やめられないとまらない…素朴なお菓子!甘い香りただよう老舗の裏側に潜入しました
こんにちは、台北ナビです。
台南の鉄板観光スポットとして名高い「赤崁樓」の向かいにある、花生糖の老舗「進福大湾花生糖」にやってきました。今回ご紹介する「花生糖」とは、花生(ピーナツ)をたっぷりと使った昔ながらのお菓子。いちど食べるとやみつきになってしまう危険なおいしさで、おみやげにもおすすめです。そういえば「花生」の発音は、「好事発生(いい事が起こる)」の「発生」と似ていることから、台湾では時々言葉遊びとして使われたりもします。お店に入る前から、なんだかいい事が起こりそうな予感……。早速、行ってみましょう。
屋台から始まり伝統の味は親から子へ
「進福大湾花生糖」の創業はなんと1934年。当初は台南永康區の「大灣」という地区で屋台からの出発だったそう。大湾には花生糖のお店がいくつかあるのですが、みためにもきれいでおいしい花生糖は、神様へのお供え物として人々から重宝されていたそうです。
現在お店を切り盛りしているのは、4代目となる鄭萬生さん。「赤崁店」がオープンしたのは彼が看板を引き継いでからです。平日もたくさんの観光客でにぎわう「赤崁樓」の向かいということもあり、お店は朝から大繁盛。お店の中では、お菓子を切ったり包装したり……スタッフの方々も忙しく動き回っています。
台南のシンボル「赤崁樓」
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お店の入り口はこんな感じ
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「花生糖」と「花生捲」はこうして作られる
「花生糖」を作る上で重要なポイントは、当たり前ですがピーナツです。ピーナツには年に2度の旬があり、それは5月と2月頃になるそうです。ここで使われているピーナツは、雲林県の北港産のもの。毎日毎日100㎏~200㎏の新鮮な生のピーナツを、低糖の麦芽糖、砂糖と一緒に1時間~2時間くらいかけて煮込むことから始まります。今でこそ機械の助けを借りることができるようになりましたが、昔はこれを手作業で行っていました。骨の折れる作業ですね。こうして出来上がったアツアツの花生糖は、オブラートの敷かれた四角い型にいれて、表面を均し冷まして固めます。
生の状態のピーナツ
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給食のおばさんが使うような大鍋で煮込まれます。
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息つく暇もなく、流れ作業はどんどん続きます……。
観光地などでは、この花生糖を手作業で切り分けるところを見たことがあるという方もいるかもしれませんが、ここでは機械を使い効率アップ!素早く均等に切り分けていきます。その時間ほんの1秒ほど!!
今度はコンベアーに載せて包装していく作業。昔ながらのお店では、ひとつの袋にまとめて包装するのが一般的ですが、ここのお店ではひとつひとつ小分けにパッキングされているので、バラマキみやげにも便利。実際に、小分けになってるからわざわざここに買いに来るというファンの方もいました。香ばしいピーナツと濃厚な麦芽糖のハーモニーが絶妙。ただ、歯にくっつくので詰め物をしている方はお気をつけて~。
そして、花生糖にひと手間加えて作られるのが、もうひとつの人気商品「花生捲」です。まず四角く固めた「花生糖」を、トースターで少しだけ温めて程よい軟らかさにし、大きめに切り分けます。そして、その生地に砕いたピーナツの果粒をまぶしながら、ローラーに通していきます。ローラーに巻き込んではピーナツをまぶし、巻き込んではまぶす……楽しそうですっかり見とれてしまいました。そしてきな粉色になった記事を玉子焼きのようにクルクルと捲き、これまた機械でまとめてざっくりと切れば出来上がり!
よく見ると層になっていて、口に入れるとクランチピーナツがホロホロとほぐれていきます。ナビはこれがお気に入り。
伝統の味をおみやげに
「進福大湾花生糖」では、この他に黒ゴマを麦芽糖と砂糖で固めて、ひと口サイズに切った「黑芝麻」も人気商品のひとつです。ギフトセットは、100元(11~16個)、150元(16~22個)、220元(24~31個)、399元(47~63個)の4種類があり、花生糖、花生捲、黑芝麻の3種類を自由に組み合わせることができます。賞味期限は常温で10日、冷蔵なら30日ほどなので、素朴な台湾味を日本に持ち帰ることもできます。冷蔵庫に入れると麦芽糖が硬くなるので、とりだしてから10分ほど待つのがポイントです。
台湾では、どこか懐かしさを感じずにはいられない昔ながらの食べ物のことを「古早味」と呼び、この「花生糖」も数ある台南「古早味」のひとつです。台湾ではなじみ深い味でも、よそから来たナビにとっては新しく新鮮な味に思えました。先代から引き継いだ伝統の味を守っていくために、新しいことに挑戦していく若いご主人の姿勢も勉強になりました。ただ、おいしいからといって、ついつい食べ過ぎてしまったことに、若干の後悔が残る……そんな取材でした。
以上、明日からのダイエットを心に誓った台北ナビ(岩田優子)がお伝えしました。