店主の王さんがやさしい笑顔で迎え入れてくれる人気茶葉屋さん
こんにちは、台北ナビです。
今日ご紹介するのは中山エリアにあるお茶屋さんの「新純香」。台湾茶が好きな方ならご存知の方もすでにいらっしゃるかと思います。1981年に創業し、2019年の今年で38年目の老舗ですが、去年2018年秋に改装し、素敵に生まれ変わりました!改めて魅力をお伝えします!
台北市政府の<老店正潮>計画でリニューアル
ロゴマークはお茶の葉っぱが点になった「心」の字
台北市政府が主導する老舗リニューアルプロジェクト<老店正潮>によってスタイリッシュに生まれ変わった「新純香」。政府が派遣した台湾人若手デザインチームと店主が話し合いを重ねて生まれ変わった店内は、店内の至るところに気持ち良くリニューアルされたデザインが光り、とっても気持ちのいい空間です。
「純心款香 情味先嚐」という新しいスローガンがお茶・お茶請けを出す時に使われるトレーや店頭に掲げられています。これは「真心をもってお客様をもてなす、味わう前に人情味を感じてもらう」という意味で、まさに「新純香」のことを表しています。
先代の店主のお母様、日本人の人気イラストレーター山田純子さんの作品と共に並べられています
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ショップカードが4色展開で洒落ています!
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王さんの淹れてくれる美味しいお茶
店主の王昭瓔さんは新純香の2代目。とっても流暢な日本語を操ります。それもそのはず、千葉大学の文学部を卒業されていました。日本語教師や日本漫画の翻訳などとして活躍されていたこともあるんだとか。安心してコミュニケーションが取れるのが嬉しいですね。王さん以外のスタッフさんもみんな日本語が上手で、お客さんの7割が日本人だと言うのもうなずけます。しかもほとんどがリピーターなんだとか。
通常は茶葉を買いに来てくれたお客様には3~4種類くらいを試飲させてくれます。お茶は発酵度が低いものから高いものへと飲み進めます。カウンターに座るとわかりやすく茶葉の銘柄や発酵度、産地などが記された表を出してくれますので、それを確認しながら試飲するとより楽しめるでしょう。
()は今回試飲したお茶のランクです。ランクは新鮮さ、季節、香りの良し悪しで決められています。
*文山包種茶(高級茶王 400元/100g)
うっすらした黄色が美しい包種茶。香りを嗅ぐと、とっても甘くいいにおいがします。味はすっきりとしています。
*金萱茶(高級茶王 400元/100g)
続いて飲んでみたのは「金萱茶」。日本人にいちばん人気だそう。芳しいフルーツの香りがしますが、実際に飲んでみると、その飲みやすさもさることながら後味にミルク、ナッツの香りが鼻に抜けます。
*青心烏龍 高山 梨山茶(特級茶王 500元/100g)
これぞ日本人が思い描く烏龍茶!の味ではないでしょうか?深みのある味ですが、苦味や渋さはなく、こちらも飲み心地爽やか。薄茶色なので、味が出ていないのでは?と思われる方もいるかと思いますが、しっかりとした味が抽出されていますよ。
*東方美人茶(特級茶王 500元/100g)
ウンカ(中国語では小綠葉蟬)という小さな昆虫が茶葉を吸うことによって美味しくなった東方美人茶。お湯を注いだとき、茶器の中で茶葉が踊るように見えたことからオリエンタルビューティーとの呼び名もあります。発酵の度合いが高いので、紅茶のような濃厚な味わいがありますが、甘い高貴でエレガントな香りがします。このお茶請けはパイナップルケーキが合います。
*貴妃蜜香烏龍茶(高級茶王 400元/100g)
