白毫烏龍が自慢のお茶屋さん。オーナーの黄さんは日本語が達者、解説もしてくれます。
こんにちは、台北ナビです。台湾で有名なお土産と言えば、なんと言っても「ウーロン茶」。お茶と言えば、煎茶や抹茶を思い浮かべる日本人ですが、実は紅茶も烏龍茶も緑茶も、もとの茶樹は同じものもあるんです。なにが大きく違うかと言えば、それは「発酵度」の問題。ウーロン茶は“半発酵以上”に当たり、特に台湾産のウーロン茶は、黄金色で香り高い凍頂烏龍茶や文山包種茶などが有名です。ただ、数少ないですが、紅茶に近い赤い色のウーロン茶があることを知っていますか?その烏龍茶は台湾でしかとれず、オリエンタルビューティーとか東方美人、シャンパン烏龍などという気品ある名前が付けられています。
お店のこだわり
この東方美人茶、台湾では主に新竹県や台北県の石碇という場所が産地。そしてこの東方美人茶は生産がとても難しく、生産高も少ないのです。一般的に高山茶の年間生産量が15000トンだとしたら、この東方美人茶はなんと1000トン。そのため、東方美人茶を専門に扱っているお店は、実はそんなに多くありません。そんな中、今日ナビが訪れているこの「恵美壽茗茶」というお茶屋さん、お勧めのお茶は断然「東方美人」だといいます。
今日お店を紹介してくれたのは、オーナーの黄正敏さん。黄さんは日本語がばっちり、更に英語・フランス語まで話せるというのですから、頭が下がります。付け加えて、とても情熱的な黄さんは、外国人のお客様をお世話するのがとっても好きなようで、今回も、事細かく台湾の「お茶」について教えてくれました(もちろん日本語で)。堪能な語学力をいかして、よく外国人向けに台湾茶講演をしたりなど現在でも現役で頑張っていらっしゃいます。店内にはたくさん、お客さんからのお手紙が飾ってありました。
お店の中には、お茶に関する説明文がずらっと。そのあとを追って、黄さんが詳しく説明してくれます。
英語で接客ができますと、政府より認定を受けました。
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台北市よりお墨付きのお茶屋にはこの看板がつくらしいです。
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こちらの「恵美壽」さん、実は1945年に新竹に工場を作ったのが始まり。今はなんとアメリカにも工場があるというのですから驚きです。この「恵美壽」というお店自体は、工場で生産されたお茶の小売業として、1975年にできたそう。そう新竹といえば、東方美人茶の産地。そこに工場を構えているので、仕入れやすいんですって。
実は東方美人というのは通称で、正式名称は「白毫烏龍」。その他にも、さまざまな異名があり、彭風茶 とかオリエンタルビューティー、現在では香檳烏龍とかフォルモサウーロンティーなんて名前も付くほど。実はこの白毫烏龍は最初使えないお茶として廃棄するはずだったお茶なんです。茶葉がウンカという幼虫に食われ、唾液によって先端が白く変色してしまった、そのお茶っぱを使って作られた烏龍茶が、今の東方美人/白毫烏龍なんですね。まさか、そんな成り行きのお茶っぱからこんな深みのある味が出るとはだれも思わず、「彭風茶=ほら吹き茶」なんて呼ばれる由縁となっています。その紅茶に近い深みある白毫烏龍は、西洋に出荷されると瞬く間に人気を博し、ビクトリア女王から「オリエンタルビューティー(東方美人)」なんて名前がつけられたとか。これが東方美人という名の由来。東方から来たおいしいお茶 という意味ですね。
もちろん、白毫烏龍のほかにも、高山茶や包種茶などもこのお店のお勧め。包種茶は発酵度が軽めで、香りに軽やかな新鮮さがあります。高山茶は小さくコロコロと丸くまとまった葉が特徴的。そして、これをお湯に浸すと、まるで花が開くかのように、葉がワサワサと開花していくのです。
今回は上の3つ、白毫烏龍と高山茶と包種茶を、国際審査用の方式でチェックしてみましょう。お茶の国際審査は、紅茶も、緑茶も、烏龍茶もすべて、同じルールの上で行われます。茶葉3gを150ccのお湯で五分間蒸らす、Cupping Standard と呼ばれる方式です。
茶葉をこう比較してみると、歯の形色が全く違うことがよくわかります。東方美人には白い糸のような茶葉が所々に混ざっています。台湾烏龍茶(高山茶)はコロコロと丸まっており、若干茶色を帯びているでしょうか。包種茶は緑掛かった、小さなわかめ!?みたいな葉っぱです。
全てこうやって秤ではかります。
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だんだん茶葉が開いてきました。
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茶葉が全開になりました。やはり、東方美人だけ、色合いが全く違います。紅茶と間違えてしまいそう。包種の方が色合いは緑っぽく、台湾烏龍茶(高山茶)は黄金色といったところでしょうか。台湾烏龍茶(高山茶)からは甘い香りが漂っています。
他にもお土産にぴったりの商品たち
お店のお勧めは上に紹介した3つのお茶たち。
台湾烏龍茶(高山茶)100g
包種茶100g
白毫烏龍100g
最も高いお茶も安いお茶も取りそろえてはいるけれど、初心者の方には、このグレードのお茶でも十分烏龍茶の世界を楽しむことができるとのことです。
この3つのお茶のほかにも、いろいろと売っていました。
緑茶、ジャスミン茶でご家庭用に100袋入り!というのもありました。
なんとグアバ茶まで!グアバの香りがほのかに香ってきます。糖尿病に良いとか。
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こんなお茶ポットとのセットはいかが?
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「恵美壽」は寧夏路という、台北でも指折りの古い街の一角にあります。昔はこの界隈には、老舗のお茶屋さんがひしめいていたそうです。今でもこのお店の周りは独特の昔ながらの雰囲気がたたずみ、建具屋さんが軒を連ねています。ナビが恵美壽さんによったときも、隣の建具屋さんのご主人が、お茶を飲みに遊びに来ていました。そんな気軽にお茶を飲みに来られるのも、長い間この地で信用を築いてきたからでしょうか。
夕方になってきて、女子高校生の帰宅時間になってきたようです。お店のすぐ前にはバス停があるので、すぐに目につきました。さて、ナビも帰宅することにしましょう。お茶を飲みすぎてお腹がパンパンです。 バスはまだかな…
台北ナビでした。