10%割引券、緑島1周バスチケット半額券、サンゴ船乗船割引券などがついた「台湾好行」チケット
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ツーリストセンター
飛行機の場合は、空港の正面に遊客服務中心(ツーリストセンター)があり、ここでは観光情報を無料で提供しています。
ツーリストセンターでは自転車の無料レンタルサービスもあり、朝9時から午後4時までに借りられます。パスポートか身分証明書の原本が必要で、ツーリストセンターに預けることになります。島の北西部は傾斜がゆるやかですが、東側は坂道が多いですね。また、自転車は暑いので、実は夏場は乗っている人はあまりいません。ほとんどの人がバイクです…。
遊客服務中心(ツーリストセンター)
電話:(08)967-2026 営業時間:8:30~17:00
また、オンシーズンには、切符100元で1日乗り降り自由の島一周のマイクロバス(環島公車)が8:00~17:00で運行されています。南寮漁港発着で、切符は南寮漁港玻璃底遊艇售票處で購入可。
レンタルバイクは南寮漁港付近にレンタルバイクショップが数軒ありますが、宿泊先で予約することも可。レンタルには、パスポートと日本の小型自動二輪以上の運転免許証と中国語の翻訳文(JAFで入手可)が必要です。
過山古道
緑島には古道が2つあるのですが、ツーリストセンターの50mほど先にあるのが、この過山古道。島の北側にあり、古道を往復するなら3.7km。もう一つの過山歩道は、南側にあります。以前緑島を一周する道路がなかった時、南寮から朝日温泉へ行く唯一のルートがこの過山古道でした。古道は、緑島の生態観察に最適の場所、運が良ければ野生の梅花鹿にも遇えるそうです♪*1980年代漢方薬の鹿茸の原料として、鹿の角の需要が高まったため、緑島では養鹿産業が盛んになりました。全盛期には2000頭以上が飼育されていたそうですが、現在は産業の衰退で激少。ナビも車の中から人に飼われている梅花鹿をちらっと見かけただけです。
もし、梅花鹿に会いたいなら…こちらへ。
「梅花鹿生態園區」 住所:公館村草山201号
緑島燈塔
緑島の灯台へ着きました。こちらも空港やツーリストセンターの近くです。
1939年に建てられた島の西北端・中寮にある高さ33mの灯台です。1936年、アメリカの豪華客船が近海で難破しかけた際、緑島島民が彼らを救いました。そのお礼として赤十字を通して送られてきたお金で、灯台を建設したというエピソードがあります。灯台付近の海岸は、星砂が一番多いとガイドさんが教えてくれました。
まずは、お昼ごはんでしょ
緑島の名産料理が食べられるという「18海浬」というレストランへ入りました。島では果物は少なく、野菜はイモ類やピーナッツ類が有名。魚貝類はいうまでもなく豊富で美味。
「18海浬咖啡廳」
住所:南寮村137号 電話:(08)967-2683
緑島人権文化園區
緑島人権文化園區の近くにある緑島監獄は、現在も使用されています
1949年~1987年の戒厳令下、台湾では白色テロと呼ばれる恐怖政治が続きました。人々は、生命や財産、自由の権利を奪われ、侵害や抑圧を受けました。
ここは、台湾人が戒厳令統治によって、侵害抑圧された人権の歴史を記念するメモリアル・パークなのです。
人権紀念公園 将軍岩と鬼門關
将軍岩を望む広場に人権紀念公園と人権紀念碑があります。緑島の海岸には、奇妙な形をした岩が多いのですが、この岩は、手に剣を握った古代中国の将軍に見えることから将軍岩と呼ばれ、島の守り神として崇められています。しかし、この将軍岩の付近の港がかつての上陸港で(いわゆる流刑への入口)で、政治犯として収容された人々は、上陸後「鬼門關」という岩の門を通りました。この岩門は、政治犯を収容した監獄「緑洲山荘」の正面にあります。ここを通るということは、地獄への道を意味し、再びここを抜けて生きて帰れるかどうかわからなかったので、「鬼門關」と呼ばれたそうです。
奥は将軍岩、手前は母の涙が溜まる池
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「鬼門關」の門
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人権紀念碑
緑島へ来たら、ここは行くべし。かつて政治犯として、緑島に送られ、現在政界で活躍している有名人の名をたくさんみかけます。ざっと見た一部の方を紹介しましょう。
柯旗化:文学家、英語教育家,
柏楊:作家、日本では「醜い中国人」の著で知られました、小説や歴史書など多彩なジャンルの本を発表しています、中国人ですが、緑島の人権について語るには彼の存在も大きいのです
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施明徳:政治家、戒厳令施行期の台湾における党外勢力(反中国国民党勢力)の主要人物のひとり、元民主進歩党第6代党主席
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姚嘉文:政治家、元考試院長、元民主進歩党主席、弁護士でもあります
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陳菊:政治家、肝っ玉母さんのような、現「高雄市長」、TVでもよくお見かけします
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壁には、政治犯とされた人たちの名が刻まれています
