台湾で最も古い学校がある廟!自己啓発のルーツが見つかるかも
こんにちは、台北ナビです。
のんびりと時間の流れる街、台南にやってきました~。台北から新幹線に乗って2時間弱で到着!本当に便利な世の中になったものですが、ここ台南は、時代の流行り廃りに流されず、歴史や伝統を重んじていこうとする“温故知新”の精神が根付いているような街です。どことなく懐かしいような…そんな風に感じるのはナビだけでしょうか?
今日は台南に来たからには、マストな観光スポットである「孔子廟」をご紹介します。そういえば「温故知新」も「啓発」も孔子にルーツがある言葉だそうです。信仰深い人々によって、長年大事に大事に守られてきた古跡のひとつである孔子廟の歴史散歩とまいりましょう。
孔子とは?儒教とは?
孔子が儒教の創始者であり学問の神様と言われているのは、何となく記憶の片隅にあるものの、勉強したのはかれこれ何十年前の事だったでしょうか…。ちょっとおさらいしてみましょう。
まず儒教とは簡単に言うと、春秋戦国時代に生まれた中国を代表する思想のことで、「五常」と呼ばれる5つの「徳」が基本になっています。五常は、仁(人をおもいやること)、義(私利私欲にとらわれず、己のなすべきことをなすこと)、礼(「仁」を具体的な行動で体現すること)、智(学問に励むこと)、信(真実を述べ、約束を守り誠実である事)の5つで、これを守り「五倫」(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)との関係を維持することが、儒教の目的です。
そんな儒教の創始者であり思想家である孔子は、若い頃から勤勉で、魯の国(現在の中国山東省南部)の役人となります。戦乱の混乱した時代のさなか、秩序だった人道政治を掲げるも、有力者たちの妨害によって失敗に終わってしまいます。しかし孔子の説く独自の理念は徐々に広まり、生涯3千人の弟子がいたと伝えられています。彼の死後、弟子たちによってまとめられた「論語」には、孔子の思想や弟子たちとの問答が記され、現在でも東アジアで大きな影響力を持っています。
台南孔子廟の歩き方
前置きが長くなってしまいましたが、さっそく中に入ってみましょう!ここ台南孔子廟は、1665年に鄭成功の息子である鄭経によって、人民を教化するために建てられました。台湾各地にある孔子廟ですがここの孔子廟が最も古く、何度も修繕、増築が行われ現在に至っています。涼しい木陰を作ってくれていた大きな木が数年前に病気になってしまい、景色も移ろいつつあります。
敷地の東側が、今でいう学校のような「国学」、そして西側が孔子をお祭りしている「文廟」という構造になっています。南門路に面している東大成坊から入り「国学」を歩き、禮門をくぐって「文廟」を参拝、そして義路を通り西台成坊から出るルートが、おすすめの見学コースです。
まずは東大成坊からスタート!台湾における学問の発祥の地であり、最高の学府であることを示す「全臺首學」という大きな扁額が目印です。入口そばに埋め込まれている「馬下碑」という石碑には2つの言葉が彫られています。右は漢文で、左は満州語を表記するために作られた満文。そこには「孔子廟にお参りする際はいかなる人でも馬などの乗り物から降りなければならない」という、孔子を尊ぶ意味のことが書かれています。日本統治時代もこの作法に従い、いかなる地位の人も乗り物から降り孔子廟をお参りしたそうです。
学生になった気分で歩く「国学」
東大成坊をぬけ右手に進むと、儒教の講堂である「明倫堂」があります。明倫堂の中には「臥碑」と呼ばれる、現在の校則のようなことが書かれた石碑と、孔子廟を建てるときにつくられた建築図の石碑が残されています。
壁に大きく書かれた「義」と「孝」、そして「忠」と「節」をつなげると、目上の人や親を敬い人として正しい道を行くという意味の「忠孝節義」という言葉になります。台湾のあちこちで見かける「忠孝路」という名前のルーツは、儒教にあるのかな…と思いました。
その明倫堂の横には、1階は四角形、2階は円形、3階は八角形という不思議な構造になった建物があります。2階には楴潼帝、3階には魁星帝君という神様がまつられ、「文昌閣」もしくは「魁星樓」と呼ばれています。昔は科拳(官僚採用試験)の合格を祈願する場所だったそう。
この建物が開放されるのは、土日祝日の9:00~12:00と13:30~17:30の間のみです。一度にたくさんの人数は入れませんので、ルールを守って見学しましょう。
この明倫堂と文昌閣がある「国学」の場所には、龍眼や柿、桑の実(マルベリー)や釈迦頭(しゃかとう)などなど、たくさんの果物の木が植えられています。これは昔、学生さんたちがお腹がすいた時に、そこから取って食べていたからそうです。
そういえば、先ほどからナビの前をたくさんのリスたちが横切っていきました。リスたちにとってここは、居心地のいい場所なんですね。
ここからは有料!「文廟」を歩く
次に、敷地の西側に位置する「文廟」を歩いてみましょう。敷地の中央にドーンと構える「大成門」を通って入りますが、ここからは入場料(40元)がかかります。
本当は、中央の大きな門が正式な門になりますが、ここの扉は祭礼のときや皇帝が孔子廟に来たときなどのみ開けられるそうで、普段はずっと閉められたままになっています。廟の門には「楹聯(えいれん)」という対になる文句を書くのが一般的ですが、孔子の前でそのような字を書くのはあまりにも恐れ多い事だったゆえ、ここでは描かれていません。門番の役割をする「門神」の絵も描かれておらず、左右あわせて108個の門釘門が打たれています。
門をくぐると正面に「大成殿」があり、中央に堂々と孔子がまつられています。そして上を見上げると、たくさんの大きな扁額がずらり…。清の康熙帝の時代に、歴代の皇帝が扁額を掛けるようになり、現在の総統も就任後、ここに扁額を掛けています。
大成殿を囲むように建つ建物も、ゆっくり見てみましょう。
後殿にあたる「崇聖祠」には5代にわたる孔子の先祖が、そして西側の「西廡」と東側の「東廡」には、昔の儒者たちがそれぞれまつられています。
大成殿の両サイドにある禮器庫と樂器庫には、「釋奠(せきてん)の儀」という孔子をおまつりする儀式の時に使われる楽器やのほかに、樂生(演奏する人)や佾生(舞い手)の制服などが展示されています。
孔子の誕生日にあたる9月28日は「教師節」と言われ、毎年孔子廟で開催されるお祭りで披露される楽器や衣服も、伝統的なものです。ちなみにこのお祭りでは、学問成就にご利益があるといわれる牛の毛を奪い合うイベントが、最も盛り上がりますよ~。ただ、早朝に開催されるので気合を入れて起きないと見ることができません。
成大門の近くには、学問成就を祈願する願い札がたくさん掛けられ、2500年以上が経過した現在でも、たくさんの人々に影響を与え続けている孔子のすごさを実感しました。
文廟を後にして、「義路」をくぐり「西大成坊」を出たら、孔子廟歩きは終了!すっかりお腹が空いてしまったので、この後はおいしい小吃やスイーツなど、台南グルメをお腹いっぱい食べようと思います。
台南孔子廟では、毎週土曜、日曜の16:00から、演奏会も行われていますので、ぜひ楽しんでみてくださいね。
以上、台北ナビ(岩田優子)がお伝えしました。