鉄道ファン必見!蒸気機関車・ディーゼル・電気機関車が一同に集まる扇型機関区を参観しよう♪
こんにちは、台北ナビです。
今日は台湾中部、彰化駅の裏手にある台湾鉄路管理局の彰化機務段(機関区)にやってきました。目的は……そう、台湾に唯一現役で残る扇形車庫を参観するためです。ここはC101やC124といったSL、ディーゼル機関車などが目の前で移動していくのが見られる、活きている機関車庫なんです。
申請不要!とっても気軽に参観できちゃいます
機関区の入口案内所で、安全維護切結書(安全管理誓約書)に氏名、住所を書きます。外国人の場合はパスポートなども見せます。
以前は朝から参観を開放していましたが、車両の出入りが激しく忙しい朝の開放は作業への支障もきたすこともあったため、お昼からの開放になりました。参観可能時間は短くなりましたが、安全性と作業効率UPのためなので、ご了承くださいね。また、10人以上での入場の場合は、予約すれば無料でボランティアガイドを受けることができます。
この参観路線に沿って…
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どんどん進んでくださいね!
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2000年から見学開始!
古跡指定されたのに伴い、見学が可能になった彰化扇形車庫。扇型庫の中に入ったり、機関車に触ったりはできませんが、写真は自由にとれます。建物には参観経路が示してあるので、それに従ってください。立ち入り禁止の場所もあるので注意を。基本的に木が敷き詰められているところは参観者のために整備されていて、自由に歩けます。この木の一部は古い枕木を再利用しており、黒くなっているものは、防腐のために廃棄された機械油に浸しているのだとか。大きさがバラバラなのも再利用されているからなのでしょうね。
ナビはこのかわいらしい空間に大興奮!太陽がガンガン照りつける中、ぶらりと歩いて写真を撮っていましたが、熱中症の手前のような症状になってしまいました…涙 楽しく見学するためにも、水分をよく取り、日陰できちんと休憩することをオススメします。
ここが一番人気の見学場所!
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撮り鉄たちは完全防備!でも、本当はそこ入っちゃいけませんよ~!!
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ここまできたらターンテーブル(転車台)が動くところですよね?
ここは県の古跡に指定されているものの、現役の車庫。パフォーマンスのためにターンテーブルを動かしているものないんです。なので、1日何回見られる、いつ来たら見られるかそれも一切決まっていません。
ナビは木曜日の13:30に1時間半ほどいましたが、その間にターンテーブルが3回動きましたよ~。
扇形車庫物語
扇形車庫って?という方のため、ナビの一夜漬け解説~。
簡単に言うと、蒸気機関車を効率よく格納するために作られた車庫のこと。蒸気機関車は運転台が1方向しかないため、機関車はターンテーブルに載って向きを換え、放射状に広がる引込み線を通って車庫へ入るというわけなのです。上空から見ると、建物が扇を広げたような形に見えることから、「扇形車庫」と呼ばれています。日本では京都の梅小路機関区のものが有名です。
ここ彰化機務段の扇型庫は、日本統治時代の1922年(大正11年)に建造、1932年(昭和7年)に完成しました。10年間のうち、大きく4つに分けて作られたそう。初期の頃は車庫が6つだけでしたが、その後順次建て増して1933年(昭和8年)に現在の12列の形になりました。当時は鉄道全盛の時代だったんですね。
台湾では海線鉄道系統が完成して、山線鉄道との分岐点である彰化駅が台湾中部の輸送系統の重要地点となったことから、多くの機関車の修理補修のために、ここに扇型機関庫が建てられたのだそうです。
ナビのギモン
あまり鉄道には詳しくないナビ、「どうして扇型車庫は、今ではあまり使われなくなったのか?」と気になってきました。何でも昔は台北や新竹、高雄港、嘉義にもあったという扇型車庫。世界的に見ても扇型車庫密度が高かったそうなんです。そんなギモンを係りの方に聞いてみると…
