少数民族・苗族の心こもった手縫い刺繍、アンティーク中国服も必見です。
こんにちは、台北ナビです。カラフルな吊るし飾り、置物、小物入れ、サンダル、バッグ、服などが散りばめられたこの小さなお店は、それごとひとつの楽しいお部屋のようです。鮮やかな赤、青、黄、緑その色彩の豊かさに、見ているだけで元気が湧いてきます。今回は、そんな可愛らしい中国服飾と民芸小物のお店をのぞいてみました。
見れば見るほど愛着が湧いてくる
「繡花房」さんは、中国風の服や小物ファンにはピッタリのお店。いろんなお店がたくさん並んでいるにぎやかな通りですが、ピンクの看板が目印で、入口一面ガラスの中をちょっと見ればすぐにわかります。
外からも目につく、「福」などの縁起がいい字がつながった色々の吊るし飾りも人気だそうですがナビが気に入ったのは、初め眉毛モジャモジャの変な顔だなぁと思っていた虎枕です。どれもみんな違う模様・色の布を組み合わせ、とてもユニークな虎顔が両側についた枕です。ほかにも刺繍入り子供靴、スリッパ、スパンコールやビーズのついたサンダルや、セール品100元コーナーには小銭入れなどあって要チェックです。また、置物も可愛くて、干支の動物(取材時はサル年なのでサルグッズ多し)、小さな靴もあります。
今まであまり中国風小物をじっくり手に取ったことがない人も多いと思いますが、これが結構、見れば見るほど愛着が湧いてくるものなのです。
ハンガーにはズラリと上着やワンピース・パンツが、棚には上衣と、それぞれ素材と色が違うので、根気よく気に入ったものを探してみてください。若い人や日本人に人気があるのは、扱いやすい綿や麻の上衣だそうです。花などのプリントがあるシンプルな型が多く出るようです。
でも、やはりシルクのものもステキで、襟にウサギの毛がついたジャケットコートや、ベストはカッコいい!ディスプレイされていたチャイナ服は、刺繍と2色の中国結びボタンが美しい他に、藍色のろうけつ染めのバックや上衣もありました。
苗族のアンティーク服
オーナーの蔣淑娟さんは、趣味で長年苗族のアンティーク服飾を集めていらっしゃるそうで、今では台湾にある苗族衣装の80%を持っているそうです。以前から卸しの仕事をしていて、その後自分でこのお店持ったそう。今でもこのような中国刺繍服飾・小物を他店に卸しているそうです。
アンティーク服は、古董衣や老衣と呼ばれこちらも数千元~購入できます。清の時代のものが手に入るなんてちょっとドキドキしますね。なかなか見る機会もないので、壁に飾られているアンティークBaby服や長袖上着など、よ~く見てくださいね。
ここで少し、苗族と刺繍について
苗族は、中国55の少数民族の中でも日本人のルーツとも言われ、人口約750万人、その半数が中国で最も貧しいと言われる貴州省に暮らしています。縦糸で美しい幾何学模様を織り込む手法は「博多織り」にそっくりとか。揚子江流域で文化を築き暮らしていましたが、秦の始皇帝が現われ天下統一したBC221後、どんどん奥へと追いやられ、中国西南部の山の中、現貴州省に住みつくようになったそうです。
苗族の刺繍法は多種多様で、川辺に住んでいれば、魚・エビ・カエルなど、山に暮らしていれば、鳥・蝶・虫などを図案に取り入れています。よく使われる「龍」の図案は、雨と風を操り五穀豊穣をもたらす縁起の良い象徴で、「蝶」は苗族の先祖を偲ぶ想いと畏敬の念が込められているそうです。どれをとっても、自然を崇拝する心や苗族の文化風俗、そして何より母から子へ子から孫へと人々の温かい心が伝わって来ます。
このような背景も頭の隅に置きながら、繡花房でアンティーク服の精巧な刺繍を見ると、より苗族の根気や愛にふれることができそうですね。
この間NHKテレビで紹介していた、静岡県稲取の雛祭りに飾るものを、偶然見かけました。そこでは雛壇ではなく、子や孫のために愛情込めて作る手縫いの吊るし飾りを赤ちゃんに贈るそうです。見ると、カラフルな桃や柿、靴、ウサギや鳥など、繡花房の小物にそっくりでした。桃の節句も中国・漢の時代のエピソードからと言われていますし、やはり似ているところがあるのですね。とても親近感が湧きました。
以上、台北ナビでした。