1900年より創業110年の中華菓子の老舗。今もかたくなに守り続けている味は全て職人の手作りです
こんにちは、台北ナビです。
最近年のせいか、クリームやバターがたっぷりかかったスィーツ類がなんとなく胃にもたれはじめ、「自分はもう、和菓子しか食べられなくなるのかしら?」と心配していた矢先、ナビ本部より取材の連絡が。なんと今回はナビも初めての中華菓子の取材。日ごろからあまり中華菓子とは縁のないナビは、いったいどんなお菓子と出会えるのか期待を胸に、そのお店に向かったのでした。
台北市内の老舗なんです
お店のドアのそばには、可愛いお菓子のサンプルが展示されてます
重厚な店の看板が伝統を感じさせます。
場所は結構アクセスしやすい南京東路沿いにありました。このあたりはよくバスでは通るのですが、ここにこんな老舗が20年も建っていたなんて、全然分からなかったナビ。
あ、お気づきの方がいらっしゃるでしょうか。冒頭に創業110年って書きましたよね。実は、このお店の本店は台中の豊原というところにあって、台北は支店で、20年前にここに進出してきたんだそうです。お店自体はこじんまりとしていて、親しみやすい感じがします。
お店の中に入ってみると、かわいいオレンジ色のエプロンをした店員さんが忙しそうに立ち働いていました。ウィンドウにはおいしそうな中華菓子がズラ~リ!なんか、小さい頃遊びに行った横浜の中華街を思い出してしまいました。なつかしい~。
親切な店員さんたち
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可愛いパッケージがいいですね!いろんな種類の詰め合わせもできます!
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早速店主の奥様に、いろいろとお店のお菓子について説明していただきました。
1900年創業当時の味を、忠実に守り続ける
こちらの店主、実は菓子職人でもあるのでした。店の裏の厨房では、ご主人自らが朝早くから仕込みをしているんだそう。しかも、たった一人で!作業が忙しくなるときは、店先の店員さん達を呼んで手伝ってもらっています。
ちょっと一息。店主です。
この日は、特別に厨房の中へ入れてもらい、作業を見学させていただきました。ちょうど蛋糕卷(ロールケーキ)が焼きあがったところ。う~ん、あま~いイイ香りがしてきました!
店員さんが焼きたてのアツアツを、全て手作業で器用にクルクルッと巻いて、ケーキの外側に白くキラキラしたグラニュー糖を全体的にまぶしていきます。ご主人いわく、全く添加物を入れていない、昔ながらの味なんだそうです。どれどれ、ナビもせっかくだから味見を…と思いきや、「ちょっとお待ちください、まだ熱いので、少し冷ましてからのほうがもっとおいしいですよ。」奥様からそう、諭されました。
箱に収まると、なんともおいしそう
ちょうどその時、別のお菓子が今度は蒸し器の中から出てきました。こちらは、鹹蛋糕(塩味ケーキ)。えっ!しょっぱいケーキ?そんなの聞いたことがないなあ。これはナビも興味津々。まだ湯気の立っているそのケーキを、店員さんが電動ナイフですかさず切っていきます。「こちらは熱くても召し上げれますよ、どうぞ」あっ、こちらは味見できるんですね。奥様どうもありがとう。で、お味のほうはというと、これがなかなか面白い味。厚みのある蒸しケーキの間に挟まっているのは、クワイとひき肉を醤油などで炒めた餡。真ん中の餡だけを食べてみると、肉まんを食べているような気になるのですが、外側のケーキといっしょに食べると、ホワッとしたケーキの食感と甘さとしょっぱさが一緒くたになるんです。なんか、フシギな感じだなあ。でも、それがなぜかすごくおいしく感じるんです。けっこう一切れがボリュームあるので、おやつで食べるよりは、朝ごはんにしてもいいかも。こちらは、一箱6切れで180元。おうちで食べるときは、電子レンジで30秒ほど温めれば、出来立ての味で食べられるそうです。
「こちらも試食してみてください。」奥様が、さっきナビが味見しようと思っていたロールケーキを食べやすく切って差し出してくれました。カンゲキ!お味はというと、こちらも焼き立てなので、食感がもうホワホワ。しかもしっかりと甘い。ナビは、どうも台湾のお菓子ってあんまり甘くないなあ、という先入観があるせいか、そういうつもりで食べたので、ちょっとうれしい驚きでした。へえ、なんかお茶にすごく合いそう。
色とりどりの中華菓子たち
続いては、こちらのお店の看板菓子「雪花月餅」。皆さんは緑豆碰ってご存知でしょうか。薄い皮が何層にも重なって、中には緑豆の餡と豚のひき肉が入っているのです。甘いようなしょっぱいようなお味は、さきほどナビが試食した鹹蛋糕と似たものがありますが、こちらの緑豆碰は、台湾全土に広く知られたお菓子。ここの「雪花月餅」は売れ筋ナンバーワンの緑豆碰なんです。毎年中秋節になると、お店の前には早朝から長い行列が出来て、この「雪花月餅」を買うお客さんが殺到するのだそうです。しかも、中秋節の前後10日間は他のお菓子は一切出さず、「雪花月餅」のみを販売するんだそう。これはすごい人気って事ですよね!
