193線の自転車道沿いはアミ族の集落、ここには伊那工房と古道がありました
こんにちは、台北ナビです。
花蓮県寿豊郷にある米棧というところにやってきました。この村には8鄰あって、まず訪れた「伊那工房」は、7鄰に属しています。鄰というのは、村の中の一個ごとのエリアのこと。米棧では、皆さん、〇鄰の誰誰さんという風に呼びあっているのです。村の面積は南北にかなり長くて広いのですが、住民は2016年現在、120戸約280人。半数以上がアミ族で、他は台湾人と客家人、外省人。住民は米やトウモロコシ、ピーナッツ、紫米などの栽培で生計を立てています。
米棧のランドマーク 8本の塔と水甕
米棧古道につながる県道193線の42.2キロ地点には、8本の甕の塔があります。これは、米棧村の8鄰を表しています。塔の一番下の層は、陶器や山の獲物、漁貨物、米などを表し、2層目は米棧集落の名前。3層目は、原住民、台湾人、客家人、外省人が4面に刻まれ、皆の団結が表されています。
甕塔と道を挟んで、水甕がありました。甕からは山からの湧き水が途切れることなく、あふれ出ています。旅人がここで顔や手を洗っていました。
塔の隣は広場で、住民たちのイベント場でもあります
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豊年祭もここで開催されます
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「伊那工房」と「愛在西原」
アミ族の呉静枝さんが経営する「伊那工房」がある7鄰は、20戸ほどの小さな「鄰」。呉静枝さんは以前アイスクリームを売ったり、観光客や村人たちをコーヒーや原住民料理でもてなし、193線を自転車で駆け抜ける人たちに休息の場を提供していましたが、生活は楽ではありませんでした。或る日、米棧には他方ではあまり見ることがない紫糯米が多いこと、また傳教師だった父親がお客さんに紫米茶をふるまっていたことなどから、紫米の商品化を決意。努力のかいあって、2015年には、原住民のお土産コンテストで優勝者20人のうちの1人に選ばれました。紫米茶や紫米はもちろんオーガニック。今は紫米ヌガーも開発しています(予約制)。現在の「伊那工房」は、アミ族特有の竹で組んだ平屋建ての建物で、呉さんの4人の娘さんが2016年4月に造り直しました。屋外にもテーブルや椅子が並び、とても快適な休息の空間を作り出しています。
紫米は1年に2回収穫するのですが、7月~12月の米は紫色が濃く水分も豊富。12月~6月は色が薄くなり、水分も少ないそうです。紫米茶は、600㏄のお湯に3~5分蒸らしてから飲みます。紫米は白米3カップに対して、1カップ。10分ほど置いてから炊く。出来上がりには10分ほど蒸らします。炊いている途中、何とも言えないいい香りがして、QQのご飯は最高です!
呉静枝さんの「伊那工房」は、「愛在西原」というレストランを併設しています。レストランは、呉さんの娘さんたちが経営し、米棧でレストランと言えばここで、素敵な原住民料理を提供しています。セットメニューは、338元/1人。10人以上なら、ビュッフェも申し込み可(3日前以前に予約必須)。レストランは金土日のみで、その他の曜日は、「伊那工房」が営業中です。
住所:花蓮県寿豊郷米棧村二段99号 電話:(03)874-1338 営業時間:11:00~18:00(レストランは金土日のみ)
米棧古道へ
河の向こうは寿豊郷の豊田。「挑夫」は、ここも越えて物資を運びました
さて、この後外省人が多いという6鄰を抜け、米棧古道がある5鄰へ向かいました。米棧古道は、海岸山脈の北に位置する登山道で、海岸山脈の一番底部に位置する都巒山層と火山角礫岩、砂頁岩などから成っています。193線の42キロ付近にある米棧國小横から、100年以上の歳月を積み重ねてきた歴史ある古道が近代人の訪れを待っています。米棧古道はその昔、東海岸畔の水璉と寿豊鄉の連絡道路(海岸山脈を越えます)で、東海岸の原住民と寿豊鄉豊田の漢人の商業交易路とも言える役割を担っていました。米を肩から担いだ「挑夫」と呼ばれた人たちが、海側と平地の住民たちのライフラインと言えるこの米棧古道行き来し、米が運ばれてくる村として、「米棧」と言う名がつけられたそうです。が、米だけでなく、茶、酒、油ほか生活物資も運ばれました。
古道の長さは、その昔は約7キロあり、公路ができてから古道は荒廃してしまいましたが、米棧社區發展協會は祖先のルーツを探すべく、古道を整理。場所によっては階段も設け、自然を保護しながら、標高415mの高さまで、全長2.1キロの米棧古道を完成しました。竹や九芎樹幹、石などを上手に組み合わせ、できるだけ昔の古道に近いものに造り上げました。距離としてはそれほどでもなく、往復2~3時間ほどで歩けますが、山道なのでアップダウンもあり、全身で森林浴を感じながら、ひと汗かくことができます。途中の景色は言うまでもなく、風を感じつつ、野鳥の声に耳を傾けたりながら、楽しいハイキングになることでしょう。1.7キロの地点に昔の人々が休息した場所があり、近くには湧き水もあふれているそうです。
豊年祭
この日、米棧古道のふもとの米棧社區發展協會で、ナビたちを出迎え、案内してくれたのは、Kkcawさんと張芬玲理事長。豊年祭も近い時期だったので、Kkcawさん夫妻はアミ族の衣装で、出迎えてくれました。Kkcawさんの奥さんは台湾人で、ご夫婦は若い時は米棧を離れていましたが、数年前に子供の頃に育ったここへ戻ってきました。8月は豊年祭、5月は捕魚祭、12月は捕鳥祭があります。
アミ族の豊年祭では、男性たちが年齢階層の下で行うのですが、米棧には5階層ありました。既婚者は帽子が豪華になるそうで、女性は未婚者が短いスカート、既婚者は長くなります。アミ族は母系社会で、母親を「太陽(cidar)」と称します。太陽は赤色。なので伝統的な服飾、特に羽の冠、花の冠、肩帯びに付いた円形の貝殻、腰帯に付いた鈴などはすべて太陽である母親を表し、歌の中にも母親という言葉がよく出てきます。
米棧では、古道散策や紫米DIYコースなどがあり、半日から1日、キャンプなども含む2日コースも準備しています。興味がある方はいかにお問い合わせください。
米棧社區發展協會 住所:花蓮県寿豊郷米棧村米棧一段65号 電話:(03)874-1232、0922-305076
以上、台北ナビでした。