若者の町に佇む歴史的建築物。時代の移り変わりを知られる文化施設です
こんにちは、台北ナビです。
若者の町として知られる「西門町」の繁華街の中に佇む、赤レンガの建物。実は日本統治時代に建設されたもので、台北市の古跡に指定されている、時代の証人です。2018年にリニューアル工事が終わって、ほんのちょっとだけ印象が変わりました。今回は再び建物の魅力迫ってみたいと思います。
日本統治時代に庶民の生活を支えた市場でした
リニューアル前の紅楼
「西門紅楼」が建設されたのは日本統治時代の1908年。台湾で初めて建設された公設市場で、冷蔵施設を備え、新鮮な食材を長期間保存できる画期的な建物でした。当時は西門町のシンボル的存在でもあったんです。
第二次世界大戦での戦禍を逃れ、戦後は「紅楼映画館」となり、西洋映画から時代劇まで幅広いジャンルの映画が上映されていました。チケットの価格もお手ごろで、当時の学生に人気のスポットとなりました。
1997年には台北市の古跡として認定されたのですが、建物の老朽化などのため、映画館が閉館。2000年には火災が起きるという悲劇にも見舞われます。しかしながら、その後建物の活性化に向けててこ入れが行われ、現在は温故知新の文化の多元空間として面目躍如。再び多くの人に親しまれる場所となっています。
一見の価値がある建築物
「紅楼」はただ古いだけでなく、建築物として見るとかなり立派なものです。建築に興味のある方でなくても興味をそそられる、一見の価値がある建築物ということができるでしょう。「紅楼」を設計したのは日本人建築家の近藤十郎氏。近藤氏は当時、台湾総督府建築科を担当しており、西洋建築が得意だったといいます。大胆なアイディアで「八卦造形」を取り入れ、入口の形としました。現在「八角堂」と呼ばれる部分です。建築以前は、辺りにはお墓などが多かったそうなのですが、東方の思想で八角形は八方からエネルギーが集まり、悪い運気を遠ざけるといわれていたため、この形になったといわれています。
一方、後方の市場の主体部分は「十字架造形」で、「十字楼」と呼ばれています。これはキリスト教から来ています。こういった設計は東西建築史上初めてのものでした。
今回、リニューアル工事をしたからといって外観に大きな変化ができたわけではありません。中の水回り、売店の場所、中の壁の塗り直しなどです。日本統治時代の建物の風格が、現在でもしっかりと残されているのはとても嬉しい限りです。
特徴的な設計箇所
暗窓…正面をみると、窓がない部分に、窓が取り付けられるようなくぼみがあるのが分かりますか?日本統治時代の和洋折衷のデザインをするときにシンメトリーを意識していたために作られたそうです。
「扶壁」…もともとしっかり作られている赤レンガの建物ですが、さらに耐久力を高めるためにあえて少し斜めに張り出し強度が強いものを支える構造になっています。
「山形牆」…最頂部にはどの面にも三角形になっている部分があります。
「老虎窓」…その下の窓の上には赤レンガを放射状に配置したデザインが施されています。縦にレンガを並べるって、考えてみたらあまり見かけませんよね
「拱心石」…外壁のアクセントになっているストーンウォッシュ加工のモルタル。力学的作用があるほか、連続していること、放射状に配置しているというデザイン面でもお洒落さを産み出しています。
西門の歴史に触れられるモダンな紅楼の中も紹介します
1階の天井部分もリニューアルしました。木材を八角形の模様に並べて、建物の形を表現しているモダンなデザインが素敵です。また、リニューアル時に行われた特別展示の垂れ幕がそのまま残され、レトロな印象も醸し出しているのがユニークです。
八角柱の周りに展示されている写真はリニューアル工事をした時に、付近の住民や歴史研究家から写真を提供してもらったもの。日本統治時代から現代までの都市の発展と西門の移り変わりを見ることができます。
1階の右奥の壁には紅楼自体の過去の写真や建材が展示されていて過去と現在を比較しながら歴史を振り返えられます。時代の移り変わりによっていろいろな変化があり、その変化を解説とともに眺められます。
2007年にはレコードショップやいろいろなテナントが入っていた場所がありました。当時、台北市文化局の手によって台湾の文化的要素や歴史的要素を踏まえたうえでクリエイティブ商品を作り出そうという動きが高まり「台湾らしい商品」や「台湾ブランド」を扱う商品を販売するようになりました。
