鉄観音や包種茶などの故郷。お散歩しながら台湾茶と茶葉料理を楽しもう
こんにちは、台北ナビです。
台北市南部の文山区にある猫空地区は、台湾でも指折りのお茶の名産地。MRTとロープウェイを使って台北駅から1時間強でたどりつけるこの場所は、大都会台北のオアシスと言っても過言ではなく、自然豊かな立地と美味しい空気、水が自慢です。
たくさんの茶芸館やレストランが建ち並び、台湾茶と美味しい料理がたのしめるほか、天気がよければ台北の風景が一望できる猫空は、台北旅行に彩りを与えてくれる素敵スポット!猫空のふもとに10年以上住むナビが、猫空の魅力をご紹介します。
猫空へは、MRT「動物園」駅まで来て、そこから徒歩5分のところにある猫空ロープウェイに乗るのが、一番便利なアクセス方法。ロープウェイの乗車時間は約30分です。
ちなみに、ロープウェイは毎月第一月曜をのぞいて月曜日にメンテナンスのために運休するほか、毎年5月頃にもメンテナンスのために長期運休します。
さらに、強風、落雷などの場合にも運転を見合わせることがあるので要注意ですよ。ロープウェイが運休した場合は「動物園」駅からバスで向かいましょう。
健康志向の方で時間があるという場合は、麓の政治大学から1時間かけて登山道を歩くという方法もあります。
さて、この猫空という地名、てっきり猫がたくさんいる場所なのかなと想像しがちですが、元々は「穴ぼこの多い場所」という台湾語が由来という説が有力です。
鉄観音栽培が始まったのは、清の時代末期。福建省安渓地区から移住してきた張一族が、猫空の環境が鉄観音茶の栽培に適していることに気付き、一度故郷に戻って茶の木の苗木を持ち帰り、栽培を始めたといわれています。余談ですが、猫空には今でも名字が張の人がたくさん暮らしているんですよ。
お茶への認識を深められる「台北市鉄観音包種茶研発推広中心」
最初にやってきたのは、ロープウェイ「猫空」駅から徒歩20分のところに台北市が運営するお茶の展示センター「台北市鉄観音包種茶研発推広中心」。台湾各地で栽培されている茶葉の紹介や、鉄観音ができるまでの製茶作業および機械の紹介などがあります。
鉄観音を始めとするウーロン茶葉は、まずほどよく乾燥させながら発酵させた後、高温で茶葉を温めて発酵を停止し、さらに茶葉を揉み込みます。日本茶は茶葉が比較的細長くなっているものが多いですが、台湾茶の茶葉が球状になっているのは、この揉み込みの作業があるから。こうすることで運搬中に茶葉が折れて風味を損なうことを防ぐんだとか。さらに再び乾燥させたら包装されて出荷されます。いやはや、何気なく飲んでいる台湾茶ですが、製茶過程はとっても複雑なものだったんですね。
あっ!六季香茶坊の店主を発見!何でも、9軒の茶農家さんが持ち回りで猫空と台湾茶のPRをここでしているそう。いい取り組みですよね!
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無料でお茶が飲めるサービスもありますよ
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時間があれば登山道の散策をどうぞ
猫空でお茶を楽しむだけでなく、登山道を散策するのもオススメです。基本的には舗装された道になっているので、比較的歩きやすくなっています。亜熱帯地方の植物を見ながら、河にせせらぎを聞きながら、レンガ造りの民家の軒を掠めるように歩くと、猫空の原風景が見られるはずです。
パワースポットとして知られる指南宮までも1時間弱で歩けるので、一緒に訪れてもいいかも知れません。
プライベート感の高いレストラン「四爺」で茶葉料理を堪能
お腹が空いたら、ロープウェイ「猫空」駅のすぐ近くにあるレストラン「四爺」へどうぞ。
「あれ?この外観、見覚えがある」と思った方はご名答。以前は「緣續緣」というレストランで、ナビでも紹介していた名店でした。2018年に同じく猫空の有名レストラン「四哥の店」の手によってリニューアルオープンしたのがこの「四爺」です。
「四爺」の最大の魅力は、全席個室になっていること。特に北側の席は台北盆地が一望でき、台北101のほか、松山空港を離着陸する飛行機がながめられてオススメです。
料理ももちろん抜かりがありません。猫空には茶葉料理を扱うお店が多いですが、「四爺」では「四哥の店」で好評のオーナーの奥さん自慢の創作茶葉料理が堪能できます。あらゆるところに茶葉が隠されていて、口に入れるとほのかに爽やかな風味が漂います。
本格的にお茶を楽しみたいのなら本格的な茶器でお茶を入れる「工夫茶」をどうぞ。ここで提供されるお茶も長年のお付き合いがある猫空の農家を中心に仕入れているんだとか。だから美味しいお茶にきっと出合えるはずです。気に入ったら店頭で販売もしているのでお土産にいかがですか?
