日本裏千家の名誉教授による茶道教室も開講!
こんにちは、台北ナビです。
先日“北投文物館“にて「一期一會:日本茶道文化特展」の記者会見が行われました。2015年の今年85歳になられる日本裏千家茶道名譽師範、関宗貴先生をはじめ、茶道を通して繋がった方たちが招集されとても賑やかな会となりました。
文物館内の歴史や展示は、以下の記事からどうぞ ↙
関宗貴先生のご挨拶
会場の来場者の前で茶道を振舞われた後、貴賓の挨拶として関宗貴先生もご挨拶。
「忙しくてテーマを考える時間がなかったのですが、“一期一会”をテーマに話をしたいと思います。一生に一度の出逢い。このような展示(機会)も一生に一度しかできない。私のお茶の人生は約70年大東亜戦争(第二次世界大戦)の前にお茶を始め、それからご縁があってこの北投文物館でお稽古をさせていただいております。今、展示してある茶道具(※関宗貴先生のコレクションが80%ほど)、本当は今ある以上に、たくさん日本から持ってきてみなさんに見て欲しかったのですが、そんなに持って来られなかったんです。今展示しているのはどれも私のとても大切なもの。一生に一度しか出逢えない素敵な茶器です。だからこの“一期一会”のテーマをもらった時、ぴったりだと思いました。こんなに年をとったからあとどのくらいお茶をやっていけるのかなぁと思ってるんです。今日みなさまに会えたのも一期一会なんです。」
挨拶を終えると深々とお辞儀をしてお席に戻られました。関先生のひとつひとつの動作に気品を感じます。
関先生のお点前です (お抹茶を運ばれる方がナビの前を行き来しており、すみません)
茶道体験
この日来場した方に向けて何組かのグループに分かれ、1階のお茶室にて茶道体験が催されました。ナビは以前に一度日本のお寺でお抹茶を振舞ってもらったことはありますが、それ以来こういった伝統茶道には触れていなかったのでとても嬉しい気持ちと、少しドキドキの緊張が入り混じりました。やはり畳の間は背筋が伸びます。
そーっと襖が開き、着物の女性が出てきて流儀に沿ってお茶を点て始めます。その場にいたみなさんにも緊張が走り、静かに作法を見つめます。
薄茶が用意されました。薄茶のお菓子は通常干菓子です。先に和菓子が配られ、大勢のお客様が参加のため最初のお抹茶以外は水屋で点てて運ばれる点出しの方法で各お客様に配られます。その際、お茶を配る方がきちんとお客様の目を見て、深々とお辞儀をし、抹茶を差し出すのがとても印象的でした。茶道では基本の動作となるのかもしれませんが、その細かな動作が心まで届き、温かい気持ちになります。
薄茶は、お菓子をいただく→お抹茶をいただく→茶碗を拝見する、の順序です。
茶碗を右手で取り、左手にのせ、右手を添えて茶碗の正面をずらすために、時計回りに2度回して、向きを変えます。差し出す側は茶碗の綺麗な柄の方をお客様へ向けるため、お客側は謙虚な気持ちを持って茶碗を回します。特にきまりはありませんが、抹茶の量や温度により3~4口で飲みきります。最後は故意に少しずずっと音を立ててすすります。これは相手に飲み干したことを示すためです。そして飲み口を指先でぬぐいます。茶碗の正面を元に戻すため時計と逆回りに2度回左手の上で回し茶碗を置きます。抹茶の濃さにより和菓子のボリュームが変わってきます。
日本裏千家茶道名譽師範、関宗貴先生による茶道教室
こちらの茶道教室は2000年より準備をはじめ、2005年7月に開始。日本文化に興味のある台湾人の生徒さん方が多く、関先生は2005年より指導し続け、たくさんの台湾人のお弟子さんがいらっしゃいます。お弟子さんの中には、大学で日本語教師をされておられる方もいて、こちらの茶道教室で師範免許をとり、大学で茶道教室を開いておられるとか。
生徒さんの一人、銘傅大学日本語学科教授の徐希農さんは、日本文化に大変興味を持ち、日本留学時代から茶道の勉強を始め、こちらには2007年から通われているそうで、お茶を通して日本人の心・考え方を理解したいと熱く語っておられました。
日本裏千家茶道名譽師範 “関宗貴” 先生インタビュー
いろいろなところで噂は聞いていた、関宗貴先生のこと。ナビがずっとお会いしてみたかった方にやっと会えた!という思いでいっぱいになりました。そして記者会見の後、関先生を直撃することができました。
茶道との出会いは?