「それは列車の形が変わってきたから。昔は、機関車を前や後ろに接続して引っ張っていたけど、今の列車は、一番前と一番後ろに2つ運転席がついている形。機関車を付け替えるのではなくて、運転手が移動する。こういう車両の保守点検は、長い車庫じゃないとできないのです。」
なるほど~!そういえば日本の車両基地では列車が何列も並んでいますよね。納得♪
せっかく来たのですが、少しでも詳しくなろうとじっくり見てみることにしました。見てすぐかわいいなと思ったのが、車庫の屋根にいっぱい煙突がついていること。12列ある機関庫の屋根に、各2つずつ合計24の煙突があります。なぜ前後2つにあるのか…それは蒸気機関車が格納されていた頃の名残なんです。というのもこの煙突は排煙のために使われていたのだか。この煙突があるということが、蒸気機関車のためにこの機関庫が建てられた証(あかし)なんだといいます。
もっと、もっと、よ~く見ると、それぞれの機関車の種類によって、作業用の足場が違うのが分かります。
蒸気機関車(SL)用は半地下式で、もぐって作業しディーゼル機関車用は階段になっていて、電気機関車用になるとほとんど2階建ての高さで、集電装置のメンテナンスをしているのです。進化するにしたがって人間と機関車のかかわり方も変わっていくみたいですよね。作業場を見ているだけでも轢死を感じられるのはちょっと感慨です。
1番はこんな感じ2階建てになっています
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3番は階段がついています!
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また、電気機関車もここで修理していますが、架線(電車線)は張られていないので、補機を使って押して車庫に入れる必要があります。そのため線路と平行にある1、2番で電気機関車をメンテナンスしているそうです。そうすることでターンテーブルを回さなくてもいいのだとか。
どんな機関車が見られるの?
わぁ~い!DT668が見られましたよ~♪
復興号や莒光号を引っぱる電気機関車のE100、E300型。ディーゼル機関車のR20、S300型。DHL100型ディーゼル、EMU500型通勤電車、DRC1000型ディーゼル客車など。そしてもちろん、最近さまざまなイベントで活躍している台湾の現存蒸気機関車CK101型(100年の歴史あり!)と、CK124型です。台鉄が現在所有し、まだ使える蒸気機関車は4台のみ。この日見られたのは2台だけでしたが、現役の蒸気機関車を、目の前で見られたのにはナビ大興奮!
何がすごいって、目の前にある車両たちはすべて現役で動いている!ということ。ほかの博物館のように使えなくなった車両を飾っているのではないのです。ちなみに蒸気機関車に興味のある方は苗栗にある博物館がオススメだそうです。様々な蒸気機関車が見られるそうですよ!
CK124発見!小さくてかわゆし~♪
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扇形車庫の周りにもたくさんの列車が
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電気機関車の普及もディーゼル機関車は不滅!
台湾の鉄道では、電気化されているところがほとんどです。しかし、線路がいくつもある駅などでは、すべて電気がはり巡らされているとは限りません。そんなところは今でもディーゼル機関車の出番!ディーゼル機関車が車両を押したりして、車両を入れ替えしたりしているのです。
また、今ディーゼル機関車が主に活躍するのは貨物列車を引く時。貨物列車は企業が独自に引いている線路に入っていくことも多く、電化されていないところもあるのだそう。
そして、ディーゼル車がきっとなくならないと断言する理由のひとつが、電車線が切れたり、電気に何か問題が発生したら、その時はディーゼル車頼みなんだということ。いつもはあまり目立たないところで頑張るディーゼル機関車ですが、いざという時には頼りになるという話を聞いて俄然ディーゼル機関車に興味がわいてきました!
ちなみに、現在ディーゼル機関車が走っている箇所が少しあります。本線だと屏東の潮州から台東の知本、それ以外なら平溪線、內灣線、集集線、そして阿里山の一部だそうです。こう並べてみると、ノスタルジー溢れる線が多いですよね~。
ここに入るなりトーマスの世界に飛び込んだ気持ちになったナビ。こどもはもちろん大人も、そして特に鉄道ファンでなくても十分に楽しめること請け合いです。
以上、鉄子になっちゃいそうなナビがお届けしました!