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母の涙は紀念碑に沿って、ここに流れ着きます
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紀念碑の壁には「あの時代、何人の母がこの島に閉じ込められた子を想い、幾夜の涙を流したことだろう」と刻まれています
他にも、黄信介(雑誌『美麗島』を創刊、「台湾民主之父」)、林義雄(民進党の創立者の1人で、同党の元主席)、呂秀蓮(元台湾副総統)…多すぎて紹介しきれません…。
緑洲山荘
将軍岩から少し歩くと「緑洲山荘」があります。「緑洲山荘」(1972年~1987年)は白色テロの時代に政治犯を収容した監獄(刑務所)です。内部は雑居房、独居房、懲罰房に分かれ、監獄として使用されていた当時のままの姿を見ることができます。通常は9人部屋で、部屋の片隅にオープンなトイレがあります。
「緑洲山荘」施設の一部は展覧館にもなっていて、ナビが行ったときは10周年記念で緑島流刑の歴史などがくわしく展示されていました。
開館時間:5-9月 8:00~18:00 / 10-4月 8:30~17:00 参観料:無料
展覧館では、政治犯が投獄されていた当時の緑島関連の証言してくれた人たちの写真も壁一面に紹介しています
新生訓導處
ここは、白色テロ時代、死刑を免れた政治犯の思想改造が行われた施設(1951年~1965年)です。新しく生まれ変わらせる(新生)ために、様々な教育や活動が行われたところです。
ここの受刑者は高学歴で、知識も豊富であったため、島の教育文化や医療衛生、農業、牧畜の発展にも貢献しました。また、音楽や絵など芸術方面に秀でた人たちも多く、1人当たり40㎝未満の就寝スペースを与えられていました。これでも他の獄舎より待遇がよかったそうです。
獄舎内の人形の模型は、消灯前のひと時を楽しむ受刑者たちで、バイオリンやギター、胡弓を引いたり、将棋やトランプをしたり、読書やおしゃべり、手紙や絵を描いたりと思い思いの時間を過ごしています。
模型とは思えない精巧さ
後の民進党勢力の原動力となった人々のことを思うと、結局人間の思想なんて、そんなに簡単に変えられるものじゃないというのがよくわかりました
緑島技能訓練所と牛頭山
手前の鉄骨の屋根が訓練所で、向こうに牛頭山が見えます
緑洲山荘から観音洞に向かう場所にあります。
1966年、主に極悪道の再教育を行う施設として設立されました。その後、技能訓練所に変更され、受刑者の職業訓練を行っていました。現在は屋根も崩れ、抜け殻の建物になっています。
技能訓練所の先に見える小高い丘は牛頭山。島の東北端にあって、丘の中腹では牛が放牧されています。頂上からは360度の絶景が望め、夕陽が太平洋に沈んでいく様子を一番いい場所で見たいならこちらへ。
観音洞
洞窟内に流れ込んだ水により観音像をはじめ、様々な形の石柱ができあがりました。
堂内の観音像様は蓮の上に座っているような姿。
島の守護神としても崇められています。
海參坪に着きました
柚子湖には今回行けませんでした…
ここからの眺めは最高で、小長城歩道、哈巴狗、睡美人を見ることができます。小長城歩道は、ミニ万里の長城と呼ばれています。向こうまで渡れませんでしたが、てっぺんまで行けば、また違った絶景に出会えます。
約300mの遊歩道で、夜は月景色、朝は日の出が美しいスポットとしても有名。
「哈巴狗」は伏せったパグ犬、「睡美人」は眠れる美女の後ろ姿です。髪から首、細身の肩にかけてのラインに雰囲気出ていますよね。哈巴狗と睡美人の南側には孔子岩がありますが、こちらは急な大雨ではっきり見られませんでした…。
絶景です
馬蹄橋
海から入り込んだ海水が、崖にあたって砕ける場所。
波の避ける音と海水のはじける様子が圧巻です。
大白沙
島内最大のサンゴと貝殻の海浜。
歩くときはしっかり靴を履いてくださいね。
サンゴ船に乗ります!
1日乗り放題のバスチケットが買える南寮漁港玻璃底遊艇售票處で、サンゴ船チケット購入。大人300元、小供150元。船の地下に入って行くと、窓に向かって座る席があります。必見は12mの高さのキノコ珊瑚。沖合に出ていくにつれ、色とりどりのサンゴに目を見張ります。
海草かき氷は食べなきゃ!
ガイドさんは、ここが一番おいしいって言ってました
緑島に来たら、食さなければいけないものの1つ。
それは「海草かき氷}!
かき氷は50元から。今回いただいたのは3種。
ここのかき氷屋さんで外せないのに花生芡粿餅(80元)があります。ピーナッツの香りが香ばしく、ちょっともちもちっとした食感で、醤油やお好みで辛めのソースをつけて食べるとおいしいです。
「緑生活海草冰品」 電話:(08)967-1129
宿泊するなら…ここも選択肢の一つ
今回宿泊したホテルです。
島では一番大きく、目の前が海。緑島は最高級と言っても、台湾本土のホテルランクでは、3星級が最高です。アメニティや設備より、雰囲気優先なら民宿もいい選択かもしれません。
こちらのホテルは島でも賑やかな場所にあり、周辺には、レストランやショップ、ナイトスポットも多かったです。
「凱薪飯店」
住所:南寮村102之12号 電話:(08)967-2033
2日間の旅でした
小さな島だけど、怒涛の歴史を歩んできた緑島。
ここへ来たらぜひ人権問題についても興味をもってみてください。かつて緑島へ送られた人、その送られてきた人を弁護してきた人など、この小さな島が現在の台湾社会に密接につながっているということを、ここに来て実際目にするとよくわかりました。
ナビは今回シュノーケリングはできませんでしたが、朝日温泉には行ってきました。温泉記事は、また別にご覧くださいね。
台北ナビがおとどけしました。