「中学1年の時。当時は茶道の道具があまり揃ってはいなかったのですが、母が財閥にご奉公に出ていたので、お茶もお花も経験させてもらっていました。戦時中はお抹茶もお菓子もなくて1年ほど、茶道ができなかったんです。18歳の時、通っていた学校で茶道部を作り、茶道の先生を招き、私はその先生にアシスタントとして付きました。20歳で教授の資格を取得し、28歳で結婚して、30歳から43年間、デパートの松坂屋や日立関係の会社で職場茶道の指導を続けていました。」
台湾で指導されることになったきっかけは?「主人が貿易関係の仕事をしていた関係で、1年に4~5回、台湾に来ていました。その頃、知り合った方から相談を受け、茶道教室のお手伝いさせてもらうことになったんです。文物館の改装に関しても、畳の敷き方や水屋の作り方などのアドバイスをしました。2003年から2年がかりで準備をし、2005年7月に教室を始めることができたんです。一人では、海外でこのように教室を開くなんてことはできませんでした。協力頂いたすべての方々に感謝しています。人生は感謝あるのみ。これが私の生き方です。」
これまで育てたお弟子さんは数千人、今でも横浜にある高校などへ出向いての指導も行っているそうです。本物を教える事。それが大事。高校生だからって茶道の基本を崩してはダメなのです。和菓子を現代風のお菓子にかえたりするのも私は違うと思いますとおっしゃいます。
身振り手振りで熱く語ってくださる姿から
道に対する情熱がとても伝わってきます。
茶道をすることで、日常にも役立つことはありますか?「お茶のお手前は、細かいですが効率よくできています。そのため、お手前が身についてくれば、通常の仕事も速くなります。着物を着ることで姿勢も良くなります。また、茶道は気配りの世界。人と人の間には気配りは重要。いろいろな方がいます、わがままはその方の個性だと受け入れてお付き合いをすれば、いいのですよ。私もお嫁さんとはとっても仲良しなんですよ。茶道をすることで人間関係が良くなるのです。今の世の中、必要だと思います。」
先生のお話を聞いて深いなと、心の広い方だなと思いました。茶道というイメージから、とても厳格な方だと思っていましたが、先生とお会いし、お話を通してとてもチャーミングで、さっぱりした方だと感じました。日本の心を台湾に伝えていただくのに、とてもふさわしい方だなと、日本人として感謝の気持ちでいっぱいになりました。
可愛らしい茶道教室の生徒さん
ちょうどお手伝いに来ていた台湾人で最年少の生徒さんMiaちゃんに会えました。彼女は現在10歳、茶道歴は既に6年にもなります。4歳の頃から茶道を習ってきている、続けているというのは素晴らしいです。Miaちゃんのお母さんはインテリアデザイナーでもあり、裏千家の北投協会の幹事もしています。微笑ましい笑顔でカメラの前に立ってくれました。
お抹茶のお菓子
この日、ゲストの団欒のひとときを盛り上げていたのは、日本から台北に進出した「108 MATCHA SARO」。北海道に本店をかまえ、台北では大葉高島屋B1と京站時尚廣場(Q-square)に店舗があります。お抹茶にこだわったスイーツのお店です。ナビは個人的に柔らか~い抹茶わらび餅が美味しかったです。
以上台北ナビでした。