竹の素材選びや加工には、必ず現地に足を運んで職人さんと打ち合わせ。積極的に竹素材を作品に取り入れていく若手デザイナーさんの意気込みを感じて下さい!
こんにちは、台北ナビです!
今日やってきたのは、MRT圓山駅の目の前にある「花博公園」。2011年に行われていた「花博」を皆さん覚えてますか?この公園で花博の際に使われていたパビリオンなどは、花博閉幕後に改築され、様々な催しや展示会場として現在も有効活用されているんです。
こちらが会場です!
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一瞬買おうかとさえ思った「ラーメンを食べながらスマホが使えるどんぶり」
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取材時、この会場で行われていたのは「台湾設計師週(台湾デザイーナ・ウィーク)」。主に生活雑貨や家具、室内内装などを手掛ける台湾の若手デザイナーが集まり、自身の作品展示や即売、デザイナー同士の交流の場となっていました。また、会場には特に学生さんと思しき若者がたくさん。聞いてみると、デザインや美術を学ぶ学生がデザインの参考に足を運ぶケースが多いとか。
ブースにお邪魔しま〜す!
取材慣れしてるんでしょうか。目線も決まってます!
今日お邪魔したのはデザイン集団「DOT design」を取り仕切る韓世国さん。ご自分もデザイナーでありながら、デザイン事務所のオーナーとして10人以上ものデザイナーを抱える会社を切り盛りしています。
さらに、本業の傍ら、実践大学や文化大学でデザインの教壇に立つという忙しさ。実際、展示会場を案内してもらっていると、多くの学生たちから「先生~!」と声を掛けられていました。
今日ご紹介するのは、台湾中部の南投県竹山の特産である竹を使った作品。小ぶりのブース内に竹の作品が見当たらない・・・と思いきや、視線を上げるとありました~!上から竹のハンガーが掛けられていました。
竹素材作品を発見!
まずはオーソドックスな竹素材を使ったもの。いわば伝統的な竹の色といえます。ところが面白いのはその構造で、グルリと丸められた本体部分には一本の竹を加工して作られたもの。貼りあわせなどではむしろ弾力性が失われるので、竹の特性を生かしたデザインになっているそう。これまで取材してきたたくさんのデザイナーさんと同様に、韓さんも「やっぱり竹山の竹が一番弾力性に富んでいる」のだとか。
また、中央部分には取り外し可能な別のパーツが。この部分も竹の特性を生かし、パンツやネクタイなどを挟んで落ちないような仕組みになっています。この部分が不要な場合は取り外すこともできますが、ここも竹素材のみ。他の素材は一切使っておらず、金属はフックの部分だけという、竹にこだわった作品になっています。
カラーの秘密
実は、同様の作品には3つのカラーとタイプが用意されています。自然の竹を生かしたもの。青竹の色をそのまま残した新鮮なグリーン。そして渋いダークブラウンです。実はナビ、グリーンとダークブラウンの色には見覚えがあります。8月に南投県竹山へ取材に出掛けた際、当地で様々な試行錯誤をして竹産業を盛り立てていこうという意気込みの職人さんたちを訪れました。
お一人は「竹博士」と呼ばれ、青竹の色をそのまま残す技術を開発した林群涵さん。もう一人は日本の技術を参考に、数年を掛けて独自の燻製方法を編み出した劉昭明さんでした。
この新鮮なグリーンには見覚えが・・・
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手前が自然な色合いのもの、奥がダークブラウン
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そのことを話すと、韓さんも「あー、ナビさんもご存知でしたか。その通り、グリーンの竹は林さんにお願いして加工したもの、ダークブラウンの方は劉さんに頼んだものなんですよ」。なるほど世間って狭いですね、と思いきや、竹山の職人さんたちの技術がそれだけ優れているという証なのでは、と思い直したナビ。職人さんたちの努力と、それを積極的に取り入れていく若手デザイナーさんの結晶が、目の前にある作品というわけですね。
現在、こちらのハンガーは展示会場のみでの限定販売。11月には日本でも展示会に出展し、出来れば日本への販路も探ってきたいという韓さん、海外進出への意気込みがグングン伝わってきます。
竹素材を使った作品としてもう一つご紹介していただいたのが、こちらの色鉛筆セット。ひとめ見ただけでなんとも遊び心のある作品じゃありませんか?色鉛筆それぞれの側面がスリットのようになっていて、いくつも繋げることが出来ます。こんな仕組み、子供たちに限らず、忙しい毎日を送る大人にとってもたまらない楽しさでしょう。
韓さんによると、竹ならではの加工のしやすさで、むしろ一般の鉛筆に使われる木材よりも細かい加工が容易なのだとか。トゲが刺さらないように加工も念入りで、子供たちにも安心して使ってもらいたいと期待しています。
ナビ、これも欲しい。。。
また、持ち運びに便利なように、ラバーのケースも附属。このケース、実は材料は古タイヤなんです。鉛筆の材料となる竹も、他の用途に使われて廃棄される部分を使っているので非常にエコ!そのため、まだ市販されていないものの、一般の色鉛筆と比べてもほんのわずか割高になるだけで販売出来るんじゃないかな、とのことでした。こんな色鉛筆セットが机の引き出しに入っていたら楽しいですよね!
韓さんのこれから・・・
ハンガーや色鉛筆セットはまだ一般販売が始まっておらず、展示会のみでの販売でしたが、売上は上々とのこと。今後、セレクトショップなどでの販売を計画しているそうです。また、ネット上での販売と合わせて、日本など海外への販売にも積極的に進めていきたいと語る韓さん。竹を用いた作品作りには、今後も実際に竹山へ足を運んでヒントを得ながら考えていくそうです。
竹山の竹素材、それを加工する職人さんたちの努力、そして積極的に台湾の特産を作品に取り込んでいこうというデザイナーさんたちが一体となり、台湾の竹が使われた作品が海外に飛び出していく日が近いかもしれません。
以上、台北ナビがお伝えしました。