南澳で農夫体験!自然農法を実践する阿江が作りだした秘策とは?近くにはタイヤル文化やおいしい海鮮も待っている♪
こんにちは、台北ナビです。
今台湾の方々が休暇を過ごすと言えば必ずと言っていいほど候補にあがる宜蘭。宜蘭市内や温泉で有名な礁溪、屋台がおいしい羅東などは聞いた事がある方も多いのでは?
今回はそこからもう少し足を伸ばして、南澳という町へ。ここで自然農法に取り組む阿江こと陳昌江と出会いました。
彼の目指す理想とは?タイヤル族の村としても脚光を浴びる南澳の魅力もご紹介します。
南澳へのアクセス方法
台北から南澳へは台湾鉄道(台鉄)に乗れば2時間半。羅東まで客運を使用し、南澳を目指すと理論上1時間半で到着します。が、乗換などで結局2時間強かかるので乗換の要らない台湾鉄道に乗るのが無難です。
2時間半の電車旅行。台北から離れるとどんどん懐かしい雰囲気に…。ちょっとノスタルジーになっていると南澳へ到着しました!下車し左方向へテクテク歩いて行くと阿江の南澳自然田換工客棧があります。徒歩約5分。ナビは阿江と待ち合わせをしていたので軽トラックの後に乗ってびゅ~んと10秒くらいで到着しましたよ~。
台湾における農家の現状とは…??
阿江
南澳自然田換工客棧に到着後早速阿江の力説が始まりました。
最近有機栽培のお野菜・お米が市場に出回っていると思っている人が多いのですが、80万ヘクタールある農地のうち5000ヘクタールのみが有機栽培を行っているそうで、1%にも満たないんだそうです。まさかそんなに少なかったとは…。
何でも肥料と農薬を使えば作物の生産量や美しさが簡単にコントールでき、農家にとって大きな利益を生むことができるそうなんです。でもその代償は大きなもので、現代人の健康や農地の環境を蝕んでいると言います。うぅ~ん、この現状をどうにか打破できないものか阿江達は悩み続けひとつの解決策を見つけました。
1年後まで予約でいっぱいの農作物って?
色々と考えていた際思い出したのが、その昔自分の食べる分だけをお母さんが作っていた野菜たちのこと。その野菜達には何の認証もないけれど何の疑いもなく食べていたなぁということ。これって自然と生まれる信頼関係ですよね。
このような信頼関係がないからこそ有機認定などがもてはやされるようになってしまったとも言えます。ということは「消費者」という立場だけではなく、「農作物の主人」となれば安心して農作物を食べることができるようになるのではないか?という考えの元「契作代耕(委託栽培)」というシステムを作り上げました。
これは先に消費者が農地を予約し、予約した農地で収穫された農作物はボランティアが自分達で食べる分を除きすべて消費者のものとなります。この方法を取れば農家には明確な収入が約束され、翌年必要な農作物量がわかるため多く作って儲けたり、天候などの影響による損失を恐れ、農薬や肥料を使おうという考えが生まれなくなるのです。
お互いが「winwin」の関係になれるこのシステムは人気を呼んでいるそうですよ!
無農薬・無肥料添加の自然農法で作り上げます
そんな阿江達の畑を見せてもらいました。
軽トラックに揺られながら畑を目指したナビ達。目的の畑につくまでに何度もストップし、「この実はおいしいから食べてみて!」と軽トラックの荷台からベリーを採って食べてみたり自由そのもの。阿江の畑に到着して思ったのは想像している畑とまるで違うということ。まず、どこを歩いていいのかさえわからないんです。
阿江は日本で自然農法を実践している川口由一さんの考えを元に自ら自然農法を実践!農地を作る際には草を一列に倒し、農作物を植える土台を作り上げます。ナビも畑に入ってみましたが、草が幾重にも重なっているのでまるでふかふかのベッドのよう!とっても気持ちいい♪
畑をよく見ると…
ファームステイに若者が集います
休憩時間は思い思いの時間を過ごします
この自然農法をひとりで実践するのはとても無理…。そこで、南澳自然田では積極的に「換工假期」を受け入れています。簡単に言えば畑仕事を手伝ってくれたら3食と住居は無料でどうぞ!というもので、短期でも長期でも受け入れてくれます。
台湾でもワーキングホリデーが流行っており、国内で今まで体験したことがないものを体験できる!自然農法を学びたい!などの理由で2011年には1400人ほどの若者たちが「換工假期」を行いました。今年からは海外からのバックパッカーも受け入れています。この経験を経て南澳という場所に恋をし、引っ越してくる若者やイタリア人もいるそうで、街の活性化にもつながっているんです。
リビングには伝言版が!
