台湾土産の定番・茶葉を新鮮で安く手に入れたい方はぜひ!お茶通にも行っていただきたい職人の店がオープンしました。
こんにちは、台北ナビです。
台北市内に無数にあるお茶屋さん。どこで買ったらいいか迷うところですよね。
パッケージより中身が大事、できるだけ新鮮でおいしい茶葉を安く手に入れたい!という方なら、やっぱり狙いは茶葉問屋。
今回は、質にこだわる台湾茶ファンに、一度は足を運んでいただきたい一軒をご紹介します。
茶の選定一筋の大ベテランがオーナーです
今回ナビが訪れたのは、重慶北路にある「林茂森茶行」というお店。MRT「大橋頭」駅からも歩いて5分ほどのところにある茶葉問屋です。台湾茶を買いなれた方なら場所を聞いただけでピンと来たかもしれませんが、台北でも有数の老舗茶葉問屋「林華泰茶行」はすぐお隣。
実をいうと「林茂森茶行」オーナーの林茂森さんは、この「林華泰茶行」の四代目として、40年間お茶の選定と経営に携わってきた人なんです。「茶葉を選ぶ目には絶対の自信があります」と言う林さんが独立して開いたこのお店は、オーナーとその長男・谷樺(デビット)さん、次男の岳樺(チャールズ)さんで切り盛りする家族経営。林さんのもとでお茶の勉強をしてきた息子さんたちは、日本語も英語も堪能な頼もしい存在です。
MRT「大橋頭」の駅から徒歩5分ほどとアクセスも便利
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林華泰で店主をしていたころ雑誌に特集された記事が貼ってありました
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オーナーの林茂森さんと2人の息子さん
好きな茶葉を好きなだけ
お店に入るとすぐに目に入るのが、大きなお茶の缶。問屋らしく初心者には敷居が高い風情ですが、缶のふたにお茶の名前と値段が書いてあるので心配いりません。
基本は一斤(600g)からの販売ですが、測り売りなので、半斤はもちろん200gなど少量にも対応できるとのこと。好きな分量だけ買えるのもうれしいですね。
こざっぱりとした店内に茶葉が入った大きな缶が並んでいます
細かくランクがつけられた茶葉たち
茶葉の種類も豊富なうえに細かいランク付けで常時70以上の缶が置かれているそう
ではさっそく、林さんのお眼鏡にかなった茶葉たちを見せていただきましょう。まずずらりと並んだ缶を見て思うのは、一種類の茶葉をとても細かくランク付けしているということ。下は60元から上は4000元までに分かれていました。このためお店には常時70種類以上の茶葉が並んでいるのだそうです。手摘みと機械摘み、明らかな色つやの違いならともかく、一斤1000元以上の茶葉となると見た目にはほとんど区別がつきません。それ以上の選別はまさに職人技の域。一番区別が難しいと思ったのが、文山包種茶。発酵度が低めでさっぱりした味が人気のお茶ですが、棒状の茶葉はどれもほとんど同じに見えます。
さらに生っぽい香りも違いがわかりづらく、いったいどこで判断するのでしょう?林さんいわく、新しい茶樹から午後に摘んだお茶は香りも味もよいのだそう。太陽を浴びて水分が飛んでも、よい茶葉は中身が詰まっているので重量があるといいます。「ほら、重いでしょ?」と言う林さんにならって、ナビも片手で持ち上げてみましたが…この道40年の人だけが持つ感覚のようです。
鉄観音はランク別に9種類
ナビは鉄観音茶が好きなのですが、以前は木柵産が有名だったこの品種も、最近では栽培する茶農園が減っています。もともと生産量の多くない品種なので、現在ではかなりの貴重品になってしまいました。このお店にある4000元の鉄観音は台湾中部の高山で探し出してきたもので、本物の鉄観音種の茶樹で育った茶葉。だからこれほどの値段がつくのだそうです。
対して2400元以下の方は、烏龍茶用の青心烏龍の茶樹で作ったもの。品質に自信はあるということですが、どうしても値段が下がるんですね。
人気の高山烏龍茶にもピンキリがあります
さて、日本人に人気の凍頂烏龍茶や高山烏龍茶に目を移しましょう。こちらも種類が豊富。選別の基準としては、たとえば水仙烏龍と書かれた1000元のものは100パーセント青心烏龍の木で採れた茶葉で、小種烏龍とある400元のものは、いろんな木を掛け合わせて作ったもの、という具合。見た目は似ていても、やはり香りが違います。
さらに値段が下がると、北部や中部などバラバラの生産地からの茶葉を混ぜているそうで、飲み比べるとその差はさらにはっきり、純正の切れ味が光るそうです。
左が600元、右が1000元の凍頂烏龍茶。
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そして左が1600元、右が2400元の高山烏龍茶。違いわかりますか??
