高山茶を作り続けて半世紀、「嘉振茶業」が「遊山茶訪」という新たなブランドを作り上げました!
こんにちは、台北ナビです。
今回は南投県の鹿谷という凍頂烏龍茶の産地の近く竹山にやってきました。この地で最も有名と言ってもよいほどのお店「遊山茶訪」。
こちらの茶葉は、台北支店でも購入できるので、たぶん茶缶を見たら、あっと思う方もいるでしょう。が、今日は台湾中部・鹿谷のふもと「竹山」の本店。さて、どんなコンセプトでお茶づくりをしているのでしょうか?
自然がたっぷりの南投県竹山
ウーロン茶種の代表格として、お茶好きの人なら誰もが知る「凍頂」ブランドですが、この「遊山茶訪」は、その高級茶の産地のすぐ近くにあります。最初は、上方からきれいな茶畑を撮影しようと、展望台へ向かったのですが、曇り空に霧。画像のように全く見えません…。ナビは今回で鹿谷方面に来たのは、6回目くらいですが、きれいに晴れ渡っていた日は、記憶の中ではなし…。実はこの気候が、いいお茶を作る要素の1つでもあるのです。
そこで、「遊山茶訪」がここ数年、力を入れている有機茶の茶園を見学に行きました。歓喜圓有機茶園という看板のところです。化学肥料をかけないでくださいとの表示がありました。ナビは普通の茶園は、いくつか見たことがありますが、有機茶園に入るのは初めて。茶摘みの時期も過ぎているというのもありますが、ずいぶんボサボサしていますね。蜘蛛の巣も張り放題で、畝には、ミミズやモグラ、ヘビなどもいるそうです。が、これが有機に必要な肥やしというわけで、自然のままの状態なのです。茶樹は、青心烏龍。基本的には烏龍茶ですが、東方美人茶も作ることができ、1年に2回、茶摘みの時期があります。
また、有機茶葉は、機械ではなく、手摘みになります。
霧の中で、茶畑は見えず
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ということで、有機茶園へ
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作業中の人もいます
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統一されてない有機の特徴
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きれいな建物に到着
周囲に注意をしていると、お茶の卸販売などが点在していて、多くは自宅を改造して作ったような店ですが、「遊山茶訪」のお店はとてもあか抜けたインテリアで、いかにもブランドイメージにも気を使っている、という雰囲気です。
こういう店なら、初めてでも「見て行こうか」という気にもなるもの。果たして、店内の商品の陳列にしても、たいへんすっきりしていて、展示コーナーやDIY教室、試飲できるスペースもあります。
こちらは、「百壺壁」というのだそうです。
急須から流れる水が滝のようで、お茶屋さんのデコレーションならではですね。
創業50年、生産者から卸売業へ
創業50年、生産者から卸売業へ 「遊山茶訪」のブランド元は嘉振茶業。主人の陳さんはすでに3代目のご主人。奥さんとともに、お店を切り盛りしていますが、陳さんがお店を受継ぐ前は、鹿谷のお茶畑での茶作りを主体とする茶農家。
それを彼の代で、梨山、阿里山など高級茶も扱う販売業にし、イメージアップに努めてきました。まず、お茶の缶など、デザインにこだわりました。これまでにも何回も変えているようですが、葉が絡み合ったデザインはスッキリしていて、贈答用にはとても喜ばれそうです。
さらに、茶葉の種類の整理。頭の番号を阿里山1、杉林渓を2、梨山は6など、産地によって認識しやすい番号がつけてあります。そして末尾の番号は偶数なら焙煎した茶葉、奇数は焙煎しないタイプ、と分けています。さらに、発酵や焙煎の度合いを段階的に説明書の中で親切に表示しています。
試飲をしてください
お茶を買う前に、ぜひ試飲をしてください。
こちらには「蜜香黄金芽」という東方美人のような味わいで、葉の形も似ているのですが、ちょっと加工の仕方が違うお茶もあります。茶葉を比べてみると、普通の東方美人は葉が直線的なのに対して、「蜜香黄金芽」のほうは、クルッと葉が丸まっています。これは、ひとつ「団揉」という作業を加えることで、葉に丸みを加えているからなのだそうです。もちろん産地が違うので、味わいも微妙な差があるのです。
台湾最高峰にして、最高級品の梨山茶、阿里山茶など台湾茶ならすべてそろっています。お手頃のものをと考えている方にも、300gのお徳用から、各種並んでいます。また、ヴィンテージものの烏龍茶をそろえていて、パッケージも、他の茶葉店と比べて、高級路線ですから、団体バスのお客さんは受け入れていないそうです。あくまでも興味をもって入ってきてくれた個人客をターゲットにしています。そういう意味で、日月潭の高級ホテルなどでも販売しているというのはうなずけますね。
簡単なティーバッグやお茶菓子などの販売もあります。
どれもパッケージがきれいなので、プレゼントとしても喜ばれますね。
デザインに凝ったオリジナルの茶器も展示販売しています。
「遊山茶訪茶文化館」
展示物の紹介
竹山に販売店が1軒あり、茶文化館は、DIY教室や工場がある建物にあります。
誰でも無料で見学できる博物館で、お店の歴史から始まり、昔の茶作りの紹介コーナーには、実際に使用されていた器械も置いてあり、動かしてみると、昔の人たちの智慧の産物だというのがよくわかります。
お茶の揉捻器械
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2人で時計回りに回します
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下から揉まれた茶葉が出てきます
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茶葉は揉まれてどんどん小さくなるので、推すために穴を下に下げていきます
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DIYコーナーで、おみやげ完成!
博物館の向こうには、DIYコーナーがありました。
茶葉の焙煎をして、各自が茶袋に詰めるというもの。この日ナビたちは、後半の焙煎済みの茶葉を茶袋に詰めるという作業をしました。まずは、茶葉の茎を葉から取り分けます。機械で刈った茶葉には、茎が大体ついていて、この茎が多いと茶葉が苦くなったりするそうで、多くは手作業で取り分けられます。しかし、この茶茎だけを越して飲むのも美味だそうで、茶茎ばかりを集めた茶の販売もあるそうですが、量が少ないものだから、かえって高値となっているそうです。
さて、茎を取り分けた後は、小さな袋に茶葉をぎゅうぎゅうに詰め、ひもで縛ります。かなり詰めこまないと、実際に茶作りをする際の茶揉み作業っぽくならないのです。机で袋ごと敲いて丸くなったところで、縛ってから、印鑑を押す。なかなか味わいのある素敵なお土産になりました。バッグに入れてたら、開けた時に、お茶のいい香りがぷ~んと漂ってきました♪
茶摘みの時期(春茶は5月上旬、冬茶は11月半ば頃)に訪れれば、新茶のテイスティングができるかも知れませんし、茶摘み現場にも遭遇できるかも。
こちらのスタッフたちは、できうる限り、分かりやすく対応してくれると思います。
以上、台北ナビ「お茶の旅レポート」でした。