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男女1部屋づつ、川の字になって眠ります
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素朴な台湾が経験できる場所
線路を眺めながらのごはん♪
食事作りも毎日当番を決めて担当者が腕をふるいます。お料理があまり上手くないと言われる台湾の若者たちですが、あっという間に7品ほどを作ってくれました。台湾の家庭料理をここで楽しめるなんて…。
野菜やお米は自分達で採ったもの。ナビは阿江の説明を一生懸命聞いたということで畑仕事は手伝っていませんが、特別に食べさせていただきました。美食の国台湾!家庭料理もおいしい♪おかずをおかわりしようと思ったら若者たちがあっという間に平らげてしまっていたので、ご飯を多めにいただきました。
ここで鉄っちゃんに朗報です。「南澳自然田換工客棧」は線路のすぐそば!休憩中や食事中はず~っと線路を眺めていることができますよ!実際ご飯を食べるための机や椅子はなく、思い思いの場所でご飯を食べていました。
すべておいしかったですよ~
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線路脇で台湾料理をいただきます!
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室内組はお風呂で使う椅子を並べて食べます
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長期滞在者はマイお椀とお箸が置かれています
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休憩時間には仲間と遊びに出かけよう!誤字も直してくれています
何だか農家にホームステイさせてもらっている錯覚に陥ってしまったナビ。ワーキングホリデーで中国語を勉強したいなぁだとか台湾人と直に触れ合いたいと思っている方にはぴったりな滞在先だなぁと感じましたよ。
宿泊施設に不安がある方は南澳のほかの施設に自費で宿泊し、3食を「南澳自然田換工客棧」で食べてもOK!阿江が必ずいい方法を思いついてくれます。また、「換工假期」ではなく1日体験だけでいいという方も有料で受け付けてくれます。
農業体験だけじゃない!休憩時間に南澳の魅力を堪能しよう♪
太陽が高くなるお昼を避けて朝夕合計6時間ほど農作業を行うため、お昼にはたっぷりと自由があります。そこでナビは南澳駅前のレンタサイクリングで自転車を借りて南澳の街を回ってみることにしました♪
しいたけ屋さんがレンタサイクルを兼営している微笑ましいお店は南澳駅を出てまっすぐ歩けば右手に見えてきます。良心的なお値段設定です♪
南澳火車站前 腳踏車出租
宜蘭縣蘇澳鎮大通路40号
(03)998-2043
しいたけ屋さん。ちなみに南澳のしいたけはおいしいと大人気♪お土産にもいかが?
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実は胡椒餅も売っています
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コーヒーを飲んでタイヤル族のサンダル製作を見よう!
編み物でも有名なタイヤル族。南澳社区発展協会が併設されたカフェが「葛蕾扇義式咖啡館」です。
店内はタイヤル族一色。カフェに入るとサンダル作りの様子も見て行ってよ!と奥の工房を案内してくれました。織器の周りに並べられた色とりどりのサンダルにワクワクしてしまいます。形やサイズも色々とあり、自分に合った一足が見つかるはず♪ナビも気に入った物があったので購入して毎日履いています。履けば履くほど足にフィットしてきて、履き心地抜群です!
葛蕾扇義式咖啡館(南澳社区発展協会)
宜蘭縣南澳郷南澳村中正路53号
(03)998-1611
どれにしようか迷っちゃう!
間近で織ってくれますよ~
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一本一本丁寧に作り上げます
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工房内を見せてくださいました~
工房の奥にはサンダルの型も!