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東方美人は見た目が勝負
紅茶のような風味で女性に人気の東方美人茶は、一般に白や赤などの色彩が強く、パッと見華やかなものがいい茶葉と言われています。この情報を小耳に挟んでおけば、高級品はなんとなくわかるはず。
さらに台湾産は茶葉が細くてきれいで、赤みが強いのが特徴なのだとか。最近は温暖化の影響でしっかり赤くなる東方美人茶が少ない、と林さんは嘆いていました。
定番茶やちょっと珍しい品種も
ほかにもパッケージが豊富な普洱茶(プーアール茶)や伝統的な花茶である菊茶など、日本人にもなじみのあるお茶が並んでいるほか、あまりお目にかからない「蜜香紅茶」という茶葉も。台湾の紅茶といえば日月譚などが産地の紅玉種という品種が有名ですが、これはまた違う種類で、高山烏龍茶の産地として名高い梨山で採れたものだということでした。紅茶もスリランカ産の安いものまで含めると何種類もあります。
最後にナビの目にとまったのが「茶枝」と書かれた缶。いわゆる茎茶のことで、安価でもちゃんとおいしいので好んで飲む人も。これを扱っているお店は台湾でも少ないので、意外に希少価値があります。一番安いものなら半斤(300g)買っても30元。試しにいかがでしょうか。
バラバラの普洱茶は一斤240元
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目にいいといわれる菊茶は無農薬のもの
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茶葉はすべて試飲可能!
というわけで、一番飲み慣れている品種でホンモノの味を体感すべく、4000元の鉄観音を試飲させていただくことに。高い茶葉という先入観を差し引いても、しっかりした大きな玉状の茶葉は香り高く、「鉄」観音の名にふさわしい鉄のような光を放っています。一口飲むと香りはさらに強まり、口全体にとろりとコクのある、それでいてさわやかな甘みが広がりました。う~ん、やはり美味しい!
生産地や品質はもちろん気になりますが、最終的には理屈じゃないのが嗜好品。やはり飲んでみて決めたいですよね。その点ここ「林茂森茶行」は問屋ですが、どの茶葉も試飲させてもらえるんです!飲み比べながら詳しく説明してもらえれば、納得して気に入った茶葉を買えるというものです。
林さん曰く、お茶の良し悪しがよくわからないという方には、品質に間違いがない1000元以上の茶葉がおすすめとのこと。違いのわかるお茶好きの方なら、600元くらいのものから飲み比べて気に入ったものを買ってもらうのがベストということでした。
最高級鉄観音をふんだんに使ってお茶を入れていただきました
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さすがの味と香り。開いた茶葉もしっかり美しい!
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包装は昔ながらの方法で
量り売りで買った茶葉は、昔ながらの簡易包装でお持ち帰りの準備をしてくれます。これが素朴でなかなかかわいいんです。
また要望に応じてm缶包装(25元~)、ギフト包装(150元~)などにも対応してくれますので、贈り物にも便利です。
ギフトに対応していろいろな種類の包装もしてくれます
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真空パックを作る機械もあるので、玉状の茶葉はその場で真空パックにしてくれます
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茶葉専門店はあくまでも茶葉の良し悪しが勝負なので、茶器などは申し訳程度に置かれている問屋さんが多いのですが、林茂森茶行で販売している茶器はさりげなく素敵なものが多かったです。すべて陶磁器で有名な鶯歌で仕入れたものだそうですが、特にEILONGブランドのものはセンス抜群です。昔から付き合いのある店から仕入れているそうで、お値段は工房とほぼ同じ。鶯歌の在庫にはすでにないものもあるそうですので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
さらに店の奥には現代作家の手による手作りの茶器が大切にしまってありました。数千元する高級品ですが、作家さんが有名になった場合はその何倍もの価値がつく場合もあるので、ひとつ買い求めてみてはいかがでしょうか。
こちらはお店オリジナルの茶壺。とても大きくて使い勝手がよさそう
同じシリーズで茶葉入れや
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来客にも便利なカップセットもあります
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150元とリーズナブルな茶壺は大きめで使いやすそう
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こちらは純中華風。左の蓋椀の持ち手は瑠璃でできています
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絵柄が立体的に浮き上がっているのが手書きの証だそうです
後世に価値が出る可能性ありです
今年中にリニューアル予定
まだ開店1年と新しいお店ではありますが、オーナーの経験は確かな「林茂森茶行」。
今年中には店舗も改装する予定で、リニューアル後は作家ものの茶器も店頭に並ぶそうですので、ますます行くのが楽しみなお店になりそうですね!
以上、台北ナビがお伝えしました。