「ご飯はもう食べてきた」「ちょっと休憩だけしたい」という方は、「四爺」の上階にあるオープンテラス型のカフェ「貓懶」へどうぞ。ドリンクや軽食、アルコール類が充実していて、気軽に利用できます。そして、なんといってもオープンテラスだからこその開放感は他のレストランと一線を画す魅力。猫空からの風景が独り占めできちゃいます。
台北市指南路三段38巷16-2号
(02)2939-5938
10:00~22:00
http://www.maolan-house.com/index.php
トラディショナルな茶芸館や中華レストランの多い猫空で、異彩を放っているのがピザやリゾットなどの洋食が楽しめる「猫空小木屋」。オーナーはこのここで生まれ育ち、現在もここに暮らしているという生粋の猫空人。アットホームながらお洒落な雰囲気で、もちろん風景も楽しめる、地元の人たちでとっても賑わうレストランです。
もちろん、ドリンクメニューも充実。アルコールもあるので、夜景を楽しみに来たときなどには重宝しそうです。
お茶の生産地に来たのだから茶葉やお茶に関連する商品を買ってお土産にしたくないですか?そんな時は、ロープウェイ「猫空」駅から目と鼻の先にある「觀鼎」へどうぞ。
上質な茶葉のほか、茶器、お茶が練りこんであるヌガーやクッキーなどのお菓子が置いてあります。
そして、店頭では茶葉を使ったソフトクリームを販売。この日は鉄観音と包種茶のミックスをいただきましたよ。程よい甘さの中にほのかなお茶の香りがするさっぱり味。2種類の味の違いもしっかりわかるので、比べながら食べるとなお美味しく感じました。
このパッケージが目印です
さて、猫空産のお茶を買う時のひとつの指標としてぜひ皆さんに覚えていただきたいことがあります!それは、美味しいお茶のパッケージには決まったデザインのものが使われているということ!
実は、猫空がある木柵地区を管理する農協の木柵区農会は年に2回、お茶の品評会を行っていて、入賞した茶葉のパッケージは決まったものが使われているんです。
もちろん、このレベルになるとお手ごろ価格……とは行きませんが、普段から台湾茶を飲んでいて、いつもとは違ったお茶を試してみたいという方にはオススメですよ。
オーナーの張哲嘉さん。手に持つのは品評会で特等を受賞した茶葉
ちなみに、觀鼎のお茶はお店の裏手にある作業場で製茶されています。ナビが訪れた時はオフシーズンだったので、非常にのんびりとした空気が漂っていたのですが、製茶のシーズンになると、家族・親戚総出で作業に取り掛かり、夜間も寝る暇がないほど忙しいんだとか。
そして、ふとナビは気付いたのですが、製茶作業に遣われる機械の購入費や維持と補修は完全に農家の自前。茶畑を管理し、お茶を育て、さらに出荷できるようにするまでのランニングコストが非常にかかるんですね。これを個人でやっていらっしゃるのだから、本当に頭が下がる重いです。
だからこそ、品評会で優秀な成績を収めることは、非常に光栄なことなんだとか。普段何気なく飲むお茶にも、農家の真心が詰まっているんだなぁと思うと、味が変わってくる気がします。
觀鼎休閒茶園
台北市文山區指南路三段38巷16之5號
(02)2939-9190
https://www.facebook.com/GUANDING/
大自然の雄大さにここが思わず台北市だとは忘れてしまいそうになる猫空。MRTとロープウェイで気軽に足を運べるので、家族での半日旅行にピッタリ。マイナスイオンを浴びながら、美味しいお茶と茶葉料理に舌鼓を打って、リフレッシュしに来てくださいね。
以上、台北ナビでした!