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どう作っているのかもはやナビにはわかりません
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タイヤル族の編み物体験もできちゃいます♪
とってもオープンな工房
南澳の女性達にタイヤル族の織物文化を伝えると共に、その技術を向上させるために作られた宜蘭県原住民工藝協會では、織物をしている様子が見られ、服や小物も販売しています。
織物師自ら編み物を教えてくれるのも人気。いちばん簡単に体験できるのは泰雅娃娃(タイヤル人形)の服作りで、器用さにもよりますが、大体1時間で完成するそうです。その他作りたいものがあれば予めこちらと連絡を取れば教えてくれることもあるそうですが、半日~1日かかりで作らないと完成しないものも多いので、一度簡単なものを作ってから再度来てみて欲しいとおっしゃっていました。(織物師毎に体験値段が変わります)タイヤル族の民族衣装を着て、記念写真を撮影してみるのもいいでしょう!
宜蘭県原住民工藝協會
宜蘭県南澳郷蘇花路二段317号
(03)998-4252/0955-786-186
生卵乗せアイス??
疲れた体にはアイスが台湾流!ということでやって来たのが建華冰店。
日本統治時代から使っているという機械もあるという年期が入った店構えですが、清潔に保たれてるのが嬉しいです。南澳で知りたいことがあればここで教えてもらうこともできますよ。早速ナビも看板商品だという「傳道冰加蛋50元」を注文してみましたが、出てきてビックリ!清冰の上にあずきやうぐいす豆などと一緒に生卵が乗っている……。恐る恐る食べてみると、「あれ?おいしい!」一人で食べきれるか心配でしたが、上からかけたピーナッツと合わさってパクパク食べてしまいました。アイスの種類も多いので、色々試してみてください。
建華冰店
宜蘭県南澳郷蘇花路二段419号
(03)998-1150
7:00~23:00
雨宿りさせてもらいました!
みんなで記念撮影!
「港があるから行ってみよう!南澳の海鮮はおいしいんだよ~」という言葉を聞いていたのですが、途中大粒の雨が降ってきてしまいました。ちょうど阿江のところでファームステイしてから南澳が大好きになり引っ越してきてしまったという方の家の近くに居たので、突撃訪問させてもらいました。
台北人だった彼ですが、自然と一体となる生活を南澳で開始!まだまだスタートしたてですが、ゆっくりと少しずつ自分の理想の住居環境を作っているそうですよ!雨も上がってきたのでさぁ、港を目指しましょう♪
天后宮の近くにお家があります
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いらっしゃ~い!と迎えてくれました
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キッチンに見えないキッチン
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手作りのお椀にスプーン、フォーク
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朝陽漁港に到着!
ぼ~っとしているだけでも気持ちがいい!
朝陽漁港は南澳漁港とも呼ばれ、朝の7:00前後と夕方の15:00~16:00頃に近所の方が魚を直接買いに訪れます。漁港と言えば大きな船に油のニオイがしていますが、ここは比較的小さな船が停まっており海の水もとってもキレイ。そのためか堤防を歩いていると小さなカニさんが歩きまわっていましたよ!
残念ながらナビは新鮮な海鮮料理にありつけませんでしたが、南澳の海鮮料理は有名ですので、是非堪能してみてくださいね。近くには朝陽國家歩道もあり、2時間ほどあれば登ることができるようです。次は登ってみようかなぁ……。
漁港はこじんまりしていますがきちんと整えられています
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どんな魚を連れてきてくれるんでしょうか・・・
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地元民だけが知っている冷泉♪
阿江を見ていると自然と笑顔になり元気が出てきます。これも自然農法が阿江に与えた力なのかなぁ…。日本語を話せる世代がたくさんいるのも南澳の特徴で日本の方が何か困ったことがあれば日本語世代のおじいちゃんおばあちゃんがいるから助けてくれるよ!という阿江の言葉も力強い☆
台湾一おいしいとナビが自負する羅東夜市がある「羅東」(南澳から台鉄で約30分)か温泉がある「礁溪」(南澳から台鉄で1時間弱)に一泊して南澳に遊びにくるのもいいなぁと思ったナビなのでした。
以上、自然大好きナビがお届けしました。