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2018年のリニューアルした時に使われた新しいレンガが飾られていて1908年のレンガと対比できます。
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2階はまるごと劇場になっていて、ここにも特徴的な設計が見て取れます。まず階段から雰囲気があるのですが、劇場ももちろん期待を裏切りません。
むき出しになったレンガが時代を感じさせます。大小大きさの異なるレンガを組み合わせる方法は、イギリスの建築方式だとか。より重さに耐える効果があります。また、高さ6メートルある天井には重厚な鉄骨が張り巡らされているのですが、八角形の8の倍の16本使われており、この鉄骨はわざわざ日本から船で運ばれてきたものだと伺いました。
台湾が大好きな人必見!紅楼セレクトショップで台湾に溺れましょう~
さて、1階に戻りましょう。入口から見て左側にある紅楼セレクトショップには台湾にまつわる商品がたくさん売られています。種類が豊富なのでお土産選びにちょうどいいかもしれません。
日本人に人気のある商品はミニポーチとドリンクホルダー!ミニポーチには小籠包やタピオカ、台北101などがプリントされていてとってもかわいい♪コインケースや小物入れとして使うことができて便利です!
ドリンクホルダーはコンパクトになるのでお出かけにも便利です!色やデザインも豊富で、傘やペットボトルも入れられるので、使い勝手抜群です
そしてもう1つ人気のある商品はポストカード!木製で組み立て式になっているのでメッセージを書いた後に組み立ててインテリアとして飾れます。遊び心があってついついコレクションしたくなっちゃいます。
ナビのお気に入り商品はパイナップルや烏龍茶の香りがする油とり紙。油とり紙は湿気が多い夏の必需品ですよね!パッケージに台湾の観光地や美食がプリントされていて、こちらも集めたくなっちゃいました~。
ほかにも台湾らしい商品がいっぱいあります!
ゆっくりお茶しながら西門を知れる一石二鳥の紅楼茶坊で一休み♪
右側に喫茶スペースがあります。
紅楼茶坊のメニューは台湾らしさをイメージしていて、西門エリアの有名レストランやショップの雰囲気になぞらえたような商品を提供しています。メニューには西門の地図が描かれていて、西門への認識を深められます。
紅楼にはレインボーの世界が!ジェンダーフリーで平和な空間です
さて、現代の台湾社会を象徴するようなポイントも一つご紹介しましょう。実は紅楼の中にあるトイレは、男女別ではなく、ジェンダーレストイレになっています。入口は2カ所あるのですが、どちらからも利用可能。台湾では、同性婚が認められるようになるなど、ジェンダーの多様性が広く認知されるようになって来ました。実際に台湾人からの苦情はほとんどないとのこと。初めは戸惑うかもしれませんが、お互いを認め合い、受け入れる環境が整えられつつあるのは、見習う部分があるのかもしれません。
どうしても気になるという方はMRTの駅や、紅楼外側の商店エリアにあるトイレをご利用ください。
紅楼の北側と南側にはそれぞれ広場があり、北側は週末を中心にイベントテントが張られ、台湾らしい雑貨や服飾品を販売するマーケットが開かれたり、記者会見やアイドルの新曲発表会などのイベントが行われて賑わいます。
一方の南側は半屋外のバーなどが立ち並び、平日なら18時以降、休日は午後からオープンします。ちなみにこちらのバーエリアは東京・新宿二丁目や大阪・堂山町のようにLGBTフレンドリーなお店ばかり。もちろん女性だけのグループでも楽しめるので、台北のナイトライフを味わってみたいという方はコチラにどうぞ。毎日22時頃が一番盛り上がる時間帯です。
赤レンガの古い建物を通じて西門町の移り変わりが見られる西門紅楼。ショッピングのほか、カフェとしても利用できるので、街歩きでお土産購入や休憩場所として立ち寄るのにピッタリ。今の台湾の文化的流行も垣間見られる素敵スポットですので、ぜひ皆さんも散策しに来てくださいね。
以上、台北ナビがお伝えしました。