「台湾式漫才」で知る台南の歴史、文化、そしておいしいもの!
こんにちは、台北ナビです。
歴史の街、グルメの街として知られる台南は、まるでひと昔前の台湾へとタイムスリップしたかような気分が味わえる、不思議な観光スポットです。
老街や古跡を散策して、小吃を食べて……スケジュールはついついタイトになりがちですが、今回ご紹介する「永樂町鼓茶樓」に来れば、それらが1度に楽しめるそうなのです。しかも、「台湾式漫才」という形で!いったい、どんな所なのでしょうか。早速潜入してみたいと思います。
お店があるのは「最も短い老街」
「永樂町鼓茶樓」があるのは、庶民の台所として親しまれている「水仙宮市場」や「國華街」から、歩いてすぐの所にある「宮後街」という路地。道幅の狭い、ひっそりとした路地で、地元民のみぞ知る路地裏的な雰囲気です。
ちなみに、台南旅行の情報収集に便利な「Navi PLAZA 台南休憩所」も、この通りにありますので、近くにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ~。
宮後街
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「Navi PLAZA 台南休憩所」はこちら~
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かつて台南は、周囲をぐるりと城壁に囲まれた街でした。その城壁には、出入り口となる14の城門があり、そのひとつである「大西門」が、この「宮後街」と西門路との交差点あたりにあったのです。それゆえ、この通りは商売人たちが行きかうとてもにぎやかな通りだったそう。
お店の名前にもなっている「永樂町」というのは、日本統治時代のこの界隈の名前で、「宮後街」は「最も短い老街」の異名も持ち合わせています。
実はすごい通りであった「宮後街」にある、「永樂町鼓茶樓」も、これまたすごい建物です。補修工事が行われ、一見新しく見える装いですが、実は141歳というご長寿さん。141年前というと、日本時代を通り越して、清朝時代の建物です。その堂々としたたたずまいに、迷わずたどり着くことができました。
新×旧が入り混じる店内
お店の間口はそれほど広くないものの、奥に50メートルくらいあるのではないかというくらい、長~い造りになっています。3つのパーツに分かれ、その間に光を取り込むための天窓がある「3進」という、このような建物の造りは、台北の迪化街など昔の商店などでよく見られます。
なぜこんなに長いかというと、前方と後方を別々の通りに接させることで、後方から商品を入れ、前方で売るという動線の分離ができたんだそうです。なるほど、先人の知恵ですね。
どこまでも続く…
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天窓には「永樂町鼓茶樓」にゆかりのある名前が
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この建物が「永樂町鼓茶樓」となってオープンしたのは数か月前の事。歴代の家主たちの歴史が刻み込まれたこの建物のリノベーションは、モダンなスタイルを取り入れる一方、歴史の重みと格調を残すよう慎重に行われたそう。
そんな「永樂町鼓茶樓」は、茶樓として、寄席として、そしてギャラリーとしての3つの楽しみ方ができる、他にはない空間へと生まれ変わりました。
以前の家主が塞いだと思われる窓
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急な階段が掛けられていた場所
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「茶樓」としての楽しみ方
画像提供:永樂町鼓茶樓
お茶好き、そしておしゃべり好きの多い台南に来たからには、ぜひ試してみてほしいのが「工夫茶」。
「工夫茶」とは、中国茶器を使ってその香りや味わいをのんびりと楽しむ作法のこと。作法と言っても、難しいルールがある訳ではなく、誰でも簡単に自分好みのお茶を楽しむことができます。「永樂町鼓茶樓」では、お好きな茶葉を購入し、茶器代100元/1セット、お湯代100元/一人を支払うと「工夫茶」が楽しめます。茶葉の持参もOKですが、その場合は茶器代が200元/1セットとなります。
茶香荷飯套餐
豊富なお茶メニューのほかに、台南にゆかりのある小吃がいただけるのが「永樂町鼓茶樓」のいいところ。麺や餃子などのメインメニューに、サイドメニューとお茶が付いたセットメニューなど5種類あります。
ナビがいただいたのは、「茶香荷飯套餐(280元)」という、ちまきのセット。これをひとつひとつ、別々に食べるとなると、街の中を歩き回らないといけませんが、ここでまとめて食べられるのがありがたい~。台南がギュッとつまってボリュームも満天!お腹いっぱいになりました。
「寄席」としての楽しみ方
さてさて、そろそろ「答嘴鼓(ダッチュイゴー)」の開演時間がやってきました。「答嘴鼓」とは、ふたり一組になって、ユーモラスな話を掛け合いで聞かせる、言わば「台湾式漫才」です。「永樂町鼓茶樓」では、台南の歴史や文化、食べ物をテーマとした「答嘴鼓」を、小吃メニューをいただきながら楽しむことができます。お店の一番奥に「寄席」があり、1階と2階、合わせて50人ほどが鑑賞できるようになっています。
ナビは1階席の後方部を陣取りスタンバイ。待ちに待った「答嘴鼓」の始まり、始まり~!
※特別に許可を得て撮影しています。
サバヒーや蚵仔煎(カキのオムレツ)など、台南を代表する小吃のお話や、この周辺に運河が通っていた時代のお話など、笛と太鼓の演奏を時々はさみながらの掛け合いが続きます。この日はナビのほかにも日本人のお客様の姿があり、スクリーンに日本語訳が映されていました。演者のおふたりは、「十鼓文化村」の楽団の方々です。
公演についての情報は以下の通りです。
公演時間:土曜の17:00と19:30、日曜の17:00
料金:1階席1~3列目までは800元、4列目以降と2階席は500元
(どちらもお食事付きで、お茶メニューへの変更も可)
予約:FB、もしくは電話にて受け付け。英語でも対応してくれます。
1回の公演時間は約40分
ギャラリーとしての楽しみ方
2階では「永樂町」だった頃の様子が分かる、写真や地図、書籍などが並んでいて、自由に閲覧することができます。
「永樂町鼓茶樓」が位置する「宮後街」には、「醉仙閣」や「西薈芳」といった、当時台南で名の知れた料理店が並び、芸者さんも往来するにぎやかな通りだったのがわかります。芸者さんという職業は、平均月収が25元だった時代に、月収が4~5千元だったと聞いて驚きました。ですが、この職業に就くためには、容姿端麗ということだけでなく、高い教養も必要とされ、試験もあったそう。選ばれし者だけがなれるという、憧れの職業だったのですね。
日本テイストの小屋と小さなお庭のある3階も、自由に見学することができます。ここから2階の屋根を見下ろすと、「永樂町鼓茶樓」がいかに奥行きのある町屋造りの建物かということがよく分かります。
今回、ナビにとって初となった「答嘴鼓」鑑賞は、パフォーマンスを見て、スクリーンの日本語訳を見て、小吃を食べて、写真を撮って……と、大忙しではありましたが、改めて台南についてより深く知ることができるいい機会となりました。台南についてよく知りたいという方はもちろん、中国語や台湾語を勉強したい!という方にもおすすめですよ。ぜひ足を運んでみてくださいね。
以上、台北ナビ(
岩田優子)がお伝えしました。