お店の奥様が、またもや紹介してくれたのが、台湾では婚約のときのしきたりになっている、「喜餅」というもの。この日店頭で売られていたのは、一見月餅のような形をしていました。種類は3つ(鳳梨餅、緑豆沙蛋黄、白豆沙)。ふつう喜餅は箱詰めにして大量に配るので、通常事前に予約が必要。どの中華菓子のお店もそうなのですが、「喜餅ください!」といっても店頭では買えません。もうひとつ、よく喜餅として台湾で贈られているのは、ふつうの月餅の約3倍くらいの大きさの平たいお饅頭のようなお菓子。中の餡は、こちらのお店でしたら、6種類から選べるそうです。(肉酥、鳳梨、白あん、小豆と胡桃、小豆と卵黄、緑豆と卵黄)でも普段は店頭には置いていないので、要電話予約。ただし、月餅風の3種のお菓子は単品でも購入可能。
くずれやすいので、食すときは慎重に!10個入り120元、20個入り240元。
もうひとつ、台湾ではよくお目にかかるのが、緑豆糕。こちらのお店のは、試食しましたところ、とてもお上品な味!豆の臭みや脂っこさが全くなく、甘さもしっかり、緑豆の香りが濃厚です。お茶請けに最高かと思います。10個入り120元、20個入り240元(姉妹品で、雪花糕と蒜容芝麻もあります。)。
こちらが紅焼餅。6個入り198元。
ここで、ナビのお気に入りの品をふたつご紹介。ひとつめは、紅焼餅。感じとしては、和菓子と似通っているのですが、そこがナビのツボにはまったみたいです。中華菓子って言うと、イメージとして脂っこいという感じがしますが(ラードがたっぷりって言うか)、こちらのお店のお菓子は、そういう味がしないのです。そこが、和菓子っぽいところなんだと思います。この紅焼餅も厚めの皮に、中の小豆餡が、こしあんと小倉あんの中間ってところが気に入りました。適度なこしあんの滑らかさと小豆のつぶつぶ感。いいなあ。
ふたつめは、白豆沙です。これは外側の白い皮は薄いのに弾力がある、まるで春巻きの皮のような感じ。中の餡は、花豆という豆から作られ、うっすらと紫色をしています。しかもこの餡、ぎっしり詰まっているのに、口に入れるとすっと溶ける。甘さもしっかり。お茶やコーヒーにピッタリです。
創業当時の味を今も守り続ける
こちらのご主人、なんともう四代目なんだそうです。しかも、曽祖父から祖父へ、祖父から父へ、父から息子へと、忠実に継承され受け継がれてきたんだそうです。作業もほとんど手作業で、ナビの目からもその大変さがうかがえました。なぜ、もっと人を増やしたり、機械を使わないのかというナビの質問に、「やっぱり品質を落とさないようにしたいから」というご主人の答えが返ってきました。なんだか、ナビはこの店のファンになりそうです!毎日朝早くから仕込みをして、9時の開店と同時に菓子類を店頭に並べる。お店自体は夜の9時までオープンしてますが、出来立ての新鮮なのを大量に買いたい方は、お早目のご来店をお勧めします。一日に売られる量が限られているそうなので、人気商品は日によってはすぐに売切れてしまう恐れが。お電話で確認されるのがベストかと思います。
お約束のパイナップルケーキ!!
ではでは、このお店のパイナップルケーキをご紹介したいと思います。まずナビが感心したのは、ここのパイナップルケーキの単品のお値段。一個なんと18元。大きさ的に他のところよりはやや小ぶりのようですが、お味のほうは、もうそれはナビ好みでした!バターの香りや甘さのほうは極力控えめ。程よいパイナップルの酸味というより、香りが咬んだひと口めでスッと広がり、これぞパイナップルケーキ!という感じ。やはり出来立てということだけあって、外側しっとり、内側もっちり。さすが、老舗のなせる職人技。
麥飴餅(太陽餅)のお話
麥飴餅1個22元。
こちらで紹介された最後のお菓子が、麥飴餅です。太陽餅といえば台湾のリピーターならよくご存知かと思いますが、それをこのお店では麥飴餅と名づけています。麥飴とは水あめのこと。白い何層もの外皮に包まれています。これをこのまま食すのはもちろんですが、もうひとつ違った食べ方を店主の奥様は紹介してくれました。それは、この麥飴餅を丸ごと温かいミルクに入れてスプーンなどで砕いて食べるんだそうです。こんな食べ方があったんですね!巷では朝食にする人もいるんだそう。最近では、コーヒーに入れて食べる人も出てきたんだとか。それなら、ナビは豆乳に入れて食べてみようかな?今度試してみよう…。