高雄市政府の前にある行列のパン屋さん。世界チャンピオンとなった吳寶春こだわりのパンが店内にずらりと並んでいます!
こんにちは。台北ナビです。
世界チャンピオンとなったパン職人呉寶春さんのパンが買えると聞いて、高雄市政府の前にあるこちらのお店にやってきました。休日ともなると30分から1時間待ちのこちらのお店。ナビが到着したのは平日の12:00頃。並ぶよーと聞いて覚悟していましたが、「歡迎光臨(いらっしゃいませ)」とお店の人。あれ?並ばなくても入れる?
お店を案内してくれたスタッフの陳慧玉さんによると、平日の12:00から15:00までは、人がそれほど多くないので、並ばなくても入れるのだそうです。お客様がパンを選びやすいように店内をいつも15人から20人にコントロールしているため、週末は並んで待たなければならないそうです。並ばないでお店に入りたい方は、平日のこの時間帯が狙い目ですよ~。
お店の前に座って食べられるスペースがあります
世界チャンピオン
パイナップルケーキもあります!
パイナップルケーキはバラ売りもあり
試食で食べさせていただきました
入口を入ると、お店の方が試食のパイナップルケーキを持ってきてくれました。入り口では試食もよく行っているそうです。実は、このパイナップルケーキには呉寶春さんのストーリーがあります。呉寶春さんのお母さん陳無嫌さんは、パイナップル畑で収穫の仕事をし、8人の子供を育てましたが、生活は苦しく、晩ご飯にはよく売ることのできないパイナップルが食卓にありました。
当時の彼は、そのような貧困を思わせるパイナップルの味がとても嫌だったそうですが、お母さんが亡くなってからこの味を思い出し、それは徐々にお母さんへの懐かしさへ変わっていきました。どんなに苦しくても微笑を忘れなかった偉大なお母さんを記念するために、このパイナップルケーキを作ったそうです。パイナップルケーキには冬瓜が入っていることが多いですが、こちらは冬瓜を使っていない、パイナップルの味がしっかり味わえるパイナップルケーキです(陳無嫌鳳梨酥12個入り一箱399元)。呉寶春さんのお母さんの名前の付いたパイナップルケーキ、お土産にいかがでしょうか。
チャンピオンになったパンとは…
それでは、中に入ってみましょう。天井が高くて明るい雰囲気の店内は、いつも温度を28度に調整しているそうです。徹底された温度管理の下には、たくさんのパンがずらり。チャンピオンになったパンは、入り口を入って向かい側、レジの右側の下の方にありました。2008年にアジアチャンピオンに輝いた「酒釀桂圓麵包」350元と2010年に世界チャンピオンを獲得した「荔枝玫瑰麵包」350元。1日100個限定とのことですが、これらの限定パンが買えなくても、他にも店内にはぐるっと60種類!近くのパンがあります。
まずはやっぱりチャンピオンとなったパンから。見た瞬間びっくりするのはこのパンの大きさ。店内の他のパンと比べたら巨大といっていい程のものです。ひとつで3人分はあります。そして持ってみるとずっしりと重い…。食べきれなかったらどうするの?と聞かれそうですが、常温で30時間は置いても大丈夫です。パンの上にデザインされたお店のマークやライチの模様がかわいいので、切るのが忍びない感じですが、食べきれない場合は、小さく切り分けて冷凍庫へ入れます。2週間は冷凍保存可能だそうです。「酒釀桂圓麵包(Taiwan Longan with Red Wiine Bread)」は龍眼、ワイン、胡桃を、そして「荔枝玫瑰麵包(Taiwan Litchi Rose champion Bread)」は、ライチリキュール、ライチ、バラの花びらなどを主な材料として作られたパンです。さっそくいただいてみると…すごい弾力性!噛み応えがある中で、噛んでいくうちに素材の味が口いっぱいに広がりました。
バラが使われているのはパンだけではなく、バラのジャムもありました。台湾の埔里で作られたこのジャムは有機栽培のバラを使ったもので、安心して食べられます。パンにつけると一味違う風味が味わえて、お土産にもおすすめです。(玫瑰花醬 (Organic rose leaf jam) 1瓶200元)
2008年にアジアチャンピオンに輝いた「酒釀桂圓麵包」350元
お店のマークがかわいい
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パンは切ってくれます
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どうですか?この切り口
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龍眼、ワイン、胡桃…噛むほどに味が出ます
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2010年に世界チャンピオンを獲得した「荔枝玫瑰麵包」350元
こんなに大きいんです、そしてずっしり重い…
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ライチの模様が目印♪
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ライチリキュール、ライチ、バラの花びらなどを主な材料として作られたパン
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ライチがいっぱい!
