台湾で一番おいしい牛肉は、台南にあり
こんにちは、台北ナビです。
牛の公益売買が行われる市場という通称「牛墟」は、早期の農業社会において、重要なマーケットの役割を担っていました。その歴史は、日本統治時代の昭和6年にまでさかのぼります。当時台湾全土に84ヵ所もあったという牛墟は、時代の流れによって、現在は雲林の北港と台南の善化、鹽水の3ヵ所となってしまっています。
牛肉料理の数々
牛墟が全盛期だった当時、牛の1日の交易量は1000頭にも上り、大衆もその交易の様子を観賞するのを好んだそうです。交易を仲介する仲買人の弁舌は闊達で、学がある者は少なかったのですが、彼ら独自の専門用語と計算暗号を操っていました。交易が成功した折りには、牛の足を縛ったということです。交易の前日には、肥えた牛に見せるため、池に連れて行って水をたらふく飲ませ、草をしこたま食わせ、当日は高い値で売りさばきました。
牛を購入する者は、その歯形、歩き方、牛車の引き様や耕し様などから牛の良し悪しを判断し、これと決めた牛には新しい縄を結び、赤いたすきをかけて「嫁に出す」形を作りました。仲買人が買い主に縁起のいい言葉をかけると、交易が成ったことを意味しました。
牛の交易市場では、牛の売買以外に多くの屋台も徐々に出現し、薬品や農機具、日用品、農産物、衣類、食品などが安い価格で売られ始めたため、多くの庶民に受け入れられるようになり、マーケットとして賑わいを見せるようになったのです。
毎日ではありません
今回善化の牛墟に来たナビたち、牛墟と呼ばれるマーケットは、毎日やっているわけではありません。こちらのマーケットの開催日は、毎月の2,5,8が末字につく日。
つまり、2,5,8,12,15,18,22,25,28日と、一ヶ月に9日間だけ。
これらの日が休日に当たったときは、ものすごい人たちで賑わうそうです。ナビたちが行ったのは5日ですが、火曜日だったので、通常は朝6時から12時くらいまでだけど、食事の場所はお昼近くなるともう店じまいの屋台もちらほら。食事なのにお昼前に終わっちゃうの?と不思議に思う人もいるかもしれませんが、ここは「牛墟」。「牛」の料理がメイン。つまり台南人は、早朝から牛肉湯(牛肉スープ)を食べる習慣があり、人気がある牛肉湯の店は、台南市内でも朝8時にはもう店終いしているのです。
そんなことから、ここへは朝6時ごろからボツボツ人が集まり始め、売り切ったら昼前には終了というわけなのです。更に朝一番で食べるために、人々はかなり遠方からでも足を運びます。牛肉湯のために朝5時にはうちを出るのです。この食への追求心、完全に敬服してしまいます。
牛だけが有名ではなく・・・
苦手な人はびっくりですが
食べるとホントに美味
台北では、華西街の夜市に見られる「蛇」料理が、ここ善化牛墟でもありました。
台湾では、百歩蛇のような毒蛇を捕獲するのは禁止されているので、食用となるのは、ご安心ください!毒はない蛇で、1986年から続くこちらの屋台では、台湾で南蛇と臭青母蛇と言われる蛇を使用しています。台湾の山ならどこにでもいる蛇だそうで、雄も雌も食べられますが、雌肉の方が柔らかいそうです。
ここでは、1日に7本くらいさばき、出汁は蛇の骨、これに塩を加えただけ。そして、ショウガと米酒が足されたシンプルなもの。蛇肉と聞いたら、体がかっかしてきそうな気がしたナビは、冬場の方がお客さんは多いのでは?と聞いたら、1年中同じくらい、むしろ夏場の方が多いとのこと。朝から熱いものを食べたい台湾人は、夏でも蛇スープでまず体を温めたいのだそうです。
ナビも初めての蛇スープを飲んでみました。
肉は柔らかく、良質の豚肉かチキンのよう。すごく食べやすいです。でも米酒もかなり効いていて、何となく体がポカポカしてきたのは、蛇のせいか米酒なのかよくわかりませんでした・・・。
★ 看板は「王家蛇肉」。市場内では番号がないので、画像の様子でお店を探してください。
営業時間:6:00~12:00
いろんな調理法があります
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シャーッと檻から取り出しました
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お客さんは女性も多し
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調理前
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ここに来たなら牛肉湯
さて、善化牛墟の最大の目的である、牛肉料理が食べられる屋台へ着きました。
こちらは、この場所ですでに8年。生牛肉の販売もしている屋台ですが、朝9時にはほぼ売り切れてしまい、後の時間は料理の提供時間。一ヶ月に9日間しか開かないというので、それ以外の時間はどうしてるのかな?と気になったナビ、お店の人に聞いてみると、休んでるわよ、とのこと。ひゃあー羨ましい。でも市場が開く日は、朝の2時から交易が始まるので、仕込みやらが大変だそう。早朝というか深夜に始まる交易時間は、昔ながらのものなので、売り切ったら午前中にはもう店終いよ、というのもよく分かりました。
★ 看板は「現宰奮牛肉」
6:00~12:00
菜頭牛肉湯(小) 60元 肉をがっつり味わいたい人向き、牛肉湯より肉が厚めです。
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牛肉羹(小) 60元 紅麹が入ったスープは甘みがあり、ヘルシーな印象でした。
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炒牛肉 100元 青菜と炒められたのはご飯にぴったり味付けでした
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牛肉料理には、サトウキビジュースが合う
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皆で、うなずきながら試食会
農村文物館
市場の片隅には、「農林博物館」と書かれた掘っ立て小屋のような建物がありました。
こちらは毎日8:00~17:00までオープンで、中に入ると、昔の農耕社会の写真や農機具が置かれていました。牛が運ばれた車も展示されているので、ご注目。
昔はこのような牛の交易市場は、5年に一回場所を変えていたそうですが、現在の善化牛墟は、知名度が上がってきたので、もう移動はしないとのことです。その当地でしか食べられないものを探している方、ぜひ善化の「牛墟」へ。
ここは、台南にしか見られない果物や農産品も多く、何でもありのような開放的な様子が、昼の夜市のようでもありました。
屋台の主人たちは、皆笑顔で親切です。
南国のオープンマーケット、ここにあり。
以上、台北ナビでした。