14年もの歴史をもつ老舗ライブハウス、こじんまりとした空間でゆったりとインディーズ音楽を楽しめます
こんにちは、台北ナビです。
昨今注目を集める台湾のインディーズ音楽。ひそかに注目している人も少なくないのでは?そんな方にとっておきの場所が、台湾大学の近くにあります。それが、「
河岸留言(公館店) 音楽藝文咖啡」。14年もの歴史を持つライブハウスで、いままで多くのアーティストがこちらで公演してきました。もちろん、今有名な、あのアーティストやこのアーティストも。今回は、「河岸留言 音楽藝文咖啡」についてレポートします!
公館のひっそりとした路地の地下に
「河岸留言 音楽藝文咖啡」は、ちょうどMRT「公館」駅と「台電大楼」駅の間くらいの路地にあるビルの地下という目立たない場所にひっそりとあります。
よーく見ていないと、通りすぎてしまいそうです。
今までに多くのアーティストが巣立って行きました
以前使っていたメニューの表紙に過去のライブ写真がまとまられていました
「河岸留言公館店」は2000年にオープン。
以来、多くのバンドやアーティストがここで演奏をし、人気アーティストへとのし上がっていきました。陳綺貞(チアー・チェン)、張懸 (チャン・シュエン)、旺福(ワンフー)などもここで演奏経験を持ちます。ここには書ききれませんが、過去の演奏アーティストはそうそうたる顔ぶれ!「河岸留言公館店」の歴史は台湾インディーズ音楽の歴史を物語っているといっても過言ではなさそう。
今回ナビたちを案内してくれたのは、開業当初から店長をしている方廣興さん
こちらのオーナー・林正如さんは、有名ギタリスト。
ジェイ・チョウやエルバ・シャオなど一流アーティストとの共演の経験もあるのだそう。1999年に台湾で起こった大地震や音楽市場縮小の影響で、多くのアーティストが音楽を離れていく中、林正如さんが自分のために作った舞台がここ、「河岸留言」なのです。
お店の入り口には、その月のプログラム表が貼ってあります。
「河岸留言(公館店) 音楽藝文咖啡」は、毎日営業!しかし、曜日によってそれぞれ特色が異なります。日曜、火曜から木曜は、インディーズのアーティストやバンドが公演を行います。
基本的に1日に2組の公演で、それぞれ1時間ずつ。21時から演奏が始まります。そして、金曜と土曜は、比較的有名なアーティストが登場します。月曜以外は、プログラム通りに毎日異なるアーティストが演奏を行います。では月曜は?というと、この日は「Open Jam」といって、お客さんが飛び入りで、自由にステージで演奏ができるのです!
世界的ブルースギタリスト・菊田俊介さんが、同じく台湾在住の井上和夫さん、根石大輔さんとともにライブを行い、日本人のお客さんも多く集まったそう。
「河岸留言(公館店) 音楽藝文咖啡」では、メタルなどのハードな音楽は取り扱わないものの、それ以外では特に音楽のジャンルに指定はないので、ポップやジャズ、ロックなど、何でもあり。毎月多くのデモテープが送られてきて、その中から、「これはいい!」と思ったアーティストを選んでいるのだそう。4月の公演では日本人アーティストもプログラムリストに入っていました。
階段を降りると受付があります。一度外にでる際には、ここでスタンプを押してもらいましょう。
また、月曜のOpen Jamはオーディションのような一面もあり、ここでの演奏で認められれば、以降、河岸留言のステージで演奏する機会を与えてもらえることもあるのだそう!Open Jamは誰でも参加できるので、演奏に自信があるかたは、自分の楽器とデモテープを持って腕試しにいってみては?
フロアは広くはなく、こじんまりとしています。客席は70席で、中央に4人がけの丸テーブル、脇に2人がけのテーブル席があり、基本的には座って、まったりと音楽を聞くという感じです。
スタンディングだと体力的に辛い時もありますが、席があるのはありがたい!ただ、人気のあるアーティストの公演などの場合には、テーブルを取り払って、オールスタンディングになる場合もあるそう。
客層は台湾大学の近くという土地柄、学生が多いのかと思いきや、実はそうでもないとのこと。毎日出演アーティストが変わるので、それによって客層も変わるのだとか。ナビがお邪魔した日も、もちろん若者もいましたが、仕事帰りとおぼしきサラリーマンや、中年男性の姿も。そして、ひとりで来ている人もちらほらいました。
カフェではありません
「音楽藝文咖啡」という名前ですが、カフェではないのであしからず。
飲み物は、コーヒーはありませんが、紅茶(150元)やオレンジジュース、コーラ(120元)などのソフトドリンクから、ビール(100元~150元)、カクテル(180元)などが取り揃えてあります。
金曜の公演のみ、1ドリンク付きです。その他の曜日はドリンク付きではないですが、ドリンクを注文しなくてもOK。月曜のみ、150元以上のオーダーが必須です。
ナビがうかがった日(火曜)は、チケットの半券を見せれば、プラス50元でコーラや紅茶、オレンジジュースが買えるサービスを実施していました
ナビは、店長の方廣興さんおすすめのカクテルを頂いてみました。
手前がTequila Sunrise、奥がElectric Lemonade
Electric Lemonade
ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ、ブルーキュラソー、レモンサワーなど数種のお酒がブレンドしてあります。涼しげなカクテル。その名の通り、まさにレモネードといった味わい。微炭酸で、すっきりと飲めます。
Tequila Sunrise
テキーラをベースにオレンジジュースとグレナデン・シロップをミックスしたお酒。オレンジジュースのつぶつぶ入り!アルコールは弱めなので、まるでジュースのようでした。お酒が弱い人でも大丈夫そうです。
軽食などはないので、食事を済ませてから来ましょう。
21時に演奏スタート!
開店前には今晩出演するアーティストがリハーサルをしていました。
毎晩21時から演奏開始で、その30分前から入場が始まります。入場開始直後に入ってくる人は少なかったのですが、15分前くらいから徐々にお客さんが入ってきました。
そして、ほぼ時間通りにライブがスタート!ナビがうかがった日は、演奏者は2組とも、弾き語りの女性ソロアーティストでした。
王榆鈞
まず登場したのは、
王榆鈞。
国立台湾芸術大学演劇科を卒業した彼女はマルチな才能の持ち主。音楽だけでなく、劇場や映像、文学などさまざまな分野の領域を超えて活動をしているのだそう。静かな曲調の音楽の中にも、その歌声から強い意志を感じさせてくれます。癒し系の音楽で、ナビも気持ちよくウトウトしてしまいました。
約1時間の演奏のあと、10分ほどの休憩がはさまれます。
張心柔
次に登場したのが、
張心柔。
「吟遊詩人」という肩書をもつ彼女。ナビは、ホームページで吟遊詩人という文字を見て、一体どういうアーティストなんだろうと興味津津でした。張心柔は、台湾師範大学音楽科に在学中という現役の大学生アーティスト。ひとりでギターを片手に台湾中を回っており、旅先で得たインスピレーションから、曲を作っているのだそう。
ポップなのだけど、どこか懐かしさを感じる曲調、そして可愛らしい歌声にナビはすっかり魅了されてしまいました。そして、曲を演奏する前には、歌詞の一部分を暗誦するパフォーマンスもあり、これが「吟遊詩人」と呼ばれる理由なのかと納得。最後にはリクエストタイムも。お客さんは恥ずかしがってなのか、なかなかリクエスト曲が出てきませんでしたが、結局張心柔のお友達と思しき方のリクエスト・彼女の1枚目のアルバムに入っている曲を演奏して終了しました。