台東の豊かな自然の味を感じる天然塩!
こんにちは、台北ナビです。
山と海、両方の自然の恩恵を受ける台東。ここに自然農法で塩を作る「永福野店」があります。自然の恵みたっぷりの塩作りとはどんなものなのか?早速レポートしたいと思います。
台東県の最北端『長濱鄉』!
「永福野店」のある長濱郷は台東県の最も北側に位置します。花蓮との県境にあり、台東市や花蓮市へ遊びに行ってもここを訪れたことがある人は少ないかもしれません。鉄道の駅もない、交通の便はいいとは言えない。でもここに魅せられる人が実は大勢いて、最近じわじわと人気を集めている場所でもあります。
台11線と呼ばれる海側の幹線道路から少し入ったところにある「永福野店」。長濱郷の南側にあり、長濱齒草橋休憩區をまず目指してみてください。この近くには看板が出ているので、それを頼りに進むとすぐにわかります。
アミ族の昔からの塩作りを実践!
店主である蔡利木さんはアミ族。「蔡班長」と呼ばれ親しまれています。蔡班長は長濱郷の永福社區(集落)出身で、子どもの頃はどの家庭でも塩作りをしていたことを思い出し、50歳から塩作りを始めました。
最初は幼い頃の記憶を頼りにしながら、そして色んな人に助けてもらいながら、塩作りの原理を自己流で研究し、今に至ります。その伝統的な塩作りとは、「ろ過した海水を、流木で起こした火で、煮詰め炒める」というもの。
薪で火を灯します
シンプルすぎる作り方ですが、実践するとなるとこれが大変です。
まず早朝に海岸へ赴き、海水をくみ上げ、流木を拾います。海水はろ過し、鍋で煮詰めるのですが、この時使う薪は海岸で拾ってきた流木。そして水が少なくなってきたら、炒める作業に移ります。かき混ぜて、鍋に平らにして……、焦がしてしまえばそれまでの苦労は水の泡。常に火の大きさ、温度等を気にしながら、手を動かし続けます。
海水を火にかけること8~10時間してやっと塩が出来上がります。
さぁ、水分が少なくなってきましたよ~!
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塩の塊を散らしていくイメージで混ぜる、混ぜる!
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乾燥しすぎると粒が大きくなって、機械で小さくしなければならないし、湿気がありすぎてもダメ……。だから手で触って湿度を感じます!!
塩作りを体験!
この塩作り、10人以上で体験できます。
体験できるのは海水を炒めて塩を作り出す作業と月桃の葉で完成した塩を包む作業。塩を炒めている蔡班長は玉のように大粒の汗が吹き出していたので、かなり暑いのがツライのだろうなぁと予想していたのですが、ナビの大敵は流木を燃やす時にでる煙。これが目に染みて目を開けられないんですよね……。混ぜ続けるのもなかなか根気が必要で、大変さを実感しました。逆に扇風機の風があって暑さはあまり感じなかったのは驚きです!
そしてこの塩は月桃の葉を2枚使って包みます。包み方が良ければ、甘みがより強く感じる塩ができるそうです。工作作業みたいで楽しいですよ~♪
包装紙がわりの月桃
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大盛りスプーン2杯分の塩を月桃の葉に乗せる
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ピラミッド型の塩に驚愕!
台東の海水と流木を使って作られる塩。海水の塩分濃度は3%ほどなので、計算上では、100gの塩を作るのに3kg以上の水を使い、8時間以上かけて作ります。そのお塩、100gで100元。スーパーに並ぶような手に入りやすい精製塩なら、1kg100元くらいで買えるので、10倍くらいの値段の差がつきます。
でも、蔡班長が汗の滝を流しながら作った塩なら、精製塩の10倍の値段でも買いたいと思って購入!
日本にいるナビママの分も購入~♪
ナビ、家に帰って精製塩と比べてみました。
塩は真っ白いものと思い込んでいましたが、それは精製されているからなのだと初めて知りました。蔡班長が作る塩はその時々で色が違います。ナビが訪れた時の塩は少し黒っぽいのですが、これこそが自然であるということ。
しかも、この塩を使った方が料理に深みが出たのには驚きました。あとで調べてみると、自然塩には塩化ナトリウムだけでなく、様々なミネラルがたくさん含まれているのだとか。健康にもいいなら、値段は高くてもいいものを口にしたいし、何より台東の自然の恩恵を受けているんだ!と感じながら、ご飯を食べられるって最高のお土産だなと思います。
原味(ノーマル)の塩以外にも月桃や刺蔥を混ぜたものなど、種類は様々。
その中で目を見張ったのが「手工海鹽鹽花」という名前のピラミッド型をした塩です。原味塩を作る3倍ほどの時間を要して作り出すそうですが、なんとこれも手作りなんです。このピラミッド型の塩を作るには、水と火と時間が鍵を握ると言われ、すべて蔡班長の感覚によって作り出されるというから驚愕。
主に和食のシェフなどが買って行くそうで、50g250元!なかなか手が出ないお値段ですが、いつか試せたらいいなぁ。
塩のピラミッドや~!
永福集落の文物館もあるんです
アミ族である蔡班長。敷地内に永福文物館を作りました。
文物館と言ってもそれほど大きいものではないのですが、昔から使っていた道具や貴重な写真が見られます。ジェスチャーを加えながら、色々と説明してくれる蔡班長を見ていると、ここの歴史、文化を絶やさぬよう、もっとたくさんの人々に届けたいという思いがビシビシ伝わってきました。
とても貴重な写真の数々
塩作りにひたむきに向き合う蔡班長。この姿を目の当たりにすると、便利なものに流されがちな生活の中で、何かもっと大切なものがあるのではないか?不便な中にもきっと何か素晴らしいことがあるはずだと思わずにはいられませんでした。ナビも微力ながら、塩が切れたら蔡班長の塩を買って、支援したいなと思います。
以上、台北ナビがお届けしました。