そして、王さんがとっておきと言って出してくれたのが、「貴妃蜜香烏龍茶」。1999年に起きた台湾大地震で被害を受けた南投県の茶農家が作ったお茶で、こちらもウンカの作用により、ライチに似た香りが漂い、飲んだ後にほのかにちょうどいい苦味を感じるお茶になっています。因みに、王さんはこのお茶を入れる時に素焼きの急須で入れてくれました。焙煎度の高いお茶は素焼きの急須を使うと苦味や渋みを吸収して美味しさが増すそうです。
王さん以外にも常に日本語のできる店員さんはお店にいますが、王さんに詳しくお茶についての紹介してもらいたいという方は、事前にMailや電話で予約をしてくださいね。
気軽に購入できる茶葉
もともと台湾のお茶屋さんというのは、いちばん少ない量でも150~300gからしか販売してくれませんでした。ただ、「新純香」は台湾の中でも比較的早い段階でお客様が買いやすいようにと50~100gでの販売を開始したんだとか。お客様を第一に考えているのがよく分かりますね。
そして人気なのは9種のいろいろな味が楽しめるセット(梨山高山茶、四季春茶、金萱茶、凍頂烏龍茶、鐵觀音茶、東方美人茶、台灣茉莉花茶(台湾ジャスミンティー)、紅玉紅茶、普洱茶(プーアル茶))。たくさんの種類があって迷ってしまったという方や、飲み比べてみたいという方にオススメです。もともとは4種類だったのが、6種類になり、またお客さまのリクエストで9種類になりました。現在は桂花烏龍茶も入れて欲しいとの声もあり、今後10種類になる可能性もあるかも。中身は三角ティーバッグになっていて、茶葉も粉々になっているもの(粉茶)ではなく、きちんと形のあるものを使用してあります。
ミルクの香りがする金萱烏龍茶
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台湾中部で採れる台灣紅玉紅茶
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お茶菓子も充実しています
ドライフルーツからパイナップルケーキ、マドレーヌと種類豊富に充実しているお茶請け。以前にここを訪れた友人知人からお土産でもらったお茶請けが美味しかったから!と言って買いに来るお客様が結構多いのだとか。ドライフルーツはマンゴー、パイナップル、グァバなどありますが、ナビが気に入ったのはすっきり爽やかな味の文旦ピール。このお店ではパイナップルケーキのほかに珍しいレパートリーの「香蘭酥(蓮の実パイ)」があります。蓮の実餡にクルミが入ってあっさりした甘さのお菓子で、3個180元から購入可能。定番の椎茸や舞茸チップスも大人気です。
お茶に関わる陶器の急須や湯のみ
可愛い干支湯のみ
店内の所々にあるのが可愛らしい急須や湯のみ。中にはセットもあります。価格はお値打ち品で300元ほど~。蓋付き湯のみで高いものは15,000元するものなど取り扱いが豊富です。
陶器で有名な鶯歌や苗栗で製作されたものをメインで取り扱っています。素焼きの急須と茶葉がセットになったものなど、お茶好きにプレゼントしたらかなり喜ばれるでしょうね。
素焼きの急須3つと茶葉3つのセット
店主や店員さんたちはお茶の資格を取得しています
ここで働く店員さんたちは皆<評茶師>という資格を持っています。お茶に関する授業を受けて、試験に合格すればこの資格がもらえます。もちろん王さんはそれより上のランクのお茶の資格をお持ちですよ。彼女が大切にしていることは、真心と思いやりを持って接客すること。お客様に「新純香に来て良かった!」「先に新純香に来れば良かった!」と言われることがとても嬉しいそうです。
最近、「観光案内所みたいになっています。」と、微笑みながら話す王さん。お客様が財布をなくしてしまったり、カメラをどこかに置いてきてしまったりなどのトラブルの際、警察に連れて行き問い合わせをしたりと助けてあげることが多いそう。店内をリニューアルしても、気持ちよく試飲できる環境と店主の王さんをはじめスタッフの温かい接客はそのまま!この林森北路一体の一部として根付いて茶葉屋さんを通して日本人観光客やその他外国人観光客、地元の方たちに愛されているお店なのだなぁと感じました。
以上、台北ナビでした。