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パンのおいしさの秘訣は
残念ながら、チャンピオンのパンが買えなかった、という方もがっかりしないでください。店内にあるその他のパンも負けず劣らずのおいしさ。朝6:00から仕込みが始まるこちらのパンですが、生地は練った当日に焼く、ということを徹底しているそうです。しかも、天気、室内温度、パンの種類によって焼く時間も調節しているとのこと。おいしさの秘訣はここもありそうです。パンを焼いている様子などは、お店の外、お店に向かって右側のガラスを通してみることができます。
これが明太子、香ばしい!
丹麥紅豆吐司は、中がフカフカ、外はサクサク
お店にパンの種類が一番多く並ぶのは、15:00から16:00頃だそうです。
店内にずらりと並んだパン。どれにしようかナビが迷っていると、陳さんがこちらの日本の小麦粉を使った「明太子法國 (Mentaiko Baguette)60元」や「亞麻子曼越莓麵包(Linseed and dryed Cranberry of Bread)90元」もおすすめですよ、と紹介してくれました。明太子法國に使われている材料は、小麦粉もそうですが、明太子も日本から来ているそうです。
そして、亞麻子曼越莓麵包には、アマニ(亜麻仁)とクランベリーが入っています。材料にこだわったヘルシーなパンはまだまだあります。店内で人気のパン、あずきデニッシュ食パン(丹麥紅豆吐司 120元)は、中はやわらかく、外はサクサクとした食感が楽しめます。外側にかけられている白い粉は杏仁だそうで、デニッシュはヨーロッパ発祥のパンですが、こんなところにも台湾らしさがでています。
一番上にあるのがクロワッサン
クロワッサン(可頌(Croissant) 30元)は見てすぐに分かりますが、表面の層がはっきりわかれていて、中を切っても空洞ではなく、サクサクとした食感が楽しめます。
四つ葉の形もかわいいくるみパンは、1つでかなりボリュームがありますが、くるみをしっかり味わうことができて、ナビは結局ひとつ食べきってしまいました。形もそうですが、パンの表面もつやつやできれいです。
(歐式核桃麵包 80元)
こちらはブルーベリーベーグル、マンゴーより10元安し
やっぱり台湾に来たからには、台湾らしいパンが食べたい!という方におすすめなのが、マンゴーベーグル(芒果貝果(Mango bagel)45元)です。
食べてみると、ベーグルといってもあまりかたくなく、マンゴーパンといった感じです。台南玉井の愛文マンゴーが使われていますので、是非お試しください。
それから、台湾産のミニトマトなど当地の食材にこだわったトマトチーズパン(番茄起司 100元)もおすすめです。地元で人気なのは、カボチャパン(南瓜麵包 35元) とねぎがたくさんのったねぎパンだそうです(蔥麵包 20元)。お値段もお手頃。パンに使われている材料も全てシェフによって厳選されたものばかり、ということで、これもおいしさの秘訣。こだわりの生地にこだわりの材料がいっぱい入ったパン。もちもちしたおいしさがくせになって、ついつい食べ過ぎてしまいます…。
呉寶春さんに追いtつけ追い越せと、台湾は今空前のパン職人ブーム。小麦粉などの値上がりにより、パン全体がお高くなっている今日この頃ですが、おいしいパンが続々と出てくるのは、パン大好き人間からしたら大歓迎なことです。
去年は呉寶春さんお弟子さんが、世界レベルのパンコンテストで優秀な成績をおさめたというニュースも入ってきています。ライチやリュウガン、トマトやアンゴーなどの台湾産の素材を生かしたおいしいパン、これからも大いに期待しています!
いつまでも学ぶ姿勢を大切にする呉寶春さん
陳さんの話によると、呉寶春さんは世界チャンピオンになったからといって、それで終わらず、学び続ける姿勢を大切にしているそうです。
時には、日本にまで出かけていって、先生について学ぶこともあるとのこと。
「将来日本でお店を開く予定はあるんですか?」というナビの質問に「それは呉寶春さんの夢です。」との答え。
台北には、現在お店を計画中だそうです。
将来は日本でも呉寶春さんのパンが味わえるかもしれません。チャンピオンでも驕らず、更に努力を続けていく、彼の謙虚な姿勢とこだわりがおいしいパンを生むんですね。並んでもまた食べたい、と思ったナビでした。
以上、台北ナビでした。